著者
京武 順 武末 尚久 森永 正彦 湯川 夏夫
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.1031-1038, 1991 (Released:2008-04-04)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

A first computer method has been proposed for the simulation of the local atomic displacement in alloys. Employing a Monte Carlo method the simulation has been carried out so that the local displacement parameters determined experimentally from diffuse-scattering measurements fit the simulationed ones. A whole feature of atomic fluctuations can be spacified by combining this method with Gehlen-Cohen method for the chemical short-range order in alloys.This method has been applied to the structural problem of the G.P.zones in Al-Cu alloys. There are distinctive atomic displacements inside and outside the zone. In particular, it is interesting to note that the modulated displacement-waves spread over a relatively wide region surrouding the G.P.zone.
著者
杉石 泰 稲垣 幸司 黒須 康成 夫馬 大介 坂野 雅洋 山本 弦太 吉成 伸夫 野口 俊英 森田 一三 中垣 晴男
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.10-16, 2006 (Released:2006-08-07)
参考文献数
31
被引用文献数
1 2

歯周病と骨粗鬆症の関係を明らかにするために, 閉経後女性歯周病患者の歯周病態と骨粗鬆症所見の関連性を検討した。対象は, 本研究の主旨に同意の得られた慢性歯周炎の閉経後女性81名 (59.1±6.6歳) で, 腰椎骨萎縮度から, 腰椎骨萎縮正常群26名 (N群, 58.4±6.1歳), 腰椎骨萎縮群55名 (A群, 59.4±6.8歳) の2群に分けて比較した。評価した口腔内所見は, 現在歯数, プロービングデプス (PD), クリニカルアタッチメントレベル (CAL), プロービング時の歯肉出血 (BOP) 率および歯槽骨吸収率 (ABL) である。さらに, 各口腔内所見の平均から2群に分け, 腰椎骨萎縮度に対するオッズ比を算出した。PD7 mm以上部位率とCAL7 mm以上部位率はA群が高値であった (p<0.05)。腰椎骨萎縮度に対するPD平均, PD4 mm以上部位率およびBOP率の年齢補正したオッズ比は, それぞれ, 3.1 (95%信頼区間 (confidence interval (CI) ) 1.1—8.7), 3.0 (95%CI 1.0—8.7) および3.1 (95%CI 1.1—9.3) であった。したがって, 閉経後女性における歯周病の進行と, 腰椎骨萎縮との関係が示唆され, 骨粗鬆症所見に留意して閉経後女性の歯周病治療を行う必要性があると考えられた。
著者
大森 敏行
出版者
日経BP社
雑誌
日経network (ISSN:1345482X)
巻号頁・発行日
no.217, pp.24-41, 2018-05

インターネットは米国の実験ネットワーク「ARPANET」から始まった。それまで使われていた回線交換という手法とは全く異なるパケット交換というアイデアを取り入れたネットワークだ。その後、IP(Internet Protocol)やルーティング、名前解決といった仕組みが整備され、現在のようなWebの世界が出来上がっていく。この特集では、インターネットの生い立ちを知ることで、インターネットを構成する様々な要素技術の理解を深めていく。
著者
森滝 望 井上 和生 山崎 英恵
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.133-139, 2018
被引用文献数
4

<p>日本食の風味を支える出汁は, 心身への健康機能を有することが最近の研究により明らかにされてきているが, いずれの報告も長期摂取による効果に着目しており, 短期的な影響については知見が乏しい。本研究では, 出汁の単回摂取による効果を明らかにすることを目的とし, 鰹と昆布の合わせ出汁の摂取および香気の吸入が自律神経活動および精神的疲労に及ぼす影響について検討を行った。24名の健康で非喫煙のボランティアが本研究に参加した。被験者は, 9: 00に指定の朝食を摂取し, 10: 30—11: 30に実験を実施した。自律神経活動は心拍変動解析により評価し, 疲労の評価では, 一定の疲労負荷として単純な計算タスク (内田クレペリンテスト) を30分間課し, その前後でフリッカー試験を実施した。加えて, Visual Analogue Scale (VAS) を用い, 主観的な疲労度および試料に対する嗜好度を評価した。出汁の単回摂取では, 対照の水と比べて, 心拍数低下と副交感神経活動の一過性上昇が認められた。また, 出汁の香気吸入でも同様の効果がみられた。さらに, 出汁の単回摂取により, 計算タスク後のフリッカー値低下が抑制され, VASの結果より主観的な疲労度も軽減されていることが示された。これらの結果から, 出汁の摂取は副交感神経活動を上昇させる作用を介して, リラックスと抗疲労の効果を誘起する可能性が示唆され, その作用における香気成分の重要性が示された。</p>
著者
角田 (矢野) 悦子 森谷 絜
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.95-103, 2005-12-20

植物カモミール(Matricaria chamomilla)は,ヨーロッパを中心に古くから鎮静効果をもつ植物として利用されてきた。カモミールの摂食によるリラックス効果及び睡眠影響について報告された論文を総説としてまとめた。カモミール茶の摂食が末梢皮膚温を上昇させる,心拍数を低下させる,自律神経系を副交感神経優位にするという報告,感情測定尺度(MCL-S.1)によってリラックス感得点の上昇を認めたことが報告されている。また,カモミールエキスを添加したゼリーを温めた状態で摂食した場合には末梢皮膚温の上昇や心拍数の低下が起こり,副交感神経優位の傾向が示されたが,低温で摂食した場合 にはその効果が認められなかったと報告されている。OSA 睡眠調査票を用いた睡眠実験から,カモミールエキス添加ゼリー摂食日の夜間睡眠では,ねむ気の因子,寝つきの因子などが無添加ゼリーを摂食した日に比べて改善したことが報告されている。
著者
森岡 卓司
出版者
山形大学人文学部
雑誌
山形大学人文学部研究年報
巻号頁・発行日
no.11, pp.124-107, 2014-03

In his discussion of the Great East Japan Earthquake of 2011, Tamaki Saito highlights the implications of what he terms 'verbal ataxia.' According to him, verbal ataxia is coterminous with various currents and trends of post-WWII Japanese literary criticism while, meanwhile, it has now emerged as the crux of the symbolic order that underlies human communication in post-quake Japan. This paper has two aims. Firstly, to clarify the historical context behind a literary criticism where 'literature' and 'reality' are intertwined; secondly, to appraise verbal ataxia as an element that suppresses the human mind as a moral agent. The focus of my analysis is Genichiro Takahashi's Koisuru Genpatsu, along with critiques by Toshinao Sasaki and Norihiro Kato.
著者
西森 拓 西村 信一郎
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.59-65, 2014-06-25 (Released:2017-04-08)
被引用文献数
1

Foraging efficiency of ant colony is studied along the idea of strategy of errors. Strategy of errors is a seemingly-paradoxical group-tactics proposed by Deneubourg, meaning that errors of individual ants in following trail pheromone, rather, increase the efficiency of pheromone-mediated group foraging. In this paper, we first explain the basic idea of strategy of errors, thereafter, extend Deneubourg's original model to entrain more realistic processes. Through numerical calculations of the present model, we obtain two results: i) there are cases where non-uniform (element-dependent) distribution of the degree of errors in an ant colony enables the colony to make an optical foraging, ii) according to the variation of food-supplying environment, a transition of the optimal distribution of errors from the non-uniform distribution to the uniform distribution takes place. These results indicate that the idea of strategy of errors has a more scalability than that originally considered.
著者
森 伸一郎 古川 将也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.242-251, 2010

本論文の目的は,2009年12月17日から始まった伊豆半島沖群発地震を利用して,小規模アースダムとしてのため池堤体の地震観測を行い,微小震動レベルにおけるため池堤体の地震応答特性について明らかにすることである.対象ため池は谷池であり上下流の2つのため池が隣接し,2つの堤頂と基盤の3点で観測した.観測は19,20日の2日間行い,極微小から小地震による震度2の地震を含む微小振幅の30の地震動の記録を得た.その結果,振幅の大きく異なるフーリエスペクトルの地震動でも,基盤に対する堤頂のフーリエスペクトル比はおよそ一定の形状を示し,各堤体で固有の振動特性を示すことがわかった.また,地震時と微動のフーリエスペクトル比は類似しており,微動による調査法は有効性を確認できた.
著者
西岡 豊弘 森 広一郎 菅谷 琢磨 手塚 信弘 武部 孝行 今泉 均 久門 一紀 升間 主計 中井 敏博
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.69-72, 2010-06-15

クロマグロの種苗生産中に発生した大量死の原因についてウイルス学的に検討した。大量死は主にふ化20日齢までの仔魚に発生し、一部の事例では死亡魚の中枢神経系および網膜組織に顕著な空胞形成が認められ、それらの病変部にベータノダウイルスの抗原が蛍光抗体法により検出された。またPCRおよびウイルス分離試験においても本ウイルス(RGNNV遺伝子型)の存在が確認された。これらの結果から、VNNがクロマグロ仔魚の大量死に関与していると考えられる。
著者
橋本 知幸 數間 亨 武藤 敦彦 皆川 恵子 永廣 香菜 當山 啓介 足立 雅也 池田 文明 駒形 修 冨田 隆史 森川 茂 澤邉 京子
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.7-12, 2015-03-25 (Released:2015-09-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

A field evaluation of the acaricidal effect on ticks was conducted in Chiba Prefecture in 2014. Eleven formulations of organophosphates and pyrethroids, including emulsifiable concentrate (EC), flowable (FL), dust and CO2 gas formulation, were evaluated simultaneously. These formulations were respectively applied to zones 2 m wide by 17–60 m long with dosages between 0.05–0.25 g AI/m2, which are the recommended dosages for cockroach control in buildings. The numbers of ticks collected by the dragging method with flannels were compared between pre- and post-treatment. The genus Haemaphysalis and Amblyomma were captured during the test period. All the formulations drastically suppressed the tick density on day 1. High reduction rates of more than 90% were observed until day 4 in all formulations, and persistence for at least for 31 days was recognized in fenitrothion EC, FL and fenthion dust. Phenothrin CO2 gas formulation that flows in the air with little residue in the soil or on foliage also yielded a long suppression effect at a dosage of 0.05 g AI/m2. Tick infestation from outside the test plot seemed to be feeble after the treatment. These results suggested that all the formulations achieved superior suppression effect on the ticks.
著者
石川 清一 岩本 真帆 正田 健 加藤 達洋 岩崎 良和 宮本 俊八 赤井 祐一 佐藤 秀樹 蓮沼 理 水野 滋章 加藤 公敏 森山 光彦
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.98-99, 2008-06-15 (Released:2013-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1

症例は70歳男性。癒着性腸閉塞にて癒着剥離術を施行したが,退院約1カ月後より腹痛,下血を認め再入院となった。大腸内視鏡検査,サイトメガロウイルス抗原検査よりサイトメガロウイルス腸炎を合併した潰瘍性大腸炎と診断した。UCの経過中やステロイド投与例においてCMV腸炎の合併を認める報告はあるが,本症例のように明らかな免疫不全患者ではなくステロイド投与歴もない初発のUC患者の合併は稀であるため報告した。
著者
森本 剛
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.214, pp.202-209, 2004-09-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17
被引用文献数
3 16

Electric double-layer capacitors based on the charge storage at the interface between a high specific surface area activated carbon electrode and an electrolyte solution have been developed, and are widely used as maintenance-free power source for IC memories and microcomputers. Following the production of small size capacitor of the capacitance up to 1F, middle size capacitor having the capacitance up to 100F were produced and applied to power sources combined with solar cell in traffic signal and so on. Recently, large size capacitors of the capacitance about 1500F are being developed for large power sources such as in HEV. However, the energy density of electric double-layer capacitors is smaller than that of batteries such as the lithium ion battery. To solve this problem, new electrolytes, electrode materials and the construction of the cells were developed. As a result, the energy density of available large device (1000-2000F) was enhanced to 6 Wh/l at power density of 800W/1 and expected to be larger in near future.
著者
森岡 耕作
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.87-110, 2009-04

論文マーケティング研究における重要な研究領域と見なされるブランド論で先駆的研究を展開したAaker(1991)は,「同種の製品であっても,そのブランド名が付いていることによって価値に差異が生じる」という興味深い命題を提唱した。しかしながら,それに続く既存研究は数多く存在するものの,消費者があらゆる点について同種であると見なす製品を前提にして,その製品に付与されるブランド価値の生成について議論を展開することはなかった。このことを問題視する本論は,消費サイドにおけるブランド価値の生成と変容というダイナミックな現象について,前半部ではN. Luhmannの社会システム理論に依拠しつつ,補完的にLeibenstein(1950)のバンドワゴン効果/スノッブ効果,およびGranovetter(1978)の閾値モデルを援用して,「ブランド価値はバンドワゴン効果を伴う消費者間コミュニケーションよって生成し,他方,スノッブ効果を伴う消費者間コミュニケーションによって崩壊し,さらに,それらの組み合わせによってブランド価値は生成・変容する」ということを説明した。他方,後半部においては,その現象を理解するために,マルチエージェント・シミュレーションを設計・実行した。その結果,既存のブランド論が捨象してきた議論領域においても,ブランド価値が生成・変容しうることを明らかにした。そして,このように展開される本論は,一方では,Luhmann の社会システム理論が既存のブランド論の問題ないし限界を克服するために有用な理論枠組であることを示し,他方においては,ブランド価値の生成・変容という具体的な現象を吟味することによって,それまで一般的かつ抽象的な議論に留まっていた社会システム理論の発展可能性を示唆した。Prior research on brand equity or brand value has assumed that all products are the same in their functions but different in their marketing activities. However, we can assume that products are the same in not only their functions but also their marketing activities, and this assumption has been paid little attention. So, this paper aims to explore how the emergence and collapse of products' brand values resulting in their up-and-down market shares can be possible when all products are same in all aspects. At first, we use Niklas Luhmann's social system theory to explain the emergence and collapse of brand values. Then, we get a constructive understanding of market share dynamics by conducting experiments using multi-agent simulation model. This is the way we imply the frontiers of brand research by suggesting that the social system theory is useful in analyzing the emergence and collapse of brand value.