著者
稲増 一憲 池田 謙一 小林 哲郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.40-47, 2008 (Released:2016-10-03)
参考文献数
20

2007年参院選最大の争点は年金であったとされるが,有権者にとって,「年金が争点」とはどういうことを意味していたのだろうか。本稿では,国会答弁・新聞報道・一般有権者の自由回答という3種類のテキストデータを用いた計量的な分析を行うことで,2007年参院選における争点の構造を検討し,年金争点の持つ意味を明らかにすることを試みた。本研究で用いたテキストデータの分析は,研究者があらかじめ質問を用意するのでなく,人々が自発的に語った内容を分析することにより,研究者の先入観をなるべく排除して争点の構造化を行うことが可能になるという利点を持つ。分析の結果,年金が2007年参院選最大の争点であったことは間違いないものの,一般有権者における年金争点への態度とは,年金制度そのものへの態度というよりは政治や行政のあり方についての評価に近かったということが明らかになった。
著者
池田 智美
出版者
京都産業大学総合学術研究所
雑誌
京都産業大学総合学術研究所所報 (ISSN:13488465)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.75-88, 2019-07-31

本稿では,スポーツ留学生のライフストーリーを分析し,進路選択や学修への動機づけについて考察を行った。その結果,どのような動機づけがみられ,それらがどのように複雑に結びついているかが明らかになった。また,経験を通した他者との相互作用の過程において,アイデンティティを形成させ,自己実現への動機づけとして成長させていることもわかった。
著者
小池田 忠
出版者
潮書房
雑誌
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.151-157, 2004-12
著者
岡村 かおり 池田 鉄輔 島倉 康仁 吉場 史朗 岸 賢治 安藤 潔 堀田 知光
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 = The Japanese Journal of Clinical Hematology (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.527-531, 2005-07-30
参考文献数
9
被引用文献数
1

症例は34歳,女性。白血球数17,900/&mu;<i>l</i>(異型リンパ球58%)を指摘され精査にてT細胞性前リンパ球性白血病と診断した。2カ月後に白血球数43,600/&mu;<i>l</i>まで増加したため,2'deoxycoformycinおよびCHOP療法を施行するも寛解せず,非血縁BMTを目的に入院した。cytarabineとetoposideで腫瘍量を減少させた後にTBIとcyclophosphamideによる前処置を行い,非血縁BMTを施行した。GVHD予防にはcyclosporineとshort-term MTXを用いた。Day 13よりGrade IIの急性GVHD(皮膚と消化管)を発症したが,Day22の末梢血T細胞のshort tandem repeat (STR)解析でrecipient-typeが9.4%と腫瘍細胞の残存を認めた。免疫抑制剤の減量を開始するもGVHDの悪化はなく,recipient-typeのT細胞が消失した。移植後22カ月経過した現在も完全寛解を維持しており,T-PLLにおいてGVL効果が期待できることが示唆された。
著者
井上 勉 渡辺 裕輔 野平 由香 新井 鐘大 佐藤 貴彦 菊田 知宏 小林 和裕 池田 直史 鈴木 洋通
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.3049-3051, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

56歳,女性,腹膜透析患者,3年前よりうつ病あり塩酸トラゾドンを使用していた.徐々に増悪した嘔気,嘔吐,水様下痢を主訴に救急外来を受診,血圧202/86mmHg,ミオクローヌスも認めたが原因は不明であった.入院後,経口薬剤を中止してから血圧は次第に下降し,消化器症状も改善した.頭部および胸腹部CT,上部消化管内視鏡で器質的疾患は否定された.これら臨床経過から塩酸トラゾドンによるセロトニン症候群の可能性が示唆された.
著者
瀬田 和久 池田 満 角所 収 溝口 理一郎 Kazuhisa Seta Mitsuru Ikeda Osamu Kakusho Riichiro Mizoguchi
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.597-608, 1998-07-01
参考文献数
26
被引用文献数
19

Recently much attention has been paid to the notion of "ontology" in the expectation that it can serve as the new, strong foundation of knowledge engineering. In the conventional approach to theory of knowledge, to give the operational semantics of knowledge representation has been regarded as of major importance and the analysis of contents of knowledge has been considered to be subordinate to it. To solidify the foundation of knowledge engineering, however, the many researchers, espcially in the field of knowledge sharing and reuse, has strongly felt necessity of the change of such a way of thinking. The key to the problem is to understand the essential interaction between "form" and "contents" on equal importance. This implies that deep understanding of "content" will give us new insight into design of knowledge representation. The notion of "ontology" can be key to this issue. We have investigated the property of problem solving knowledge and tried to design its ontology, that is, task ontology. The main purpose of this paper is to discuss the basic issues concerning the task ontology. It provides three major advantages as follows. (A) It provides human-friendly primitives in terms of which users can easily describe their own problem solving process. (B) The systems with task ontology can simulate the problem solving process at an abstract level in terms of conceptual level primitives. (C) It provides ontology author with an environment for building task ontology so that he/she can build a consistent and useful ontology.
著者
大坪 公士郎 毛利 久継 山下 要 牧野 勇 田島 秀浩 太田 哲生 井上 大 蒲田 敏文 池田 博子 全 陽 渡邊 弘之
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.114, no.4, pp.700-709, 2017-04-05 (Released:2017-04-05)
参考文献数
30

症例は67歳,男性.心窩部痛,背部痛の精査目的に施行したEUSにて体部主膵管狭窄と尾側膵管拡張,MRCPにて尾部主膵管拡張を認めたが,CT,MRI,EUSでは腫瘤は認めなかった.内視鏡的経鼻膵管ドレナージ下の連続膵液細胞診にて腺癌細胞が検出され,膵体尾部切除術を施行したところ,膵体尾部の主膵管を中心に上皮内癌がみられた.分枝膵管には膵上皮内腫瘍性病変が散見され,微小浸潤癌の合併も認めた.
著者
池田 黎太郎
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.104-113, 2005-06-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
18

医学校の標章としておなじみの「杖に絡みつく蛇」のデザインは何に由来し, 何を意味するのだろうか?この疑問を解く鍵になると思われるのが, 「サモスのヘルメース」と呼ばれる浮き彫りの蛇の像である. このヘルメースと呼ばれる巨大な蛇は岩の上に厳かに鎮座して人々の崇拝を受け, その足下に8の字形の頭部を持つ杖を置いている. 古代ギリシアの神々はふつう人間の姿をしているが, 神である徴しとしてそれぞれの神格を表す付属物と共に描かれる. ヘルメースの場合は神々の伝令使としての職分を示す杖を持ち旅人の服装をして, それらには天空を駈け巡るための翼が附けられている. 本来この伝令使の杖には蛇が居ないはずであるが医学校の標章には2匹の蛇が絡みついている. じつはここにはヘルメースの別の職分である「死者の霊魂の導師」を表すための表象が混同されているのである. 強い毒と強靱な生命力を持つ蛇は, 地面の穴から地下へ自由に行き来して冥界の事情に通じ, 生死の秘密を知る存在として古来畏怖と崇敬の対象となっていた. だから死者を蘇らせる能力がある神として崇拝されていたアスクレーピオスは神殿に蛇を住まわせ, 蛇を侍らせた玉座に座り, 巨大な蛇を巻き付かせた杖にもたれた姿で描かれている. むしろ神格化した蛇そのものがアスクレーピオスと呼ばれ崇拝されていると考える方が自然である. じっさい蛇とアスクレーピオスが同時に病人の治療にあたっている情景を描く奉納の浮き彫りがあるほどである. だから医学校の標章は蛇を軸にしてアスクレーピオスとヘルメースのイメージが混同され重ね合わされたものだろうと説明することができる.
著者
東 祥子 永松 麻紀 池田 彩 宮崎 明子 小澤 健太郎 田所 丈嗣
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.83-87, 2013 (Released:2013-08-02)
参考文献数
10

49歳,女性。1999年に口腔内のびらんが出現し,四肢体幹にも拡大し,生検で尋常性天疱瘡と診断した。ステロイド内服では病勢を抑えることが困難であったため,ステロイドパルス,シクロホスファミドパルス,血漿交換,アザチオプリンなどで加療した。その後病勢は安定し,プレドニゾロンを漸減し,抗デスモグレイン1抗体,抗デスモグレイン3抗体ともに陰性化し経過は良好であった。2009年6月頃から顔面および下肢に小型のびらんを伴う紅斑が出現し,全身に拡大した。生検で有棘層最上部から顆粒層にかけて表皮内水疱と棘融解像を認め,抗デスモグレイン1抗体のみの上昇を認めた。尋常性天疱瘡から落葉状天疱瘡への移行例と考えた。(皮膚の科学,12: 83-87, 2013)
著者
池田 幸弘
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.1-21, 2005-12

故玉置紀夫教授追悼号本稿は,若き日の小泉信三(1888-1966)のイギリス滞在,ドイツ滞在時の経験についてできるだけ実証的な論述を与えようとしたものである。初回の小泉の留学は,1912年秋から1916年春にまで及んでおり,文字どおり,悩み多き疾風怒濤の青春時代でもあった。執筆にさいしては,小泉全集のほか,2001年に慶應義塾大学出版会から公刊された『青年小泉信三の日記』を利用した。これは戦時中に焼失した日記のなかで奇跡的に残った資料で,今般小泉家の方々のご好意によってその出版が可能になったものである。いままでも小泉の外遊については彼自身の回想を中心にかなりの情報が入手可能であるが,この日記の公刊がなおも意味を持つのは,原則として日単位で小泉の行動がフォロウできること,そして小泉の集書のプロセスや聴講した講義についてさらに詳細に知ることができることによる。拙稿は,イギリスに足をふみいれてから第一次大戦勃発時までの小泉の行動をこの日記によって追跡したものである。とくに,LSE やベルリン大学で聴講した講義,集書の過程,ジェボンズの子息との面会,そして開戦直前,直後のドイツでの体験に焦点があてられている。なお,本稿の原型たる英文論文はマッコリー大学において,2005年7月5日から8日にかけて開催された第十八回オーストラリア経済思想史学会で報告された。
著者
池田 真利子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

音楽と都市の関係性は,意外にも深い.音楽に関わらず,芸術・文化全般はヨーロッパ都市においてパトロンやブルジョアの庇護下で発展し,19世紀に市民階級により消費されるに至るまで,舞台の上で演じられるものであった.音楽は祭典では感動を演出する装置として機能し,戦争ではプロパガンダとして機能し得る側面をもつ(岡田 2010).他方で,現代音楽に目を向けると,一部の音楽は若者文化や抵抗文化,マイノリティ文化と密接結びつき,独自の発達を遂げてきた.その多くは,それらを生み出した社会集団的特性や音の性質・装置等の都合上においても,舞台や祭典ではなく,ストリートや工場,廃墟を嗜好する.ドイツは言わずと知れたクラシック大国であるが,同時にレイヴ文化やエレクトロ音楽でも知られる国である.その首都,ベルリンでは,1990年代にテクノ文化Technokulturが醸成された.この文化は,一部は占拠運動として育まれ,その舞台となった場所は工場や旧ユダヤ系資本百貨店地下金庫,あるいは賃貸住宅地内の地下倉庫等であった.この時期に設立されたテクノクラブは,テンポラリーユースとして合法化されたものもあれば,移転し,現在でも運営を継続するものもある(Ikeda 2018).こうした1990年代初頭に設立されたテクノクラブの多くは,ベルリンにおけるアンダーグランド文化の代名詞となり,エレクトロ音楽の生産の場(あるいは生産に近い場)として機能を維持してきた.ベルリンにはクラブが300件程あり,その多くはインナーシティに位置する.また,クラブ全体の67%がエレクトロ音楽を扱う空間である(現地調査に基づく).こうしたテクノクラブを例とするベルリンのアンダーグラウンド文化は,経済利潤を市へもたらすものと認識されて以降,重要な消費の場へと変化を遂げてきた.その1つ目の転換点となったのが,メディアシュプレー計画に代表される創造産業振興政策である.これは,河川沿いにメディア・音楽産業を誘致する大規模再開発であり,ユニバーサル等の大手音楽産業が集められた.同計画は結果的にテンポラリーユースにより存続を継続していたクラブシーンの一部を追い出すこととなった.しかし,その過程において,クラブの経営形態は多様化し,より高度に専門化(あるいは資本化)したクラブも出現した.第2の転換点が,市全体の観光産業部門の成長である.2011年以降,観光客数は右肩上がりの成長をみせ,観光産業が重要性を増すなか,市は国際的なビジット・ベルリンキャンペーンにおいて,クラブやエレクトロ音楽を,同市を代表する観光資源として積極的に紹介するようになった.すなわち,2010年代前半には消費の場としてのクラブの側面が,社会・学術的課題において重要性をもった.しかし,音楽共有プラットフォーム提供会社SoundCloud設立以降の音楽関連企業スタートアップブームの中,クラブは再度,音楽の生産の場としての役割を担いつつある.クラブのなかには,レコードレーベルをもつ事業体もあり,エレクトロ音楽に限らず,クラブは生産・消費双方の役割を担う場である.今後は音楽産業に占める生産の場としてのクラブの役割に関する一層の研究が求められよう.
著者
池田 輝久
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.545, pp.140-143, 2002-04-08

ビジネスは祭りである。ビジネスという祭りが元気よく勢いよく展開され,そこで勝利を得られるかどうかは,メンバーの頑張りにかかっている。参加者全員がそれぞれの与えられた役割を,「ワッショイ,ワッショイ」と地響きが起こるように演じてこそ,勝利の美酒にありつける。