著者
長谷場 純仁 中尾 周平 池田 聡
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.D3O2175-D3O2175, 2010

【目的】<BR> 近年、心不全や呼吸器疾患の患者に対するEMS (electrical muscle stimulation)による効果が海外を中心に報告されており、これらの疾患で積極的な運動が困難な症例に対してEMSが理学療法の選択肢のひとつとなると予測される。従来、EMSとして低周波を両下肢の主要な筋に対し施行する場合、装着する導子の数も多く、場合によっては複数の機器が必要とされることもあり、周波数や強度の調整も煩雑であった。最近、ポータブルで操作の容易な低周波治療器(ホーマーイオン研究所製 AUTO Tens PRO)と両下肢の主要筋に同時に通電できる、取り扱いも簡便な下肢専用導子が臨床応用された。そこで今回我々は、これらを用い低周波の短期間の施行における筋力増強効果と両下肢の同時刺激による血圧や心拍数などの循環動態への影響を調査した。<BR>【方法】<BR>(実験1) 筋力増強効果について<BR> 対象は健常成人8名(男性7名、女性1名、年齢28.3±4.2歳:平均±標準偏差)。低周波を被験者の左下肢の前脛骨筋(以下TA)に施行した。機器の使用方法は説明書に沿って導子を装着し、部位とモード設定を行えば簡単に施行可能なTHERAPY PATTERN SELLECTIONで部位は下肢、モードは廃用を選択した。これにより施行時間15分と周波数(3-20Hz)は自動で設定された。刺激の強度は被験者が耐えうる最大の強さとして被験者自身が調整し、施行頻度と期間は1日1回、週4日以上の連続3週間とした。TAの筋力測定はBIODEX SYSTEM 3を用い、被験者は仰臥位にて足関節の背屈0度で等尺性収縮による足背屈を5回行い、その最大トルク値の平均から体重比(以下トルク体重比:単位N・m/kg)を求めた。測定は左右両側を実験開始日とその3週間後に行い、それぞれの値について対応のあるt検定を行った(p<0.05 )。<BR>(実験2) 循環動態への影響について<BR> 対象は健常成人13名(男性11名、女性2名、年齢26.1±4.4歳)。低周波は下肢専用導子を使用し、両下肢の大腿四頭筋、ハムストリングス、TA、下腿三等筋に同時施行することとし、機器の設定は実験1と同様で、刺激の強度も被験者が耐えうる最大の強さとした。循環動態の指標として血圧、心拍数、SpO<SUB>2</SUB>、不整脈の有無を施行前、施行開始5分後、同10分後、終了直後に電子血圧計、ECGモニター、パルスオキシメータにより測定した。それぞれの値の比較についてscheffe法による多重比較を行った(p<0.05 )。また、主観的運動強度についてBorg scaleを施行前後に問診し、翌日以降の筋疲労や筋痛についても問診を行った。<BR>【説明と同意】<BR> 対象には実験に関する目的、方法、リスクについて十分に説明し同意を得た上で実験を行った。<BR>【結果】<BR>(実験1)低周波を3週間施行前後のトルク体重比は、低周波未実施の右TAで施行前0.27±0.09、施行後は0.32±0.12となった(p>0.05)。低周波を施行した左TAは施行前が0.26±0.12で施行後が0.36±0.10となり有意差が認められた(p<0.01)。<BR>(実験2) 両下肢への低周波の同時施行における血圧、心拍数、SpO<SUB>2</SUB>はいずれも施行前、施行開始5分後、同10分後、終了直後において有意差は認められなかった(p>0.05)。Borg scaleは施行後に4が3名、3が1名、2が2名、1が3名、0が4名であった。翌日の問診では10名について筋痛が生じ、その多くが下腿三頭筋に生じていた。<BR>【考察】<BR> 実験1より同機器の低周波によるEMSによって3週間という期間でも筋力増強効果があることが示唆された。しかし、未実施の右TAでも有意差は認められないもののトルク体重比は大きくなっており、これは、他の筋力増強運動に関する多くの研究よっても未施行側も増強されることが認められていることからそれらと同様の結果が示されたと考えられる。また、実験2の結果から、両下肢への主要筋への同時刺激を行っても全身的な循環動態には影響しないことが示された。これは低周波による筋収縮の特性として1回の収縮が極めて短時間であることが理由のひとつであると考える。Borg scaleについは0から4とバラツキが認められたが、刺激の強度について被験者が耐えうる最大の強さとしたことで筋の疲労感に主観的な差が生じたのではないかと考えられる。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 本研究から低周波によるEMSは全身的な循環動態に影響することなく両下肢筋に施行でき、かつ筋力増強効果が示されたことから、重度の心不全や呼吸器疾患の患者に対する理学療法の選択肢となりうる。さらに効率的に行うための刺激の強度、回数などについて調査する必要がある。<BR><BR>
著者
劉 冠偉 李 媛 池田 証壽
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告
巻号頁・発行日
vol.2015, no.4, pp.1-8, 2015-05-09

我々の研究室では,日本の平安時代 (中古) に編纂された漢字字書である 『篆隷万象名義』・『新撰字鏡』・『類聚名義抄』 を総合したデータベースを構築している.中国撰述の 『玉篇』 系字書のデータベースを独自に構築し,それを土台として,公開済みの 『説文解字』 や 『広韻』 データをも参照して,対象字書の本文入力と校正を進めている.これらのデータは漢字データが中心であり,和訓 (日本語) のデータが未整備である.平安時代漢字字書の和訓の同定の方法として,室町時代 (中世),江戸時代 (近世),明治時代 (近代) の漢和字書のデータを追加すれば,より効率的かつ正確に行うことができると考えられる.中世は 『和玉篇』,近世は 『増続大広益会玉篇大全』 (毛利貞斎),近代は 『大字典』 (上田萬年) を拡張の候補としている.この発表では,まず,平安時代漢字字書総合データベースの現状を述べ,次に,試みに拡張した 『大字典』 データベースの概要を報告する.
著者
池田 紀子 小沢 道子 上田 礼子
出版者
杏林書院
雑誌
保健の科学 (ISSN:00183342)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.243-247, 1997-04
被引用文献数
2
著者
池田 弘一
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.24-27, 2002-08

●——今年1月の社長就任時に「元気の出る会社にしたい」と話されていましたが、具体的にはどのような会社を目指しているのですか。池田——なかなか具体的に言えないので、元気という言葉でごまかしている部分もあるんですよ(笑)。要は、元気であるということは、お互いの言っていることがよく通じ合っている、コミュニケーションが良い組織だと考えています。
著者
池田 一郎
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.4, pp.p101-104, 1975-12

幼稚園・保育所で使用される所謂"お"ことばの乱川については従来多く論じられてきたところである.これはつぎの朝日新聞への投書欄から引用されたものが代表しているであろう.去年幼稚園にはいった長男が「お汽車がシユッ・シユッ,お汽車がシユッポッポ」と歌っている.「お母さまお始まりになっちゃうよ」のヒ"お始まり"をやっと聞きなれた耳にこんどは"お汽車".変だと思われることぽにもいつのまにかマヒしてしまう.ある奥さまの"お幼稚園""お髪""おミシン"なども聞きなれれぽさきほど変にも感じなくなってきた.しかしこういう極端にバカていねいな聞き苦しいことぽは,おたがいの問から早くなくしたいと思う.まず先生がたが正しいことばつかいのお手本を示していただきたい.現在幼稚園あるいは保育所の在籍者にさらに無認可の幼稚施設在籍者を含めてわが国幼児の殆んどをしめているとき,とくに最近3年保育が重視されはじめてからは幼児におけることぽの問題が極めて重要になってきた.幼児が長期間にわたって幼稚園語を使川することは成人語への移行という過程で再検討を要するのどはないかという点から幼稚園・保育所において多く使用されている"お"ことばについて考えてみたい.
著者
落合 尚良 池田 崇博 野村 直之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.243-244, 1997-03-12
被引用文献数
1

GUI上でワープロ、メール執筆等の本業を行っている時に、バックグラウンドで関連文書を自動的に検索して提示する、オフィス文書自動検索の一実現方法を提案する。近年のオフィス環境では、1人l台のPCが普及し、ウィンドウシステム上で、ユーザーが手動で気軽にマルチタスクを扱えるようになっている。そのおかげで、本業に関連する、検索などの別作業を割り込ませながら仕事を進める様態が一般的となっている。この従来無かった環境では、マルチタスクのおかげで業務の効率が上がる一方、本業への集中度が落ちて、次のような問題点が現れるようになった。<問題点1)>___-割り込み作業の内容により気が散る、本業から脱線、何をしようとしていたか忘れ、重要でない作業に走る。<問題点2)>___-割込みか作業の遂行のための手順の想起、関連情報の所在の想起、手榎順の実行、結果の確認方法の想起などに思考のコストおよび時間のコストがかかる。これらの新たな問題点の解決につながる技術の中で、ユーザによる曖昧な指示を解釈し、必要に応じて時間/空間の制約を越えて「良きにはからって」くれるソフトウェアはエージェントと呼ばれる。本稿では、エージェントによる代行に問題をシフトさせず、解決の対象を上記の<問題点2)>___-に絞って、「自動検索」の新しいユーザインタフェースを提案する。従来の関連研究では、検索の条件指定を自動化する試み、すなわち、明示的にキーワードを指定せずに類似文書を検索する文書アクセスを行うための手法として、たとえば文献[1]がある。但し、主眼は文字列成分分布の類似度比較という要素技術の側にあり、具体的にどのような状況でユーザの検索行為を省力化できるかが明示されてはいない。
著者
輿水 ヒカル 栃原 裕士 東 賢一 池田 耕一
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.283-286, 2006-12-01

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境およびその勤務者による評価を明らかにするために、実測調査およびアンケート調査を行った。調査は2005年9月中旬に行われ、調査対象は、東京都千代田区にあるオフィスビルであった。建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い、併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった。その結果は、今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下で、湿度や平均放射温度等も比較的良好であった。勤務者の着衣状況は、ほぼ全員が軽装で、男性はジャケット着用者はおらず、ネクタイ着用率は1害1幅渡であった。勤務者による温熱環境の評価は、女性はおおむね満足度が高いが、男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった。着衣や代謝量、冷房に対する体質の違い等に起因すると考えられる。
著者
池田 亮
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.183-204, 2014-09

従来、第三世界における冷戦は、主に米ソ冷戦の観点から研究されてきた。その中でヨーロッパ宗主国は、米ソが植民地解放と新興国の国家建設に協力する中、勢力の後退を強いられる存在として描かれてきた。しかし本稿は、旧宗主国が現在でも旧植民地で一定の影響力を保っており、かつアメリカにとっても冷戦の遂行上、重要な同盟国であったことに注目する。事例としては、フランスによるモロッコの独立承認と、スエズ危機におけるイギリスの対エジプト攻撃を取り上げ、両国の動機を検討する。それによって、第三世界における脱植民地化への英仏の対応は、冷戦政策の側面をも持っていたことを指摘する。それぞれの決定は、モロッコと中東のアラブ諸国が、中立主義を選択するのを防ぐためになされた。それらの国を西側陣営に留め置き、重要な資源を安価に供給させ、自国の資本主義経済の繁栄を維持することが、宗主国、特にイギリスの目的であったと考えられる。
著者
榎本 ヒカル 池田 耕一 東 賢一 栃原 裕
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.5-10, 2009
被引用文献数
1 10

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境条件およびその勤務者による性差を中心とした温熱環境評価の違いを明らかにするために,実測調査およびアンケート調査を行った.調査は2005年9月中旬に行われ,調査対象は東京都千代田区にあるオフィスビル及びその勤務者のべ84名であった.建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い,併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった.その結果,今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下であった.勤務者の着衣状況はほぼ全員が軽装で,男性はジャケット着用者はおらず,ネクタイ着用率は1割程度であった.勤務者による温熱環境の評価については,女性はおおむね満足度が高いが男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった.これは男女の着衣や代謝量,冷房に対する体質の違いに主として起因すると考えられる.また気温28℃におけるより快適な環境条件としてPMV=0.5となる条件の提言を行った.
著者
伏見 卓恭 斉藤 和巳 池田 哲夫 武藤 伸明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.1158-1165, 2013-05-01

社会ネットワーク分析の分野で重要ノードを抽出する指標として中心性指標が提案されており,これらはノードの独立的な性質により,各ノードをランキングする手法である.本論文では,集合内での各ノードの協調的振舞いを想定して,任意のノード群に対する指標として拡張した集合中心性を提案する.集合中心性は,集合内で各ノードが互いに影響し合う点を考慮し,集合としての中心性値が高くなるようなノード集合を抽出する.集合次数中心性を求める問題はK-vertex covering問題に帰着し,集合近接中心性を求める問題はK-median問題に帰着できることを示す.集合媒介中心性においてK個の重要ノードを選定する問題は,看板配置問題という新たな数理問題の一解法であることを示す.更に,集合媒介中心性を効率的に求めるアルゴリズムを提案する.複数の構造の異なるネットワークを対象とした評価実験より,道路網上への看板配置問題への応用が期待できることを示す.
著者
池田 靖 牧野 彰吾 愛川 敬武
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.13, pp.32-38, 1977-10-31

1979年9月,埼玉県川越市東部の農業用水地,伊佐沼において,淡水産肛動物(曲形動物)Uramatella gracilis LEIDYを採集した。これは日本最初の発見である。U. gracilisは排水路の流水中に多く生息し,コンクリート壁に付着する淡水海綿の表面やオオタニシの殻,マコモの葉鞘に好んで着生する。暗い陰の方を好む。U. gracilisはヨワカイメンSpongilla fragilis LEIDYおよびヤハズハネコケムシPlumatella emarginate ALLMANと共存することが多い。U. gracilisは高さ1.5〜2.0MMでJ.LEIDYの記述より小さく,R. V. SESIIAIYAの記載した
著者
池田 周平 財津 政延 祐森 誠司 栗原 良雄 伊藤 澄麿
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.4, no.Supplement, pp.33-34, 2001-05-24 (Released:2012-09-24)
参考文献数
2

成兎を用いて,食糞行動の阻止が体重維持ならびに飼料の消化率に及ぼす影響を検討した。試験区は自由行動・自由摂取の対照区と飼料給与量を80%,60%に制限した区および食糞行動阻止区を設け比較検討した。給与飼料はNRC飼養標準に併せて配合したものを用いた。40日間の飼育試験の結果,食糞行動の阻止により体重は減少したが,死亡することはなかった。また,食糞行動阻止区における飼料摂取量は80%制限区とほぼ同程度であったが,体重の減少は60%の制限給餌と同程度であり,粗タン白質およびエネルギーの消化率がかなり低くなる傾向を示した。消化率の低下は食糞行動阻止に関係すると考えられる。
著者
池田 健 古田 敏康
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.188-189, 1956-04-01