著者
横田 賀英子 渡辺 昭一 渡邉 和美
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.21-33, 2002 (Released:2018-09-07)
参考文献数
16

本研究では,我が国で過去に発生した人質立てこもり事件87件を分析し,犯人の投降に影響を与えた状況要因について検討した.その結果,以下のことが明らかとなった.1 事件中に,犯人が人質を死傷させた場合には,犯人が投降する確率が低かった.2 発生場所が建物内である場合,犯人がマスコミ報道を要求している場合,犯人と人質問に会話があった場合には,犯人が投降した確率が高かった.3 立てこもり事件の終結においては,犯人の投降もしくは立てこもり継続への意思決定と,警察の強行制圧もしくは交渉継続の意思決定の双方が影響していたことが示唆された.本研究の結果により,我が国における過去の人質立てこもり事件において,どのような状況要因が,犯人の投降に影響したのかが,明らかになった.今後は,犯人,警察,人質問のダイナミックスについて,さらに研究を進める必要がある.
著者
飯島 清美子 山口 忍 渡辺 尚子 綾部 明江
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.144-153, 2016 (Released:2016-09-02)
参考文献数
27

目的:本研究は,市町村保健師が精神保健分野の個別対応で抱える困難を表す内容を明らかにし,実践への示唆を得る事を目的とする.方法:市町村に勤務する保健師を対象に,半構造化面接法を用いてデータ収集を行い,質的記述的に分析した.結果:8名の市町村保健師の協力が得られ,市町村保健師が精神保健分野の個別対応で抱える困難は,476のコード,45の小カテゴリー,11の中カテゴリー,4つの大カテゴリーが抽出された.市町村保健師は【当事者・家族への対応の難しさ】を感じ,社会資源の少なさや支援拒否,支援効果のわかりづらさから【当事者がもつ生活しづらさの改善の難しさ】があり,【市町村という立場での連携・組織体制構築の不足】や【支援の際に起こる保健師の感情コントロールの難しさ】でも困難を感じていた.考察:市町村保健師自身は,精神保健分野の対応技術の獲得,否定的感情のコントロール,当事者理解を進めていく必要がある.
著者
山科 典子 柴 喜崇 渡辺 修一郎 新野 直明 植木 章三 芳賀 博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1561, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】福祉用具はその使用により高齢者の日常生活動作の向上や介助量軽減,生活範囲の拡大を図ることができる。これまでに福祉用具の販売・貸与数は報告されているが,高齢者の福祉用具使用状況を報告したものはない。よって本研究は,一般高齢者(要支援・要介護認定を受けていない高齢者),要支援・要介護高齢者について,無作為標本抽出による実態調査を行い,高齢者の福祉用具使用状況を明らかにすることを目的とした。【方法】札幌市手稲区在住の65歳以上の一般高齢者,要支援・要介護高齢者から各2500名を無作為に抽出し,無記名の質問紙票による郵送調査を実施した。福祉用具使用に関する質問は,「あなたが普段使用している福祉用具すべてに○をつけてください」とし,杖,シルバーカー,歩行器,車いす,移動用リフト,補聴器,視覚補助具(拡大鏡など),ポータブルトイレ・尿器,食事介助器具,コルセット,上肢装具,下肢装具,その他,どれも使用していない,の中から回答を求めた(複数回答)。集計は介護度別に行い,統計解析として福祉用具使用率の性別比較についてχ2検定を行った。なお,5%未満を統計的有意とした。【倫理的配慮,説明と同意】質問紙票の返送をもって同意とした。また,本研究は研究倫理委員会から承認を得た上で実施した。【結果】分析対象者は,一般高齢者1386名(男性715名,女性671名,平均年齢72.8±6.2歳),要支援・要介護高齢者998名(男性307名,女性691名,平均年齢82.7±7.4歳)であった。1.何らかの福祉用具を使用している人の割合何らかの福祉用具を使用している人の割合は,一般高齢者で22.4%(男性19.3%,女性25.6%),要支援・要介護高齢者全体で80.4%(男性75.6%,女性82.5%)であった。さらに,要支援1-2では80.2%(男性73.3%,女性83.2%),要介護1-2では76.7%(男性72.6%,女性78.5%),要介護3-5では87.6%(男性85.1%,女性88.7%)であった。なお,一般高齢者と要支援1-2では女性で福祉用具使用率が有意に高かった。2.使用率の高い福祉用具-要介護度・性別の検討-(1)一般高齢者男性では,コルセット6.2%,杖5.7%,補聴器5.2%,視覚補助具4.9%,下肢装具1.5%の順に,女性では,杖9.2%,コルセット7.6%,視覚補助具4.6%,補聴器4.3%,下肢装具2.2%の順に使用率が高く,杖・シルバーカーは女性で使用率が有意に高かった。(2)要支援1-2の高齢者男性では,杖51.7%,補聴器19.8%,視覚補助具19.8%,コルセット16.4%,下肢装具6.0%の順に,女性では,杖71.8%,コルセット26.7%,視覚補助具16.4%,補聴器10.7%,シルバーカー7.6%の順に使用率が高く,杖・シルバーカー・コルセットは女性で,補聴器は男性で使用率が有意に高かった。(3)要介護1-2の高齢者男性では,杖50.8%,視覚補助具16.9%,補聴器15.3%,車いす12.9%,ポータブルトイレ・尿器10.5%の順に,女性では,杖54.8%,車いす21.9%,コルセット16.5%,歩行器14.3%,補聴器13.3%の順に使用率が高く,車いす・コルセットは女性で,視覚補助具は男性で使用率が有意に高かった。(4)要介護3-5の高齢者男性では,車いす65.7%,杖20.9%,ポータブルトイレ・尿器19.4%,移動用リフト14.9%,食事介助器具13.4%の順に,女性では,車いす66.0%,杖31.3%,ポータブルトイレ・尿器20.7%,歩行器10.7%,補聴器8.0%の順に使用率が高く,移動用リフト・食事介助器具は男性で使用率が有意に高かった。【考察】一般高齢者の福祉用具使用率が2割以上であったことから,給付対象でなくとも何らかの支援が必要な対象が存在することが考えられた。また,福祉用具使用率には性差がみられ,介護度が低い高齢者において女性の使用率が有意に高かった。福祉用具の種類別では,使用率が高いものとして杖や車いす,コルセットが挙げられ,これらの福祉用具調整に関する知識・技能向上が求められると考えられた。また,補聴器や視覚補助具についても使用率が高く,高齢者の生活機能向上を考える上で理学療法士が使用方法等理解しておくことは必要であると考えられた。今後の研究発展として,使用率が高い福祉用具を中心に,需要と供給のバランスに関する調査や,使用方法・調整について適切か否かを調査する必要があると考えられた。【理学療法学研究としての意義】これまでに高齢者の福祉用具使用状況を報告したものはない。本調査の結果は,理学療法分野において今後の福祉用具に関する教育・研究を行う上での一助となると考えられる。
著者
渡辺 啓 松尾 玲 井上 裕基 安達 謙太郎 野田 章
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.287-294, 2012-12-20 (Released:2014-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

メーク落としに求められる重要な特徴は,「メーク落とし効果」と洗い流し後の「さっぱり感」である。しかしながら,これら2つのを要素を満たすメーク落とし製品は市場には存在しなかった。これは,従来技術ではこれらの要素はトレードオフの関係にあったためである。われわれは,この課題を解決するために,「メーキャップとのなじませ」と「洗い流し」の間に存在する「水を加える」という行動に着目し,界面活性剤の溶存状態変化を,相平衡図上で界面化学的に検討した。その結果,「メーキャップとのなじませ」時には洗浄力の高い逆ミセル油溶液であり,水を加えると,両連続構造を経由して,「洗い流し」が容易なミセル水溶液に相転移する特異な系を見出した。このような系を実現するためには,①HLB (親水性-親油性バランス) を釣り合わせ,界面活性剤低濃度領域に存在するO/W領域を縮小すること,②極性の油を添加し,相平衡図の中央付近に出現することの多い高粘性の液晶相を消去すること,が重要であることが明らかになった。逆ミセル油溶液をクレンジングオイルとして用いると,「メーク落とし効果」は非常に良好で従来のクレンジングオイルと同程度であり,「さっぱりさ」は皮膚上への油の残留がきわめて少ないためクレンジングローションと同程度であるという特徴を有していた。この高性能クレンジングオイルは,クレンジングオイルによるメーク落としプロセスを界面化学的に詳細に検討することで,トレードオフの関係にあった要素を両立させたものである。
著者
園生 雅弘 迫井 正深 渡辺 憲 冨本 秀和 安藤 哲朗 西山 和利 髙橋 良輔 戸田 達史 日本神経学会神経内科専門医基本領域化推進対策本部
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.515-519, 2020 (Released:2020-08-07)
被引用文献数
1 1

日本神経学会は2018年1月臨時社員総会において,神経内科専門医の基本領域化を目指すことを機関決定した.新専門医制度が大きく揺れる中,神経内科専門医基本領域化推進対策本部では,第60回学術大会において,専門医制度に関する緊急シンポジウムを開催した.本論文はその各演者の抄録を委員会報告としてまとめたものである.厚生労働省,日本医師会に所属する演者,及び,学会内の演者によって,基本領域化が必要な理由,特に地域医療との関係,実現するための手続き,克服すべき課題などが論じられた.これらを踏まえつつ,社員総会決定に従って,神経学会は今後も基本領域化を目指して関係各所との折衝を続ける.
著者
渡辺 正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.500-503, 2005-09-20 (Released:2017-07-11)

1996〜98年ごろいきなり大きな騒ぎとなったのに,もう新聞もテレビもほとんどやらない「ダイオキシン・環境ホルモン間題」とは,いったい何だったのか。命や健康にあぶないとか,果ては人類の未来を脅かすといった話はどのようにして生まれ,どんな人たちが騒ぎ,なぜ終息に向かっているのだろう?そのへんを振り返ってみれば,昨今の「環境問題」がもつ性格と,今後への教訓が浮き彫りになる。
著者
渡辺 一徳 勝井 義雄
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.44-49, 1976-02-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
16
被引用文献数
28 30

阿蘇カルデラ内北部の本塚・北塚・灰塚はいずれも石英安山岩の溶岩からなる古い中央火口丘で,それらの下底部には海抜約510mのレベルまで水冷により破砕された溶岩が発達している。故にこの水中溶岩が噴出した時期にはカルデラはこのレベルまで湖であったと推定される。この水中溶岩は大小の岩塊と同質の細片からなり,その中には枕状溶岩に類似した柱状節理をもつ岩塊が含まれている。この種の岩塊は多くの点で通常の枕状溶岩とは異なっているので,偽枕状溶岩と呼ぶことにする。その産状の詳細な観察によれば,偽枕状溶岩は,水中を前進中の粘性の高い溶岩に湾曲した割れ目がはいり,これに沿って侵入した水で急冷され,分離したものである。このため偽枕状溶岩は表面に垂直な柱状節理を生じているが,通常の枕状溶岩とちがって外形はもとの流理構造を明瞭に切っている。
著者
渡辺 満久
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.19-42, 1991-02-28 (Released:2009-08-21)
参考文献数
68
被引用文献数
22 18

The Ou Range, the backbone of Northeast Japan which is less than 1, 000m high except for sporadic Quaternary volcanoes and some peaks, has shed debris eastward into the Kitakami Lowland during the Quaternary. This paper, after establishing the classification and correlation of the fluvial terrace surfaces in the Kitakami Lowland in stratigraphic relation with a number of marker tephras, discusses fluctuations of debris supply during the Late Pleistocene in eastern Japan.The fluvial surfaces in the Kitakami Lowland are divided into the T1-T3, H1-H2, M1-M2 and L1-L2 surfaces, in descending order. T1-T3 surfaces are accumulation surfaces that had developed during the Middle Pleistocene. The H1-H2 surfaces are correlated to the penultimate glacial in age. The M1 surface is a distinct depositional surface, and was formed in the period of stage 5 of oxygen isotope record before 90(80)ka. The M2 and L1 surfaces were built up in the early stadial (approx. 60-40ka) and the later stadial (around 20ka) of the Last Glacial, respectively. The L1 surface is an accumulation surface. However, there is no evidence of remarkable deposition associated with the M2 surface. The L2 surface is dated at several ka.Two characteristic features on debris-supply fluctuations during the late Pleistocene can be pointed out as follows: 1) a distinct accumulation period in stage 5 and in the later stadial, 2) very small debris accumulation in the early stadial. A swell in supplied debris indicate that the forest-line of the Ou Range dropped and that expansion of debrissupply area in the range occurred. Thus, the biggest drop in forest-line altitude occurred in stage 5 and/or in the later stadial. The area above the forest-line had scarcely developed around the Ou range in the early stadial.A comparison of landform evolution around the Ou Range to that aroud a mountainous area that has been high in altitude or in latitude, such as the Hidaka Range (Hokkaido) or the Japan Alps (Central Japan), enables us to infer the morphogenetic environments during the late Pleistocene in eastern Japan as follows: 1) in stage 5 and the later stadial, the vegetation zone had so lowered that a large amount of debris was supplied during each period in almost all the mountains in eastern Japan; 2) in the early stadial, a comparatively large area had been beyond the forest-line in the Hidaka Range and the Japan Alps, but a very small area had been beyond it in the other mountains; 3) because the early stadial was a long cold period, a large amount of debris could be accumulated in the high mountains, in spite of a rather low rate of supply.A vertical change of vegetation zone to a lower altitude, resulting in an abundant supply of debris, is closely related to cooling. From the point of view of temperature, it is concluded that it had been warmer during the early stadial than during the later stadial. The accumulation period in stage 5 should correspond to cold substages (substage 5d and/or 5b). Although it might have been very cold during substage 5d and/or 5b, the sea level had still been high. Thus, it seems very likely that these periods in stage 5 were characterized by heavy snowfall and the largest glacial extension in the Japanese mountains.
著者
柴崎 浩一 渡辺 卓也 長谷川 勝彦 山脇 敏裕
出版者
日本歯科大学新潟短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

H. pyloriの初感染時期を推測する目的で、園児とその両親を対象に唾液中のH. pylori DNAの検出を行った。園児のH. pylori DNA検出率は年齢とともに上昇する傾向がみられ、4歳児と5歳児の間で有意に上昇していた。H. pylori陽性であった園児の母親のH. pylori陽性率は陰性児の母親の陽性率に比し有意に高率であった。これらは園児における初感染は3歳未満で起こっており、4.5歳間でも感染の危険性が高いことを示している。さらに、H. pylori陽性児の母親の陽性率が高かったことは母親から園児への感染が最も重要であることを示している。
著者
渡辺 真由子
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー (ISSN:24356921)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-25, 2015-03-31 (Released:2020-09-05)

児童買春・児童ポルノ禁止法が2014年6月に 改正されたことを受け、今後、日本が子どもポルノに政策的対応を行うに際しての検討課題を提示する。子どもポルノは、子どもの商業的性的搾取(CSEC)の一環であり、グローバルな課題として国際的に取り組む必要性が指摘され、様々な国際法が制定されてきた。「あらゆる形態の子どもポルノは人権侵害である」というのが国際社会における共通認識である。だが日本は、子ども を性的に描く漫画やアニメ、CGといった仮想描写物の子ども ポルノの主要発信国と見なされるにも拘わらず、対処のための政策が国際基準を満たさないことから、世界的なCSEC対応の障害となっていることが批判されている。子どもポルノ政策に関し日本では従来「言論の自由」の観点からの、いわば大人の都合による議論に偏る傾向が見られるが、「子どもの最善の利益」という国際法の基本理念に立ち返れば、「子どもの人権」の観点からの議論をより充実させていくことが求められる。本稿では特に、仮想描写物の子どもポルノに関する考え方や規制のあり方について、一定の視点を提示する。
著者
渡辺 洋子 行木 麻衣
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.2-42, 2023-07-01 (Released:2023-07-20)

本稿は「全国メディア意識世論調査・2022」の結果報告である。テレビ番組(リアルタイム)を「毎日のように」利用する人は7割を超えるが、2020年以降減少が続き、特に16~29歳では63%(2020年)から40%(2022年)と大きく減少した。16~29歳では、テレビよりYouTubeやSNSに毎日接する人の方が多くなった。また、若年層以外にもYouTubeやSNSの日常的な利用が広がった。 メディアの効用では、「世の中の出来事や動きを知る」うえで役に立つメディアとして、全体ではテレビが59%とほかのメディアと比べて圧倒的に高く評価されていた。また、全体では「世の中の出来事や動きを知ること」という効用自体を「とても重要」だと思う人は62%で、ほかの効用と比べてもっとも高いが、16~29歳では42%と半数に満たず、「感動したり、楽しんだりすること」(59%)、「生活や趣味に関する情報を得ること」(51%)の方が上位だった。さらに彼らは、感動したり楽しんだりするのはYouTube、生活や趣味の情報を得たりするのはYouTubeやSNSを評価していた。 メディア利用と意識の関係では、テレビや動画の視聴は若いほど同じようなものに偏る傾向があり、好きなもの・ことに対する積極的な意識が関係していた。また、自分と似たような思考を求める意識も関係していた。利用頻度が高いほどそのメディアが自分に影響を与えていると思う人が多く、「多くの人が賛同している情報は、信頼できる」「同僚や、友人・知人が知っているのに、自分が知らないことがあると、恥ずかしい」という意識の人はそうでない人よりメディアが自分に影響を与えていると思う人が多かった。
著者
岩崎 信明 絹笠 英世 渡辺 章充 片桐 朋子 田中 竜太 新 健治 佐藤 秀郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.202-205, 2007-05-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

重度脳性麻痺, 重度精神遅滞, 症候性てんかんを基礎疾患にもつ3歳女児に長時間続く吃逆発作が繰り返し出現した. 気管切開・喉頭気管分離術の施行後に発症し, 合併症として呼吸停止がみられた. 薬物治療に抵抗性であったが, 微量の食用酢を点鼻することで速やかに吃逆は消失した. 機序として吃逆の反射弓の求心路と考えられている舌咽神経咽頭枝が分布する鼻咽頭背側領域への刺激の関与が推察された. 安全かつ簡便に施行できることから, 薬物療法が無効な場合には非薬物療法のひとつとして試みてもよい方法であると考えられた.
著者
渡辺 洋子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.70-79, 2023-08-01 (Released:2023-08-22)

朝のリアルタイム視聴の減少の要因について、「全国メディア意識世論調査・2022」の結果とオンライングループインタビューでの発言から、朝のメディア利用の実態を整理し、リアルタイム視聴減少の要因について考察した。 朝の習慣的なメディア利用は、生活シーンごとのニーズに合致しており、そのニーズには気分、情報性、時間意識といった多様な要素があることがわかった。朝は、スマートフォンが1日の始まりから使われており、テレビよりも先にスマートフォンに接し、スマートフォン上の様々なメディアを起床直後から見ているという状況があった。起床時、起床後と刻々と生活シーンごとの気分は変わり、起床時は刺激の少ない情報、起床後は前向きな気持ちになれるコンテンツを求める人が多かった。テレビのニュース番組で元気な気持ちを得る人もいれば、YouTubeから得る人もいて、朝に得たい効用をテレビだけでなく様々なメディアで満たしていた。また、リアルタイム放送の強みである「何かをしながら情報を得る」という特徴も他のメディアで代替されている可能性があった。リアルタイム放送の特徴の「時計代わり」「生活リズムを得る」という効用については、メディアで時間を意識する人が減っていること、習慣的なメディア利用をする人が若年層では少ないことから、そうした効用自体がメディアに求められなくなっている可能性がみえた。こうしたことを背景として朝のリアルタイム視聴が減少しているのではないかと考えられる。
著者
渡辺 貴裕
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会 体育社会学専門領域
雑誌
年報 体育社会学 (ISSN:24344990)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-41, 2021 (Released:2021-05-14)
参考文献数
10

Due to the coronavirus crisis, schools and universities in Japan faced temporary closures. Online classes were introduced to schools and universities to tackle the situation. Many discussions arose over online classes and face-to-face classes, but they sometimes turned out to be unproductive. In this paper, three points are shown from the viewpoint of pedagogy for sorting out and improving the discussions.The first point is the autonomy of learners. Under the coronavirus crisis, online classes were sometimes recognized as being in accordance with the traditional ‘chalk and talk’ teaching style. However, online learning had originally been promoted in the context of self-directed learning.The second point is the view of curriculum. There are two views of curriculum: curriculum as a teaching plan and curriculum as what is learned by the students. In the discussions under the coronavirus crisis, the latter tended to be neglected. This led to problems such as lack of places for casual talk among students before and after the class and an overload of assignments.The third point is physicality. In online classes, images of the teacher and the students are shown on the display. However, in reality, they have bodies and interact with their surroundings through them. By paying attention to this aspect, online classes can be enhanced.
著者
田賀 仁 渡辺 正人 江野 幸子 米永 一理 松尾 朗 髙戸 毅
出版者
特定非営利活動法人 日本睡眠歯科学会
雑誌
睡眠口腔医学 (ISSN:21886695)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.88-93, 2021 (Released:2021-01-25)
参考文献数
8

Objective: Adverse events due to long-term use of night guards have not been sufficiently elucidated. We herein report a case of occlusal changes in a patient who underwent continuous regular observations for at least 14 years since starting to use a night guard and discuss the precautions in the management of night guard use. Case: A 50-year-old female, with the chief complaints of clenching, tongue ache, abrupt awakening, etc. Results: A night guard for the upper jaw was fabricated, and shrinkage of the interdental space in the maxillary anterior region and occlusal changes (open bite) were observed after 12 years and 6 months of its continuous intermittent use. A new night guard for the lower jaw was also fabricated because the patient wanted to continue using it even after the observation. The patient has been using these night guards without any major worsening. Conclusion: Night guards intended to prevent tooth abrasion, root fracture, or tongue pain from sleep-related bruxism may lead to adverse events. As with oral appliances, the fabrication process requires adequate consideration as well as regular and quantitative management.
著者
藤井 俊光 渡辺 守
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.7, pp.1251-1258, 2015-07-05 (Released:2015-07-05)
参考文献数
34

クローン病診療においてはリアルタイムな病態把握とそれに呼応した治療戦略の構築が必須である.近年クローン病においてさまざまな画像評価法が進化している.しかしクローン病の病態評価に用いるモダリティーは精度が高いだけでなく,疾患の性質上より非侵襲的である必要がある.MRIを用いて消化管の評価も可能としたMR enterography(MRE)/MR enterocolonography(MREC)は,クローン病の腸管病変のみならず腸管外病変も同時に診断が可能で侵襲もなく,疾患モニタリングに最適なモダリティーと考えられる.読影医の育成など解決すべき問題も残されているが,今後多くの施設へ広がることが期待される.