著者
中島 勇介 武田 誠 久納 匠 松尾 直規
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1465-I_1470, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
10

近年,大規模な浸水災害に関する検討が進められている.その中で,都市の地下空間の浸水に対する脆弱性が指摘され,検討も進められているが,まだ十分な状況とはいえない.本研究では,津波を外力とする浸水災害について,名古屋を対象に地下鉄の浸水に着目した数値解析的研究を行った.ここでは,津波解析モデルおよびネスティングモデルを構築し,地下鉄を有する都市の浸水解析を実施した.本研究により,内閣府で想定されている東海・東南海・南海地震による津波では,堤防が無い(崩れた)場合には大規模な浸水被害となるが,堤防が有る場合には浸水被害も小さいことが示された.また,堤防が無い場合,地下鉄名港線では水没する危険性も示されたが,実際には地下への流入を防ぐ対策が採られており,その対策の効果検証は今後の課題として残った.
著者
中原 啓 武田 一哉 藤井 慶輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3G4OS15b04, 2022 (Released:2022-07-11)

近年、測定技術の向上に伴い、野球の応用的なデータ分析が広く行われるようになった。グラウンド上のあらゆるプレーが定量的に評価され、個人やチームの戦略に大きな影響を及ぼしている。個人の打撃貢献を表す指標としてwOBAという指標がよく知られているが、wOBAは走者状況や点差などの試合状況を考慮しない。しかしながら、実際の試合において試合状況を考慮して複数の打撃戦略を使い分けることは一般的であり、その効果は未知である。これは、打者の戦略を第三者が取得できず、効果の推定が困難であるためだと考えられる。そこで本研究では、反実仮想シミュレーションによる効果推定方法を新たに提案する。これを実現するため、打撃戦略の変更にあたって妥当な打撃能力変換を行う深層学習モデルを提案する。本手法によって、実際の試合データでは難しかった、様々な戦略の効果推定が可能となる。検証の結果、打撃戦略のスイッチングコストを無視できる場合、戦略の使い分けが得点を増加させることが明らかになった。また、スイッチングコストを考慮する場合、得点が増加するための条件は限定的であることが明らかになった。
著者
武田 賢成 橘 完太
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.519-527, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
20

Currently, autonomous driving on sailing vehicles attracting attentions. In our previous study, a set of control rules was proposed to reach the windward target point using the position information obtained at intervals of several seconds for a sailing vehicle on the water, which is more difficult to stop and steer than on land and is more likely to sway leeward. In this study, in addition to this previous study, we conduct and analyze actual experiments using two methods that apply an obstacle avoidance method proposed previously on land to sailing vehicle on the water. Method 1 aims at the middle direction between the avoidance direction and the target point direction, and Method 2 steers in the direction opposite to the obstacle. We conducted actual experiments of obstacle avoidance using a sailing robot. We confirmed that obstacle avoidance was possible with either of the two proposed methods, and we clarified the characteristics of the methods by analysis. In the experiments, the wind blew almost orthogonal to the two-point reciprocating course with the midpoint as the obstacle, so the obstacle and the target point were located upwind from the direction of travel in all three times of meet with the obstacle. In this situation, Method 1 steered upwind to soften the Leeway effect and prevent the path from bulging downwind. In Method 2, the time to avoid obstacles was shortened by turning the rudder in the leeward direction.
著者
高木 彩 武田 美亜 小森 めぐみ
出版者
一般社団法人 日本リスク学会
雑誌
リスク学研究 (ISSN:24358428)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.113-121, 2021-12-25 (Released:2021-12-17)
参考文献数
27

Digital contact tracing applications have been promoted as a tool to address the COVID-19 pandemic. The effectiveness of these applications depends on their rate of adoption. However, this appears to be low. Therefore, this study investigated the psychological factors associated with the use of a contact tracing application (COCOA) in Japan. An online survey was administered to 1000 participants living in the Tokyo metropolitan area. Respondents were classified into three groups: advocates, critics, and undecided. Our results indicated that perceptions of risk, benefit, cost, social norm and knowledge were significant prescriptive factors of COCOA usage. The results revealed that the critics group perceived low benefit and social norms appeared to hinder application adoption relative to the undecided group.
著者
武田 知起
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第44回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.SY2, 2017 (Released:2018-03-29)

環境化学物質が次世代の健全な発育を障害する可能性については、長年にわたり国内外で危惧されている。これらの多くは、ホルモンのアゴニストやアンタゴニスト、いわゆる内分泌撹乱作用によって毒性作用を示すと考えられてきた。しかし、ホルモン受容体への親和性は、内在性ホルモンと比べると遥かに小さい物質が殆どであるため、障害性の全てを受容体への作用のみで結論づけることは難しいと思われる。さらに、ホルモン作用の亢進や抑制がどの種の障害にどのように直結するのかは殆ど理解されていない。 ホルモンは、発達期において組織の分化や成熟を制御する生理活性物質として重要である。しかし、このような視点での発達期に着目した研究は、これまで十分に行われていなかった。演者は、発達期におけるホルモン作用の撹乱が内分泌撹乱物質による次世代影響の根底にあるとの仮説の検証を目指し、ラットを用いた解析研究を行ってきた。具体的には、代表的な内分泌撹乱物質であるダイオキシンの妊娠期曝露が胎児~新生児期の内分泌系に及ぼす影響を解析すると共に、成長後の障害との関連性を検証した。種々の解析の結果、ダイオキシンは出生前後に脳下垂体 luteinizing hormone (LH) の発現抑制によって生殖腺の性ホルモン合成を低下させること、ならびにこの一過的な影響が成長後に見られる性成熟障害の一端を担うとの新規毒性機構が実証された。本成果は、化学物質による次世代影響が胎児期の一過的影響を起点に生じることを明確に示すものであり、毒性学的研究における新たな展開として重要と考えられる。引き続き、障害の全容解明を目指し、胎児期の性ホルモン低下が神経成熟に及ぼす影響に着目した研究を実施している。 演者は最近、上記の成果を基盤とする次世代影響の in vivo 評価法への応用に向けた取り組みも展開中である。すなわち、di(2-ethylhexyl)phthalate (DEHP)、ビスフェノールA (BPA)、臭素系難燃剤および重金属等の十数種類の内分泌撹乱物質につき、妊娠ラットへの単回経口投与による胎児脳下垂体-生殖腺系への影響を調査した。その結果、DEHP、BPAおよびBPAF (フッ素化BPA) が、胎児精巣における性ホルモン合成能を低下させうることを見出した。さらに、現実の曝露に即した妊娠期飲水曝露法を用いた検討の結果、CdCl2 および Pb(OCOCH3)2 も同様に性ホルモン合成系の発現を低下させる事実が判明した。しかし、これらの化合物には、いずれも胎児期の LH発現抑制作用は見られず、多くの内分泌撹乱物質がダイオキシンと異なる機構で胎児の性ホルモン撹乱作用を発揮する可能性が浮上した。多種多様な化学物質が存在する現代社会において、各々が異なる機構で生体影響を示す事実から、複合曝露による相加・相乗的影響の問題が懸念される。本研究をさらに発展させ、内分泌撹乱物質が次世代に及ぼすホルモン撹乱作用とこれに基づく障害の実態を明らかにしていきたい。
著者
武田 字浦
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.511-512, 2019-06-15 (Released:2019-06-20)
著者
佐藤 拓実 HADFI Rafik 武田 弘太 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.2C1GS604, 2022 (Released:2022-07-11)

自分の意見を述べたり,情報を共有したり,様々な問題について合意形成を行うために議論は重要である.オンライン議論プラットフォームをはじめとしたソーシャルメディアの普及により,議論における意見数や多様性は増加し,議論を自動的に取得することはより困難になっている.本論文で提案する議論検索は,検索エンジンの基本的なプロセスに準じ,indexing process(索引付け処理)とretrieving process(検索処理)から構成される,新しい試みである.索引付け処理では,自然言語処理技術を用い,前処理されていない議論のテキストデータを,検索可能な形へと変換する.検索処理では,類似した議論を適切に取得する.我々の提案手法では,議論の複雑性を適切に取り扱うために議論のモデル化手法を用いる.実験により,本手法が類似議論の検索に有効であることが示された.また,議論モデル内の要素,要素間の関係を利用し検索を行うことで,検索精度が向上することが示された.更に我々は,オンライン議論プラットフォーム上での議論支援に活用するための議論検索機構の実装を目指しており,その試作について紹介する.
著者
武田 然也 倉島 ちなみ 杉本 泰俊 関口 好浩
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.122-127, 2022-06-25 (Released:2022-07-21)
参考文献数
15

飼料中に残留するクロルプロファムのLC-MS/MSによる定量法を評価するため,13試験室における試験室間共同試験を実施した.子豚育成用配合飼料,乳用牛飼育用配合飼料,えん麦,大麦,小麦およびとうもろこしの6種類各1濃度の試料を用いて,各試験室2点併行分析とした.試験の結果,真度は75.3~87.0%,併行精度および室間再現精度はそれぞれ7.3%以下および33%以下,HorRatは0.39~1.5であり,分析法の妥当性が確認された.また,クロルプロファムの定量下限および検出下限は飼料中でそれぞれ0.008 mg/kgおよび0.003 mg/kgであった.本分析法は,飼料中のクロルプロファムを検査するための方法として適用が可能と考えられた.
著者
浜田 梨沙 武田 征士 岸本 章宏 徐 祥瀚 中野 大樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3N4GS1005, 2022 (Released:2022-07-11)

ケモインフォマティクスにおいて,分子記述子は化合物の構造的な特徴を表現し、物性との関連を評価するQSPR(定量的構造物性相関)において広く利用されている.これまで種々の分子記述子が開発されてきたが,特定の原子や構造を数え上げるという分子の局所的な情報のものが主流である.一方で,化合物の物性は部分構造同士の位置関係に依存する分子内の相互作用に大きく影響を受けることが知られている.そこで本研究では,分子内相互作用を考慮した分子記述子を提案する.本発表では,提案した分子記述子のアルゴリズムと有効性の検証結果について紹介する.
著者
小林 孝史 嶋田 洸希 大歳 英征 伊佐 眞寿 武田 瑞樹
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.11, pp.1-6, 2022-07-05

これまで,SSH 接続時の認証時間(パスワード要求からパスワードを入力して送信してくるまでの時間)を利用した攻撃検知の研究を行ってきた.以前の研究では,この認証時間に閾値を設定したり,時間帯や接続元 IP アドレスに依る適応的に閾値を設定して検知を行ってきたが,認証時間を用いることの有効性が明らかになっていなかった.本研究では,認証時間を用いることにより,いくつかの機械学習においても検知率の向上に寄与できることを示す.
著者
松山 一夫 武田 康人 下田 昌宏 高村 光一 小野 高志
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.273-279, 2011 (Released:2013-03-31)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

八丈島における地熱調査は, 東京電力(株)により1984年度から開始され, 1989年度からは(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による地熱開発促進調査が行われ, 東山南部地域に300℃以上の高温地熱資源が存在することが確認された. この地熱開発促進調査の結果を受けて, 東京電力(株)では地熱発電所立地地点調査を行い, 1995年度に3本の調査井を掘削して蒸気生産に成功し, 発電所建設を経て, 1999年3月25日に営業運転を開始した. 現在, 生産井1本により平均出力2,000kWの発電を安定して継続しており, 八丈島のベース電源として利用され, 地熱発電所の運転により従来の内燃力発電と比較して, 二酸化炭素の排出量が約4割削減されている. 一方, 八丈町は, 地熱発電所の建設と並行して1992年度から温泉開発を進め, 4つの町営有料温泉利用施設を建設し, その利用者は年間約17万人である. また, 冬季間, 地熱発電所の余熱を利用して発電所周辺の温室ハウスへ熱供給を行っている. 本報告は, 八丈島における地熱開発の経過, 地熱資源の分布状況および地熱利用の現況について述べる.
著者
田中 良幸 神田 龍馬 武田 雄策 山田 直樹 福庭 一志 正守 一郎 辻 敏夫
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1353-1359, 2006-12-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15
被引用文献数
5 7

The present paper investigates human mechanical impedance during the operation of a virtual steering system according to dual-arm configurations. The developed steering system using an impedance-controlled robot can accurately estimate mechanical impedance properties around the rotational axis. Experimental results demonstrate that a human changes his/her impedance properties in both the grip position on a steering wheel and the magnitude of steering torque. Overall stability of a human-steering system is then discussed by means of the measured human impedance parameters.
著者
武田祐吉 著
出版者
角川書店
巻号頁・発行日
vol.第6 (本文篇 第4), 1956
著者
高野 勝美 山吉 康弘 鈴木 貴彦 増田 純平 武田 利浩 野本 弘平
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.18-29, 2022 (Released:2022-06-01)
参考文献数
28

たくさんの情報を遠くまで運べる光通信技術の進歩により,スマートフォンなどで便利に情報をやりとりできる時代です.光通信はどのように行われているのか,そういった疑問に答えるために,発光ダイオードやレーザダイオードを光らせて,光に音を乗せて送ってみます.本稿では,手軽に入手できる光部品,電子部品で電子回路を組み立て作る光送信機と光受信機を紹介します.光無線通信,可視光通信,光ファイバ通信を体感できます.現実の光通信で使われている技術の系譜について文献等を引用しながら解説します.