著者
石井 源信 小谷 泰則
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、アスリートは緊張時になぜパフォーマンスが崩壊するのかを明らかにするために、磁気共鳴画像法を用いた実験やテニスのサーブ・コースを予測するCGを用いた行動実験を行い、脳のどの様な要因がパフォーマンスの崩壊を発生させるのかを明らかにすることを目指した。また、パフォーマンス崩壊の要因を探るためにソフトテニスを対象として、質問紙を作成し、どのような心理的要因がパフォーマンス崩壊に関与しているかも検討した。その結果、心理的な阻害要因としては、競技場面での過度な感情の惹起が「視線注意散漫」という状態を生じさせ、最終的に「知覚運動スキル」に影響を与えることが示された。また、脳内のメカニズムとしては、島皮質からの実行系の注意システムへのコントロールが阻害されることが示された。本研究では、これらの他に、スポーツ科学の脳機能研究を支援するプログラムの開発や、アスリート支援のためのスマートフォンアプリなどの開発も行った。
著者
山中 裕樹 源 利文 高原 輝彦 内井 喜美子 土居 秀幸
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.601-611, 2016 (Released:2016-12-28)
参考文献数
58
被引用文献数
19

大型水棲動物を対象とした環境DNA分析は、野外調査時には水を汲むだけで済むという簡便性から、広域的かつ長期的な生態学的調査や生物相調査への適用が期待されている。環境DNA分析は種の分布や生物量、そして種組成の解析にまで利用され始めているが、大型水棲生物を対象とした研究が行われるようになってからまだ日が浅く、野外調査などへの適用に当たっては当然知っておくべき基礎情報の中にも、環境DNAの水中での分解や拡散の過程など、未だ明らかとなっていないブラックボックスが残されているのが現状である。本稿ではこれまでの多くの野外適用例をレビューして、環境DNA分析の野外調査への適用の場面で想定される様々な疑問や課題について解説し、今後の展望を述べる。環境DNA分析から得られる結果は採捕や目視といった既存の調査で得られた知見との比較検討の上で適切に解釈する必要があり、この新たな手法が今後各方面からの評価と改善を繰り返して、一般的な調査手法として大きく発展することを期待したい。
著者
中川 源洋 笹垣 信明
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.103-106, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
6

無形の民俗芸能の保存は、そのままの形で保存させることが困難であるため、映像記録が広く用いられている。しかしながら目的ごとに求められる映像コンテンツが異なるため、予算や撮影条件が限られている場合は目的が限定され、必ずしも有効に活用されないことがあった。そこで様々な目的に適用が可能な記録を得るために、数台の測距カメラを組み合わせて民俗芸能を3次元(3D)的に記録・データ化する技術を開発した。本技術を郷土芸能保存会のような団体自身により、公演や練習の様子をデータ化/アーカイブ化していくこと想定している。取得データは演技空間そのものを記録しているので、目的に合わせた形態への加工が可能となる。例えば再生視点を自由に選べることから、行事全体を理解するための広角の映像、演者の動きや部位に注視した映像、更には広報用の極端なアングルやクローズアップ映像などに再構成させることができる。また取得した3Dデータを解析し、熟達者と初心者間の動きを定量的に比較し継承支援につなげたり、取得データを利用した芸能体験アプリなどによる観光目的への展開なども可能となる。本稿では岩手県で継承されている鹿踊りや神楽の3Dデータ化実験と、取得データを活用した訪日外国人向け芸能体験アプリの実験の結果を報告する。
著者
やぎぬま ともこ 源川 暢子
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.356, pp.130-133, 2005-06

夏に向けて準備したいのが、喉ごしのいいプルプルデザート。寒天・ゼラチンといったゲル化剤や葛は溶解温度などに大きな違いがある。それぞれの特徴を生かせば、これまでにない食感を生み出すことも可能だ。辻調の先生に聞く基礎知識プリプリした弾力が特徴口溶けの良さも魅力ゼラチン ゼラチンの原料は、牛骨や牛皮、豚皮などに含まれるコラーゲン。
著者
工藤 彰 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.126-131, 2009-05-16
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

本研究では村上春樹の初期三部作を用いて,語彙の出現頻度や語彙同士の関係性に着目し,単語の計量分析からネットワークを作成した.主として,三部作に共通して登場する人物である「鼠」がネットワークの中心を占めていることに着目し,共起単語より「鼠」の役割を分析した.その結果,三部作中の第二作途中をさかいに,物語の中心に位置していた「鼠」の出現頻度が落ち,中心から周辺に移行していく構造が見出された.また,従来の文学批評でなされてきた言説と計量的分析を比較することで,本研究の文学的解釈における有効性が確認された.
著者
斉藤 勇璃 村井 源
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3D2OS12b01, 2021 (Released:2021-06-14)

登場人物は魅力的な物語を作る上で重要な要素の一つである.登場人物が物語に良い影響を与え,より面白くしている作品は多数存在している.その為,物語論や自然言語処理の分野においては,これまで登場人物の役割や人間関係等に関して,多数の研究が行われている.しかし,どのような物語上の役割を担う登場人物が何人出てくるのか,特に物語を長編にしても読者を飽きさせない為には,どのような役割の登場人物がどのように登場・退場し,役割が変化していくか等,人数に着目した計量的な研究はほとんど行われていなかった.そこで本研究では,少年漫画における登場人物の一話ごとの人数とその役割についての分析と,物語を長編化した場合における適切なタイミングでの登場人物の登場・退場・役割の変化等に関する数値的なデータの蓄積を行った.人数と役割に関する定量的な分析の他にも,物語において新しく登場する新規登場人物の分析や,因子分析を行い,登場人物の役割の組み合わせパターンの抽出を行った.その結果,少年漫画での一話の登場人物数に共通の特徴があることが明らかになった.また,登場人物の配置における中・長期的な時系列の頻出パターンを抽出した.

5 0 0 0 OA 越前人物志

著者
福田源三郎 著
出版者
玉雪堂
巻号頁・発行日
vol.中・下, 1910
著者
今関 源成 戸波 江二 西原 博史 石川 健治 毛利 透 小山 剛 戸波 江二 岡田 信弘 市川 正人 西原 博史 石川 健治 小山 剛 江島 晶子 高見 勝利 宍戸 常寿
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

2008年3月, 台湾の憲法・行政法研究者10名を迎え、東京(早稲田大学)で「議院内閣制と大統領制」および「実効的人権保障とその問題点」をテーマとして、第3回共同研究シンポジウムを開催した。2009年3月, 日本の憲法研究者8名が台湾に赴き、台北(台湾大学)で、「公法典範的継受與轉型」をテーマとして、第4回共同研究シンポジウムを開催した。これまでの成果をまとめた論文集の刊行に向けて, 鋭意努力中である。
著者
白鳥 孝幸 村井 源
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.276-282, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
13

「ハッピーエンド」と「バッドエンド」は物語における最もメジャーなカテゴライズであるが,これまでの研究においてそれらに関する計量的な分析はほとんど行われていなかった.本研究では,乙一の短編小説における喜劇性と悲劇性の抽出を目指した.まず,対象データを3 ジャンルに分類し,分類語彙表に基づいた新たな極性辞書を作成した.また,極性辞書を用いてテキスト中の極性語を抽出した.そして,抽出した極性語から,階層的クラスター分析と重回帰分析を用いて,ハッピーエンド作品とバッドエンド作品における特徴の抽出を試みた.その結果,物語の終盤四分の一における「好・愛・敬」にカテゴライズされる極性語がハッピーエンドに寄与していることが明らかになった.また,物語の終盤四分の一における「悲・哀」にカテゴライズされる極性語がバッドエンドに寄与していることが明らかになった.