著者
渡邉 瑞也 北村 高之 藤田 修英 鈴木 皓晴 杉山 夏来 清水 勇三郎 徳川 城治 中尾 保秋 山本 拓史
出版者
一般社団法人 日本脳神経外傷学会
雑誌
神経外傷 (ISSN:24343900)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.37-40, 2016-08-10 (Released:2020-04-27)
参考文献数
16

A patient over 60 years old who had suffered gunshot wound to the head was transported to our hospital by emergency medical helicopter service. Computed tomography (CT) revealed the bullet had entered from the right parietal region, penetrated the brain, and lodged in the left parietal bone, leaving numerous bone and metal fragments scat-tered within the brain. Acute subdural hematoma (ASDH) on the left side had caused midline shift. Emergency decompressive craniectomy was performed to remove the hematoma and extract the bullet. Acute brain swelling occurred during dural closure, so evacuation of the necrotic brain and extensive duroplasty with artificial dura were also performed. Unfortunately, the patient died of central herniation the day after surgery. As gun ownership is strictly regulated under the Firearms and Swords Law, gunshot wounds are extremely rare in Japan. In particular, treatment of gunshot wounds to the head is hardly ever experienced. ASDH is rare after gunshot wound to the head, with only one case on the entry side, but the present case occurred on the opposite side to the point of entry. In general, ASDH is caused by tearing of the bridging veins in the subdural space and/or bleeding from the contusional brain. In the present case, the subdural hematoma on the opposite side to the point of entry was caused by continuous bleeding from the left parietal bone fracture extending into the subdural space through the dura tear.Knowledge of the treatment of patients with gunshot wounds to the head may become more important in the future in Japan. We report this case along with a review of the pertinent literature.
著者
清水 聡
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.5-16, 2021 (Released:2021-03-15)

本稿では、1968 年のチェコスロヴァキアにおける政治危機の原因について、「ソ連・東欧圏」の経済改革と 1960 年代のドイツ政治外交に焦点を当てて分析した。 1968 年の危機は、約 10 年間におよぶ「ソ連・東欧圏」における経済改革の結果であった。経済改革は度重なる抵抗を受けた。経済相互援助会議(コメコン)の機構改革においては国益をめぐる論争が激化し、国内経済改革の過程においても保守派による抵抗が繰り返された。 この結果、チェコスロヴァキアでは政治改革の気運が高まり、「プラハの春」が開始された。しかし、チェコスロヴァキアへの接近を模索する西ドイツが「プラハの春」の展開に影響を与え、民主化運動は急進化した。当初、チェコスロヴァキアにおける経済改革に理解を示した東ドイツのウルブリヒトは、チェコスロヴァキアと西ドイツとが接近するシナリオを警戒し、軍事介入を支持する決断へと至った。ワルシャワ条約機構軍による軍事介入により「プラハの春」は終焉し、それとともに、「ソ連・東欧圏」では「統制」に基づく体制が強化された。こうして、「プラハの春」に対する軍事介入は、冷戦史における転換点の 1 つとなった。
著者
清水 学
出版者
追手門学院大学
雑誌
追手門学院大学人間学部紀要 (ISSN:13418084)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.57-77, 1997-07-01

日常生活の社会学 / 考現学 / 限界芸術 / 超芸術トマソン
著者
梅田 綾子 清水 悦郎
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.136, pp.152-159, 2017 (Released:2017-07-01)
参考文献数
19

Certain types of automation technology for navigation supporting is widely accepted in maritime industries. Furthermore, interest in autonomous ship operation has been growing from the view point of safety requirement. Tokyo University of Marine Science And Technology (TUMSAT) has developed a semi-autonomous ship which is operated remotely using long range Wi-Fi and can autonomously operate under conditions of wireless link disconnect. Throughout the development and operation planning process, discussions have been held between TUMSAT and government authorities relating to the establishment of laws and regulations to govern the operation of remotely controlled and autonomous marine vessels. In this paper, case studies and legal issues to be solved by collaboration of legal and engineering are presented.
著者
海部 陽介 金子 剛 清水 大輔 矢野 航 西村 剛
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

ヒト(<i>Homo sapiens</i>)はその脳サイズから予測されるよりも11ヶ月早く、未熟な状態の赤ん坊を産む。この現象は生理的早産と呼ばれ、ヒトの新生児が出生後しばらく未熟な状態で胎生期の脳発育スピードを維持し、大きな脳を成長させる現象(二次的晩成)と関連している。つまり生理的早産は、ヒトにおける脳進化と直接関連するライフヒストリー上の重要なイベントである。<br> ヒトは直立二足歩行をするため骨盤幅と産道が狭いが、一方で脳を大きく成長させる強い淘汰圧を受けたために、生理的早産および二次的晩成が進化したと考えられている。つまり胎児の脳が大きくなりすぎて産道の通過が不可能になる前に、未熟な状態の赤ん坊を分娩するのである。人類史における生理的早産の起源を探求するため、これまで化石から新生児の脳サイズや母親の産道サイズを推定する試みがなされてきた。しかし不完全な化石の復元や年齢推定の誤差、身体サイズの個人差といった不確定要素があるために、この手法での問題解決には限界がある。本発表では、我々がホモ・フロレシエンシス(フローレス原人)の頭骨化石を研究している際に着想した、新しい研究法の可能性について論じる。<br> フロレシエンシスのタイプ標本の頭骨に認められた変形性斜頭(deformational plagiocephaly:DP)は、現代人にしばしば認められる頭骨変形の一形態で、新生児の頭骨が未発達で柔らかいため、頸部筋群も未発達で頭の位置をうまくコントロールできない赤ん坊の頭が、就寝時に床反力によって歪むことに起因するとされる。そうであるなら、この変形は二次的晩成の進化に伴って顕現してきた可能性が高く、DPの存在は化石人類において二次的晩成が存在したかどうかを吟味する際の直接的指標となる可能性がある。
著者
上田 昌宏 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.2019-033, 2020 (Released:2020-04-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2

本研究では,受講生が主体的に論文を評価し,論文データの活用を学習できるチーム基盤型学習(team-based learning: TBL)を取り入れた授業コースにより受講生の論文評価能力が向上するかについて検証を行った.TBL 1回目と2回目の個人準備確認試験(iRAT)を比較した結果,2回目のiRATの平均点が(1回目:4.60 ± 2.11,2回目:6.49 ± 2.11,平均点の差:1.88[95%CI, 1.45–2.31])向上した.アンケートの単純集計から,受講生はチーム議論よりも試験解説で論文内容を理解できたと評価し,EBMの理解においては応用課題演習が重要であると評価していることが示された.さらに,因子分析とiRATの結果から,論文を理解できたと自己評価した受講者はiRATの得点が高い傾向にあった.以上のことから,TBLを取り入れた論文評価学習コースは,EBM実践に必要な論文評価能力の向上に寄与することが明らかとなった.
著者
清水 茂雄
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-121, 2021-05-27

本論文(「その2」)において,『古事記の言象学的構造』と題される論文の第2章の全体が展開される.「第2章」では,『古事記』の「火の神(ヒノヤギハヤヲノ神)」誕生から三貴子と言われる「アマテラス大御神」・「ツクヨミノ命」・「スサノオノ命(タケハヤスサノヲノ命)」誕生までの言象学的文法論的解明を行う.これらの神々の系譜の底辺には,述語が「主語の述語」に「成る」ことを開始してから,動詞に至るまでの言象学的文法論的プロセスが横たわっている.述語は自身の生まれ故郷の村(「始原の言葉」の領域)から出て行き,そこからの呼びかけの声(イザナミ)を振り切って(イザナキのイザナミからの離別)都会へと去る.述語が至った都会が,言象学的文法論的には,「論理的領域(「有るものが有る」の世界)」と言われるところ,いわゆる「この世」である.ここに,述語の生まれ故郷の村は,秘密に閉ざされて「無」となってしまい,有と無の論理的対立と「生と死」からなる生命の世界が生起する.
著者
清水 邦夫
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.127-150, 2008-01-31 (Released:2017-05-01)
参考文献数
61
被引用文献数
1

方向統計学における主に2000年以降の文献に基づいて本分野の発展を概観する.円周上および球,トーラス,シリンダー,円盤上の分布の生成と応用例について述べる.その他,回帰と確率過程,推定と検定,ソフトウェアの現状について報告する.
著者
柏原 考爾 室田 真男 清水 康敬
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.173-180, 1999-11-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The relationship between the strength (or duration) of physical exercise and a measure of mathematical ability (the calculating score) was examined. verified that the calculating score in the case of exercise (80W, 10minutes) was higher than that in the case of no exercise. It was found that the calculating score went up when the strength of physical exercise was modest (physical exercise of 5, 10 and 15 minutes), but the score went down when the strength was excessive. Next the relationship between the duration of physical exercise and the calculating score was investigated. It was shown that the strength of five minutes of exercise, where the calculating score became highest, was stronger than that of ten or fifteen minutes of exercise. The relationship between the heart rate and the calculating score was also shown.
著者
吉井 清水
出版者
Okayama Medical Association
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.879-903, 1958-03-31 (Released:2009-03-30)
参考文献数
17

1. The author has made researches, in summer, autumn and winter, of the quantitative variation, following the time after death, of the non-protein nitrogen in bones and cartilages, and the anorganic phosphoric, sulphuric and nitric acid in brains, lungs, livers, kidneys and spleens of rabbits.2. Each quantities of the non-protein nitrogen in bones and cartilages increase following the time for a certain period after death. The quantities of the anorganic acids in these five organs increase similarly following the time after death, and then decrease after a certain period.3. The author has proved that the disintegration of dead bodies is more speedy 8-11 times in summer and 3-4 times in autumn than in winter.
著者
清水 純子 伊藤 明子 山本 洋子 伊藤 雅章 本間 香 橋本 明彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.114, no.7, pp.1277-1282, 2004-06-20 (Released:2014-12-13)

1993~2002年の10年間に新潟大学医学部附属病院皮膚科で組織学的に扁平苔癬と診断し,経過を観察した症例のうち,薬剤性を除く78症例を集計した.合併疾患,C型肝炎ウイルスとの関連,金属試薬貼布試験結果や歯科金属除去の有効性を検討した.抗HCV抗体陽性率は15.4%(78例中12例)で高い傾向がみられた.口腔内病変を有する症例は64例であった.そのうち,貼布試験を施行した症例は40例で,何らかの金属試薬に陽性を示した症例は55.0%(40例中22例),さらに,歯科修復物に陽性金属含有が確認された症例数は15例,歯科金属除去有効率は77.8%(9例中7例)であった.その他,粘膜疹に接している部位の金属修復物を除去した後に粘膜疹が改善した症例が6例あり,歯科金属が非アレルギーの機序で関与する可能性も考えられた.以上より,扁平苔癬の原因ないし増悪因子として,歯科金属による接触アレルギーないし局所刺激性が重要と考えた.
著者
府川 哲夫 清水 時彦
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
no.13, pp.37-49, 1990-05-30

都道府県別生命表の作成は,かなり以前から行われており,厚生省統計情報部でも昭和40年から5年ごとに作成している。これに対し,市区町村別生命表は,死亡数の少ない小地域で観察される死亡率の不安定性という困難な問題のため,あまり研究が進んでいない。しかし,このような小地域における死亡率の推定には,ベイズ統計学が強力な手法となることが明らかにされてきている。「地域別生命表に関する研究班」(主任研究者:鈴木雪夫 多摩大学教授・東京大学名誉教授)では,小地域生命表の作成にベイズ統計学の手法を適用して1989年3月に「1985年市区町村別生命表」を発表した。本論文では,上記研究班での研究をもとに,ベイズ統計学の手法を生命表作成に適用する際の方法論を,伝統的統計学の手法との比較を含めて検討し,ベイズ統計学を用いた効果を論じ,結果として得られた市区町村別平均寿命を用いて死亡水準に関する若干の地域分析を行った。市区町村別生命表における性・年齢階級別中央死亡率の推定は,当該市区町村を含むより広い地域の死亡率の情報を利用するという形でベイズ統計学の手法を適用している。この方法は,ある市区町村の死亡率の推定において,その市区町村を含むより広い地域の死亡率を当該市区町村における観測結果により補整するという点できわめて自然なものであるといえる。このため,性・年齢階級別の推定死亡率は安定し,その結果,ほとんど全ての市区町村で平均寿命に対する標準誤差が0.5年以内に収まることがわかった。北海道の全市区町村を例に,ベイズ統計学の手法を適用した場合と適用しない場合の,女の平均寿命に対する標準誤差を比較してみると,全ての市区町村でベイズ統計学の手法を適用した場合の方が精度がよく,特に人口規模の小さい市町村においてその効果が顕著であることがいえる。市区町村別生命表の結果を用いて地域の死亡率の特徴を考察すると, (1)長野,岐阜,静岡の3県は男の平均寿命が高い市町村が多いが,男の90歳以上の死亡率は全国平均値より高い, (2)有明海沿岸の市町村は男女とも比較的平均寿命が高いが,特に女の80歳以上の死亡率はきわだって低い,等のことがわかった。このように,市区町村別生命表の結果を用いて,従来観察できなかった小地域の死亡水準に関する分析が可能となった。
著者
木下 淳 山田 勉 安原 智久 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2021-012, 2021 (Released:2021-06-09)
参考文献数
19

これまでの薬学教育研究の成果の多くは,大学単位で実施された研究成果に基づくものであり,測定方法や評価基準が大学ごとに異なることから,複数の研究成果を比較検討することが困難である.本プロジェクトでは,薬剤師に求められる基本的資質のうち「コミュニケーション能力」について,学習成果の測定方法および評価基準の統一化と大学間での測定結果の比較,さらには各大学における研究成果を用いたコンピテンシーへの到達度に関するメタアナリシスおよびシステマティック・レビューの作成を目指している.この総説では,オーガナイザーからシンポジウム開催の経緯を述べたのち,シンポジストより教育や内部質保証における「測定と評価」の意義と要点,教育を支えるメタアナリシスを目指す意義について述べたうえで,シンポジウム当日の議論について読者と共有したい.