著者
赤沼 恭子 目黒 謙一 橋本 竜作 石井 洋 森 悦朗
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.360-367, 2004 (Released:2006-03-24)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

地域在住高齢者 160名を対象に, MMSE自由書字を, 文字数, 漢字・仮名における文字形態の誤り, 文字運用に焦点をあて CDR別に分析した。CDR 0 は健常, CDR 0.5は最軽度アルツハイマー病, CDR 1+はアルツハイマー病である。その結果, 文字数は CDRが重症化するにしたがい減少傾向を示し, 文字形態は健常においても 30%に漢字もしくは仮名の誤りを生じていたが, CDR 0.5群もしくは 1+群において仮名を誤る対象者が多かった。文字運用は, 名詞においては CDR 0群と 0.5群では誤りに差はないものの CDR 1+群で誤りが多く, 送り仮名では CDR 0.5群で誤りが多くみられた。文字運用に注目した場合, 漢字と仮名で構成された送り仮名 (綴り) の誤りは最軽度アルツハイマー病という病的過程を反映している可能性が示唆された。
著者
森 英子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.266, 2005

発意 郵便局の民営化・分離独立計画策は発案されて久しいが、反対異論続出でむしろ後退している。喫緊性が疑問視される新幹線や空港の公共事業など。経済効率からは考えられない政策・建設が昔から繰り返されている。幾つかの個別例を検証する。私は尊敬、同感するエコノミストの日経新聞紙上の論文を永く保存し続けているが、歳を思い、関心と共にいっさいを清算する記念とする。〈BR〉 方法 空前のバブル崩壊による不況の1992_から_1993年時に日経新・経済教室に載った政府・官僚・審議会委員等(現在も積極的な論者多数)の論説を主に、逐次発表されたそれや、その他の関連発言記事の中から取り上げ、彼等エコノミストの立案や施策が経済理論に基づくものでありながら、実現せず時としては予期せぬ危険な方向に発展してしまった事例をもって現場音痴を検証する。〈BR〉 実例・音痴たらしめる主因・アノマリースの階段 検証 赤字国債の膨張歯止めは至難 高橋是清蔵相ー不況克服に一時的が軍部の圧力で失敗、戦後は福田・太平蔵相ー一年か短期間で均衡財政復帰のつもりが赤字国債発行ゼロにするだけにバブルの恩恵があったにも拘らず十年を要した。経済理論通の各蔵相を実情音痴たらしめたのはレント・シーカー(公的タカリ屋)による拡大圧力を軽視しているからである。逆に官庁エコノミストは統計偏重で実体経済把握に甘く不況に後手であり、積極財政をとのエコノミストの声もある。経済理論からのアノマリースは第一に人の本能の経済合理思考と感情の葛藤が第二に行動経済学となり第三に社会的奸智がさらにアノマリース幅を拡大し恒常化してしまう。
著者
村井 政史 伊林 由美子 堀 雄 森 康明 古明地 克英 八重樫 稔 今井 純生 大塚 吉則 本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.34-37, 2016

症例は48歳の女性で,高層ビルで勤務中に地震が発生してビルが大きく揺れ,その後から動揺性めまい感が出現するようになった。陰証で虚証と考え真武湯で治療を開始したところ,動揺性めまい感は改善した。ところで,この患者の職場は入退室管理に指静脈認証によるセキュリティシステムを導入しており,当院を受診する前までは認証エラーが多かったのが,真武湯を服用するようになってからは調子よく認証されるようになった。静脈認証エラーの原因の一つに,冷えで血管が収縮して血流が低下し,血管パターンが変化することが知られている。そのような血流が低下した状態を,陰証の方剤で温めることによって解消し得ると思われた。
著者
森 誠之
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.549-554, 1993-04-05 (Released:2009-07-23)
参考文献数
38
著者
小川 夕輝 曲 寧 北岡 三幸 内藤 宗和 寺山 隼人 伊藤 正裕 松野 義晴 森 千里
出版者
日本生殖免疫学会
雑誌
Reproductive Immunology and Biology (ISSN:1881607X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.49-55, 2009 (Released:2009-11-20)
参考文献数
30

精細管内のhaploid germ cellsは、様々な自己抗原を含むことがわかっているが、Sertoli細胞間の結合で構成される血液−精巣関門 (blood-testis barrier=BTB) によって免疫系 (精巣間質マクロファージを含む) からある程度守られているとされている。しかしながら、直精細管および精巣網には、投与された抗体やhorseradish peroxidase (HRP) が管内へ若干入り込むため、その部位のBTBは生理学的に脆弱なことが明らかとなってきている。精巣毒性物質として知られているカドミウム (CdCl2) は、主に精巣毛細血管障害を引き起こし、BTBの破壊や精上皮壊死を伴うことが報告されているが、本研究では、精子形成障害を惹起しない程度のCdCl2微量投与 (1mg/kgおよび3mg/kg) による精巣の免疫学的組織環境変化 (CdCl2投与12および72時間後の外来性HRPと内在性IgGの精巣内分布の変化) を、8週齢雄A/Jマウスを用いて組織化学的に検討した。その結果、CdCl2投与によって、HRP (屠殺30分前に投与) は直精細管・精巣網周囲の間質に強い集積を認めたが、間質の定住マクロファージによるHRP取り込みは精巣全域で逆に弱くなった。また、基底膜を超えて管内 (精細管→直精細管→精巣網) の上皮細胞に取り込まれたり上皮細胞間に侵入するHRP像を一部に認めたが、特に直精細管・精巣網に選択的に起こるものでなかった。一方、内在性のIgGは、HRPのような局在性分布や定住マクロファージによる取り込みを、対照群、CdCl2投与群ともに認めず、精細管→直精細管→精巣網への侵入像も精細管の一部に観察するのみであった。よって、精子形成障害を引き起こさない程度の微量CdCl2投与によっても、精巣間質における微小循環やマクロファージの機能に障害が起こることが示唆された。また、明らかなBTBの破綻とは異なる精細管→直精細管→精巣網の基底膜の一部に破壊が起こることが示唆された。しかし、その破壊は生理学的にBTBが脆弱とされる直精細管・精巣網に強く起こるということはないことがわかった。
著者
森 貴規 横内 憲久 岡田 智秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.40.3, pp.871-876, 2005-10-25 (Released:2017-07-01)
参考文献数
46

本研究は、通称地名を活用した谷戸の景観保全を促すために、通称地名の対象景観とその特徴を明らかにするものである。そのため、本調査では、横須賀市田浦・長浦地区において、文献調査、地域の歴史に詳しい方々へのヒアリング調査、現地踏査および図面分析を実施した。 その結果、現在でも継承されている 12箇所の対象景観を明らかにし、その構図的特徴と視覚構造を把握した。そして、それらを通じて対象景観の保全策を提示した。

1 0 0 0 OA 清家正の思想

著者
森 貞彦
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.45-50, 1997 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
著者
森川 昭廣 鈴木 成欣
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.286-292, 1980

成人ヒト末梢リンパ球のcyclic nucleotidesにおよぼすthymosinの影響について検討した.その結果, 1)cAMPについては, Thy.Fr.V-1を添加しない場合には, リンパ球1×10^6個に対し0.44±0.05pmolであったが, Thy.Fr.V-1の50, 100μg添加の場合には, それぞれ0.77±0.11, 0.82±0.16pmolと基礎値との間に有意な上昇を示した.2)cGMPについては, Thy.Fr.V-1の添加によっても有意の変化を示かった.3)〓帯血リンパ球のcAMPは正常ヒトリンパ球のそれよりも高い傾向にあった.しかし, Thy.Fr.V-1の添加によっても基礎値との間に有意の変化を示さなかった.4)E-rosette形成を抑制するThy.Fr.V-2も, E-rosette形成を促進するThy.Fr.V-1と同様に健康成人のリンパ球のcAMPを増加させた.5)Thy.Fr.V-1のリンパ球cAMP増加作用機序として, 少なくともadenylate cyclaseの賦活作用の関与が考えられた.
著者
森 眸美
出版者
文化学園大学・文化学園大学短期大学部
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
no.52, pp.98-104, 2021-03-31

デジタルツールを用いたファッションデザイン表現が一般的になってきた現在において、今後は 2 Dのみならず 3 Dの表現にも期待されている。 そこで本稿では、ファッション画のなかでも世界観を表現することを目的として描かれるファッションイラストレーションにおいて、従来の平面( 2 D)的表現に立体( 3 D)的表現を加えることでどのような効果が得られるのか、作品制作を通じて検討し、手法の開拓やファッションデザイン表現の新たな可能性を見出すことを目的とした。 今回はファッションイラストレーションにおけるアクセサリーが持つ世界観の表現をテーマとし、アクセサリーのデザインは 3 Dソフト『ZBrush Core』を用いて行った。平面( 2 D)的表現に立体( 3 D)的表現を組み合わせることで、立体部分が平面から浮き上がって見えるとともに奥行きが生まれ、アクセサリーが印象的かつ具体的に表現されたファッションイラストレーションを制作することができた。
著者
森 絵美 松本 正富
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.2_35-2_42, 2021-09-30 (Released:2021-11-03)
参考文献数
17

本研究は,病院で広報や行事の企画運営に従事するデザイン技能を有した事務職員である院内デザイナーの配置に対する経営者評価について,利用者サービス向上に向けた業務支援の視点からみた有用性と課題を明らかにすることを目的とした.医療機関経営者を対象とした半構造化インタビューを実施し,M-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)を用いて分析した結果,1)広報が充実し医療機関の特色が明確化すること,2)情報共有と業務の効率化につながること,3)内製物の質向上と継続的な維持管理に貢献すること,4)利用者に寄り添ったサービス提供ができることが,有用性として認められた.これに対し,1)人材育成の環境が整っていないこと,2)人材配置に関わる費用対効果の検証が難しいこと,3)その職域自体が未だ確立されていないことが課題として指摘された.
著者
紙谷 浩喜 佐藤 雄太 藤本 邦洋 梅木 駿太 古原 岳雄 七森 和久
出版者
公益社団法人 大分県理学療法士協会
雑誌
大分県理学療法学 (ISSN:13494783)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-5, 2020 (Released:2020-07-10)
参考文献数
8

【目的】 地域包括ケア病棟における入院患者において,生活機能の改善が高い患者と低い患者において,患者の転帰先に影響を与える要因と担当理学療法士・作業療法士が行った対応方法に関して質的研究法を用いて調査すること.【対象】 対象は2017 年6月~ 2018 年1月に,在宅から入院し当院の地域包括ケア病棟から退院した患者409 名のうち除外基準を満たした202 名とした.【方法】 病院環境におけるFIM 運動項目(以下,mFIM)からFIM effectiveness(以下,emFIM)を算出した.全群におけるemFIM の中央値より高い者を生活機能改善率が高い,中央値より低い者を生活機能改善率が低いと定義した.退院先が自宅でありemFIM が低いもの(以下,自宅低emFIM 群)と,退院先が施設でありemFIM が高いもの(以下,施設高emFIM 群)を調査対象とした.転帰先の決定に重要であった要因と対応方法について担当セラピストより聴取し,分類した.【結果】 自宅低emFIM 群は67 名であった.67 名の転帰先に関する特徴は3種類に分類できた.①病院環境ではemFIM が不十分だが自宅生活が可能な者,②手すりや歩行補助具など物的環境調整によってemFIM が十分となった者,③物的環境を調整してもemFIM が不十分であるが本人や家族の強い希望により自宅に退院した者であった.施設群高emFIM 群2名であった.2名のうち1名は家族関係が不仲,1名は入院前生活以上の介護負担を負えないと家族が判断した.【考察】 自宅低emFIM 群67 名のうち,約9割は適切な物的環境で課題となる動作の評価が重要であった.物的環境,人的環境のいずれにおいても,早期から医療者と当事者の認識の誤差を埋めるような関わり方が重要だと思われる.