著者
田中 宏
出版者
Japan Association for Comparative Economic Studies
雑誌
比較経済体制学会年報 (ISSN:13484060)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.38-51,203, 2002 (Released:2009-07-31)
参考文献数
20

How do we understand the typology of East European economies in transition? This paper tries to answer this question through investigating a variety of studies of the complex transitions occurring in Eastern Europe.First it challenges making a research model to compare these complexness and differences. Secondly, it investigates studies on the causes of differences descendent from the socialist and pre-socialist period. Thirdly, it examines studies about ones indigenous to the process of transition itself.Finally it is concluded that transition economies could be categorized and typified in the space that the three dimensions constitute: the degree of cumulative liberalization, the line between the over-withdrawal of the state and its institution-constructive role and the degree of regional integration.
著者
仲 智彦 小木曽 望 木村 公洋 田中 宏明 Naka Tomohiko Kogiso Nozomu Kimura Kimihiro Tanaka Hiroaki
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
第32回宇宙構造・材料シンポジウム:講演集録 = Proceedings of 32nd Symposium on Aerospace Structure and Materials
巻号頁・発行日
2016-12

第32回宇宙構造・材料シンポジウム(2016年12月9日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 (JAXA)(ISAS)), 相模原市, 神奈川県資料番号: SA6000087007レポート番号: A06
著者
熊原 秀晃 西田 順一 坂井 洋子 金平 真由美 金平 桂一郎 進藤 宗洋 田中 宏暁
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.251-261, 2014 (Released:2014-06-13)
参考文献数
27
被引用文献数
2

The purpose of this study was to investigate the effects of acute exercise mimicking boxing on affect and mood states. In a randomized crossover design, 16 adults (35.8±6.6 yrs) underwent both a boxing exercise program based on shadow boxing (Boxing) as well as a boxing program combined with a focus mitts workout (pad work) (Boxing+Mitts). The Waseda Affect Scale of Exercise and Durable Activity (WASEDA) and the Profile of Mood States-Brief Form (POMS-Brief) were administered before and after both exercise programs. There were no gender differences in any psychological scales before and after the programs as well as in heart rate during exercise. The Boxing+Mitts program tended to show a lower exercise intensity, defined as the percentage of the average heat rate reserve (HRR), than the Boxing program (40.4±13.3 vs. 50.4±17.5%HRR, p<0.10). However, both programs were considered to give a moderate level of exercise intensity on average, which is regarded as the minimum intensity required to improve individual cardiorespiratory fitness. The Boxing program significantly improved all 3 scales of negative affect, positive engagement and tranquility assessed by the WASEDA. Moreover, the POMS-Brief showed an iceberg profile after the program, which was followed by significant decreases in the scores of tension-anxiety, depression-dejection, anger-hostility and confusion, and a significant increase in the vigor score. In addition, a composite score of total mood disturbance calculated by summing the subscale scores changed in a positive direction. The Boxing+Mitts program was shown to lead to similar changes in the WASEDA and POMS-Brief. However, no significant program×time interactions (by two-way ANOVA) were observed in any of the scales. These results indicate that acute boxing-style exercise programs would improve negative psychological variables and enhance both feelings of pleasant activation, as well as relaxation. A further study is warranted to explore whether any long-term (chronic) effects on mental health exist, and to compare these programs with other modes of exercise.
著者
川中 健太郎 田中 宏暁 檜垣 靖樹 増田 紘之 羅 成圭 上原 吉就 池永 昌弘
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

実験動物を用いて、ビタミンD摂取量が骨格筋量や糖代謝機能に及ぼす影響について検討した。その結果、ビタミンD欠乏は速筋線維の萎縮を引き起こす可能性が示された。さらに、速筋線維の萎縮にはAkt活性の低下が関与している可能性が示された。また、ビタミンD欠乏は遅筋線維におけるPGC-1αの減少を引き起こし、この線維でミトコンドリアが減少している可能性が示された。筋量やミトコンドリアの減少が、ビタミンD欠乏による耐糖能力低下に関与しているかもしれない。なお、正常な血中ビタミンDレベルを維持することは筋量維持に重要であるものの、トレーニングなどの過負荷による筋肥大には関係ない可能性も示された。
著者
高澤 麻理絵 町田 治郎 上杉 昌章 古谷 一水 押木 利英子 田中 宏和 野原 友紀子 平井 孝明 松波 智郁 鈴木 奈恵子 岩島 千鶴子 廣田 とも子 脇口 恭生 本吉 美和 岸本 久美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI1161, 2011

【目的】Dynamic spine brace(以下DSB)は、梶浦らにより開発された脳性麻痺の側彎変形に対する体幹装具で、従来の硬性コルセットと比較し可撓性に富み、利用者の受け入れが良く、長時間の装着が可能という特徴を持つ。また介助者側からみた特徴としては、装具の着脱が行い易い、患児の体幹が安定するなどがあり介助量の軽減も報告がされている。今回、当院においてDSBを作製した患者に対し、介助者の主観的評価として満足度・介助負担感、機能的評価として側彎進行度・1回換気量について調査を行ったので報告する。<BR>【方法】対象は当院でDSBを作製した患者で、使用前と使用1M後、3M後に比較可能であった男児1名女児5名であった。GMFCSはレベル4が2名、レベル5が4名であり、装具使用開始の平均年齢は9歳5か月であった。評価項目は、介助者の主観的評価として、1) DSBへの満足度、2)介助負担感(装着・移乗・更衣動作・排泄)、3)動作や姿勢の変化点、その他の気づいたことを自由意見として聴取した。満足度と介助負担感は10点満点で、負担感は大変なほど点数が高くなり、満足度は、満足しているほど高くなる。介助者への聴取は同一検者が行った。機能的評価として、1) コブ角測定 ( 整形外科医師によるレントゲン画像読影 ) 、2) 1分間の平均1回換気量測定(IMI社製Haloscaleを使用)を行った。平均1回換気量は、分時換気量を呼吸数で割って求め、これを3試行し平均値をとった。主観的評価は、6人分を平均して、使用後1M後と使用3M後の2群に分けて比較した。機能的評価(コブ角、平均1回換気量)は使用前と使用1M後、使用1M後と使用後3Mにおいて対応のある2群の中央値の差の有無をウイルコクソン符号付順位和検定を用いて調べた。<BR>【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者および保護者には事前に書面および口頭にて説明を行い、アンケートの提出をもって同意を得るものとした。<BR>【結果】主観的評価:1)DSBに対する満足度は使用1M後7.2点、使用3M後7.3点であった。満足度の主な減点理由として、全員から熱がこもる、汗をかくという意見があった。2)装着に関する負担感は、使用1M後3.5点、3M後3.3点で、装着する位置が難しい、装着動作が大変という意見があった。移乗介助の負担感は使用1M後5 点、3M後4.5点で、身体にフィットせず抱きにくいという反面、低緊張なので装具がある方が抱きやすいという意見もあった。更衣介助の負担感は使用1M後3M後ともに平均3.0点、排泄介助の負担感は使用1M後4.5点、3M後6.5点であった。排泄介助に関しては、1日に何度も着脱し汚れの配慮が必要との声があった。3)家族から聴取した動作や姿勢の改善は全例で認められ、臥位・座位姿勢の改善、座位時間の延長、座位で上肢が使いやすい、座位が自立した等があった。機能的評価:コブ角は使用前平均49.5度と使用後1Mで44度、3Mで45.9度であった。使用前と使用1M後、使用1M後と3M後で統計学的有意差は認められなかった。平均1回換気量は、使用前平均108.4 ml、使用1M後94.3 ml、 3M後133.3mであり、使用前と使用1M後間で有意な低下(p<0.05)、使用1M後と3M後間に有意な改善がみられた(p<0.01)<BR>【考察】DSB使用後の動作や姿勢に関する家族の評価は概ね良好であり、満足度も高い評価を得られたが、介助負担感(装着・排泄・移乗・更衣)については、先行研究のような長所のみでは必ずしもないことが明らかになった。装具適応については介助者に対しての事前の十分な説明や教育が必要であると思われた。今回の対象者は、全員が初めての装着であり負担感が少なからずあったと考える。さらに調査期間が3Mと短かったことから、もっと長期の使用があれば装具を常用することへの習熟や慣れが生まれて負担感は軽減する可能性があると考えた。機能的評価でも、コブ角は有意な改善が見られず、平均1回換気量に関しては使用前と使用1M後間で有意に低下し、その後の使用1M後と3M後間で有意な改善がみられた。このことから機能的改善も使用直後には見られず、改善がみられるには3M以上を要することが推察された。今後、機能改善の評価に適切な評価項目を吟味するとともに、追跡調査を続け長期間にわたるDSB使用に関する機能評価をする必要があると考えた。<BR>【理学療法学研究としての意義】脳性麻痺などの中枢神経系障害に起因する二次的な側彎変形に対して、新たに開発された装具の効果について検討を行った。重度重複障害児の側彎変形は児の生命やQOLに関わる重要な問題であるにもかかわらず科学的根拠を求める研究は少ない。本研究は重度重複障害児の側彎変形に対する試みであり、得られた知見は小児分野の理学療法学研究に寄与するものである。
著者
武田 真司 小出 紗英 大本 圭祐 坂本 啓 田中 宏明 石村 康生 大熊 政明
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.151-158, 2020 (Released:2020-10-29)
参考文献数
10

For the observation of microwave in space over 100 GHz by radio astronomical satellites, this study develops shape-deformable antenna reflectors. When a certain portion of the antenna reflector prototype is deformed, the entire reflector is affected by the partial deformation. The purpose of this study is firstly clarifying the effect of coupling in reflector displacement. Secondly, this study tries the performance evaluation of hysteresis elimination by a piezoelectric strain feedback system under the effect of the displacement coupling. To achieve these objectives, this study quantifies the displacement coupling, the relations between piezoelectric strain and reflector displacement, and the residual reflector displacement error under the feedback control when multiple actuators are driven simultaneously. As a result, this study clarifies that there is a non-negligible coupling effect and the stress history dependence in the reflector surface deformation, causing the limit in the accuracy of the feedback system. Based on these experimental observations, this paper presents three design improvement plans that will possibly solve these problems.
著者
田中 宏衞 光野 正孝 山村 光弘 良本 政章 福井 伸哉 辻家 紀子 梶山 哲也 宮本 裕治
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.77-84, 2013-04-19 (Released:2013-04-25)
参考文献数
29

要 旨:遠位弓部大動脈瘤において遠位側吻合部が深い場合,および急性解離(AAD)に対する全弓部置換手術(TAR)の際には,elephant trunk(ET)を用いてきた.今回,その手術成績と対麻痺の発生,およびET周囲の血栓化からその有用性を検討した.【方法】2004~2012年に行ったTAR 122例のうち,ETを併用した40例.原因疾患は遠位弓部大動脈瘤27例,AAD 13例.2007年以降遠位弓部大動脈瘤全例(n=15)で術前CTにてAdamkiewicz動脈(AKA)を同定.【結果】全体の手術死亡1例(2.5%).ET長は平均11.4(7–22)cm.ET長と対麻痺の関連を検討したところ,15 cm以上の15例中4例(27%)に対麻痺を認め,12 cm以下の25例では対麻痺はなかった(p<0.01).AKAを同定温存した14例で対麻痺はなかった.遠位弓部大動脈瘤でET周囲の血栓化により一期的根治を期待した21例中16例(76.2%)で瘤は血栓化し縮小.AADではET長は7–10 cmで対麻痺はなく,13例中2例で完全に解離腔が消失,8例で平均T8まで血栓化.【結論】TAR+ETの手術成績は良好であった.遠位弓部大動脈瘤ではETにより瘤の血栓化が得られるが,その長さが15 cm以上で対麻痺の危険が高く,ET長の決定には充分な注意が必要である.よって,現在ではETによる瘤の血栓化を期待するのではなく計画的二期手術(hybrid手術)を基本方針としている.またAADではET長が7–10 cmで良好な血栓化が得られ,対麻痺もなかったことから妥当な長さであると考える.
著者
イサダ サグァンウォントーン 四家 帝 山嵜 彰一郎 松嶋 智子 田中 宏和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.348, pp.35-38, 2012-12-13

通信における送信情報のビットストリームは,短いビットストリームのパケットに分割されたパケット構造をもつことが多い.パケットの先頭にはパケットの同期確立のためのユニークワードが存在する.ユニークワードを検出できないと,そのユニークワードを含むパケットからの情報再生ができなくなり,再生品質が著しく劣化する.通常,無線通信の送信機では伝送誤り対策のため,情報パケットのストリームに対して,誤り訂正符号化により情報パケットのパロティ検査ストリームを生成し,両ストリームを送信する.受信機では,誤り訂正復号された受信情報パケットのストリームからユニークワードを検出する.著者らは以前,復号された受信検査パケットのストリームからもユニークワードを検出する手法を提案したが,本稿では,同期検出確率と伝送効率の関係を明らかにする.
著者
田中 宏喜 藤田 一郎
出版者
秀潤社
雑誌
細胞工学 (ISSN:02873796)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.969-979, 1998-06
著者
林 良太 黒田 健治 田中 宏明 稲富 宏之
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.231-238, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
14

本報告の目的は,自傷行為を繰り返すうつ病患者に対して,多職種協働の中でストレス対処行動獲得のために実施された作業療法の効果を検討することである.症例はうつ病患者で,自傷行為がストレス対処行動として用いられていると考えた.多職種協働の介入目標を「自傷行為の減少」として,作業療法では,新しいストレス対処行動の獲得,ストレス要因の改善,ストレス要因に対する症例のとらえ方に介入した.その結果,自傷行為は減少し,新しいストレス対処行動の獲得を認めた.多職種協働の中で,ストレス対処行動の形成化,ストレス要因の改善,認知的柔軟性を獲得し,日常的に実践可能となるような介入により自傷行為の減少に繋がる可能性が示唆された.
著者
東 剛志 菅原 民枝 中田 典秀 山下 尚之 三野 芳紀 田中 宏明 大日 康史
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.226-232, 2014-04-20 (Released:2014-05-13)
参考文献数
42
被引用文献数
1

本研究は,下水処理場に流入する流入下水中のインフルエンザ治療薬のタミフル及びリレンザの濃度をモニタリングすることにより,ある地域におけるインフルエンザ患者数を把握することが可能であることを示した最初の報告である.まず,2010-2011年及び2011-2012年におけるインフルエンザの流行シーズンに,京都市において流入下水中のタミフル及びリレンザの濃度を継続モニタリングした結果に基づいて,同市におけるインフルエンザ患者発生数を推計した.次に,処方せんに記載された医薬品情報の集計を元に疾病の流行を把握する,薬局サーベイランスによるインフルエンザ患者数との対応性について比較検討した.その結果,両者の相関関係が高く増減推移や患者数に良い一致をみた.これらの結果は,下水処理場に流入する薬剤を基に特定疾患の患者数の推定を行う手法が,新しい疫学調査法として有効であることを示唆している.
著者
上江田 勇介 松木 明好 澳 昴佑 森 信彦 野村 翔平 田中 宏明 奥野 浩司郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0586, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】Gaze Stabilization Exercises(GSE)は,立位で眼前のターゲットを注視しながら頭部運動を行い,眼球を頭部と逆方向,かつ同速度で動かす前庭眼反射を誘発するバランス練習である(Bhardwaj, et al., 2014)。このGSEによって,一側前庭機能障害によるバランス障害が改善する(Richard, et al., 2010)と報告されているが,前庭機能自体が改善することでバランスが改善しているのか,体性感覚や視覚の姿勢制御への貢献度が向上して改善するのかは明らかではない。そこで,GSE前後の立位重心動揺総軌跡長,および視覚,前庭覚,足底感覚の立位時感覚貢献度指数(Stephen, et al., 1994)を比較することで,GSEによって姿勢制御における前庭覚の機能に変化が生じるかを検討した。【方法】対象は健常成人12名(男性9名,女性3名,平均年齢22.5±1歳)とした。GSEは,立位にて1m先のターゲットを注視させたまま1Hzのビープ音に合わせて頭部を左右に回旋させる運動を1分3セット実施させる課題とした。頭頚部の左右回旋角度はターゲットを注視できる最大の角度とした。GSE前,直後,10分後(Pre,Post,Post10m)に,(A)開眼閉脚立位,(B)閉眼閉脚立位,(C)フォームラバー上で開眼閉脚立位,(D)フォームラバー上で閉眼閉脚立位の4条件の足圧中心移動総軌跡長を,各30秒ずつ記録した。前庭系機能の姿勢制御条件であるDの足圧中心移動総軌跡長を算出し,Pre,Post,Post10mで比較した。A,B,C,D時の足圧中心総軌跡長をそれぞれa,b,c,dとおき,X={(b-a)/b},Y={(c-a)/c},Z=a/dを算出し,視覚貢献度指数=X/(X+Y+X),足底感覚貢献度指数=Y/(X+Y+Z),前庭覚貢献度指数=Z/(X+Y+Z)を算出し,比較した。統計にはKruskal-Wallis検定,およびPre条件を対照群としてShirley-Williams検定を行った(α=0.05)。【結果】Pre,Post,Post10mにおける条件Dの足圧中心総軌跡長の中央値(第一四分位点)は130.8(114)cm,129.1(119.2)cm,120(110)cmであり,群間に有意差は認められなかった。Preに対するPost,Post10mの視覚貢献度指数は1.07(0.95),0.9(0.75),足底感覚貢献度指数は0.93(0.8),0.93(0.76),前庭覚貢献度は1.15(1.09),1.44(1.17)であった。Kruskal-Wallis検定の結果,前庭覚貢献度のみ群間に差を認め,Shirley-Williams検定によって,Preに対して,Post,Post10mが有意に高い数値であることが示された。【結論】前庭機能のバランス機能を観察するD条件の足圧中心軌跡長は群間で有意差を認めなかった。これは3分間のGSEは,前庭系の姿勢制御機能自体を有意に高めることはできないことを示す。しかし,各貢献度において,前庭覚のみが増加を示した。このことは,視覚,足底感覚,前庭覚の中で前庭覚の姿勢制御への寄与を一時的に高めることができる可能性を示唆した。この方法は,Sensory weightingの異常を有する高齢者や脳血管障害患者のバランス練習として有効かもしれない。
著者
松田 常美 竹村 茂一 大場 一輝 上西 崇弘 小川 雅生 市川 剛 高台 真太郎 新川 寛二 田中 宏 久保 正二
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.141-146, 2009-02-01 (Released:2011-12-23)
参考文献数
12

はじめに:肝切除施行例における腹腔ドレーンの管理法について検討した.対象と方法:肝切除術中に閉鎖式ドレーンが留置された104例を術後4日目以内腹腔ドレーン抜去72例(短期間留置群)と術後5日目以降抜去32例(長期間留置群)に分類し,ドレーン留置期間延長の要因や術後合併症の観点から肝切除術における適切な腹腔ドレーン抜去時期について検討した.なお,腹腔ドレーンは胆汁混入がみられない(総ビリルビン値5 mg/dL未満)場合,抜去した.結果:腹腔ドレーン長期間留置に関わる因子は,単変量解析によると腫瘍径(大型腫瘍),1区域以上切除,手術時間,術中出血量,術後4日目のドレーン排液量(200 mL以上)で,多変量解析によると手術時間,術中出血量およびドレーン排液量が独立因子であった.胆汁漏は短期間留置群の2例にみられ,そのうち1例に腹腔内感染が発症した.創感染は両群のそれぞれ1例に,難治性胸腹水は短期間留置群の2例にみられたが,両群のそれら術後合併症の頻度に差はみられなかった.まとめ:肝切除例において,手術時間,術中出血量および術後4日目のドレーン排液量が腹腔ドレーン長期留置に関わる独立した因子であった.胆汁混入がみられない場合,腹腔ドレーンの術後4日目以内抜去は妥当であると考えられた.