著者
橋本 剛 吉田 琢哉 矢崎 裕美子 森泉 哲 高井 次郎 Oetzel John G.
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.91-103, 2011 (Released:2012-03-24)
参考文献数
62
被引用文献数
1 4

日米の大学生を対象とした質問紙調査によって,高親密/低親密関係それぞれにおける対人ストレッサー頻度,それらとソーシャルスキルの関連,およびディストレスへの影響の文化差について検討した。対人ストレッサー頻度に関して,対人葛藤(ケンカや対立)の文化差は示されなかったが,対人過失(迷惑をかけること)と対人摩耗(本音の抑制や気遣い)については文化と親密性の効果が見いだされ,なかでも日本・高親密条件では他の条件と比較して対人過失の頻度が最も高く,一方で対人摩耗は相対的に低かった。対人ストレッサー頻度の文化差に対するソーシャルスキルの影響として,日本のほうがアメリカよりも高親密関係の対人過失頻度が高いという文化差に対するスキルの媒介効果が有意であった。また,高親密関係における対人葛藤頻度とスキルの関連について,アメリカでは高スキルほど対人葛藤頻度が低いという負の関連が示されたが,日本ではそのような関連は示されないという文化の調整効果が見いだされた。対人ストレッサーとディストレスの関連については,高親密関係の対人ストレッサーについて,アメリカより日本の方がディストレスとの関連が強いという文化差が見いだされた。
著者
中山 真 橋本 剛 吉田 俊和
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.61-75, 2017-07-01 (Released:2017-04-15)
参考文献数
57

本研究の目的は,恋愛関係崩壊後のストレス関連成長に影響を及ぼす個人差・状況要因として,愛着スタイルと崩壊形態の影響を検討することであった。参加者である大学生・短大生184名(男性86名,女性98名)は,過去5年以内の恋愛関係崩壊経験について想起し,成長感尺度,愛着スタイルの各尺度へ回答した。まず,崩壊形態については,片思いよりも交際していた関係の破局(離愛)で,拒絶者の立場については,拒絶者があいまいな場合よりも,相手に拒絶された場合に,それぞれ高い成長が見られた。愛着スタイルについては,関係性不安が低いほど高い成長が見られた。
著者
今田 智大 橋本 剛
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.151-154, 2012-11-09

オセロにおいて一般的に設けられているハンディキャップは隅に石を置くものであるが、そのハンディキャップは実力差を埋めるのにあまり妥当でないと言われている。本研究では実力差が大きい時に一般に設けられているオセロのハンディキャップが妥当でないことを示し、新しく大きな実力差を埋めるハンディキャップを提案する。
著者
福本 都 苫米地 飛 橋本 剛明 唐沢 かおり
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.73-80, 2017 (Released:2017-06-30)

Existing research have investigated the effects of free will belief on aggressive behaviours. So far, studies have shown that when people's free will belief is denied, their motivation of self-control decreases, thereby increasing aggressive behaviours. An alternative and inconsistent account is that people who have strong belief in free will attributes the other party's attack to the actor's intention, which lead them to take revenge. Given that aggressions practically occur within a social interaction, the present study examined the relationship between free will belief and aggression in a social interactive situation. We hypothesized that people who have high free will belief will behave more aggressively when they are attacked by another individual. Based on a sample of 45 undergraduates, we measured free will beliefs and trait aggression as an individual-difference variable. We employed a modification of the Point Subtraction Aggression Paradigm in order to measure participants' aggressive behaviours. As a result, the effects of fatal determinism - a subscale of free will - were found significant. Specifically, when participants were unattacked by their interactive partner, those with low fatal determinism belief behaved less aggressively. Incurring no attack from the partner, participants may have experienced higher responsibility for taking aggressive actions themselves. Under such circumstance, having a low fatal determinism belief, and thus regarding their behaviour as undetermined by nature, may have further increased their sense of responsibility, consequently decreasing aggression. In contrast, when participants were attacked by their partner, aggressive behaviours increased on the whole relative to the non-attacked condition; receiving an attack may have simply provoked participants' motivation to revenge. This study highly suggests the relationship between fatal determinism belief and aggression in social interaction situations, offering a ground for future investigations including parameters to further explain the relationship.
著者
佐々木 宣介 橋本 剛 梶原 羊一郎 飯田 弘之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.53, pp.91-98, 1999-06-24
被引用文献数
4

将棋,チェス,象棋(中国将棋)の3種のゲームは起源を同じくし,世界三大将棋とされている.本論文では,与えられたゲームに対して平均合法手数と平均終了手数から求められる√<B>/Dという値がチェスライクゲームにおける重要な指標となり得ることを示し,また,ゲームの歴史的変遷の過程で,この指標がある値に収束するという仮説を提案する.さらに,コンピュータプログラムによる自動プレイにより,世界三大将棋および日本の将棋類を対象として平均合法手数と平均終了手数などの統計的データを採取した.その結果,将棋類の進化的変遷において,持駒再使用ルールの付加が現代将棋に進化する上で重要な変化であることを確認した.本研究の最終目的は,ゲームの進化や発展における普遍的な法則を見出すことである.SHOGI, CHESS, and XIANGQI (Chinese chess) are the major world-wide-popular chess-like games which have been played for many centuries. In this paper, we propose an estimate given by √<B>/D for the average possible moves B and game length D. We also propose a method called self-random play to analyze games, by which we perform experiments with the above three chess-like games and SHOGI variants. The results of the experiments suggest us that the reuse rule of SHOGI is an important step in the course of evolutionary changes of SHOGI. The present aim is to explore the universal way of the evolution of the games.
著者
橋本 剛
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

AND/OR木探索の難問, 2重カウント問題を解決する"Weak Proof Number Search(WPNS)"を開発した.詰め将棋における実験では,特に数百手を超える超難問でWPNSの性能が他を圧倒した.また,将棋や囲碁の評価関数機械学習,将棋熟達化の認知科学的研究を行った
著者
石井 岳史 川上 直人 橋本 剛 池田 心
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, 研究報告ゲーム情報学 (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.19, pp.1-8, 2019-03-01

ボードゲーム『ガイスター』は6×6のボード上で青赤2種8つの駒を交互に動かし,「脱出」「青駒全取り」「赤駒全取られ」のいずれかを狙う,対戦相手の駒の色がわからない2人用不完全情報ゲームである.不完全情報ゲームであるという点から運が影響しやすいが,駒の動きから非公開駒の種類を予測するなど心理戦の要素も多い.本ゲームにおいて上達するためには終盤の駒の動かし方について学ぶことが重要である.そこで詰将棋のような『詰めガイスター問題』を提案,実際に生成し有効性の考察を行うことで.対戦相手がいなくても初心者がガイスターに触れ,学ぶことができる環境の提供を目指す.本研究では通常のガイスターのルールに則った一般問題と,対戦相手の一部の駒を公開することで実戦での駒の種類予測を反映するような一部公開問題の2種を提案・考察する.一般問題では限られた勝利条件の問題しか生成できず,直感的に解くことができる問題が多かった.一部公開問題では,一般問題では生成できなかった青駒全取り問題を生成でき,アンケートでも高い評価を得ることができた.
著者
橋本 剛 鈴木 健次 長野 和雄 石井 仁 兼子 朋也 堀越 哲美
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.75, no.656, pp.907-913, 2010-10-30 (Released:2011-02-16)
参考文献数
24
被引用文献数
2 3

The objective of this study is to clarify the effect of a series of windbreaks on the microclimate in a settlement. Horage settlement is located in Tsukuba City where the seasonal cold wind called“Tsukuba-Oroshi”blows in winter, and that settlement is surrounded with windbreaks. Field observations of air temperature, humidity, wind direction and velocity were conducted in winter of 2006 and 2007. The protecting effect of windbreaks against the seasonal prevailing wind was observed clearly in the daytime when the strong wind blew in the observation area. Wind velocity in the built-up area was decreased with about 45% of that in the outside of the settlement. The heat island appeared clearly in the early morning and at night when the wind was weak or calm. Daily ranges of air temperature were small in the northeast area covered with dense windbreak woods.
著者
川上 直人 池田 心 石井 岳史 橋本 剛
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, ゲーム情報学 (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2020-GI-43, no.13, pp.1-8, 2020-03-06

世界的に親しまれているチェスと似たようなルールを持ちながら不完全要素のあるボードゲーム『ガイスター』では,駒を交互に動かし 3つある勝利条件のいずれかを目指す.ガイスターでは強い AI プレイヤの研究が盛んにおこなわれている一方,教育,楽しさを目的としたコンテンツ生成の研究もあり,2019年3月には『詰めガイスター問題』が発案された.詰めガイスター問題は,ガイスターにおいて確実に勝てる局面を問題化したものであり,終盤力を上げる教育的コンテンツとなっている.2019年11月には,逆向き生成法と証明数探索により19手問題が生成された.また,別アプローチとして後退解析によって得られた37手問題も紹介され,後退解析によって長手数問題を効率的に生成できるのではないかと考えられている.本研究では,駒数が少ない局面に限定し,『詰めガイスター問題』の後退解析をおこなった.結果,駒数が 2対2の場合において「一般問題」では勝ち191,992局面,負け514,214局面,引き分け654局面,最長勝ち19手,「公開問題」では,勝ち783,232 局面,負け402,822局面,引き分け227,666局面,最長勝ち37手になることを確認し,引き分けの存在を確認できた.また,先行研究で議論されていなかった,問題のカテゴリ分け,解の一意性について定義,実験をおこない,いくつかの知見を得た.
著者
長嶋 淳 橋本 剛 橋本 隼一
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2006論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.1-8, 2006-11-10

端攻めを苦手としていることは,改善が必要なコンピュータ将棋の弱点の1つである.本研究では,局面情報から端攻めの可能性を判定し,可能性の高い局面において重点的に端攻めの手を読ませることで,この問題に取り組む.多数の棋譜を分析して得られた条件をもとに将棋プログラムTACOS へ端攻めルーチンを実装し,評価を行なった.その結果,実装前と比較してTACOSは多くの局面で端攻めを行なえるようになった.
著者
後藤嵩幸 橋本剛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.7, pp.1-6, 2014-03-10

コンピュータ将棋は,Bonanza メソッドの考案により非常にレベルが高くなった.現在では,プロ棋士との対局も盛んに行われており,トッププロレベルに迫っている.しかし,中盤以降に比べて序盤が弱いという弱点も抱えている.コンピュータ将棋の性能は評価関数の質に大きく影響される.正確に盤面評価を行うほどコンピュータ将棋は強くなる.評価関数のパラメータは機械学習により自動調整されているが,40 駒からなる将棋の盤面をそのまま評価するためには膨大な評価項目が必要となる.現状では部分局面に分割することにより,近似的に評価を行なっている.しかし,現在の多くのプログラムは駒組み合わせ全てを保持するオール (all) 型の評価関数を用いているため,3 駒程度の少ない駒数にしか分割できない.そのため序盤で特に重要な盤面の細かな違いを認識することが出来ない.高次元組み合わせ評価を行うためには,重要な駒組み合わせのみを評価するフレック (frequency) 型評価関数が必要である.フレック型評価関数実現のためには,重要な評価項目を抽出する必要がある.しかし,現在重要な評価項目を自動抽出するための有効な手法は存在しない.そこで本研究では,乱数を用いた盤上の駒組み合わせのランダムカウントにより,評価項目を自動抽出する手法を提案する.実際に提案手法により抽出した項目を用いてフレック型評価関数を設計し,Bonanza に組み込んだ.そして,オール型評価関数と対局実験を行い,性能向上を確認した.
著者
橋本 剛
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

名人に勝つコンピュータ将棋の実現に向けて,動的なマージンを用いるFutility Pruningの提案,部分局面n-gram法の改良,詰め将棋探索で問題となる二重カウント問題の有効な対処法としてWeak Proof Number Searchの開発などを行った。マージンを用いるFutility Pruningの研究について,これまでfutility pruningは,チェスでは有効であるが将棋では探索空間の広大さと選択的探索が主流な事もあり,有効ではないと考えられていた枝刈り技術であった。しかし近年futility pruningを将棋に用いたBonanzaが好成績を収めて以降将棋でもfutility pruningが注目されることになった。futility pruningは大雑把な評価値にマージンを持たせαβのWINDOWから十分外れている場合に枝刈りをする技術である。これまでfutility pruningで用いるマージンには定数が用いられていたが,局面状況によって適切なマージンが変化すべきである場合に対応できないという問題があった。そこで,まずfutility pruningのマージンを定数で扱っている事による問題点を解析し,その改良案として,探索毎に動的なマージンを決定するアルゴリズムを提案,実装し評価を行った。その結果,動的なマージンを用いたfutility pruningが従来のものに比べて175勝138敗1分で統計的に有意に勝ち越し,その優秀性を証明することができた。部分局面n-gram法の改良では,プロ棋士の棋譜から頻度の高い指し手列を抽出し低ノイズで探索に組み込むことに成功した。また,指し手列の出現頻度をカウントし実現確率探索の遷移確率として扱うことでより人間らしい手筋を効率的に読ませることで探索の強化に成功した。詰み探索では従来のdf-pnに代わる二重カウント問題に影響されない新たな探索法Weak Proof Number Searchを提案し,ベンチマークテストでは611手詰みの「寿」をわずか数秒で解くなど従来手法に比べて圧倒的な性能を示した。
著者
野村 直也 橋本 剛
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2018-GI-39, no.4, pp.1-7, 2018-02-23

近年のゲーム AI は AI 自身が評価関数を生成する汎用的な学習法が成果をあげており,代表的なものとして Deep Q Network (DQN) などがある.これらの手法は様々なゲームに適用可能であるが,画面の情報量が多いものや操作が複雑なゲームでは学習が進まないという問題があり,さらに広い範囲のゲームに適用できる手法が必要とされる.本研究では複雑なゲームの一つとして弾幕シューティングゲームを取り上げ,このゲームに適用可能な学習手法を提案することで,更に汎用的な手法について考察する.弾幕シューティングゲームにおける人間のプレイの性質に着目すると,人間は画面全体を見ておらず,初心者は視野が狭く,上達するに連れ視野が広くなっていくという性質があると考えた.ゲーム序盤は観測範囲が狭く,徐々に観測範囲が拡大していくという性質を学習システム内に組み込むことで複雑なゲームに適応させる.本研究では観測範囲を狭くして学習の効率化が図れるか実験を行い確認した.観測範囲を狭めて学習させたところ,従来の手法よりも高いスコアを獲得した.また,観測範囲の変化量の妥当性や,その他のゲームへの適用について考察を行った.