著者
佐藤 忠雄 清水 雅子 渡辺 一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.585-586, 1956-09-20

においのある物質の溶液,たとえばサルバルサン,カンフル,ビタミンB1等の溶液を鼻からかいでみると,それぞれ特有のにおいを感じる。これは即ち鼻性(呼吸性)嗅覚である。一方これらの溶液を静脈内に注射すると7〜8秒後に同様ににおいを感じ,しかも鼻からかぐ場合よりもより強く感じることは既に知られているところである。静脈注射によつてどうして嗅覚が起るかというと,これらの物質のにおいが気道(主として肺)から放散され,これが呼気に混じて主として後鼻孔から鼻腔に送られ嗅神経末梢を刺戟するために嗅覚を起すと考えるのが常識的な考え方である。このことについては既に1916年にForschhei—merがネオ・サルバルサンを静注すると,注射されたサルバルサンのにおいが呼気に混じて出て,来て,これによつて嗅覚が惹起されると述べている。ところが1930年にBedntär, Langfelder等は静脈注射によつて起る嗅覚は,静脈内に注射されたにおいのある物質—嗅素—が血行中で直接に嗅神経末梢に到達しこれを刺戟するために起るものであるという説を提唱した。彼等はこれを血行性嗅覚(或は静脈内性嗅覚)と呼び,従来考えられている嗅覚,即ち呼吸性(或は鼻性)嗅覚とは全然別に存在するものであると主張した。1938年,石川はこれを追試して両氏の説に賛成し,嗅覚は鼻性と血行性の二つに大別しうるということを述べている。我々は嗅覚障碍の治療法として水溶性カンフル(ガダミン)の静脈注射療法を試みた際,たまたまこの血行性嗅覚の存在について疑念を抱いたので,これを検討した結果,血行性嗅覚なるものは存在せず,所謂血行性嗅覚と考えられたものは普通の鼻性(呼吸性)嗅覚にほかならぬという結論に達したのでここに報告し,諸賢の御批判を仰ぎたいと思う。 Bednär, Langbelder等が血行性嗅覚の存在を主張する根拠は何処にあるかというと,それは彼等の行つた次の如き実験の結果によるものである。即ち彼等は被検者として嗅覚正常なものを選び,鼻腔に流動パラフィンを浸したタンポンを施し,先づ鼻性嗅覚の存在しないことを確かめたのちネオ・サルバルサン溶液,カンフル溶液,再餾テレピン油等を静注すると,それぞれ特有の嗅感覚を認識した。従つてこの際起る嗅覚は鼻性(呼吸性)嗅覚とは無関係の全く別種の嗅覚であつて,これは血行性に直接嗅神経末梢部に到達して起る嗅覚であるから血行性嗅覚であると考えたのである。しかしこの実験では完全に鼻性(呼吸性)嗅覚を除外したとは言えないのである。何故ならば,鼻腔はタンポンによつて遮断されているから,呼気の大部分は口から出るけれども,その一部が後鼻孔から入つて鼻腔の後部から上昇し嗅神部に到達しないとは断言出来ないからである。(嗅神部の全部をタンポンガーゼで覆うことは不可能である)従つて,鼻腔にタンポンを施して鼻呼吸を遮断しておいてもなおかつ嗅覚が起るからこれは血行性の嗅覚であると断定するのは早計であるといわざるを得ない。そこで我々はもつと完全に鼻呼吸を除外してもなおかつ嗅覚(所謂血行性嗅覚)が起るか否かについて実験した。
著者
清水 琢音
出版者
麻布大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2021-04-28

プリオン病では神経変性が急激に進行する。しかしながら神経変性のメカニズムはわかっておらず、致死的疾患である。我々は、神経細胞において分泌系タンパク質であるプリオンタンパク質のミトコンドリアへの異所性の局在が、ミトコンドリアの細胞膜へ向かう順方向の移動を阻害して核周囲の集積を引き起こすことを見出した。神経細胞におけるミトコンドリアの核周囲への集積は神経末端におけるATPの供給不全を起こすため、神経細胞の機能不全に直結する。そこで本研究は、この現象がプリオン病における神経変性の大きな原因であると考え、この分子機構を明らかにすることを目的とする。
著者
清水 創一郎 佐藤 賢 伊藤 健太 喜多 碧 相原 幸祐 舘山 夢生 阿部 貴紘 柴崎 充彦 山崎 節生 深井 泰守 飯塚 賢一 滝澤 大地 新井 弘隆 井出 宗則 浦岡 俊夫
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.530-537, 2022-12-01 (Released:2022-12-12)
参考文献数
35
被引用文献数
1

COVID-19に対するワクチンが開発され,感染抑制や重症化防止に大きく貢献している.その一方で副反応も生じ,肝障害の報告も世界で散見されつつある.ワクチンによる肝障害のメカニズムは,自己免疫性機序などの報告があるものの,不明な点が多いのが現状である.今回,1回目のワクチン接種後に肝障害を来し,2回目のワクチン接種で更に肝障害が悪化し,ワクチンによる因果関係を強く疑い,ワクチンによる薬物性肝障害と診断した10代の女性の症例を経験した.本邦におけるCOVID-19に対するワクチンによる肝障害の報告はあるも,論文化された報告は1例もなく,貴重な症例と考えここに報告する.
著者
西野 義則 田村 進一 清水 裕一
出版者
一般社団法人 GPI標準化委員会
雑誌
GPI Journal (ISSN:21893373)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.249-254, 2018 (Released:2019-02-15)
参考文献数
9

Nuclear waste treating is based on the original thinking that stratum convection by the motion of the moon and the earth as seen from the universe, because of need to be tens of thousands of years thinking. In addition, one million years corpse of a previously deposited on the seabed organisms dived underground at the crustal movement. Then, there exist anywhere fossil fuels as the oil and gas by microbial degradation under high temperature and high pressure earth, and low-density gas is also enclosed underground without leaving. Nuclear waste disposal which take advantage of these natural phenomena is required. First, the treatment plant is in the field that requires a study of the re-engineering geophysical, and a natural phenomenon resulting from the features of the formation of crustal movement should be used as treatment plant of the nuclear waste.
著者
高野 海斗 岡田 知樹 清水 裕介 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3K4GS1003, 2022 (Released:2022-07-11)

有価証券報告書には,企業の業績や事業リスク,ESG活動などの様々な情報が記載されており,先行研究では投資判断に有益な情報として,業績要因文をテキストマイニングするモデルが提案されている.上記情報以外にも有価証券報告書には「配当政策」に関する記述が存在し,配当の基本方針や今年度の配当金に関してだけでなく,将来の配当方針や配当性向に関して記載がある.また将来の配当政策のうち増配に関する記述は公表後に株価の上昇をもたらすことが知られており,投資判断に有益な情報である.したがって,将来の配当は専門知識を持ったアナリストが様々な情報をもとに予測を行っているが,人手が限られているため大企業を中心に行われている.そこで,本研究では有価証券報告書の配当政策にどのようなことが記述されているかを調査し,将来の配当を予測するのに有効なテキストの自動抽出を試みた.その結果,本研究で作成した学習データを用いることで,高い精度で将来の配当政策に関する記述を抽出できた.これにより将来の配当政策に関する情報が効率的に自動抽出でき,新しい投資判断基準や投資戦略の構築などへの応用が期待できる.
著者
清水 渉 大江 透 金子 敬子 高木 洋 相原 直彦 鎌倉 史郎 松久 茂久雄 佐藤 磐男 下村 克朗
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.773-778, 1988-11-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
17
被引用文献数
3 1

同一心電図上でデルタ波の出現と消失を認める間歇性WPW症候群35例の臨床電気生理学的特徴を検討した.心房早期刺激法による房室伝導曲線パターンは一様でなく, 顕在性WPW症候群に類似するもの (I群) , 基本周期でデルタ波を認め, 早期刺激で一旦デルタ波が消失するが, さらに短くすると再び出現し, 最後に再び消失するもの (II群) , 潜在性WPW症候群に類似するもの (III群) , 基本周期でデルタ波を認めないが, 早期刺激でデルタ波が出現し, 最後に再び消失するもの (IV群) の4群に分類された.顕在性WPW症候群類似のI群や, いわゆるsupernormal conductionを認めたII, IV群の副伝導路順行性の有効不応期は長かった.III群は電気生理学的検査後にデルタ波の出現と消失を認めた症例もあり, 潜在性WPW症候群との関連については今後の検討が必要と思われた.以上の電気生理学的特徴がどのように臨床上のデルタ波の出現と消失に関与するかは今後さらに検討を要する問題である.
著者
清水 惠子 松原 和夫 浅利 優
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

医薬品の犯罪への使用は、目的外使用であるから、刑事裁判の審理に必要な医薬品のデータは整備されてない。ベンゾジアゼピン系薬物が犯罪に使用される場合を想定した、薬剤の飲料への溶解試験と、投与後の一見大胆に見える被害者の行動解析を動物実験により検証した。
著者
清水 邦彦
出版者
金沢大学地域連携推進センター
雑誌
金沢大学サテライト・プラザミニ講演
巻号頁・発行日
2009-05-17

金沢大学人間社会研究域人間科学系
著者
清水 一彦
出版者
日本教育行政学会
雑誌
日本教育行政学会年報 (ISSN:09198393)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.25-37, 1994-10-01 (Released:2018-01-09)
被引用文献数
1

This paper aims to clarify the present situation and problems of university reform and to predict the transfiguration of universities in Japan. The Standards for the Establishment of Universities in Japan was broadened and simplified in July 1991. At the same time, a system of self-monitoring and self-evaluation was introduced. In response to the revision, each university is currently carrying out its own curriculum improvement and preparation of a self-evaluation system. In this paper the author discusses the most characteristic aspects of this university reform. These are as follows: 1. Improvement of the content and methods of education 2. Flexibility of the credit system 3. Reorganization of colleges of general education 4. Introduction of self-monitoring and self-evaluation 5. Priority policy regarding graduate schools Considering the actual situations of these reforms in Japanese universities, the author points out the diversification of universities as a future direction and the essential need to change faculty recognition as well as to promote so-called FD (Faculty Development) activities in conducting university reform successfully.
著者
清水 健吾 上垣 貴嗣 菊池 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 94回 (2022/3) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.06, 2022-02-25 (Released:2022-02-25)

雑談対話システムがユーザに「また対話したい」と思わせるための方法として,特定のキャラクタらしさをシステム応答に付与する方法が考えられる.本研究は,強化学習を用いてニューラル対話生成モデルをfine-tuningすることで,特定のキャラクタらしい雑談応答を生成する対話生成モデルを提案する.Fine-tuningの際に,特定のキャラクタらしさを持つ独立した発話データのみを必要とし,対話形式のデータを必要としない点で既存研究と大きく異なる.評価実験では,被験者に提案手法による対話システムとチャットアプリ上で数ターンの対話を行ってもらった.評価実験の結果,提案手法による対話システムが,ユーザに特定のキャラクタらしさの印象を与え,「また対話したい」と思わせる効果を持つことを確認した.
著者
村岡 秀映 清水 貴史 玉置 昌孝
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.48-55, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
13

In clinical practice, lateral weight shift to one leg in the standing position and trunk anterior tilt movement in the standing position are sometimes recommended for patients for whom movement in the standing position is difficult. It was found that postural changes of the lower limbs affect the activities of lower limb muscles. Because of this finding, it has become necessary to clarify the influence of postural changes on hip muscles. In this paper, we determined the activities of hip extensor muscles when lateral weight shift to one leg in the standing position and trunk anterior tilt movement in the standing position are recommended.
著者
清水 伸泰
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.1-8, 2021 (Released:2022-07-26)

ヤスデの防御分泌物は古くから化学生態学の研究対象とされ,化学構造に関するデータは蓄積されている.本稿で はそれら多様な防御分泌物が,分類上の目レベルである程度体系付けられることを述べた.新しい話題として,防御 物質の生合成に関わる酵素に産業上,重要な利用法が見出されたり,捕食者に対する化学防衛の手段と考えられたりしていた防御分泌物が,新たなタイプのアレロケミクスとして作用することなどを解説した.その一方で,天然物化 学としてはアルカロイドを中心に新たな防御物質が一部で発見されているものの,ヤスデ全体から見ると防御分泌物 に関する研究は円熟期を迎えている.今後は防御分泌物を介した生物間相互作用に加えて,これまで未解明である種 内における化学的なコミュニケーションに関する研究が進展することを期待する.
著者
高木 基宏 藤井 寛 清水 淳
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会冬季大会講演予稿集 2012 (ISSN:13434357)
巻号頁・発行日
pp.4-5-1, 2012-12-18 (Released:2017-06-05)

We proposed a new subjective video quality estimation method. Our method does not need to encode video except that a few videos encoding to estimate a relationship between bitrate and quantization parameter.
著者
枝 伸彦 伊藤 大永 清水 和弘 赤間 高雄
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.28-37, 2019-12-17 (Released:2019-12-17)
参考文献数
34

本研究では,エッセンシャルオイルを用いた香り刺激が安静時の口腔内免疫能および心理状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。健康な成人男性16名を対象として,30分間の香り刺激の前後および30分後に口腔内免疫能,自律神経活動,心理ストレス指標を測定した。ベルガモット,ラベンダー,レモンの3種類のエッセンシャルオイルを用いて,噴霧量の強弱に分けた6試行とコントロール試行の合計7試行をランダム化クロスオーバーデザインにて実施した。その結果,ベルガモット「弱」試行にて,香り刺激の30分後に唾液中の分泌型免疫グロブリンA(secretory immunoglobulin A; SIgA)分泌速度の有意な増加がみられた。コルチゾール濃度については,ベルガモット「弱」試行,ベルガモット「強」試行,レモン「弱」試行において有意に低下することが確認された。また,いずれの試行においても心理状態は有意な改善を示し,特にレモン精油の香り刺激は総合的な気分状態を改善することが明らかとなった。したがって,ベルガモット精油は免疫機能とストレスホルモンに有益な効果を示し,総合的な気分状態の改善にはレモン精油が有効であることが示唆された。
著者
清水 潤
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.537-542, 2020 (Released:2021-05-27)
参考文献数
20

The idiopathic inflammatory myopathies (IIMs, also known as myositis) are a heterogeneous group of autoimmune disorders involving skeletal muscle. IIMs are mainly characterized with associated clinical complications, pathological findings, and myositis autoantibodies. It has been known that about 70 percent of patients have myositis autoantibodies ; myositis–specific autoantibodies (MSAs) or myositis–associated autoantibodies (MAAs). Because a number of MSAs/MAAs correlate with specific clinical features of patients with IIMs, and only one of MSAs is detected in individual patients, it is presumed that autoantibodies or their target molecules correlate with underlying pathomechanisms of IIMs.For the treatment of IIM, high–dose oral corticosteroid therapy is used for the first–line therapy mainly based on experience. As second–line therapies, immunosuppressants are used as steroid–sparing agents or when the disease is refractory. Intravenous immunoglobulin therapy is considered in the patients who failed to respond to first–line therapy. Therefore, at present, most of the immunotherapies applied to IIMs patients are nonspecific in spite of heterogeneity of underlying pathological mechanisms. Currently, numerous synthetic and biological immunosuppressive agents are available to treat rheumatic diseases including IIMs. To develop more specific therapies targeting underlying pathogenic pathways, further studies on better classification of IIMs and further therapeutic studies on subsets of classified IIM patients should be necessary.
著者
山本 敏之 濱田 康平 清水 加奈子 小林 庸子
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.207-214, 2009-12-31 (Released:2020-06-28)
参考文献数
13

【目的】入院中の統合失調症患者の窒息リスクを評価するために,摂食・嚥下状況を調査し,窒息の既往がある患者に有意な内容を同定した.統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング法を考案した.【対象と方法】統合失調症患者の摂食・嚥下状況に関する13 の質問で構成された摂食・嚥下評価表を作成した.看護師が評価表を使って入院中の統合失調症患者98 人を評価した.診療録から対象の窒息の既往を調査し,窒息の既往の有無で2 群に分類した.評価表で得られた回答を2 群で比較した.判別分析によって,統合失調症患者の窒息の既往の判定に寄与する質問を同定した.統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング法を作成した.【結果】窒息の既往がある患者は4 人,窒息の既往がない患者は94 人であった.窒息の既往がある統合失調症患者に有意に多かった回答は,「義歯が必要であるが使用していない」 (p=0.03),「ほとんど丸飲みする」(p<0.01),「今までに盗食や隠れ食べがある」 (p<0.01),「飲み込みが改善した」 (p=0.03) であった.窒息の既往がある患者に有意に少なかったのは,「口に食物をためたままなかなか飲み込まない」 (p<0.01) であった.判別分析から作成したスクリーニング法は,「ほとんど丸飲みする:+ 1 点」「今までに盗食や隠れ食べがある:+ 1 点」「飲み込みが改善した:+ 2 点」で構成され,3 つの項目の合計が2 点以上のとき窒息のリスクが高いと判定した.このスクリーニング法は判別率92.9%,敏感度100%,特異度92.6% であった.【結論】統合失調症患者の窒息の背景には,摂食動作の異常や精神疾患による異常行動があり,飲み込みが改善した患者で発生しやすいことが示唆された.統合失調症患者の窒息のリスクマネージメントに有用なスクリーニング法と摂食・嚥下評価表を提案した.