著者
麻生 大吾 久光 慶紀 松田 浩幸 森重 真毅 武田 裕 久保 毅 藤木 稔
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.443-448, 2022 (Released:2022-07-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

症例は26歳男性,繰り返す右上肢脱力発作の精査にて左内頚動脈高度狭窄と多発性脳梗塞を認めた.急性期加療を行いながら,若年性脳梗塞の原因精査で右冠動脈末梢の狭窄と,腹部大動脈に血栓を疑う陰影欠損を認めた.さらに血球増多があり,JAK2遺伝子変異を検出し,真性多血症と診断した.ルキソリチニブの内服開始後,頚動脈プラークの速やかな退縮が得られた.今回の症例経験からJAK2遺伝子変異陽性例では,脳梗塞予防には抗血小板薬だけでなく,抗腫瘍薬使用も有用と考えられる.真性多血症での多発性の血栓塞栓症の報告は多いが,塞栓源に対する経時的画像変化を捉えた報告は貴重であると考え,報告する.
著者
石山 大三 小川 泰正 広瀬 和世 武田 知己 中村 晋作 若狭 幸 オセニェング オラオツェ ステバノビッチ ゾラン
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.139, no.2_3, pp.10-20, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
15

In the study area of eastern Serbia, which includes the Bor and Maidenpek mining areas of the Republic of Serbia, a research of environmental evaluation of the study area was carried out by means of field survey for environment and satellite image analysis in order to establish and improve methods for assessing the environmental impact of mining areas by satellite image analysis. The results of this study showed that it was possible to efficiently determine the distribution of overburdens and tailings in a wide area based on the distribution of points having jarosite spectra, and that it was possible to distinguish waste rocks such as overburdens and tailings with high environmental impact from those waste rocks with relatively low environmental impact based on the mineral assemblage of the waste rocks estimated from satellite image analysis. In addition, if topographical data before and after mining development are obtained from the satellite image analysis, the volume of the waste rocks can be estimated, and the quantitative estimation of the amount of toxic elements dissolved from the waste rocks could be possible by combining the experimental data on the extraction of toxic elements from the waste rocks. In addition, the predicted hazardous area (Type I), where high concentration of Cu may be leached from the waste rocks revealed by the surface survey, corresponds to the area where waste rocks such as overburdens and tailings is distributed around the mine and the area where waste rocks such as tailing is distributed along the river downstream of the mine as estimated by the satellite image analysis. These results indicate that it is possible to predict the environmental impact in advance of the survey in the mining area, and to predict the environmental impact in the mining area where it is not possible to go directly to the survey and to consider guidelines for countermeasures.
著者
畑江 芳郎 中野 育子 飯塚 進 武田 武夫
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.429-433, 1998-12-31 (Released:2011-03-09)
参考文献数
17

全身性エリテマトーデス (SLE) の21歳の女性に併発した急性骨髄性白血病 (AML) の報告である.患者はSLEの治療としてコルチコステロイドおよびアザチオプリンなどの投与を受けていた.治療開始約11年してAMLを発症した.抗白血病剤による強力な寛解導入療法を行ったが, 完全寛解を得ることができなかった.剖検では骨髄はもとより肝, 脾, 腎, 大腸およびリンパ節などほとんどすべての臓器に白血病細胞の浸潤が著明であった.自己免疫性疾患にリンパ系増殖性疾患の合併はいわれているが, SLEの治療経過中にみられるAMLの併発は稀と思われる.本例においてはAML発症の原因はあるいは偶然の一致かもしれないし他の要因によるのかもしれないが, 免疫抑制剤であるアザチオプリンの投与による可能性も否定できない.SLEの治療にさいしてこのような薬剤選択に当たっては慎重であらねばならない.
著者
武田 海人 松吉 俊 兼松 祥央 三上 浩司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 96回 (2022/12) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.03, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)

本研究では簡易なゲームシナリオを対象とし、テーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)の司会進行役であるゲームマスターをテキストチャットにより演じるAIを試作した。TRPGは対話とダイスを振った結果により進行するゲームである。複数プレイヤーが参加し、分身となるキャラクターのロールプレイを通して問題や謎を解決する。ゲーム内の行動は対話で宣言し、行動の成否はダイスの出目とキャラクターの能力値を比較し決定する。ゲームマスターは対話によりシナリオの描写を行い、プレイヤーの発話や行動に応じて適切な対応と発話をしなければならない。本研究ではプレイヤーの行動可能範囲が限定され、ゲームマスターが担当する人間キャラクターが存在しない簡易なシナリオを作成した。そのシナリオを用いて経験者、素人、本研究のAIの3者のゲームマスターが、協力的、非協力的なプレイヤー群に対しTRPGを進行した実験について報告する。
著者
Tracey H. A. TOM 間瀬 肇 武田 将英 原 知聡 金 洙列 河村 裕之 大熊 康平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00308, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
18

本研究では,混成堤断面形状パラメータを用いて,無次元平均波力強度の予測,および衝撃砕波波力の発生が判定可能な機械学習モデルを提案する.ただし,学習用の実験データは多くないため(スモールデータ),データの重複を認めてサンプリングする復元抽出法によるアンサンブル学習を試みた.ベースとなる機械学習モデルはANNとXGBoostの2種類を用いた.無次元平均波力強度の算定結果と実験結果を比較すると,相関係数とRMSEは,ANNでは0.96, 0.15,XGBoostでは0.96, 0.14となり,ほぼ同程度であった.無次元平均波力強度が2を超えたときに衝撃砕波力が発生すると判定したときの的中率は,ANNモデルで99%,XGBoostで97%であった.
著者
武田 重信 小畑 元 佐藤 光秀
出版者
長崎大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

西部北太平洋に降下する黄砂などの大気エアロゾルから溶け出す微量金属元素が、海洋植物プランクトンの増殖に及ぼす影響について調べた。大気エアロゾルがアジア大陸から北太平洋に輸送される過程で人為起源物質の影響を受けると、鉄など微量金属元素の溶解率が高くなり、溶解した鉄の濃度に応じて植物プランクトンの増殖が促進されること、火山灰も大気から海洋への微量元素の供給源として重要であることなどが明らかになった。
著者
武田 重昭 西川 文香 加我 宏之 下村 泰彦 増田 昇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.787-792, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
10

本研究は屋外空間の利用実態を把握することで、ニュータン再生のための屋外空間のあり方を考察するものである。泉北ニュータウンの1小学校区内に存在する集合住宅の屋外空間と街区公園及び緑道の利用実態を把握した。それらの空間における利用形態別に利用内容と利用者属性の視点から考察し、それぞれの屋外空間の利用のされ方の特性を把握した。この結果から地域内でのオープンスペースが機能に応じて使い分けられていることが確認できた。それぞれのオープンスペースの利用特性をうまく活用し、それらのネットワークを図ることや利用の多様化が増すような改修を行っていくことが重要であることが明らかとなった。
著者
片桐 弘勝 新田 浩幸 菅野 将史 梅邑 晃 武田 大樹 安藤 太郎 天野 怜 佐々木 章
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.57, no.Supplement, pp.s318_2, 2022 (Released:2023-02-23)

【目的】歴史ある様々な脱感作療法の発展により、ABO不適合生体肝移植(ABO-I LDLT)における成績は向上してきている。当科におけるリツキシマブとγグロブリン(GG)を用いた、脾臓摘出と血漿交換を併用しないレジメンを用いた管理について報告することを目的とした。【対象と方法】2020年6月〜2022年5月の期間に施行したABO-I LDLT症例5例をレビューした。プロトコルは、2週間前のリツキシマブ (500mg/body)投与、13日前からPSL 5mg/dayとMMF 1500mg/dayの投与、術前日からFKの投与を行い、抗体価128倍より低下がみられない症例はリツキシマブの追加投与を行った。術中無肝期にGG (400mg/kg)と再灌流前にmPSL(500mg/body)投与。術後1日〜5日にGG投与を行い、抗体価が64倍以上となる症例では術後7日まで継続した。脾臓摘出、血漿交換は施行しなかった。【結果】男性2例、女性3例。原因疾患はアルコール2例、PBC 3例。平均年齢56.8歳、平均GRWR 1.10。ドナー特異抗体(DSA)は全例で陰性。初回抗体価中央値はIgM 128 (64-256)、IgG 256 (2-1024)、術後抗体価中央値はIgM 8 (4-64)、IgG 16 (2-128)であった。平均観察期間291日 (21-715)で、全例急性および抗体関連拒絶、胆管狭窄症など認めず経過良好である。【結語】リツキシマブ、高用量GGと免疫抑制剤を用いたプロトコルは、抗体価・DSAなどに留意した上で、安全で効果的な方法である可能性がある。
著者
武田 哲史
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.94, no.9, pp.620-625, 2010-09-01 (Released:2020-10-16)

We retrieved accident phenomena occurring at luminaires that end their lifetime from accident information published by the National Institute of Technology and Evaluation (NITE). We found out that main causes of such phenomena including deteriorated winding wires in a magnetic ballast, a power factor correction capacitor, an electrolytic capacitor in an electronic ballast, and a soldered joint. This article describes the mechanism how luminaires end their lifetime, and different phenomena observed at the end of their lifetime. It also makes discussions about the safety, and concludes that the risk of smoke- or fire-generating accidents, caused by aged luminaires, can be reduced by replacing the luminaire using a magnetic ballast to the luminaire using an electronic ballast.
著者
武田 珠美 福田 靖子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.137-143, 1997-02-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
35
被引用文献数
1

日本独特の調理であると考えられるすりゴマの調理性を明らかにするために, 本報ではゴマ種子の炒り条件による成分変化を検討した.焙煎温度は 170℃, 200℃および230℃とし, 時間は1分から20分の各温度につき4通りとした.170℃20分, 200℃5分および230℃5分焙煎したゴマ種子の重量, 色調はほぼ同じであった.総食物繊維量は170℃15分, 200℃10分, 230℃では5分をピークに減少した.セサミンやセサモリン, アミノ酸も加熱とともに減少した.また呈味に関係する遊離アミノ酸および遊離糖も次第に減少した.官能検査から170℃15分で焙煎したゴマの味の評価が高く, 炒りゴマとして総合的に好ましいことが明らかになった.
著者
工藤 陽子 庄本 正男 武田 真太郎 横尾 能範 佐守 信男
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.378-385, 1976-06-28 (Released:2009-02-17)
参考文献数
22
被引用文献数
11 5

In Japan a nationwide survey of school children's physical growth has been carried out by the Ministry of Education every year since 1900 except the years of World War II. An attempt was made to elucidate the growth acceleration in height by making use of the statistical date of the above-mentioned survey. The maximum growth age (MGA) in height was taken as an indicator of the growth acceleration. The results were as follows:1. MGA in height was found to be gradually going down since before the war. The growth acceleration in the prewar years was found to fit a straight line. In the postwar years, the growth acceleration of boys born in the 1950's proceeded along the regression line based on the prewar acceleration rate.2. Lowering of MGA in height of boys and girls born after the war was found to fit Gompertz and logistic curves. The postwar growth acceleration with its point of reference at the end of the war was remarkable: MGA in height went down by 2.0 years for boys and 1.5 years for girls in 25 years. This period, however, should be regarded as a convalescent stage after the repression of growth due to the war.3. If the postwar growth acceleration was to be taken as a part of the whole phenomenon in gradual progress since before the war, as it actually was, the rate of acceleration for boys was 0.2 year per 10 years.4. In the case of girls, the growth acceleration in the prewar years was slower than that of boys, and the progress in the postwar years surpassed the regression line based on the prewar rate. The prewar slower rate for girls as compared to boys can be attributed to a situation peculiar to Japanese social background. In the prewar days, girls' place was lower than boys' in both social and home life and this fact may have affected repressively on the physical growth of girls.5. The growth acceleration is likely to proceed for some time to come but a prediction on the phenomenon must wait for further investigation.
著者
武田 雅彩 三浦 和仁 新井 絵理 松下 貴恵 山崎 裕
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.122-126, 2020-04

苦味の自発性異常味覚を訴える症例に対し,漢方薬の五苓散を投与したところさまざまな効能が得られた症例を経験したので報告する. 70 代の女性.初診の1か月前,突然,安静時に右舌縁の苦味を自覚し,その後も症状に改善傾向なくかかりつけの歯科からの紹介にて当科受診した.下肢のむくみ,頬粘膜の咬傷痕が認められ,血清亜鉛値は61 μg/dl と軽度低値ではあったが他の各種検査では異常を認めなかった.味覚障害の原因として亜鉛欠乏性が疑われたが,まずベンゾジアゼピン系の抗不安薬であるロフラゼプ酸エチルの投与を開始した.すぐに苦味は軽快傾向を示したが,3週頃から改善が認められなくなった.そこで水滞の所見を参考に五苓散5 g/ 日を投与すると苦味が軽快した他に下肢のむくみや頬粘膜の咬傷がなくなった。結果的に亜鉛の補充は行わずに味覚異常は完治した
著者
本田 芳大 武田 和也 岡崎 鈴代 中村 恵 天野 雄太 山根 有希子 端山 昌樹 前田 陽平 愛場 庸雅 猪原 秀典
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.522-530, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
22

副鼻腔真菌症の大部分は予後良好な非浸潤型副鼻腔真菌症であるが,まれに免疫が低下した患者において重症化し,致死的となる浸潤型副鼻腔真菌症が知られている。今回,われわれはびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)の化学療法中,骨髄抑制期に発症した副鼻腔炎に対し上顎洞開放を行い,その後より急速に進行した浸潤型副鼻腔真菌症を経験した。症例は69歳女性。DLBCLに対する化学療法施行後,骨髄抑制期に発熱性好中球減少症となった。経過中に右眼痛とCT検査にて右上顎洞に新規陰影の出現を認め,紹介受診となった。初診時,副鼻腔真菌症を疑い外来にて上顎洞開放を行った。上顎洞内に菌塊を認めたため除去し,明らかな菌塊の残存がないことを確認して,軟膏ガーゼを挿入した。第4病日にガーゼを抜去し,鼻内を観察すると,右鼻腔内全体に白色の粘膜病変を認め,真菌の増殖が疑われた。第5病日には右鼻腔粘膜の広範な黒色壊死を認めた。その後のCT検査にて下直筋の腫脹と眼窩内脂肪織の濃度上昇を認め,眼窩内浸潤が疑われた。内視鏡下鼻副鼻腔手術を行い,抗真菌薬全身投与継続の方針とした。その後,眼球運動障害は残存するものの明らかな増悪はなく,鼻腔内所見も著変なく経過し,第98病日に転院となった。骨髄抑制が遷延した状態で上顎洞を開放し,ガーゼパッキングを行ったことが広範な真菌浸潤をきたす一因となった可能性があり,骨髄抑制時の処置・手術にはその後の管理を含め細心の注意を払う必要があると考えられた。