著者
森川 洋
雑誌
福山大学経済学論集
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.27-64, 2003-03-31

In Schleswig-Holstein wurde bei der kommunalen Gebietsreform die sich seit der preussischen Zeit entwickelnde Amtsverfassung verbessert und ausgebaut, sodass es heute neben 103 Einheitsgemeinden und kreisfreien Stadte 119 Amter mit 1, 026 amtsangehorigen Gemeinden gibt. Da ein Amt rechtlich kein Gemeindeverband, in erster Linie die gemeinsame Verwaltung der amtsangehorigen Gemeinden ist, ist keine starke Fuhrungskraft Amtsvorsteher und Amtausschuss zustandig. Nicht nur Amtsvorsteher sondern auch das Mitglied des Amtausschusses werden von den Gemeindebewohnern nicht unmittelbar ausgewahlt. Die Gemeinden innerhalb eines Amtes haben wegen relativ geringer Umlagen zum Amt eine starkere Finanzgrundlage, sodass sie die starke Selbstandigkeit als Gemeinde halten konnen. Daher entwickelt sich dort keine starke Verbindungskraft der amtsangehorigen Gemeinden voneinander, wie Samtgemeinde in Niedersachsen und Verbandsgemeinde in Rheinland-Pfalz. Obwohl man nicht sagen kann, dass keine Amter seit Anfang der 1970er Jahren von dem Zusammenschluss zu Einheitsgemeinden einschliesslich Stadten ubergegangen sind, bleiben die meisten Amter heute noch und sind aktiv tatig. Im Lauf der Zeit hat ein Amt seine Funktionen ausgebaut. Die landlichen Bewohner wollen sich mit einer Stadt oder Einheitsgemeinde nicht zusammenschliessen. Bei der Amtsverfassung konnen sie unter der Erhaltung der Burgernahe in kleinen Gemeinden dem Amt die Selbstverwaltungsaufgaben ubertragen. Besonders in der Umgebung einer Grossstadt, wie z. B. in Amt Molfsee und Amt Preetz-Land, konnen sie die zentralen Einrichtungen der Stadt Kiel als Nutzniesser benutzen. Die administrative Trennung von zentralen Orten und ihren Nahbereichen ist fur zentralen Orte sicher ungunstig. Die vergleichbar niedrigen Betrage einer Gemeinde von Schlusselzuweisung in Schleswig-Holstein beruht darauf, dass ein Teil von Schlusselzuweisung zu zentralen Orten verteilt wird. Es scheint mir auch, dass ein Grund fur die Ablehnung des Zusammenschlusses in den billigeren Steuer einer landlichen Gemeinde als einer Stadt besteht. Daruber hinaus kann man aus zahlreichen ehrenamtlichen Gerneindetatigkeiten, wie z. B. Burgermeister, Gemeinderate und freiwillige Feuerwehr, das Vorhandensein des starken Gemeindebewusstseins oder Gemeindezugehorigkeitsgefuhls bemerken. Im August 2002 hat der schleswig-holsteinischen Innenminister K. Buss auf einer Presse erstmal geschrieben, dass die kleinsten Gemeinden mit weniger als 500 Einwohnern wegen der fehlenden Verwaltungsfabigkeiten vom Zusammenschluss mit anderen Gemein-den abschaffen werden soll. Er hat jedoch nicht behauptet, dass man die Amter selbst abschaffen soll. Im Vergleich mit Samt- und Verbandsgerneinde kann man aber ein bisschen schwachere Situation der Verwaltungsfahigkeit von Amtern feststellen. Wenn die Korrigierung oder Verbesserung der zweistufigen Gemeinden zukunftig unbedingt gebraucht wird, wird die Verstarkung der Verwaltungskraft eines Amtes noch fruher als Samt- und Verbandsgemeinde geschehen, wie heute schon die Reform der Gemeinde und des Amtes im Land Brandenburg beginnt.
著者
森川 洋
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.119-134, 2007-03-30 (Released:2017-05-19)

郡制度を欠くわが国では町村と市は対等に扱われるため,財政能力の低い町村は地方交付税の削減の中で,「平成の大合併」に組み込まれざるを得なかった.これに対して,郡の機能的支援によって特別市と対等の立場に立つドイツの市町村は,これまで市町村連合を形成しながらも,小規模市町村が自立し,「市民に身近な政治」を維持してきた.しかし今日,市町村の郡納付金や州からの基準交付金に依存する郡の財政は,州からの任務委託の増大によって著しく悪化してきた.各州では郡の機能改革が計画され,メクレンブルク・フォアポメルン州のように,郡の地域改革に着手しているところもある.
著者
美和 千尋 島崎 博也 出口 晃 森 康則 前田 一範 水谷 真康 浜口 均
出版者
The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.78-85, 2019-05-31 (Released:2019-06-19)
参考文献数
23

人は環境の温度変化に対して,身体の外部や内部から熱の出し入れをして調節する.身体の内部からの熱の出し入れの一つに温度の異なる水を飲むことが挙げられる.しかし,温度の異なる飲水に伴う人体作用の変化の詳細は明らかになっていない.そこで,この研究では,異なる温度の水を飲むことで,どのような体温応答があるのかを明らかにする.健常な若年男性13名(平均年齢21.3±0.8歳)を対象とし,3℃,室温,60℃Cの水を飲んだときと水を飲まないときの体温応答について検討した.測定項目は鼓膜温,皮膚血流量,発汗量,平均皮膚温である.鼓膜温はサーミスターにより,皮膚血流量はレーザードップラー血流計で,発汗量はカプセル換気法で測定した.平均皮膚温は,身体の7点をサーミスターで測定し,算出した.鼓膜温は水温3℃と60℃の飲水時に他の条件と比べ有意に変化した.皮膚血流量は水温60℃と3℃の間で,発汗量は水温60℃と他の条件の間で,平均皮膚温は水温3°Cと他の条件の間で有意差が認められた.飲水初期の変化は,飲水時の温度による温度受容器の反応で起こり,その後は飲んだ水の温度が持つ熱エネルギーが関与していると考えられた.
著者
渋谷 政子 中島 理子 田島 久美子 朝倉 章子 森 敏郎
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.51-57, 1996 (Released:2009-10-29)
参考文献数
7

輻輳不全および融像幅の低下が原因で眼精疲労を訴えた28名(年齢8歳~51歳)に当科で考案した訓練方法に基づき治療を行った。対象患者は輻輳近点と融像幅の検査結果から,1.生理的複視を認知できない群,2.輻輳力低下群,3.融像力低下群の3群に分類した。訓練の結果,輻輳近点が10cm以下およびプリズム融像幅が20Δ以上の正常範囲に回復し,眼精疲労が消失あるいは軽減したものは28例中27例であった。訓練期間の平均は1.2ヵ月と短期間であった。眼精疲労の原因を的確に分析することは輻輳および融像幅増強訓練を奏効させると考えられた。
著者
佐藤 裕 森 浩一 小泉 敏三 皆川 泰代 田中 章浩 小澤 恵美 若葉 陽子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.384-389, 2006-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
31
被引用文献数
4 2

幼児・学童吃音者の音声言語に対する左右聴覚野機能の分化異常について, 多チャネル近赤外分光法を用いて測定した.音刺激には音素の配列もしくは韻律句の異なる対立を用い, 左右それぞれの聴覚野付近にて得られた総ヘモグロビン量の反応ピーク値を基に側化指数を算出し左右差を検討した.その結果, 幼児・学童吃音者群ともに, 最小対語・韻律句対比セッション間で側化指数に有意差がなく, 音素・韻律に対する側性化が見られないことが確認された.個人内の検定では, 音素の処理が左優位と判定できる吃音児は存在せず, 同年齢対照群と有意に異なった.この結果は成人吃音者と同様であり, 吃音と聴覚野の機能異常との関連が示唆され, この異常が3-5歳の吃音児ですでに見られることがわかった.
著者
松木 浩子 森合 博一 小林 英樹 山田 裕輔 鈴木 妙子 竹村 真一 鈴木 勝男 野沢 佳弘
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.418-422, 2014-07-25 (Released:2014-09-10)
参考文献数
9

症例は29歳,男性,左側腹部から背部にかけての疼痛を主訴に当院受診.胸腹部CTにて腹腔内に多数の結節とリンパ節腫大,右胸水,腹水を認め,PET-CTで腹膜,胸膜に高度のFDGの集積を認めた.血清CEA,CA125,可溶性IL-2レセプター抗体が上昇していた.癌性腹膜炎,悪性リンパ腫,悪性中皮腫,結核性腹膜炎などとの鑑別を要したが,確定診断が得られず腹腔鏡下腹膜生検を施行した.大網,腹膜及び肝表面に白色の小結節が多数認められ,大網は腹壁に癒着していた.術中迅速病理診断にて,乾酪壊死とLanghans巨細胞を伴う類上皮性肉芽腫を認めたことから,結核性腹膜炎と診断した.結核性腹膜炎は稀な疾患で,臨床像および検査結果から癌性腹膜炎との鑑別が困難であるが,腹腔鏡下腹膜生検の術中迅速病理診断が有用であった.
著者
後藤 昌弘 岩田 惠美子 大久保 郁子 森 一幸 中尾 敬
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>[目的]</b>ジャガイモは,栄養学的に優れた食品であり,様々な調理や加工に用いられている。本研究ではジャガイモの品種による調理方法と食味の構成要因を解析することから様々な調理法に適した品種を探求することを目的とし,西南暖地の主要産地である長崎県産の品種・系統について種々の物理化学的調査及び官能検査を実施した結果について報告する。 <br><b>[方法]</b> 平成25年度秋作のニシユタカ,デジマ,アイユタカ,さんじゅう丸,西海31号の育成品種,品種登録前の育成系統西海37号,西海40号の7品種系統をそれぞれ,蒸す,ゆで,レンジ,焼き,揚げ加熱で調理した。加熱試料について「ニシユタカ」を標準試料として色,香り,口当たり,甘み,苦み,おいしさ,総合評価の項目について官能検査(評点法)を行った。また,加熱前後の試料の遊離還元糖,アミノ酸,フェノール物質含量と加熱試料のテクスチャーの測定を行い,これらの関係を調べた。<br><b>[結果]</b> 「デジマ」は揚げ加熱で還元糖含量が多かった。「アイユタカ」(黄肉)は蒸し加熱で他の品種に比べ色の評価,総合評価が高かった。「さんじゅう丸」は加熱法による差はみられなかった。「西海31号」(赤肉)は全ての加熱法で色の評価が低かった。「西海37号」は揚げ加熱で還元糖含量が多く,レンジ加熱で色の評価が高かった。「西海40号」はレンジ加熱を除くと標準試料に比べ,口当たりの評価が高かった。
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 Wagner G. S. 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984
著者
佐藤 萌都子 田村 幸嗣 吉田 裕一郎 河野 芳廣 森山 裕一(MD)
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100387, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】 癌患者、その家族にとって終末期をどのように過ごすかは大きな問題のひとつである。今回、癌の進行に伴い、ADLおよび活動意欲が低下し、目標喪失となった終末期癌患者への理学療法を担当した。本症例を通し、意識変化のきっかけを与えることで、共通目標の設定・自宅退院が可能となった症例を経験する機会を得たため、報告する。【方法】 症例は30歳代女性。子宮肉腫に対し、他院にて子宮全摘+両側付属器切除施行。その6年後、子宮肉腫クラスV再発を認められ、当院にて抗癌剤治療目的に入院となる。生命予後については、主治医より“年単位は難しい”と入院時のインフォームドコンセントにて症例・ご家族に対し告知済みである。ご家族は夫・両親・義理の母親を中心に終日誰かが病室にいる状態であり、症例に対し非常に協力的であった。【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に沿って個人情報保護に配慮し、患者情報を診療記録から抽出した。症例ご家族に対し、本学会にて症例報告を行うことについて同意を得た。また、当院の倫理委員会の承諾も受けた。【結果】 当院入院から退院までを以下の3相に分け、経過を報告する。(介入初期)当院入院約1ヶ月経過し、機能改善目的にリハビリテーション(以下リハ)開始となった。介入当初は、PS2~3と個室内トイレへは点滴台歩行にて自立レベルであったが、終日嘔気・嘔吐に加え間欠的な腹部痛、下腿浮腫を中心とした倦怠感により臥床傾向であった。また、人目を気にすることで個室外出はほとんどみられず、“リハが入っても何もできない”とリハ介入に対しての強い不安が聞かれた。そこで、まずは「個室からリハ室までの外出」を目標に、他の利用者のいない昼休み時間を利用するなど環境設定をしながら、少しずつ離床を図った。(活動範囲拡大期)点滴台歩行に加え自転車エルゴメーターを中心に運動耐容能改善を図るなかで、“思ったより歩けた”“動けるなら自宅に帰って妻らしく家事がしたい”など心理的変化に加え、意欲的な発言がみられ始めた。一時的には病棟内を散歩するなど、人前に出る機会も多くなり、身体機能の向上を図ることができた。PTに対して、在宅復帰への希望がある一方で、ご家族の負担となることへの不安を話す場面もあったが、症例、ご家族、病棟スタッフを含め「自宅退院」という目標を共有した。その後、抗癌剤治療の合間に自宅退院の予行を含め、訪問看護を導入しながら一時退院となった。(自宅復帰移行期)再入院に伴い再び介入したが、抗癌剤治療開始に併せ、腹水の増加や熱発・嘔吐が持続し、誤嚥性肺炎を呈するとNGチューブ・ドレーン留置となり、徐々にベッドサイドでの身体機能維持を目標とした緩和的な介入が中心となった。加えて、症状の不安定性により積極的な介入が行えない日が増えた。そのため、病棟との連携の中で疼痛コントロールを図った上での介入を行い、リラクゼーション・下腿浮腫に対するマッサージをはじめとし、体調に合わせたプログラム設定の中で、個室内の点滴台歩行の継続を図り、機能維持に努めた。最終的な自宅退院が近づく中、希望がみられる一方で“家に帰っても家族の迷惑になるのでは”という強い不安が聞かれたが、家族の受け入れを得ることができ、再入院から2ヵ月後、状態維持のまま自宅退院となった。【考察】 介入当初、活動意欲の低かった症例に対し目標設定を行うことに大変苦慮したが、症例に合わせた環境設定を行うことで個室外への離床を図ることができ、そこから前向きな意識変化を生み出せたことが自宅退院という共通目標設定に大きく繋がったと考える。また、終末期においてADL低下は避けられないが、緩和的介入へ移行し症状が不安定な中でも介入し続けることで治療はまだ続いているという精神的な支えとなり、身体機能低下を遅らせるだけでなく、目標への意欲を保持することも可能であると考える。自宅退院が決まったのち、症例からは笑顔とともに“やっぱり家が良いね”と、ご家族からは“家に帰らせることができて良かった”という発言が聞かれ、QOL向上を図れたことから今回のPT介入は適切なものであったと考える。【理学療法学研究としての意義】 癌の終末期において、QOLの向上を図ることは重要である。ADL機能の向上が図れなくなった時こそ、身体機能面への介入だけでなく、症例に合わせた理学療法を行い、目標を共有し意識を高めることはQOL向上に有効なアプローチと考える。
著者
末森 明夫
出版者
日本手話学会
雑誌
手話学研究 (ISSN:18843204)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-7, 2017-12-01 (Released:2018-12-21)
参考文献数
18
著者
森川 徹夫
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
熱硬化性樹脂 (ISSN:03884384)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.161-166, 1993-09-10 (Released:2012-08-20)

大量生産・大量消費・大量廃棄によって有限な資源の枯渇化を招くと共に, 地球の環境容量を超えた高度の産業活動が地球規模での環境問題を引き起こしている。地球との共生を果たしながら産業活動の「持続的発展」を可能ならしめるためには, 地球規模での物質循環についての新しいシステム, 即ち「資源循環型社会」の構築が不可欠である。樹脂業界においてもプラスチック材料の評価項目に「環境適合性」が加わり, とくに「リサイクノレ性」が重視されるようになり, プラスチックリサイクルが強い社会ニーズとなってきた。そこで, 当社における「環境適合性」に対する考え方, 熱硬化性樹脂のリサイクルの方法についての考え方の一部を紹介する。