著者
桂 英史 田甫 律子 西條 朋行 渡辺 好明 清水 秀一 塚田 信吾 長田 謙一 山口 祥平
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

「芸術の臨床」が地域医療およびコミュニケーションとどのような関係にあるかというテーマについて、実際の臨床やアートプロジェクトの事例を通して考察した。その結果、コミットメントの前後に、参加者(患者あるいは他者)とプログラム(治療者あるいは自己)の間にある、イメージをめぐるルールの変更がメタ・コミュニケーション的に行われることがプロジェクトの必要条件となることを論じた。
著者
清水 健司 川邊 浩史 海塚 敏郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.350-362, 2008-04-01 (Released:2008-07-15)
参考文献数
39
被引用文献数
3 2 10

本研究は,青年期における対人恐怖心性–自己愛傾向2次元モデルにおける性格特性と精神的健康(心理的ストレス反応)の関連を検討することを目的としている。大学生595名を対象として対人恐怖心性–自己愛傾向2次元モデル尺度短縮版(以下,TSNS-S),心理的ストレス反応尺度,性格特性を測定する尺度であるFFPQ尺度の質問紙調査を施行した。分析1では,TSNS-Sにおける信頼性と妥当性を検討し,分析2では,対人恐怖心性と自己愛傾向の相互関係の観点から分類された5類型における性格特性と精神的健康の関連を検討した。その結果,分析1ではTSNS-Sにおけるα係数,再検査法の各信頼性係数が高い値を示し,FFPQとの相関分析の結果においても一定の構成概念妥当性を持つことが確認された。また,分析2では5類型の性格特性と精神的健康の関連性の検討から,各々の類型が持つ特徴の基礎的部分が明らかにされた。
著者
清水 雅子 田中 益司 野村 正剛 宮田 妙子 今中 宣依
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.511-514, 2014 (Released:2014-11-07)
参考文献数
12

64歳,女性.右肩関節骨折に対して保存的に加療された.画像上頸椎や肩関節に異常はないが,頸部,肩部,前胸部,背部など全身の広範囲に痛みが遷延し,非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) やプレガバリンは無効で当科を紹介受診した.血液検査の各種自己抗体は陰性で,アメリカリウマチ学会線維筋痛症分類基準を満たした.アミトリプチリンとコデインの内服で頸部から肩の痛みは軽減したが,前胸部と背部に中等度の痛みが持続した.同部位の痛みは肩の受傷以前から存在したことがわかり,右胸鎖関節部の軽度肥厚を確認した.X線,CT,MRIの骨肥厚像,骨シンチグラフィーのbull's head signからSAPHO症候群を診断した.アレンドロネートの内服を開始すると痛みは著明に低下し,線維筋痛症分類基準を満たさなくなった.初診4カ月後に足部に皮診が出現し,皮膚科で掌蹠膿疱症を診断された.本症例は初診時に皮膚症状がなく,痛みは広範で肩受傷との関連を疑われたが,詳細な診察と画像検査を行うことでSAPHO症候群を診断するに至り,薬物療法で症状の寛解を得た.
著者
田中 康夫 細井 志郎 清水 亮子 桐ヶ谷 忠司 笹尾 忠由 水野 惇雄 河村 太郎 中澤 裕之
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.323-328_1, 1997-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

薬品臭トマトの原因物質を究明するたあにトマト及びその栽培土壌を採取してGC-FPD及びGC/MSにより検討した. いずれの試料からもトルクロホスメチル (以下: TLCM) 及びTLCMの分解生成物の2,6-ジクロロ-p-クレゾール (以下: 2,6-DCPC) を検出した. その値は, 土壌でTLCMが0.02~2.2μg/g, 2,6-DCPCが0.03~0.15μg/g, トマトでTLCMが0.01~0.02μg/g, 2,6-DCPCが0.01~0.02μg/gであった. この2,6-DCPCは2,4-ジクロロフェノールと同様のフェノール臭を呈し, トマトの薬品臭の原因物質は2,6-DCPCであると推測された.
著者
清水 久央 原谷 浩司 宮崎 将行 掛樋 善明 長見 周平 片浪 雄一 川端 寛樹 高橋 信行
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.495-498, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
9

症例は38歳男性.ダニ刺咬後2ヶ月経過してから片側顔面神経麻痺を呈した.ベル麻痺としてステロイド,アシクロビルを投与し2週間で症状は消失.ライム病の可能性も考慮しドキシサイクリンなどの内服を2週間行った.2ヶ月後に頭痛,発熱などの髄膜炎症状が出現.髄液検査では単核球優位の細胞数上昇を示した.アシクロビルの投与で症状は軽快したが血清ボレリア抗体が陽性でありライム病による髄膜炎と考えた.セフトリアキソンを点滴静注し以後再発はない.抗菌薬を投与したにもかかわらず髄膜炎に進展する症例はまれである.ライム病は本邦では症例が少なく診断が難しい疾患であるが,治療効果の判断にも注意が必要であると思われ報告した.
著者
清水 まさ志
出版者
富山大学地域連携推進機構生涯学習部門
雑誌
富山大学地域連携推進機構生涯学習部門年報
巻号頁・発行日
vol.15, pp.7-14, 2013-03

二十一世紀の今もわが国で広く読まれているフランス文学作品は、おそらくたった一冊―アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『星の王子さま』だけなのではないだろうか。某インターネットショップサイトで検索してみても結果は同じである。明治期以降、日本語に訳された多くの作品もすでに訳が古び、現在の若者にはその日本語訳自体が難解となってしまっている。新訳を出版している奇特な出版社もあるが、広く読まれているとはいえないだろう。しかしフランスはノーベル文学賞受賞者がもっとも多い国であり、その文学は一国の文学であるとともに文学的世界遺産だということができるだろう。さらに近代日本文学に大きな影響を与えた翻訳作品は、日本語文学の貴重な遺産だともいえる。このまま高度経済成長期に流行った世界文学全集の一部として古紙回収業者に回されていいものであろうか。現代の日本において過去のフランス文学作品をどう読み直したらいいのか考えていきたい。
著者
清水 一彦
出版者
日本教育行政学会
雑誌
日本教育行政学会年報 (ISSN:09198393)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.25-37, 1994

This paper aims to clarify the present situation and problems of university reform and to predict the transfiguration of universities in Japan. The Standards for the Establishment of Universities in Japan was broadened and simplified in July 1991. At the same time, a system of self-monitoring and self-evaluation was introduced. In response to the revision, each university is currently carrying out its own curriculum improvement and preparation of a self-evaluation system. In this paper the author discusses the most characteristic aspects of this university reform. These are as follows: 1. Improvement of the content and methods of education 2. Flexibility of the credit system 3. Reorganization of colleges of general education 4. Introduction of self-monitoring and self-evaluation 5. Priority policy regarding graduate schools Considering the actual situations of these reforms in Japanese universities, the author points out the diversification of universities as a future direction and the essential need to change faculty recognition as well as to promote so-called FD (Faculty Development) activities in conducting university reform successfully.
著者
村本 裕二 石田 敦士 吉田 利夫 清水 教之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.576, pp.7-10, 2006-01-20
参考文献数
5

本研究ではカイワレ大根を用い、植物成長に及ぼす電界の影響について検討を行った。得られたカイワレ大根の成長長さを規格化し、そのデータを統計的検定にて評価し、電界がかいわれ大根の成長長さに及ぼす影響の有無について検討を行った。その結果、直流電界を印加した方が無いものと比べてかいわれ大根の成長が促進させることが示され、直流電界が植物成長に影響を与えることがわかった。さらに直流電界を印加する時間帯を変化させることによっても植物成長の度合いが変化することも示された。
著者
清水 克哉
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.133-139, 2010 (Released:2010-06-02)
参考文献数
35

In this article, recent advances in the fundamental and applied researches on superconductors at high pressure were reviewed. It was described how efficiently modern observation techniques and theories were combined with high pressure to get insight into the properties of solids, liquids, and gases on the molecular level and to explore new superconducting materials.
著者
上原 俊介 中川 知宏 森 丈弓 清水 かな子 大渕 憲一
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.161-173, 2012

A core relational norm regulating social interaction is the idea of responsibility for needs (RN). Assuming that anger is a signal indicating a violation of RN, we attempted to test the mediation model that the perception that one's needs are frustrated by a close other (romantic partner) would generate a perceived RN violation, which in turn would increase anger. Further, we attempted to examine whether mediation also works in relationships with friends. In a role-taking study providing participants with a series of scenarios depicting the other (either romantic partner, friend, or mere acquaintance) as responding or not responding to one's needs, we asked them to rate the intensity of anger and the perceived RN violation. The results showed that in the romantic partner condition, the frustration increased the perception of RN violation, which in turn intensified anger. Further, this mediation was also confirmed in the friend condition, suggesting that RN also operates within friend relationships.
著者
井上 啓子 清水 和栄 平賀 恵子 吉川 妙子 梅村 聡美 大瀧 香織 高橋 恵理香 徳永 千賀 古田 久美子 若山 真規子 水野 晴代 松村 香里 高井 千佳 加藤 静香 宇野 千晴 出口 香菜子 榊原 知世 高橋 宏 伊藤 恭彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.493-501, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
20

維持血液透析患者のprotein-energy wasting (PEW) の実態とPEWとの関連因子を検討した. 透析導入後6か月以上409例の合併症, 身体計測値, 血液検査, 食事摂取量を調査. 国際腎疾患栄養代謝学会による区分に従いPEWを判定し, Logistic回帰分析により関連因子を求めた. 年齢64±11歳, 透析歴8 (3~14) 年, 高血圧合併74.3%, BMI 21.1±3.4kg/m2, 血清Alb 3.7±0.3g/dL, エネルギー30±6kcal/kg IBW, たんぱく質1.01±0.22g/kg IBWであった. PEWは3項目以上該当17.1%, 年齢, 透析歴, 高血圧がPEWとの独立した背景因子であった. 食品群別摂取量との関連は, 肉類, 魚介類, 砂糖類摂取量が独立因子となった. さらにROC解析によるカットオフ値 (肉類46.7g, 魚介類41.7g, 砂糖類9.0g) 未満の摂取のオッズ比は肉類2.74 (95%CI 1.55-4.85, p=0.001), 魚介類2.04 (95%CI 1.16-3.61, p=0.014), 砂糖類1.88 (95%CI 1.05-3.37, p=0.033) であった. 通院患者の17.1%がPEWであり, 肉類, 魚介類, 砂糖類の摂取不足とPEW発症との関連が示唆された.