著者
中山 満子 池田 曜子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.285-288, 2014-03-25 (Released:2014-04-08)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

This study categorized interpersonal conflicts in friendships between mothers rearing little children, so called “mum-friends” in Japan. It examined the relation between the typical types of conflicts and the personality traits of the respondents and their friends assessed by the Big Five Scale (Wada, 1996). An internet survey was conducted with 300 women rearing little children. From the result of Hayashi's Quantification Method Type Ⅲ and cluster analysis based on 205 respondents who reported conflicts with their mum-friends, we extracted four clusters of types of interpersonal conflicts. Conflicts concerning criticism of children's discipline and lack of common-sense were frequent in the friendship between mothers; these respondents rated their friends’ Conscientiousness and Agreeableness as relatively low. For conflicts related to socioeconomic disparity, the respondents’ self-reported Conscientiousness was evaluated lower than for the other types of conflict, and the friends’ Conscientiousness and Agreeableness were evaluated relatively high.
著者
池田 知正
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.108, no.11, pp.1933-1952, 2062-2063, 1999-11-20

It is commonly accepted that the Tujue (突厥) split into two nations-i.e. the Xi-Tujue (西突厥) and the Dong-Tujue (東突厥)-in 583. This theory is based mainly on the Suishu's (隋書) description; it is probable that the description is only an interpretation, since the term Xi-Tujue cannot found in the sources before the Shekui-kehan (射匱可汗) regime. In this paper descriptions about the origins of the Xi-Tujue in premodern Chinese history texts are analyzed from the viewpoint that they are interpretations. The conclusions drawn are as follows. The Suishu, including the opinion on Xi-Tujue origins, only says that the Xi-Tujue were established by Daluobian (大邏便) and that discord (隙) between Daluobian and Shetu (摂図) caused the split. It says no tnore. The Tongdian (通典) regards the appearance of the hostile military situation between the East and the West as the establishment of "Eastern and Western Parts" (東西部). Original Notes to the Tongdian considered this hostility the establishment of "Two Nations" (二国) and regards "Part" (部) as "Nation" (国). The Zizhitongjian (資治通鑑) says that the hostile military situation arose in 583 and the Daluobian declared Xi-Tujue in 585. It is the first to mention clearly when Xi-Tujue was established. Hu Sanxing (胡三省) agrees with the Zizhitongjian and identifies the discord with a series of events concerning the appearance of the hostile military situation. The Xintangshu (新唐書) considers the founder of Xi-Tujue to be Dianjue (〓厥) and maintains that its origin led to Tuwu (吐務), who was Dianjue's grandfather. The Jiutangshu (旧唐書) in its Tujue-zhuan's (突厥伝) beginning only says that the Xi-Tujue had a same ancestor (同祖) as the Bei-Tuiue (北突厥). Two reconstructions are assumed here. One is that the descriptions about Xi-Tujue's founding by Daluobian in earlier books was abridged by the Jiutanshu's editor. The other is that he had doubts about it, but he could give no concrete opinion. Either reconstruction is equally probable.
著者
池田 直也 内田 愼爾 井上 宏
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.77-89, 1999-06-25
被引用文献数
1

バイトプレート上における咬合接触状態の変化が,開閉口運動と開閉口筋活動に及ぼす影響を観察するため,下顎両側臼歯部歯列を覆う実験用バイトプレートを作製し,上顎臼歯部の左右機能咬頭を8点接触させるよう調節した(AL).この状態からバイトプレート上の咬合接触点を7__-6__-5__-∣5__-6__-7__-,7__-6__-∣6__-7__-,6__-∣6__-,6__-∣接触と変化させていき,各接触状態でopen-close-clench cycleを行わせた.この時の外側翼突筋下頭(Lpt),顎二腹筋削腹(Dig),咬筋(Mm)からの筋電図を,MKG下顎切歯点運動とともに記録し,下顎運動とEMGの時間的要素,筋活動要素,開閉口経路,閉口時終末顎位の分析から,次のような結果を得た. Cycle time,各筋のdurationおよびintervalは,おおむね咬合接触の減少とともに短縮した.平均開口加速度はAL接触から6__-∣6__-接触まで有意に増加したが,6__-∣接触で再び低下した.変異係数(CV)の観察では,cycle timeのCV値には接触点の変化による変動が見られなかった.durationのCV値は,開口筋,MmともにALでは低い値を示し,接触点が変わると変動したが,その傾向は筋間で異なった.積分値は開口筋,Mmとも接触点の減少により低下する傾向を示した.開閉口経路は,接触点の変化により変化しなかった.切歯点の閉口時終末点平均値は,接触点の変化によって,左右,前後方向とも有意に変動しなかったが,そのばらつきを示す標準偏差(SD)は,6__-∣接触時に他の接触条件に比べて左右方向で有意に増大した. 以上の結果より,AL接触は開閉口リズムは遅いものの規則性に優れており,接触点の減少によって開閉口運動に要するエネルギーは少なくなり,開閉口速度は速くなるがリズム性は乱れる可能性が示唆された.特に片側性の接触では,リズムばかりでなく,終末顎位にも影響を及ぼすことが示された.
著者
池田 英男 田上 恵子 福田 直也
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.839-844, 1996 (Released:2008-05-15)
参考文献数
15
被引用文献数
2

培養液を流動させない水耕法である培養液静置法(パッシブ水耕) は, 栽培中の培養液管理が不要とされるが, 栽培法は十分には確立していない、本研究においては, 栽培装置を地表面下に設置して春, 秋にそれぞれ施与培養液の濃度を変えてメロンを栽培し, 好適培養液濃度を検討した.メロンは本栽培法で良く生育し, 十分に大きな果実が収穫できたが, メロン植物体の生育や果実の収量,品質からみた好適培養液の濃度は, 栽培時期によって異なった. 春作では園試処方標準濃度の3倍でのみ高糖度の果実が得られたが, 秋作では培養液の濃度の影響は少なかった. 栽培装置を地表面下に設置したために, 根圏の温度は気温の高くなる夏では比較的低く,冬は逆にあまり低下せず, 日変化も少なかった. 本装置は, 簡易な水耕法として, メロン生産には有効であると考えられた.
著者
池田 俊也 小林 慎
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.521-525, 2008-03-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
15

60歳男性の高コレステロール血症患者 (HL患者) の予後に関するマルコフモデルを構築し、一般的なHL患者と重症HL患者の2種類の患者に対する複数のHMG-CoA還元酵素阻害剤 (スタチン) 治療の費用対効果を評価した。一般的なHL患者に対するスタチンは、ロスバスタチン2.5mg/日、アトルバスタチン10mg/日、ピタバスタチン2mg/日、プラバスタチン10mg/日を分析対象とした。重症HL患者に対しては、ロスバスタチン5mg/日、アトルバスタチン20mg/日、ピタバスタチン4mg/日を分析対象とした。分析は、支払い者の立場で実施し、医療費と質調整生存年を推計した。一般的なHL患者を対象とした場合の質調整生存年は、アトルバスタチンが最も大きかったが、ロスバスタチンに対するアトルバスタチンの増分費用対効果比は11億円と非常に高額であった。重症HL患者を対象とした場合は、ロスバスタチンは他の2つの薬剤よりも費用が小さく、かっ質調整生存年が大きかった。一般的なHL患者及び重症HL患者ともに、費用対効果の観点からは、ロスバスタチンが最も好ましい薬物療法であると評価された。
著者
池田大伍 編
出版者
富山房
巻号頁・発行日
1924
著者
松嶋 美正 池田 誠
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3O2070, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】地域在住高齢者において総合的に身体機能の把握が可能な評価スケールは少なく,包括的身体機能評価スケールは,項目数が多く,取り扱いが不便であり測定に時間を要するため時間的に簡便であるとは言い難い。日常生活動作により包括的に身体機能を把握可能な評価スケールの一つにBerg Balance Scale(BBS)ある。しかし,屋内歩行が自立している地域在住高齢者の場合,項目によっては天井効果も見受けられるため,項目数の減少による簡略化が可能であると考えられた。したがって,本研究においてBBSの評価項目を精選し,項目数を減少させた簡略化BBSを開発することと,簡略化BBSの信頼性,他の身体機能や転倒との関連性を検証することを目的とした。【方法】対象は,病院・施設に外来,通所,入所しており屋内歩行自立している高齢者120名(年齢79.2±6.9歳)とした。男性57名,女性63名であった。主要疾患としては,脳血管障害が38名,整形外科疾患が51名,神経筋疾患が13名,循環器疾患が11名,その他が7名であった。歩行レベルは,独歩が68名,T字杖が37名,四点杖が4名,歩行器が11名であった。身体機能評価としてBBSの測定,BBS項目にある「リーチ動作」はファンクショナルリーチテスト(FRT)として計測した。また,BBS測定中,各項目の測定に要する時間を計測した。その他の身体機能評価としては,握力,最大10m歩行の測定を行った。転倒に関する調査として改訂転倒自己効力感尺度(MFES),転倒・つまずき経験の有無を聞き取り調査した。データの分析方法は,BBSのデータを統計ソフトのBIGSTEPSを用いてラッシュ分析を行い,対象者とBBS項目の関係を直線上に表し簡略化BBSを作成した。BBS原法と簡略化BBSの比較はPearsonの相関係数,簡略化BBSの信頼性分析(クロンバックのα)を検証した。簡略化BBSとその他の身体機能評価,転倒に関する調査との関連性はPearsonの相関係数を用いて検討した。いずれの解析も有意水準は危険率5%未満とした。【説明と同意】本研究の主旨を説明し同意の得られたものを対象とした。また本研究は,首都大学東京荒川キャンパス研究安全倫理審査委員会の承認を得て実施された。【結果】BBS項目の難易度は,「座位保持」,「閉眼立位」,「立位保持」,「腰掛け」,「拾い上げ」,「立ち上がり」,「移乗」,「閉脚立位」,「リーチ動作」,「振り向き」,「ステップ動作」,「360°回転」,「継足立位」,「片脚立位」の順に難易度が高くなった。14項目のうち対象者の分布範囲内(±2SD)に難易度の高い8項目が含まれ,そのうち3項目がラッシュモデルとの適合度が不十分であった。8項目のうち適合度が不十分であった項目は,「ステップ動作」,「閉脚立位」,「移乗」であった。項目難易度と適合度からBBS14項目中,5~8項目(5~8BBS,簡略化BBS)を抽出した。クロンバックのαは,BBS原法で0.86,簡略化BBSで0.78~0.86であり,BBS原法との相関係数は,項目数が多いほど高くなり8BBSでr=0.99となった。BBSの評価時間においては,BBS原法で8.8±1.8分,簡略化BBSでは,4~6分程度であった。BBS原法,簡略化BBSと他の身体機能などとの関連性は,最大10m歩行やMFESで中程度の相関を示した。また,BBS原法や簡略化BBSと実際の転倒経験とは関連性が認められず,BBS原法でカットオフ値を45点と設定した場合の感度は41%,特異度は62%であった。【考察】BBSの各項目の難易度は,対象者が屋内歩行の自立しているものとしたため,日常的な基本動作能力は獲得されていると考えられ,本研究の対象者の場合,応用的動作から低下していくことが示唆され,BBS項目でも難易度が高い項目が身体機能の能力低下の抽出に有用だと推測される。簡略化BBSの信頼性,妥当性に関しては,包括的なスケールであることを維持し,原法と同等の信頼性を得るためには8項目は必要であると考えられる。内容的妥当性としては,対象者の分布範囲内である運動課題を実施することで十分であると考えられる。その他の身体機能との関連性としては最大10m歩行との関連性が認められたことから,基準関連妥当性が証明された。予測的妥当性は,BBS原法に転倒経験と関連性が認められなかったこと,また,BBS得点の45点をカットオフ値とした場合,感度も低く転倒に対するスクリーニングテストとしての妥当性は低いと考えられる。この点においては,今後も検討する必要性はあるが,信頼性,妥当性に関する原法との比較から8BBSに簡略化することは可能であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】評価スケールの中には,開発段階から考慮すると必ずしも様々な臨床場面の対象者において,相応しいスケールであるとは限らない。日頃使用している評価スケールが,その臨床場面,対象者に相応しいかどうか,一つの評価スケールについて検証した研究である。
著者
池田 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.308, pp.21-26, 2012-11-14

近年,移動体通信のトラヒックは飛躍的に増加しており,高いシステム容量と耐障害性のある柔軟なネットワークが要求され国内外を問わず多くの研究が行われている.無線メッシュネットワークは学術や産業団体の両方から多くの注目を集めており,コスト効率の高い広帯域無線接続を提供する重要なネットワークインフラとなっている.本稿では無線メッシュネットワークのメッシュルータ配置問題へのアプローチ,無線メッシュネットワークの研究動向,そしてこの分野での将来の方向性について述べる.
著者
齊藤 涼子 池田 尚平 田丸 貴規 尾上 紀子 田中 光昭 石塚 豪 馬場 恵夫 篠崎 毅
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1466-1473, 2010 (Released:2012-04-24)
参考文献数
17

症例は33歳, 男性. 体重増加(160kg)と著明な労作時息切れを主訴に来院し, 精査加療目的に入院となった. 全身浮腫, 低酸素血症, 高二酸化炭素血症, 総ビリルビン値上昇を認め, 左室拡張機能および収縮機能は低下していたが, 肺水腫や肺うっ血は認めなかったことから, 右心不全優位の肥満低換気症候群(obesity hypoventilation syndrome; OHS)と考えられた. 簡易型終夜ポリグラフ検査にて重症の閉塞型睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea; OSA)を認めたが, 患者は持続陽圧呼吸療法を受け入れることができなかった. 心不全に対して通常の内科治療のみを開始したところ, 心不全は徐々に増悪し, 入院第13病日に多臓器不全を呈した. 心係数低下, 肺動脈楔入圧上昇を認めたため, 両心不全の増悪と判断し, 人工呼吸器管理を行った. 経過中にTorsade de Pointes(TdP)とそれに引き続く心不全の再増悪を認め, 持続緩徐式血液濾過が必要となった. その後, 心不全は徐々に改善し, 体重は77.5kgまで減少し, カルベジロールを開始した. 第211病日にはOSAと心機能は著明に改善した. 現在カルベジロール少量投与にて経過観察中である. 重症心機能障害を合併するOHSでは, 早期より気管切開による陽圧呼吸療法も含めた積極的な加療を考慮すべきである.
著者
ロビンソン デビッド J. 池田 輝政
出版者
名古屋大学高等研究教育センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.147-159, 2002-01 (Released:2012-06-12)

英文: Is On-Line education the future for universities? (http://ir.nul.nagoya-u.ac.jp/jspui/handle/2237/16561)
著者
月村 泰治 池田 珠江
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.25-32, 1982-01-18
被引用文献数
10 4

脳性麻痺における起立の不安定性(standing instability)を重心図により定量的に捉え, これを全体的な運動機能の評価法の一つとして採用し, その有効性については既に報告して来たが, 今回はこれらに加えて起立の安定域をCross Testにより検討してみた.正常成人にいおいてはCross Testにおける前後, 左右への体重心の動揺は足長, 足幅の60%程度であり, テスト前後の重心位置の戻り(復元能力)も極めて良好である.一方, 脳性麻痺においても起立の安定域は存在し, 機能障害の程度により, その重心動揺の拡がりと重心図のパターンは特有であり, 正常成人との比較を定量的に捉えることができた.機能的に良好なものではかなり正常に近い値を示し, 重心図におけるcrossもはっきりしているが, 機能障害の大きいものでは重心図の上では充分なcrossは描けず, 逆に前後へのshiftが逆転するものがみられた.また, これらの症例をみると, 重心図の上では起立の安定域とstanding instabilityとの差が少なく, 直立位保持のためのbody swayとCross Testの際の意図的body swayとがほとんど変わらないことを示している.このようにCross Testにおける重心動揺の拡がりとその重心図のパターンは患者の機能障害に応じていろいろな幅を示し, 単なる直立位の重心図よりも, より詳細にその機能障害の程度を表現してくれる.これらのことから機能障害の評価には単にstanding instabilityだけではなく, 起立の安定域を評価することが必要であり, これにより起立のバランス制御の様子を知り, 従来よりはより的確に機能の状態を重心図の上から捉えることが可能である.また逆にこれらを検討することにより患者の機能的予後を知り, 治療効果の判定などを定量的に行うことが可能であることを知った.今後定期的に検査を続行してフォローを重ね, 症例をふやして, よりよい評価法として確立してゆくつもりである.
著者
丹羽 祐介 長谷川 敏男 宿谷 涼子 大熊 慶湖 平澤 祐輔 池田 志斈
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin cancer : official organ of the Japanese Society for Skin Cancer = 皮膚悪性腫瘍研究会機関誌 (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.90-93, 2010-05-15

73歳,女。約半年前より外陰部の腫瘤に気付いた。徐々に腫瘤が増大したので近医を受診し,皮膚生検にて有棘細胞癌の診断を受け,当科に紹介受診した。初診時,左大陰唇に5cm大の広基性隆起性腫瘤が存在した。また,外陰部全体が紅白色の萎縮性局面を呈し,陰核の消失,膣口の狭小化を伴っていた。腫瘍の周囲から2cm離し,肛門周囲と尿道周囲では1cm離して,腫瘍拡大切除術,および分層植皮術を施行した。同時に施行したセンチネルリンパ節生検術にて,両鼠径リンパ節に転移が検出されたため,両側鼠径リンパ節郭清術を併せて施行した。病理組織検査では,腫瘍部は角化傾向の強い異型細胞が増殖しており有棘細胞癌と診断した。腫瘍辺縁部では液状変性や真皮上層の帯状リンパ球浸潤,透明帯がみられたため,臨床所見と併せ硬化性萎縮性苔癬と診断した。外陰部に生じた硬化性萎縮性苔癬は有棘細胞癌の発生母地となり得るので,注意深く経過観察する必要がある。
著者
玉川 浩司 飯塚 崇史 池田 彰男 小池 肇 長沼 慶太 小宮山 美弘
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.521-527, 1999-08-15
被引用文献数
4

大麦糠由来のポリフェノール抽出物BPE及びそこから分離精製したプロアントシアニジン類(2量体及び3量体)について,幾つかの抗アレルギー活性測定法を用い,その効果を検討した.<BR>(1) BPEは,生体内における炎症に深く関与しているヒアルロニダーゼ活性を濃度依存的に抑制した.また,その主要ポリフェノール成分であるプロアントシアニジン類の抗ピアルロニダーゼ活性は,(-)-EGCG及(-)-ECGと比較して,小さかったが,(-)-EGC,(-)-EC及び(+)-Cよりは大きかった.<BR>(2) 大豆リポキシゲナーゼ活性についても濃度依存的に抑制し,また,その主要ポリフェノール成分であるプロアントシアニジン類の抗リポキシゲナーゼ活性は,カテキン類と比較して大きいことが判明した.<BR>(3) 感作ヒツジ赤血球における補体価の抑制はBPEの濃度に依存して大きくなった.また,その主要ポリフェノール成分であるプロアントシアニジン類の抗補体活性は,(-)-EGCG及(-)-ECGと同等あるいはそれ以上の効果を示した.
著者
早岡 英介 三上 直之 杉山 滋郎 藤吉 亮子 鳥羽 妙 川本 思心 郡 伸子 滝沢 麻理 池田 貴子 添田 孝史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

福島第一原子力発電所の事故以降,主に放射能リスクをテーマとしたリスクコミュニケーションの取り組みが各地で進められてきた.だが,多くは啓蒙的な説明会にとどまっており,専門家と一般市民との間に十分な双方向の対話の場を生み出せていない.こうした状況を克服するためには,リスク情報を正確かつ受け手側に配慮しながら発信できるリスクコミュニケーターの育成が急務である.北海道大学CoSTEPにおける2014年度の実践から,リスクコミュニケーター人材育成においては「伝え方を工夫できるコンテンツの制作能力」「対話の場を生み出す能力」「問題設定を適切に設計できるフレーミング能力」の3つの能力が重要だと考察した.
著者
池田 豊子 十日市 健助
出版者
佐賀大学
雑誌
佐賀医科大学一般教育紀要 (ISSN:02880865)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.73-86, 2000-12

本稿は1929年に出版だれたヴァージニア・ウルフの『自分だけの部屋』についての考察である。この作品には二つの大きなテーマがある。一つはイギリスの家父長制での文学,特に詩に,創造的にかかわろうとした努力の過程で,いかに女性が恵まれなかったか。もう一つは19世紀イギリスのロマン派の詩人・批評家のコールリッジによって紹介された文学的な意味合いでの両性具有についてである。ここでは第一のテーマのみに焦点をあてた。(第二のテーマは続編で述べる予定)先ずウルフの講演の聴衆及び読者へのメッセージ,-女性はどのような分野であれ,自分の最も関心のあることに勇敢に立ち向かっていき,経済的自立に足るだけの収入を得ることによって自分で物を考える人になることが必要である-を紹介した。次に新世紀の幕開けのこの時に,ウルフのこのメッセージが我々に(男性・女性共に)どのような意味合いをもつかを詳しく述べた。
著者
柳本 哲 渡邉 伸樹 大竹 博巳 深尾 武史 谷口 和成 安藤 茂樹 河崎 哲嗣 佐伯 昭彦 池田 敏和 松嵜 昭雄
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本で初めての中高生を対象とした数学的モデリング・チャレンジのプログラムを京都で開催し,その教育的効果を検証するとともに,実施上の問題点について考察した。1回目は2013年2月に中学3年生8名が,2回目は2014年2月に高校1年生21名が,3回目は2015年2月に中高生33名が,それぞれ参加し,ボブスレー問題や電力会社収支問題などの現実問題に数学を使って挑戦した。その結果,参加した生徒は数学の有用性を再認識するとともに数学を使った問題解決に挑む楽しさを感じ取っていた。そして,このプログラム実施によって,周辺の数学科教員に数学的モデリング教材についてより明確に認知してもらうことにも繋がった。
著者
武田 佐知子 池田 忍 脇田 晴子 太田 妙子 堤 一昭 井本 恭子 千葉 泉 福岡 まどか 三好 恵真子 宮原 暁 住村 欣範 深尾 葉子 生田 美智子 松村 耕光 藤元 優子 宮本 マラシー 竹村 景子 中本 香 藤原 克美 古谷 大輔 村澤 博人 鷲田 清一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の成果は大きく分けて二つある。一つは、従来のカタログ的な着衣研究ではなく、個別地域の具体的な文脈から引き離さず、着衣、身体、女性の関係を読み解くための共通の枠組を構築し、ローカルな視点とグローバルな視点の接合によって開ける多様性のなかの着衣研究の可能性を提示したことである。男性身体の周縁に位置づけられた女性身体の可変性、着衣による身体のイコン化と増殖現象、共同体による着衣身体の共有と変換、ジェンダー秩序のなかで受容される女性身体の意味とその操作、そして既存の共同体の集合的に実践や意識/無意識が、視覚表象と深く関わり相互交渉がなされていることを明らかにした。二つめは、日本では「着衣する身体の政治学」と題し、タイでは「着衣する身体と異性装-日・タイの比較-」と題した国際シンポジウムを開催し、単に抽象的、モデル的に着衣研究の事例を理解するのではなく、現場に即した肌に触れる知を通して、実践知と暗黙知を提示したことである。