著者
武田 直人 久保 雅昭 渡辺 裕之
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P1124-C4P1124, 2010

【はじめに】<BR> 平成21年8月24日~26日の3日間にわたり、三県省道スポーツ交流事業(以下、三県省道)によるサッカー交流試合が開催された。平成16年度から実施しているこの事業は、3地域の青少年に国際交流の機会を提供し、相互理解を深めるとともに、国際性豊かな青少年の人材育成を図ることを目的に実施している。我々は大会前の練習試合と合わせた全4試合のメディカルサポート(以下、サポート)を行った。今回、三県省道での活動内容とサポート結果を検討したので報告する。<BR><BR>【方法】<BR> 本サポート前に参加した理学療法士は2名であり、ともに同年8月に開催された第40回関東中学校サッカー大会のサポートに参加していた。その経験をもとに再学習を行い、事前準備を行った。大会期間中は理学療法士2名で、全日程で会場に1名のスタッフを配置した。今回のサポートではチームから要請があった場合に対応することを原則として、スタッフはベンチにて待機し、試合前のテーピング、水分補給のインフォメーション、試合中の救護活動(応急処置、救命処置など)、アフターケアを中心に活動を行った。<BR><BR>【対象】<BR> 神奈川県内において17齢以下で選抜された男性選手17名を対象とし、サポート前に本研究の目的、個人情報の使用方法を口頭にて説明し、同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR> 大会期間中の全対応件数は25件であり、各内訳は以下のとおりである。対応時期は、試合前12件、試合中9件、試合後4件であった。試合中に熱中症が2件発生し、障害部位は、足関節7件、下腿部5件、大腿部2件、殿部3件、腰部3件、肘関節1件、手関節1件であった。障害部位の比率としては、足関節約29.2%、下腿部約20.8%、大腿部約8.3%、殿部約12.5%、腰部約12.5%、肘関節約4.2%、手関節約4.2%であった。また、熱中症は全体の約8.3%であった。対応内容は、テーピング7件、アイシング12件、ストレッチ5件、筋力増強訓練1件、止血処置1件、飲水指導1件、問診1件であった。<BR><BR>【考察】<BR> 障害部位の比率としては足関節・下腿部が多く、また大腿部・臀部を含めると約70%の障害が下肢に発生している結果となり、サッカーの競技特性を示す結果となった。対応としてはアイシングとテーピングが大部分を占めたため、RICE処置やテーピングの技術向上が重要であると思われた。また、各所属高校が選手権大会前の合宿や強化トレーニングを開始した時期と今回の三県省道の日程が重なっていたため、選手個人の疲労も蓄積していたと思われる。そのことからも、試合前の水分補給のインフォメーションやアフターケアとして適切なアイシングやストレッチ指導の重要性が連日の試合でのパフォーマンス低下の予防となり、障害予防にもつながるのではないかと考えられた。また、気温が30°C近くであったことなどから大会側へ飲水タイムを設けるよう働きかけたり、障害予防の観点から水分補給の方法の資料を配布したりするなど、対応内容の工夫が必要であると考えられた。
著者
渡辺 英夫 鈴木 修
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.287-292, 1990-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

数種類のα-アミラーゼ阻害剤の効果, α-アミラーゼ作用を抑制した場合の発芽処理麦の特性について実験を行い次の結果を得た. 1) 従来の色素でん粉法に若干の改良を加えた簡便方法によりα-アミラーゼ活性の測定を行い,阻害剤の影響を比較した.硝酸銀,硝酸銅, EDTA,硫酸ヒドラジンは, 0.1Mでα-アミラーゼに対し高い阻害効果を示した.特にEDTAは, α-アミラーゼそのものに対する阻害剤で取り扱いも容易なことから,利点が認められた. 2) 発芽処理麦から調製した小麦粉,小麦でん粉のアミログラム特性,フォーリングナンバー値は阻害剤を添加することにより健全麦からのものに類似したものとなったことから,発芽処理麦ではでん粉そのものはそれ程障害を受けていないが生地等になって初めて活性化したα-アミラーゼの作用を受け糊化特性の劣化を呈することが確認された. 3) EDTA等の阻害剤を使用することにより,発芽小麦の潜在的なビスコグラム最高粘度,フォーリングナンバー値をでん粉の単離,トルエン処理等を行うことなく測定する可能性が認められた.
著者
上村 博輝 高村 昌昭 五十嵐 正人 青栁 豊 菊田 玲 渡辺 和仁 中山 均 田村 務 寺井 崇二 薛 徹 荒生 祥尚 廣川 光 澤栗 裕美 渡邊 文子 小師 優子 坂牧 僚 土屋 淳紀
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.245-254, 2020
被引用文献数
1

<p>平成21年に設立された新潟大学医歯学総合病院肝疾患相談センターは令和元年に10年目を迎え,236万人の新潟県民や医療従事者に対するウイルス性肝炎の情報の提供,啓発活動,助成制度のサポート等を新潟県健康対策課,厚生労働省健康局がん・疾病対策課肝炎対策室,国立国際医療センター肝炎情報センターとともに行ってきた.新潟県内の各種肝炎ウイルスの発生動向の報告,助成対象人数の把握や非受検者に対する啓発活動を各年度で行ってきた.C型肝炎については他県と同じく新規治療者数については減少段階にある.しかし,肝炎ウイルスは世界最大級の感染症であることにかわりなく,A型肝炎のエンデミック,B型肝炎ウイルスに対する耐性ウイルス発生や核酸アナログ製剤の長期利用による諸問題,E型肝炎の報告例の増加などについては今後も監視が必要である.また肝炎検査未受検者も多く,啓発活動を行う肝疾患相談センターの存在意義は今後も重要である.</p>
著者
河原 英雄 石坂 芳男 油井 香代子 秋元 秀俊 山形 徳光 夏見 良宏 増田 純一 上濱 正 Henry H Takei Perry R Klokkevold 林 崇民 Anthony Rowley 河津 寬 渡辺 隆史
出版者
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.249-258, 2015

ディスカッションに先立って河原先生は,多くの患者に生き甲斐のある暮らしを提供することを目的に,「嚙むことの大切さ」を掲げ,治療時には特に義歯の新製を行わず義歯を調節する,それも和食を箸にて食べる文化を尊重し, Balanced occulusion で前歯で咬める咬合を付与すると説明した.調整前後のビデオでは義歯が調整されるだけで,患 者の人としての行動に改善が見られ,目が開き,話し,笑い,歩き,歌を唄った.エビデンスは確立していないが咬合の回復によって運動能力の活性化や認知症の改善をもたらす.「転ばぬ先の杖」元気なうちに義歯を作りそれをうまく使いこなすことが大切であると説明.まさに歯科医療は暮らしを支える医療となったと提言された.増田先生から長寿社会を生き抜くためには,まず「健口」な子どもの口腔を作る必要があることが説明された.具体的には,3 歳までに咬合の基本と土台を習得し,う蝕はゼロ,4 ~5 歳までこれを維持,第一大臼歯の萌出が始まったら,3 ~4 年間う蝕に罹患させない.そして,下顎位を完成させる.その後1 年くらいで側方歯が萌出して永久歯に生え変わり,12 歳でう蝕なしを達成する.このようにして,健全な永久歯と咬み合わせを持った「健口」な状態で人生の旅立ちができるようになると提唱. それらの説明を受けて上濱理事長は「口の健康が元気に生きる源である.嚙んで食べて消化吸収して,元気な体を作ることは生涯の宝である」とし,前述の二方の先生の話を生理学的根拠からまとめた.的確な咀嚼で刺激が脳に伝えられ,脳血流も増加する.また,唾液とよく混和された食物は適切に消化管で分解・吸収され,全身の源となる.子どもに対しては,母乳で育て,正しい方法・バランスで離乳食を食べさせ,しっかり嚙ませてう蝕にしないこと.幼児期に自然の味覚を覚えることも生涯において宝である.成人期は口腔内の疾患を早期に治療し,よく嚙ませる.高齢期は残存歯を維持する,口腔を清潔にする,入れ歯でよく嚙める環境を維持する.これによって健康な頭と体を取り戻す.たとえ脳血管障害,認知症などの患者でも,徐々に嚙み応えのある食事を応用した「食事による総義歯リハビリテーション」を行おうと提言した. これらの学会活動は学会内・外問わず注目され,メディアからの取材をはじめ外人記者クラブによる記者会見は記憶に新しい.今回のディスカッションではこれらの講演を元に変わりゆく日本の歯科医療について語っていただいた.
著者
伊東 宗治 渡辺 行雄 将積 日出夫 麻生 伸 浅井 正嗣 本島 ひとみ 水越 鉄理
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.6-10, 1994

We investigated the influence of a cold front (CF) on the onset of Meniere's disease (MD) and concluded that the onset of MD was influenced by the passing of a CF. But it was not clear whether patients with MD were stressed by the passing of a CF or the passing of a CF directly influenced the inner ears. Among the patients with MD who visited the Neuro-Otological clinic of the Toyama Medical and Pharmaceutical University Hospital from 1987 to 1992, 67 were sure of the date of the first attack and were chosen for the study. In 36 the first attack was on a day when a CF was passing or on the next day, so they were studied epidemiologically.<BR>1) Age: more of these 36 patients were over 40 years of age than in the group of 31 patients with no definite relationship between CF and MD.<BR>2) Hearing: in the 36 patients hearing was poorer than in the others.
著者
渡辺 直
出版者
日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 = Journal of Japan Society on Water Environment (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.18, no.12, pp.932-937, 1995-12-10
参考文献数
45
被引用文献数
1
著者
渡辺 正澄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.534-539, 1968-05-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

かってドイツのガイセンハイム研究所でブドウ酒の研究をした経験のある著者が, 最近のドイツのブドウ酒醸造の技術的進歩を紹介したものである。日本の場合にあてはめても参考になる点が多いと思われる。
著者
渡辺 正巳 石賀 裕明
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.3-10, 2008

島根県西部益田平野において,ジオスライサーを用いて得た6400 yr BPころ以降に堆積した試料を対象に,花粉分析と,イオウ濃度分析,AMS 14C年代測定を行った。花粉分析結果を基に 局地花粉帯(MGS -I,II帯)と5花粉亜帯(MGS -IIa,IIb,IIc,IId,IIe亜帯)を設定し,AMS 14C年代測定結果から堆積速度を求め,各花粉帯と花粉亜帯の境界年代を推定した。花粉分析の結果,6400 yr BPころの益田平野周辺にスギ林が分布していたことが明らかになった。このことは,スギ林が益田平野から中国山地西部へ拡大したことを示唆する。6400~5300 yr BPには,アカガシ亜属花粉とイオウ濃度の増加傾向が一致した。これは海進を伴う気候の温暖化を示す。4660 ~3570 yr BPには「縄文中期の小海退」に対応する冷涼・湿潤な気候が認められた。1500 yr BP以降に認められるアカマツ林の拡大を,人間活動に伴う自然破壊によると考えた。同時に認められるスギ林の縮小は,人間活動に伴う現象と考えられるほか,「奈良・平安・鎌倉温暖期」に伴う現象である可能性を指摘した。花粉帯の境界年代を基に,益田平野と山陰地方中央部の古植生と古気候を比較した。
著者
加藤 浩司 渡辺 直 井澤 知旦 北原 理雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.530, pp.185-192, 2000
参考文献数
14
被引用文献数
9 4

This paper attempts to survey and analyze the public use systems of the street space in six European and U.S. cities, through a study of the control on sidewalk cafes, and to suggest the way of making the most of the street space in Japan in order to enhance the attractiveness of the urban environment. To sum up, the conclusions of the study are the following : 1) European and U.S. cities positively promote the public use of the street space, while they prepare the explicit rules to control multiple use of the street space and prevent confusion. 2) European cities control the use of the street space by the strict ordinance, while U.S. coordinate it more flexibly by the guidelines. And the recent policy in European cities tend to control the cityscape more consciously as well as the physical use of the street space.
著者
柿原 知 佐々木 愼 寺井 恵美 渡辺 俊之
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1457-1461, 2014-12-31 (Released:2015-04-02)
参考文献数
14

症例は65歳,男性。間欠的な腹痛と発熱を認め,腹痛が徐々に増悪したため当院救急搬送された。来院時の血液生化学検査で白血球とCRPが上昇しており,腹部造影CT検査でS状結腸に50mm長の緩やかに弯曲する細径の高輝度領域と腸管外ガスを認めた。魚骨によるS状結腸穿孔を疑い,緊急手術を施行した。術中所見ではS状結腸腸間膜側から魚骨が突出しており,後腹膜も一部損傷していた。S状結腸部分切除とS状結腸にて人工肛門造設術(ハルトマン手術)を施行した。摘出した魚骨の長さは57mmであった。誤嚥された異物のほとんどは自然排泄されるため,消化管穿孔や穿通により腹膜炎を発症することや,腹腔内膿瘍を形成する確率はまれであると報告がある。異物の割合は日本人では食生活の影響などから魚骨が50%近くを占める。今回のように50mm超える魚骨が誤嚥の認識なく,穿孔による症状で発見された症例は極めてまれである。
著者
渡辺 良二
出版者
滋賀大学経済学会
雑誌
彦根論叢 (ISSN:03875989)
巻号頁・発行日
no.179, pp.p91-108, 1976-06
著者
楢崎 康二 渡辺 敦史 冨田 啓治 佐々木 義則 白石 進
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.157-161, 1996-05-16
参考文献数
19
被引用文献数
3

ヒノキとサワラの自然雑種であるヒノキ精英樹の富士2号と, ヒノキおよびサワラの園芸品種を対象として, 核ゲノムのRAPD分析と葉緑体ゲノムのSSCP分析を行った。富士2号のRAPD分析の結果, ヒノキおよびサワラに種特異的なPCR産物(バンド)がともに検出され, このクローンは両樹種間の雑種であることがDNAレベルでも確認された。さらに, 葉緑体ゲノムのSSCP分析の結果, 富士2号の葉緑体ゲノムはヒノキ型を示し, この自然雑種は花粉親をヒノキ, 母親をサワラとする交配組合せによってできたことが明らかとなり, 両樹種間の交雑育種における新しい知見が得られた。また, ヒノキとサワラの園芸品種(5品種)の分析の結果, それぞれの種に特異的なバンドが出現し, これらがヒノキもしくはサワラの突然変異体であることが確認された。以上の結果から, RAPD分析やSSCP分析によって得られるDNA分子マーカーは, 種間雑種における親の交配組合せの決定および突然変異体の由来を調べる上で有用であることが明らかとなった。