著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.9, pp.83-106, 2013-03

本稿は、災害史研究の基礎としての史料学的研究である。「出水一件」(旧幕府引継書)という江戸の水害記録シリーズの一部を対象とした。ここでは、水害対処という行政課題に対して、どのような文書がどのような経緯で作成・利用されたか、という問題に限定した。検討の結果、先例の蓄積およびマニュアルの策定という文書上の水害対処が行われていたことが判明した。本稿の検討の限りでは、その過程は先例集の質的向上というよりも、マニュアル策定の方向に向かったという特徴を指摘できそうである。それは、この記録が日常的行政ではなく災害対処を内容とするため、緊急性を要したからではないだろうか。マニュアルが策定されれば、蓄積され続ける先例はそのバックデータという位置づけになるのであろう。This study offers a basic research for the history of disasters from the perspective of study on historical sources. It mainly analyses documents called demizu ikken, a set of records on disasters brought by floods in early modern Japanese metropolis, Edo. It limits its scope to the enquiry of what kind of documents were created and how they were used in relation to the administrative problem of devising measures against floods. Analysis is of these documents highlights a shift in focus from accumulating the records of precedents to compiling a reference manual for flood disasters. Such a shift occurred probably because this particular set of records concerned not so much ordinary administrative routines as emergency measures against disasters which required swift responses. In this framework, the records of precedents that continued to be accumulated can be understood as back data to the reference manual.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.9, pp.83-106, 2013-03

本稿は、災害史研究の基礎としての史料学的研究である。「出水一件」(旧幕府引継書)という江戸の水害記録シリーズの一部を対象とした。ここでは、水害対処という行政課題に対して、どのような文書がどのような経緯で作成・利用されたか、という問題に限定した。検討の結果、先例の蓄積およびマニュアルの策定という文書上の水害対処が行われていたことが判明した。本稿の検討の限りでは、その過程は先例集の質的向上というよりも、マニュアル策定の方向に向かったという特徴を指摘できそうである。それは、この記録が日常的行政ではなく災害対処を内容とするため、緊急性を要したからではないだろうか。マニュアルが策定されれば、蓄積され続ける先例はそのバックデータという位置づけになるのであろう。This study offers a basic research for the history of disasters from the perspective of study on historical sources. It mainly analyses documents called demizu ikken, a set of records on disasters brought by floods in early modern Japanese metropolis, Edo. It limits its scope to the enquiry of what kind of documents were created and how they were used in relation to the administrative problem of devising measures against floods. Analysis is of these documents highlights a shift in focus from accumulating the records of precedents to compiling a reference manual for flood disasters. Such a shift occurred probably because this particular set of records concerned not so much ordinary administrative routines as emergency measures against disasters which required swift responses. In this framework, the records of precedents that continued to be accumulated can be understood as back data to the reference manual.
著者
原 耕平 河野 茂 門田 淳一 朝野 和典 平潟 洋一 前崎 繁文 中富 昌夫 浅井 貞宏 水兼 隆介 奥野 一裕 福島 喜代康 伊藤 直美 井上 祐一 小池 隆夫 大西 勝憲 大道 光秀 山田 玄 平賀 洋明 渡辺 彰 貫和 敏博 武内 健一 新妻 一直 柳瀬 賢次 友池 仁暢 中村 秀範 加藤 修一 佐田 誠 池田 英樹 板坂 美代子 荒川 正昭 和田 光一 原口 通比古 星野 重幸 五十嵐 謙一 嶋津 芳典 近 幸吉 瀬賀 弘行 関根 理 鈴木 康稔 青木 信樹 滝沢 敬夫 兼村 俊範 竹村 尚志 長尾 光修 濱島 吉男 坂本 芳雄 坂田 憲史 豊田 丈夫 大角 光彦 小林 宏行 河合 伸 酒寄 享 杉浦 宏詩 押谷 浩 島田 馨 佐野 靖之 荒井 康男 北條 貴子 小川 忠平 柴 孝也 吉田 正樹 岡田 和久 佐藤 哲夫 古田島 太 林 泉 宍戸 春美 松本 文夫 桜井 磐 小田切 繁樹 鈴木 周雄 綿貫 祐司 高橋 健一 吉池 保博 山本 俊幸 鈴木 幹三 下方 薫 川端 原 長谷川 好規 齋藤 英彦 酒井 秀造 西脇 敬祐 山本 雅史 小笠原 智彦 岩田 全充 斉藤 博 三木 文雄 成田 亘啓 三笠 桂一 二木 芳人 河端 聡 松島 敏春 副島 林造 澤江 義郎 高木 宏治 大泉 耕太郎 木下 正治 光武 良幸 川原 正士 竹田 圭介 永正 毅 宇都宮 嘉明 秋山 盛登司 真崎 宏則 渡辺 浩 那須 勝 橋本 敦郎 後藤 純 河野 宏 松倉 茂 平谷 一人 松本 亮 斎藤 厚 健山 正男 新里 敬 伊志嶺 朝彦 上地 博之 比嘉 太 仲本 敦 我謝 道弘 中島 光好
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.901-922, 1997-11-25
参考文献数
20
被引用文献数
19
著者
篠田 知和基 松村 一男 山本 節 吉田 敦彦 渡辺 浩司
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成10年よりフランス側の研究者としてグルノーブルのワルテル、シガノス、ソルボンヌのルクトゥ、アンジェのブルミエ、ブザンソンのエル、パリのポノを加えてた海外共同研究として発足し、平成11年より、制度の変更により、基盤Bとなった。共同研究としては都合4回の国際シンポジウムでの討議と、フランスでの共同調査でその実をあげた。一回目は「荒猟師の東西」と題し、ヨーロッパ中世の「荒猟師伝承」を古代にさかのぼってその起源と変遷を追求し、それと日本の怨霊伝承との接点をさぐった。このうち重要な部分がグルノーブルの研究雑誌IRISに掲載された。二回目はソルボンヌの北欧神話学の泰斗レジス・ボワイエとスイスの神話学者で「神々の母」を発表して注目をあつめているフィリップ・ボルジョ、それにインド・ヨーロッパ神話学のベルナール・セルジャンをまねいて「冥界の母神」として大母神の姿を比較検討した。三回目は「東西の老賢者」とし、ヨーロッパのアーサー王伝承におけるマーリンにみられる魔術師、あるいは世界の陰の演出者としての老人像にスポットをあてた。日本では役の行者、阿倍清明、久米仙人などのほか、サルタヒコに照明があてられた。4回目は母神にだかれた「おさな神」をとりあげ、オリエントの水辺の豊饒の女神と、犠牲神との対について考えた。わがくにではスクナヒコナ、ニニギ、あるいはオオクニヌシに幼児神の相貌が明らかだが、中世の寺院世界では稚児伝承があり、観音の奇瑞にもつらなるとともに、また、罪障と聖性の交錯する神話世界の特性もあきらかにされた。このほかに1日のみのシンポジウムを名古屋で2回、東京で一回行った。またフランスでの研究発表を5回行った
著者
佐々木 猛智 渡辺 浩記 奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-6, 1995-10-31
被引用文献数
2

Intertidal and subtidal limpet fauna in Oga Peninsula, northern part of Sea of Japan was investigated. It is characterized by predominance of temperate and warm temperate species under the influence of the Tsushima Warm Current. The poor occurrence of cold-water elements in spite of relatively high latitude of the area under study exhibits a noticeable contrast to the subarctic fauna of northern Pacific coast of Honshu. It is also revealed that warm temperate species are restricted to south of Boso Peninsula on the Pacific side and Oga Peninsula in the Sea of Japan.
著者
武岡 英隆 速水 祐一 兼田 淳史 松下 太郎 紀本 岳志 渡辺 浩三 藤川 淳一
出版者
日本海洋学会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.91-97, 2001-02-23
被引用文献数
1

夏季の瀬戸内海には外洋から栄養塩が流入しているため,外洋の大規模な海洋循環の変動が瀬戸内海の栄養塩環境に影響を与える可能性がある.このような問題意識に基づいた,我々のいくつかのモニタリング計画を紹介した.中でも重要なのは,佐田岬先端部に設置した栄養塩などの自動監視システムによるモニタリングである.このシステムは,2000年3月に設置され,水温,塩分,pH,溶存酸素,クロロフィル蛍光,硝酸態窒素,アンモニア態窒素,リン酸態リン,珪酸態珪素,動物プランクトン数を1時間毎に測定している.
著者
渡辺 浩 佐藤 努 泉對 則男 木村 文治 佐野 美也子 星 雅彦 伊藤 篤 仲 孝治 佐川 良
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.285-294, 2009-03-20 (Released:2009-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
4 4

We have investigated the role assignment and radiation exposure of medical workers (including receptionists) in PET (positron emission tomography) facilities in Japan using a questionnaire. The survey period was from October 1st to November 15th 2006. The response rate for the questionnaire was 60.0% (72/120 facilities). Nurses were engaged in the intravenous administration of radioactive FDG in 66.9% of PET facilities. In 89.5% of PET facilities, radiological technologists mainly performed the PET examination. The average radiation exposure to medical workers was 0.13 mSv/month (n: 709, S.D.: 0.16) as the effective dose. It was shown that radiation exposure was significantly different depending on the occupation and content of work (p<0.01). The radiation exposure of cyclotron operators and radiological technologists was higher than that of the other occupations (p<0.01). The highest radiation dose to one worker per a PET facility was 0.60 [mSv month−1], which was 4.6 times higher than the average dose of 0.13 [mSv month−1]. We have clarified the actual conditions of radiation protection in PET facilities in Japan for the first time.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-22, 2009-02

本稿は、日本近世の文書管理史や由緒論と言われている研究潮流も含めて、過去情報に関わる様々な現象を、「記憶」をキーワードに、より広範な文脈のなかに位置づけるための基礎的な事例研究の一つである。対象は近江八幡町である。近江八幡町は、江戸時代を通じて、戦国末期から近世初期にかけて授与された織田信長や徳川家康の朱印状を、他の文書と区別される特別な保管体制に置いていた。そして、これらを「諸役免除」という「特権」の根拠としていた。しかし、信長朱印状は先行都市安土に授与されたものであり、家康朱印状には諸役免除が記されていなかった。このため、八幡町はその時期に応じて様々な内容の短い由緒書を叙述した、つまり様々な過去を創造することになった。また、創造された過去をより強化するために、1721年に「八幡町記録帳」という文書集を編集した。この文書集は、項目を立てて分類編集されており、その時期の在地社会の過去情報蓄積形態としては洗練された形式を備えていた。このため、過去の描写内容は微妙に揺れ動くものの、その後幕末に至るまで、文書集という形式が踏襲された。また、ここでの編集の対象は原文書だけではなく短い叙述(由緒書)も含まれていた。以上のように、本稿では、過去情報蓄積形態の三つの局面、原文書保管、筆写分類編集、叙述、のうち、編集と叙述の関係について主として分析した。This essay is a fundamental case study on various phenomena about information of the past. The aim is to position there cord keeping history as broader context from the view point of memory. This case is Omi-hachiman that is a local commercial town in early modern Japan. This towns men had kept a kind of royal charters in the special system distinguished other records. They were seemed to the evidence for their privilege of demission of labor. But their charters were not direct evidence. And so their towns men invented various memories to meet the needs of various cases. Moreover for the purpose of enforcing memory, they compiled the collection book of original documents in l721. This book has subject classification. I estimate this style as excellent in the first half of 18th century local era. And so they did not write along historical narrative, and followed the style of compilation until the end of early modern (1868). They compiled not only original documents but also short narratives. As above, I examined the relationship between compilation and narrative among three aspect of the form for accumulation of past information; record keeping, compilation, and narrative.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-22, 2009-02

本稿は、日本近世の文書管理史や由緒論と言われている研究潮流も含めて、過去情報に関わる様々な現象を、「記憶」をキーワードに、より広範な文脈のなかに位置づけるための基礎的な事例研究の一つである。対象は近江八幡町である。近江八幡町は、江戸時代を通じて、戦国末期から近世初期にかけて授与された織田信長や徳川家康の朱印状を、他の文書と区別される特別な保管体制に置いていた。そして、これらを「諸役免除」という「特権」の根拠としていた。しかし、信長朱印状は先行都市安土に授与されたものであり、家康朱印状には諸役免除が記されていなかった。このため、八幡町はその時期に応じて様々な内容の短い由緒書を叙述した、つまり様々な過去を創造することになった。また、創造された過去をより強化するために、1721年に「八幡町記録帳」という文書集を編集した。この文書集は、項目を立てて分類編集されており、その時期の在地社会の過去情報蓄積形態としては洗練された形式を備えていた。このため、過去の描写内容は微妙に揺れ動くものの、その後幕末に至るまで、文書集という形式が踏襲された。また、ここでの編集の対象は原文書だけではなく短い叙述(由緒書)も含まれていた。以上のように、本稿では、過去情報蓄積形態の三つの局面、原文書保管、筆写分類編集、叙述、のうち、編集と叙述の関係について主として分析した。This essay is a fundamental case study on various phenomena about information of the past. The aim is to position there cord keeping history as broader context from the view point of memory. This case is Omi-hachiman that is a local commercial town in early modern Japan. This towns men had kept a kind of royal charters in the special system distinguished other records. They were seemed to the evidence for their privilege of demission of labor. But their charters were not direct evidence. And so their towns men invented various memories to meet the needs of various cases. Moreover for the purpose of enforcing memory, they compiled the collection book of original documents in l721. This book has subject classification. I estimate this style as excellent in the first half of 18th century local era. And so they did not write along historical narrative, and followed the style of compilation until the end of early modern (1868). They compiled not only original documents but also short narratives. As above, I examined the relationship between compilation and narrative among three aspect of the form for accumulation of past information; record keeping, compilation, and narrative.
著者
渡辺 浩一 岡崎 敦 高橋 実 大友 一雄 臼井 佐知子 蔵持 重裕 林 佳世子 三浦 徹 丑木 幸男 須川 英徳
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

平成16年度は、11月に二日間にわたり、韓国国史編纂委員会の協力を得て、同委員会にて「近世東アジアにおける組織と文書」という国際研究会を開催した。日本側報告4本・韓国側報告4本・中国の報告1本を中央政府・地方行政組織・村落と家・商人の4つのセッションに編成した。参加者は約30名。平成17年度は、8月に二日間にわたり、復旦大学歴史地理研究所の協力を得て、上海において「東アジアにおける文書資料と家族・商業および社会」という国際研究会を開催した。日本側報告4本・中国側報告5本が行われたほか、韓国・トルコからのコメントも寄せられた。参加者は約30名。平成18年度は、9月に一日間で、アンカラ大学歴史地理言語学部の協力を得て、同大学において「オスマン朝と中近世日本における国家文書と社会動態」という国際研究会を開催した。日本側報告2本・トルコ側報告3本のほか、中国・韓国からのコメントも寄せられた。参加者は38名。平成19年度は、まず6月に、フランス国立古文書学校の協力のもとフランス国立文書館(パリ)において「アーカイヴズ、社会、権力(中世・近世の西欧と東アジア)文書管理働くさまざまな力」という国際研究会を行った。日本側報告4本・欧州側報告3本のほか世界各地からの多彩な比較コメント20本を、国家・都市・商人の3つのセッションと総合討論に配した。参加者は約40名。ついで、12月には本研究の総括として、立教大学において「近世アーカイブズの多国間比較」という国際シンポジウムを二日間にわたり開催した。日本側報告2本のほか、トルコ・西欧・中国・韓国から報告者を招聘し、「統治と社会」「実践」の二つのセッションに編成した。参加者は約100名。各研究会・シンポジウムの前後には国際共同史料調査を実施した。
著者
上倉 庸敬 藤田 治彦 森谷 宇一 神林 恒道 渡辺 浩司 永田 靖 天野 文雄 奥平 俊六
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

最終年度をむかえるにあたって本研究が直面していた課題は以下のとおりであった。現在、日本の「芸術」は二極化している。ひとつは純粋化を維持しようとする「芸術」であり、いまひとつは「あたらしさ=総合」という視点からクロスオーバーをめざす「芸術」である。それは実は、日本のみならず、世界の各局地における「芸術」概念の共通構造である。「芸術」の事象における世界的な傾向とは、各局地に通底する先述の構造を孕みつつ、各局地で独自の展開をくりひろげている多様さのうちにこそある。では、(1)日本の近代「芸術」概念が成就し、また喪失したものはなんであるか。(2)なぜ、近代の芸術「概念」は死を迎えねばならなかったか。(3)「ユニ・カルチャー」の傾向にある現代世界で、日本に独自な「芸術」概念の現況は、どのような可能性をもっているか。(4)その可能性は日本のみならず世界の各局地に敷衍できるかどうか。解答の詳細は成果報告書を見られたい。解答をみちびきだすために準拠した、わたくしたちの基本成果はつぎのとおりである。(1)西欧で成立した「芸術」概念が19世紀半ばから100年、世界を支配した。(2)その支配は世界の各局地で自己同定の喪失をもたらした。日本も例外ではない。(3)20世紀半ばから世界の各局地で自己「再」同定がはじまった。(4)再同定は単なる伝統の復活ではなく、伝統による「死せる芸術概念」の取り込みである。(5)再同定は芸術「事象」において確立され、芸術「概念」において未完である(6)日本における「芸術」概念の誕生と死が示すものは、2500年におよぶ西洋美学理論の崩壊である。
著者
高橋 実 大友 一雄 渡辺 浩一 山田 哲好 青木 睦 吉村 豊雄 江藤 彰彦 大石 学 福田 千鶴 松澤 克行 東 昇
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、当初の計画調書に明示しているように、幕府・諸藩など領主組織が各部署において作成・授受し、管理・保存し、活用してきた文書記録やアーカイブズをアーカイブズ学に立脚した視点から、通算15回の研究会を開催し、44本の報告と議論を行った。具体的には、江戸幕府、旗本、弘前藩、秋田藩、米沢藩、高田藩、松代藩、尾張藩、京都町奉行、岡山藩、鳥取藩、萩藩、土佐藩、福岡藩、長崎奉行、熊本藩、対馬藩、鹿児島藩について、最新の研究成果を得ることができた。