著者
岡崎 隆哉 工藤 隆一 水内 英充 佐藤 賢一郎 熊井 健得 橋本 正淑
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.62-69, 1989-01-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
14

著者らは術中に腹腔洗浄細胞診を行った子宮内膜癌42例の標本を用いて, 腹腔洗浄細胞診と他の予後因子との関係について検討した.1) 細胞診施行症例は臨床進行期I, II, III期の症例で開腹時肉眼的に子宮外浸潤および被膜破綻のない症例に限った.2) 細胞診の陽性率は16.7%(42例中7例) で組織型, 進行期による陽性率の差は明らかでなかった.3) ヒステロスコープ施行例と非施行例の陽性率に差は認められなかった.4) 筋層浸潤に関しては, 組織学的に漿膜に達しない浸潤であれば筋層浸潤の深達度による陽性率に有意差は認められなかった.5) 病巣の占拠率に関しては占拠率が高いものほど高陽性率を示したが, 小さい病巣でも陽性となる症例もあった. また病巣が卵管角から離れた症例でも20%(3/15) が陽性であった.6) 陽性例7例すべてに追加治療を施行したが, 全症例が現在再発徴候なく生存している (最長6年0ヵ月, 平均3年7ヵ月).
著者
林 友直 高野 忠 市川 満 橋本 正之 鳥海 道彦 斉藤 宏 小坂 勝 栄元 雅彦 藤久保 正徳
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
no.62, pp.p1-102, 1989-03

臼田宇宙空間観測所の64mφアンテナ設備は1984年10月に竣工し, 人工惑星「さきがけ」・「すいせい」のハレー彗星観測や同人工惑星を利用した太陽オカルテーション観測をはじめ, TDRSを用いたスペースVLBI実験等にも利用され, 数々の成果をもたらしている。さらに, 1989年8月の「ボイジャー2」海王星オカルテーション観測実験や1990年の「MUSES-A」追尾運用に使用される予定である。臼田局周辺の気候は, 強風によるアンテナ運用停止や大雨による伝送条件の低下等, 局の運用に少なからぬ影響を及ぼす。特に, 「MUSES-A」で用いられるX帯における影響は, 現用のS帯におけるそれより遥かに大きく, より深刻である。これらの気象条件の把握と解析のために, 気象観測システムはきわめて有用かつ必要不可欠なものである。臼田観測所における気象観測は1983年に始まり, 恒久的な『気象観測装置』を1987年3月に設置した。そして, 翌1988年にはこれまでの経験を元に, コンピュータシステムを中心とする『気象データ処理部』を付加し, 全体として『気象観測システム』として機能するようにした。この『気象観測システム』は, (1)雨量(雪量), (2)気温, (3)気圧, (4)風速, (5)風向及び(6)湿度(将来計画)の各データを収集し, その処理を行うものである。このシステムの基本コンセプトは, 次の点にある。「(a)臼田観測所でデータ収集からデータ整理までできるほか, 相模原キャンパスでもモニタ可能にする, (b)気象統計データを帳表形式に整理できる, (c)臼田局の運用管理情報の一つとして利用できるようなデータ表示を行う, (d)軌道決定のための大気補正データとして利用できる道を開く」。今回, 開発した気象データ処理システムは, 各パーソナル・コンピューターにおける処理を最適分散させ, 各機能をフルに生かせるシステム構成とする一方, 将来の拡張性も考慮した。そして, パーソナル・コンピュータを中核とするマルチタスク処理機能を基本に, 現行計算機システムではまれなオペレート・ガイド・システムやデータファイルの自動ハンドリング機構等を導入した省力化システムとした。また, 処理システムの各項目を階層構造のメニュー内容に登録し, メニュー選択時に「次にどの操作をすればよいか」等の基本操作方法を前もって表示するほか, 誤入力に対しても十分なプロテクトと丁寧なメッセージを用意し, 初心者でも運用できるシステムとした。さらに, 自動運用を推進するため, データファイルの自動ハンドリング機構を導入した。この機構では, データファイルの確保・削除等の領域管理をはじめ, ファイル管理まで全自動化した。また, データ取得しながら, メニュー選択によりフロッピーディスクヘデータ退避できるようなマルチタスク処理機能も有している。本報告書では, 『気象観測システム』の概要を述べると共に, 操作手引書としても使用できるように操作例を交えながら紹介する。資料番号: SA0166276000
著者
橋本 正史 山岸 豊
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.119-136, 2004-05-10 (Released:2011-12-05)
参考文献数
55

多環芳香族炭化水素 (PAH) の毒性は, ダイオキシンと同様にアリルハイドロカーボンリセプター (AhR) を介して起きることがよく知られているが, このメカニズムを中心に, 発がんに関連する生物学的反応と両物質のこの反応に対する関与の態様について概説した。その上で, PAH混合物の健康リスクを評価する手法について, これまでのアプローチを概括した。その中で, すでにダイオキシン類で採用されている方法である個別のPAHの毒性を積算して評価する手法 (Relative Potency Factor Approach) について概説し, 併せて著者らが開発した発がんメカニズムに基づいた健康リスク評価手法 (誘導変異原性法) について詳述した。
著者
林 友直 横山 幸嗣 井上 浩三郎 橋本 正之 河端 征彦 大西 晃 大島 勉 加藤 輝雄 瀬尾 基治 日高 正規
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: M-3SII型ロケット(1号機から3号機まで)(第1巻) (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
no.29, pp.141-171, 1991-06

M-3SII型ロケットでは, M-3S型と異なり, 新たに装備されたサブブースタSB-735の性能計測等のために, サブブースタにテレメータ送信機を搭載した。また, サブブースタの分離状況を画像伝送するため第2段計器部に画像伝送用テレメータ送信機を搭載し, さらに3号機では新たに開発された第3段モータの性能計測のために, 第3段計器部を設けてテレメータ送信機を搭載する等の大幅なシステム変更がなされている。搭載テレメータ送信機で新規に開発されたのは, 画像伝送用テレメータ送信機で, M-3SII型ロケットの試験機であるST-735ロケットで予備試験を行い, 地上追尾系を含めて総合的に性能の確認を行ったのち, M-3SII型1号機から本格的に搭載された。地上系では, 第2段モータの燃焼ガスが通信回線に大きな障害をもたらす等の問題が生じ, 2号機から高利得の18mパラボラアンテナを使用し, 従来の高利得16素子アンテナに対する冗長系を構成した。また, 第3段目の機体振動計測データ等を伝送していた900MHz帯テレメータは3号機から送信周波数がS帯へ変更されたのに伴い, 地上受信アンテナとしてはこれまで使用していた3mφパラボラアンテナをやめ衛星追跡用10mφパラボラアンテナを使用する事となった。データ処理系では, 計算機によるデータ処理が本格化し, 姿勢制御系, 計測系, テレメータ系のデータ処理のほか, 従来のACOSやRS系へのデータ伝送に加えM管制室へもデータ伝送が出来るようになった。コマンド系では, 1∿2号機は従来と同様であるが, 3号機から第1段の制御項目等を増やす必要からトーン周波数を増し, コマンド項目を3項目から6項目にし, さらに操作上の安全性を向上させた。集中電源は, 充電効率や管理の点等から見直しをはかり, 従来M-3S型で用いられていた酸化銀亜鉛蓄電池に替わりニッケルカドミウム蓄電池が使用されるようになった。資料番号: SA0167008000
著者
佐藤 勝彦 橋本 正章 鈴木 英之 山田 章一 長滝 重博 固武 慶 滝脇 知也 渡辺 元太郎 大西 直文 住吉 光介 藤本 信一郎 木内 健太 岩上 わかな 澤井 秀朋 安武 伸俊 西村 信哉 諏訪 雄大 中里 健一郎 長倉 洋樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では大質量星が進化の最後におこす重力崩壊型超新星及びガンマ線バーストの爆発機構・源エンジンについて世界最先端の研究を行い、多くの成果を挙げた。大規模数値シミュレーションによる研究を豊富に行い、場合によっては京コンピュータを用いた世界最高レベルの数値シミュレーションを実現した。またこれらの現象に付随して起こる重力波・ニュートリノ放射、r-process元素合成を含めた爆発的元素合成、最高エネルギー宇宙線生成、等々について世界が注目する成果を数多く挙げた。以上の様に本研究課題では当初の予想を上回る、世界最先端の成果を修めることが出来た。また同時にこの分野に於ける将来の課題・展望を提示しつつ5年間のプログラムを終了した。
著者
橋本 正史
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.534-538, 2016

2015年4月からスタートした機能性表示食品の中で機能性成分としてルテインとゼアキサンチンがあるが、消費者の認知はまだそれほど高くない。表示例としては「ルテイン、ゼアキサンチンには眼の黄斑色素量を維持する働きがあり、コントラスト感度の改善やブルーライトなどの光刺激からの保護により、眼の調子を整えることが報告されています」というのがある。表示の科学的根拠は何か又安全性はどうかということについて紹介したい。
著者
瀬戸 卓弥 竹内 優志 橋本 正弘 伊藤 惟 市原 直昭 川久保 博文 北川 雄光 宮田 裕章 陣崎 雅弘 榊原 康文
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

食道癌は10年生存率が20%前後の癌であり、膵臓癌や肝細胞癌と並んで致死率の高い癌である。また、食物を運ぶ蠕動運動による狭窄と癌による狭窄の判別が難しく診断の難しい癌であることも知られている。そこで本研究では、過去に食道癌と診断された患者のCT画像を用いて畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と 再帰型ニューラルネットワークの学習を行うことにより、新規のCT画像に食道癌が存在するか否かを判別するシステムの構築を目的とした。結果として、CNNとLSTMを用いた診断支援システムの構築に成功し、80%を超える精度で分類を行うことができた。
著者
時田 喬 宮田 英雄 牧 達夫 浅井 徳光 橋本 正彦 前田 正徳 棚橋 聰子
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6special, pp.1124-1130, 1980-06-25 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4

We report herein the examinations required for evaluation of the effects of treatment of Meniere's disease. Prior to the discussion, it is indispensable to clarify the design of the treatment. In the treatment, the authors take into consideration the following three subjects: (1) treatment of vertigo, (2) treatment of damage to the inner ear, and (3) treatment of recurrence of attacks of vertigo.(1) For evaluation of effects of treatment of vertigo in attacks and dizziness in the chronic stage of the disease, complaints of vertigo and spontaneous nystagmus as objective evidence of vertigo should be investigated. Furthermore, righting reflex and deviation test should be performed in order to demonstrate the mechanism of improvement of the vertigo. Despite the improvement obtained by inhibitory effects of drugs on the vertigo, the righting function and deviation phenomenon remain unchanged. On the contrary, when the pathological condition of the inner ear is healed there is an improvement of these signs.(2) Effects of the treatment for damage of the inner ear are evaluated by hearing and caloric tests. In cases where the labyrinthine excitability is not reversible, compensatory process of balancing activity of the body should be examined using the standing test, tests for spontaneous nystagmus, deviation and caloric tests and tests for postrotatory nystagmus. Disappearance of spontaneous nystagmus and deviation phenomenon reveal a recovery of static balance of the vestibular system. Disappearance of asymmetry of postrotatory nystagmus indicates a restoration of balance in the kinetic labyrinthine reflexes.(3) Recurrences of attacks of vertigo are treated on the basis of the results of examination of etiologic factors of Meniere's disease in each patient. Effects of this treatment should be evaluated by long-term follow-up of the vertiginous attacks.
著者
水内 英充 工藤 隆一 田村 元 熊井 健得 塚原 国比古 佐藤 賢一郎 橋本 正淑
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.690-696, 1986 (Released:2011-11-08)
参考文献数
16

酵素抗体法の走査電顕への応用を試みるべく, 酵素抗体法を行った遊離細胞を光顕で観察した後さらに同一細胞を走査電顕で観察するための試料作製法について検討した.(1) 材料はリンパ節のインプリントスメアから得られたリンパ球を用い, リンパ球表面マーカーである抗Leu1, 2a, 3a抗体を使用した酵素抗体法を行った.(2) 固定液は0.25%グルタールアルデハイド, PLP単独, 0.025%グルタールアルデハイド加2%パラホルムアルデヒド, 95%エタノール, メタノール, 95%エタノール・エーテル混合液の各種について検討した.走査電顕観察には0.25%グルタールアルデハイドが最も良い保存状態を示した.また, 酵素抗体反応も0.25%グルタールアルデハイドで満足すべき結果が得られた.(3) メチルグリーン核染色の影響は表面構造上認められなかった.(4) 内因性ペルオキシダーゼ反応のブロック法であるStreefkerkの方法, Isobeらの方法は表面構造へ影響を与えなかった.(5) DAB反応の沈着物はmicrovilliなどの微細構造の観察に影響を与えなかった.(6) 以上, 目的とする抗原により固定液はその都度選択しなければならないが, 遊離細胞または培養細胞に対し酵素抗体反応を施行後, 反応陽性細胞の表面微細構造を走査電顕で観察することが可能となり, 本法は酵素抗体法の走査電顕への応用法の1つとなりうると思われた.
著者
飯嶋 雅弘 橋本 正則 六車 武史
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、高周波マグネトロンスパッタリング法によりブラケット用アルミナの表面をバイオアクティブガラス改質した試料(BG試料)を試作した。BG試料を人工唾液に浸漬したところ、試料表面には針状およびタブレット状の石灰化物が形成された。これらは、レーザーラマンとエックス線回折よりリン酸カルシウム系の石灰化物と同定された。脱灰エナメル質の再石灰化挙動を調べるナノインデンテーション試験では、BG試料とともに浸漬したエナメル質が、単独で浸漬したエナメル質よりも高い再石灰化挙動を示した。アルミナに対するバイオアクティブガラスを利用した表面改質層は、エナメル質の再石灰化誘導能を発揮することが明らかとなった。