著者
清水 竜瑩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.p135-185, 1993-06

バブル崩壊後,新聞,その他のジャーナリズムは,この金融自由化による複合不況はかつてないものであり,いままでの大量生産,大量販売の製造方式や,地に足のつかない高級品消費は全面的に変わるだろう,さらにこの不況は世界の不況と連動しているため,その回復は容易ではないだろう,と喧伝している。しかしこの鍋底のような先のみえない複合不況の下でも,日本・台湾の経営者は守りばかりでなく,次の飛躍の手がかりに確実に着手し,実行しはじめている。巷間問題となっているような,中間管理者の退職勧奨などという企業は,今回のインタビューに関する限り1社もなく,本社ビルの一部を売却してもその雇用を守りつづけようとしている。全体的にみて日本の経営者は,財務的,物的資源を縮小させても,人的資源は減少させることなく,その能力開発・意識改革によってこの未曽有の不況に対応しようとしている。製造業は本業重視,組織改革,コスト削減にまず力を入れている。事業領域を産業構造の変化に合わせてPA→FA→LA→HAと変えていく場合,人々の意識を変えるため新しい組織を導入してショック療法を行う(横河電機)。新しい技術情報・市場情報を積極的に利用すれば,売上が伸びなくても利益は無限に出しつづける(カヤバ工業)。電炉メーカーの参入や不況の長期化に対して本業重視の戦略をたて,高級品シームレスパイプのための900億の新設備投資をする(住友金属)。不況は波だから底が長くても必ず上がってくる。好況のとき忙しくてできなかった管理者の意識改革を不況のときじっくりやる(マブチモーター)。同じように不況下にある不動産業でも,その不況度によって対処策は異なる。不動産不況撃破推進本部をつくって,損を覚悟の見切り販売や,コスト削減のためのNAシステムを開発した。そして思い切ったぜい肉落しをした(日榮不動産)。マンションの含み損を早く表に出したほうがすっきりする。年俸制と組合わせた独得のリーズナブルな人事評価システムをつくった(長谷工コーポレーション)。バブル崩壊後も膨大な含み資産があり,従業員数も少なく,20数億という高純益をあげている(平和不動産)。一方サービス業のうちでも比較的楽なところと苦しいところがある。事業部別のホテルの個性化,QCサークルの積極的活用,人事評価制度の改善によって人々に一層の創造性の発揮を求める(藤田観光)。売上至上主義から利益重視への転換をするためには年功序列主義の廃止,人事評価制度の抜本改革による意識革令が必要である(東武百貨店)。野球では,悪いときは必ずよくなるから大丈夫だという自信を監督自身が持ちつづける必要がある。わがままな現代の若者については70点平均をとる人間より,120点と0点をとる人間がいい。120点をのばして技術が向上すると人格も向上する(読売巨人軍)。台湾のマクロ的な問題点としては,日台の人事交流の稀薄化,貿易の赤字化があり,その対処策としては台湾における日本語教育の充実,学生同士の交流の促進が考えられる(駐日代表)。経済の問題点として,空洞化,ハングリー精神の喪失,賃金・土地価格の上昇があり,現在その対処策として,外国人労働者の導入,工業団地の建設,ハイテク産業の誘致を考える(経済部部長)。大学問題としては,助教,専任講師は必ず外へ出す。副教授から教授への昇進は3段階の教授会で審査する。教授は副教授を審査する以上,副教授よりいい論文を書かなければ恥ずかしい。また全教員の毎年の研究業績をオープンにして教員全員にくばるから研究不足は恥ずかしい思いをする(國立中山大學)。台湾の金融界もバブル崩壊後の不況に悩んでいる。金融の自由化で一挙に15行の民営銀行ができ競争が激しくなった。またLC,先物取引などの自由化がはじまりその波及効果がわからない。その勉強のためにできるだけ多くの社員を海外研修に出している(中國信託銀行)。大資本の民営銀行が一挙に15行でき,しかも給料が公営銀行より高いので,こちらのエリートが引きぬかれる。しかも公営銀行は関係官庁のがんじがらめの規制で動けない。しかし国際化のための能力開発には力を入れている(臺灣銀行)。
著者
清水 則雄 河田 晃大 松浦 靖浩
出版者
広島大学総合博物館
雑誌
広島大学総合博物館研究報告 (ISSN:18844243)
巻号頁・発行日
no.1, pp.85-89, 2009

ソウシハギは, 熱帯・暖海域に広く生息する大型のカワハギ科魚類である。2008年7月31日に, 瀬戸内海安芸灘の広島県大崎上島町木臼島沖合において本種の幼魚1個体(全長19.7cm)を発見・採集した。本種の幼魚は流れ藻に随伴し海流とともに移動すること, 過去にも瀬戸内海伊予灘での採集記録があることから, 黒潮の分流に乗って豊後水道を経由して流入してきたものと考えられた。瀬戸内海安芸灘の冬季水温環境は本種の越冬が不可能なレベルにあり, 死滅回遊として偶発的に出現したものと考えられる。
著者
清水 哲郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.581, pp.54-65, 2009-07-13

IMEと言えば、例えば「あそうさん」を「麻生さん」に変換するのが本来の役目。しかし、麻生さんの内線番号やメールアドレスに変換するなど、備忘録的な使い方もできるのをご存じだろうか。あるいはメールの決まり文句を一発で入力したり、「うらわざ」でWindowsのコマンド一覧を出すなど、使い方次第で応用は無限大。IMEのキホンから実践テクニックまでを一挙に紹介しよう。
著者
清水 陽子 中山 徹 土佐野 美裕
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.82, no.732, pp.423-432, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2 13

This research aims to explore the nature of the local city which is revealed by the dwelling-place selection trend of Nara’s younger generation. Therefore, this research analyses the tendency and the stated reasons of the younger generation's for relocating. From 2007, the population of Nara - which is the subject of our research - began to decrease, and it continues to decline to this day. Although the percentage of the whole population comprised by the younger generation was 33.1% in 1980, it has since decreased to 23.2% in 2012. Our chosen research method was to use a questionnaire. We distributed 2,000 questionnaires to people moving away from Nara (referred to hereinafter as ‘movers’) and received 467 completed questionnaires. Furthermore, we distributed 3,000 questionnaires to people relocating to Nara (referred to hereinafter as ‘transferers’) and received 850 completed questionnaires. Of the stated reasons for relocating, the four highest ranked are: ‘marriage’, ‘employment’, ‘purchase of a dwelling’, and ‘living with parents, or the neighbourhood ’. These four reasons account for 70 percent or more of the total number of relocations. In this research, we analysed the trend, focusing particularly on these four reasons. Concerning relocations due to marriage, people who lived in Nara up to the age of 30 years relocated due to marriage, and live in privately rented homes in which the rent is comparatively high for a married couple despite their double income. Conversely, for transferers, people lived in their first home up to the age of 30, then moved into Nara for reasons of marriage, with their wife performing the role of a housewife and the couple living in a privately rented house. For relocations caused by employment, unmarried people up to 30 years old moved to homes where the commuting distance was short. For transferers living in privately rented houses, both unmarried people aged 35 and over and married couples thought construction years , the distance of their commute, etc. to be important. For movers relocating due to purchase of a dwelling house, the important factors for people living in a privately-owned house in which the family household is aged 35 and over comprise price, public peace and order , and the aesthetic qualities of the property. In the case of transference, people living in privately owned houses in which the family (including a wife who is a housewife) is aged 35 and over consider construction years, price, and public peace and order to be important. Families aged 35 and over consider proximity to their parents' dwellings to be important, and living together with parents or moving to live close to them may justify moving. Movers tend to live near their parents, while transferers tend to become parents and live together. Movers and transferers actively pursue relocation between neighbouring municipalities. All the respondents were conscious about the importance of purchase price, rental price, and the distance to their workplace (for convenience).Subsequently, the environment in which housing is located (including the beauty of rows of houses, the quality of a landscape, and public peace and order) is considered to be important. By focusing on strengthening the factors considered by people to be important when selecting their dwelling-place, local authorities can increase the attractive power which draws residents to an area. We consider that Nara must improve ‘the distance from a station and a bus stop’ and ‘the beauty of rows of houses and good quality of a landscape’, since these are factors which movers were found to consider as important.
著者
清水 瑞久
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.130-143, 2003

This paper considers the problem of Art and its use as a medium in the Meiji period, so I take the texts of Masakazu Toyama, who was an ideologue of the Japanese Government of the time. He was very interested in Art. But he saw Art as a mean of propagating the governmental conception to the nation. For him, a medium must be natural without noise. It must be self-evident. And this natural medium was a tool to make the people into a nation. I take his texts about Art to show what his thoughts about this medium were.
著者
清水 瑞久
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.250-264, 2003-12-31

本論文は, 明治の社会学者・外山正一をとりあげ, 彼にとっての社会学が何であったのかを考察する.そのために, これまでの社会学説史の中で外山がどのようにイメージされてきたのかを, 主なる2つの潮流をあげて検討する.1つは, 民権運動に対抗して書かれた外山の「民権弁惑」に依拠し, もう1つは, 古代社会を研究して女性の自由を主張する「日本知識道徳史」に依拠する.本論文では, 一見するところ相容れることのない, これら2つの潮流を架橋しようと試みる.その試みのもとに, まず, 外山がその同時代社会における社会学の使命をいかに考えたのかを検討する.次いで, 古代社会に対する外山の眼差しがいかなるものであったのかを省察していく.そこから結論されるのは, 外山は国民を陶冶しようとして, 進化論的な歴史社会学を構想し, そのために同時代社会の中に神話的な物語を導入し, また, 神話世界に同時代社会を読み解いたということである.
著者
清水 龍来
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

米山海岸地域は、近年のGPS観測によって明らかになった最大剪断歪み速度の大きい地帯(新潟&minus;神戸構造帯)(Sagiya et al. 2000)に含まれ,日本海東縁変動帯の陸域への延長部と考えられている。そこでは、歪みが塑性的な変形として蓄積され、主要な活構造が分布している(大竹ほか 2002)。近年、本地域の南西部に位置する高田平野の東縁に高田平野東縁断層帯(渡辺ほか 2002)が報告され、また周辺海域において2007年7月16日新潟県中越沖地震(M6.8)の震源断層と考えられているF&minus;B断層や,より南西のF&minus;D断層(原子力・安全保安委員会 2009)も報告されており,詳細な変動様式の解明と定量的な評価に基づく本地域のネオテクトニクスの解明が必要である。本地域には数段の海成段丘が分布し、分布高度が南西に向かって増大する傾向が指摘されていた(渡辺ほか 1964)。しかし、米山海岸地域全域に渡る系統的な地形・地質調査に基づく編年・対比は行われておらず,また隆起を引き起こす活構造など詳細は不明であった。本研究では米山海岸地域全域の地形・地質調査を実施し段丘の編年・対比を試みた。その上でそれらが示す地殻変動の傾向と周辺の活構造との関連を考察した。<br> 本研究では米山海岸地域に分布する段丘地形を、HH、H1、H2、M1、M2、Lの5面に区分した。岸ほか(1996)はM1面構成層と風成砂層との境界付近にNG(中子軽石層=飯綱上樽cテフラ:15&ndash;13万年前噴出(鈴木 2001))を見いだし、M1面を下末吉面相当とした。本研究では、M1面構成層とされる安田層及び大湊砂層を、より南西方まで追跡し、M1面の分布を明らかにした。また小池・町田(2001)などによってMIS5eに対比されていた上輪新田付近の段丘について,東京電力株式会社(2008)は、構成層にクサリ礫を含むことに加え、風成層上端から90cm以内にAT,DKP,Aso-4を確認しその下位に数mの風成ローム層を挟んで、温暖期を特徴付けると考えられる古赤色土(松井・加藤 1962)が存在することから,本面の形成を下末吉期より大きく遡ると考えた。本研究でも東京電力株式会社(2008)の見解を支持する結果が得られ本面をH1面に対比した。<br> 研究地域全域に広く分布するM1面の分布高度から地殻変動の傾向を明らかにした。M1面の旧汀線及び分布高度は、柏崎平野付近において約20mで南西に向かって高度を増大し、青海川付近で約50m、笠島付近で45mと概して北東へ傾動する傾向を示すことがわかった。<br> 周辺に分布する活断層の活動が,段丘の形成や高度分布に影響すると仮定し、Okada(1992)のディスロケーションモデルに基づき活断層の地殻変動量をモデルを用いて計算した。またF&minus;B断層に関しては、国土地理院が公開している新潟県中越沖地震時の地殻変動データを参考にした。その結果、米山海岸地域の北東への傾動は、上越沖に分布するF&minus;D断層の活動による南西側の大きな隆起による効果と,F&minus;B断層の活動による北東側の沈降が大きく寄与すると考えられる。一方、ひずみ集中帯の重点調査研究による地殻構造調査では、高田平野東縁断層最北部では上端の深さは約3kmの東傾斜の断層が地下に認められている。この断層がより北東方向へ伸びるとすれば、米山海岸地域の傾動に寄与する可能性がある。 &nbsp;<br><br> 参考文献 <br>Okada 1992.<i>BSSA </i>82:1018-1040.大竹ほか編 2002『日本海東縁の活断層と地震テクトニクス』.岸ほか 1996.第四紀研究135:1-16.原子力・安全保安委員会 2009.東電柏崎刈羽原発敷地周辺の地質・地質構造に関わる報告書. 小池・町田編 2001.『海成段丘アトラス』.地震調査研究推進本部2009a.高田平野東縁断層帯の長期評価について:1-31.鈴木 2001.第四紀研究40:29-41.東京電力株式会社 2008.東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所 敷地周辺の地質・地質構造に関わる補足説明:1-14.ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究プロジェクト『平成23年度成果報告書』.松井・加藤 1962第四紀研究 2:161-179. 渡辺ほか 1964.地質学雑誌70:409.渡辺ほか 2002.国土地理院技術資料 D・1-No. 396. Zeuner 1959.<i>The Pleistocene Period </i>:447 Hutchins <br>
著者
濱生 和加子 青木 克 清水 唯男 内田 貴久
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.403-410, 2000

目的: 特発性顔面手掌多汗症 (多汗症) 患者の心理特性と, 胸腔鏡下交感神経遮断術 (ETS) 後の患者の心理状態を調査し, ETS治療の有効性を検討する。方法: 多汗症患者を対象に, TEG (東大式エゴグラム・第2版), POMS (気分プロフィール検査), MMPI (ミネソタ多面的人格検査) をETS前に施行し3カ月以降に同心理検査とアンケート調査を行なった. 結果: TEGより, 多汗症患者は依存的, 消極的タイプが多いといえるが, 不適応的自我パターンが多いとはいえず, 術後は特に女性で適応的自我パターンに変化した. POMSでは, 多汗症患者に感情的問題が多いとはいえず, 術後に特に男性で気分状態は改善した. MMPIでは,「精神衰弱性」,「偏執性」,「抑うつ性」尺度に高得点を示す症例が多かったが, 術後は減少傾向を示した. 術後アンケートでは, 代償性発汗は全例にみられ, 約40%の患者が日常生活への支障を訴えたが, ETSを受けた患者の約95%は手術治療に対し満足感を表明した. 結論: ETS後, 多汗症患者の自我状態は自己肯定的に変化し, 気分状態も改善するが, 手術適応には, その患者が代償性発汗を受容できるかどうかの見極めが問題となる.
著者
澤井 清 清水 勝嘉
出版者
特定非営利活動法人 日本医学図書館協会
雑誌
医学図書館 (ISSN:04452429)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.123-129, 1978

本稿は, 開国後の来日宣教医および来日アメリカ人医師の第1号であるヘボンが本国に送った書簡を中心に, 彼が行った救療事業について述べたものである。ヘボンが行った救療事業は, キリスト教宣教の手段であった。ヘボンは1861年4月から9月までの神奈川宗興寺における6ヶ月間と, さらに1862年12月に横浜の居留地39番に居を移してから1879年春までの合計18年間, 救療事業を行った。ヘボンの書簡の中に記されている内容は幕末・維新期にかけてのわが国の民衆の疾病状況あるいはヘボン自身が行った手術などを詳細に知らせてくれる。ヘボンの行った救療事業は完全無料であり, 当時わが国に欠けていた社会事業を補完するものと考えてよい。
著者
八木 修 清水 駿平
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, pp.74-78, 1995-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

塩化物イオソを含まない,高純度な水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を合成した.オートクレープを用いトリメチルアミンと炭酸ジメチルをメタノール中で反応させ,炭酸テトラメチルアンモニウムメチルを得た.この場合,トリメチルアミンと炭酸ジメチルとのモル比を2としたが,炭酸塩は得られず,1対1付加物である炭酸メチル塩が得られた.この炭酸メチル塩を加水分解し,炭酸水素塩を得た.更にこの炭酸水素塩を,陽イオン交換膜を配した電解層を用いて電気分解し,目的の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を効率良く得た.炭酸水素塩を電気分解した場合,他の塩類,例えばギ酸硫酸,塩化物を電気分解した場合と比べて,電流効率の低下という現象は見られず,効率良く電解生成物が得られた.このような電流効率が良い理由として,炭酸水素塩の場合,他の塩類と異なり,陽極液中に酸性物質が蓄積されないためである,と推察した.このようにして得られた水溶液中の金属イオン濃度は,すべて10ppb以下であった.また,炭酸塩の濃度は10ppm以下であった.
著者
高清水 康博 岡 孝雄
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.Supplement, pp.S65-S79, 2007 (Released:2009-01-27)
参考文献数
92

この見学旅行では,褐炭層を挟む地層で特徴づけられる十勝平野の下部更新統を観察する.とりわけ,芽登凝灰岩を鍵層としてその上下の堆積物の層相変化を観察する.ここで観察する地層は堆積学的解析から,後背湿地,潮汐干潟,内湾,バリアー,海浜-外浜環境で形成されたものである.露頭から不攪乱試料を採取し,室内透水試験を行った結果,堆積相と透水性に関連性があることが分かってきた.これらのことを合わせて十勝平野の下部更新統の堆積相と地下水帯水層として見た場合の評価を考える.
著者
假野 隆司 土方 康世 清水 正彦 河田 佳代子 日笠 久美 後山 尚久
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.699-705, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

妊娠12週以内の初期流産を3回以上繰り返した,ANA,抗カルジオリピン抗体(ACA IgG, IgM)陽性習慣流産87例に柴苓湯療法を行い,抗体価(量)の推移を検討した。この結果,妊娠例(49例)の流産阻止率は63.3%,ANA陽性例(32例)の流産阻止率は65.6%,ACA IgG, IgM(fetal calf serum使用ELISA法)陽性(29例)は65.5%,両抗体陽性例(12例)は75.0%であった。ANAに対しては有意な低下作用は認められなかったが,ACA IgMに対しては有意な低下作用が認められた。文献的に柴苓湯の有効作用はTh1/Th2サイトカインバランス調整作用による液性免疫の抑制作用によると推察された。しかし,ACAが低下しなかった二生児獲得例が存在する事実から,構成生薬の人参,茯苓による低用量アスピリン療法と同様な血小板凝集抑制作用,さらに茯苓,蒼朮,沢瀉,猪苓による利水作用なども流産を阻止に関与していると推察された。