著者
田賀 淳夫 中山 正成 田中 宏 田浦 保穂
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.81-84, 1998-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18

排便排尿失禁および後躯麻痺を呈し脊髄疾患が疑われた犬 (雌, 雑種, 7ヵ月齢, 体重7kg) が単純X線検査により二分脊椎症と診断された. 脊髄造影X線検査による造影ラインとMagnetic Resonance Imaging (MRI) 矢状断面脊髄像とは一致し, さらにMRIによって脊髄空洞症が認められたことから, この例は脊髄空洞症を併発した嚢腫性二分脊椎症 (開放性脊髄髄膜瘤) と診断された.
著者
稲野辺 英昭 東条 進 西田 憲生 田中 宏和 真崎 繁 盛田 和久
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.737, 2009

従来、経済的に困難であった鋼材切断が可能なダイヤモンド工具を用いて、切断に係る基礎データを取得した。一般的に用いられているレジノイド切断砥石と比較して、工具寿命が長く、粉塵や火花発生量が少ないため、原子力関連施設の解体工事等への適用性が高いと考えられる。
著者
田中 宏樹 後藤 由美 隈川 公昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI1022, 2011

【目的】<BR> 立ち上がりは、目的動作や行為の一部として生活・活動範囲の拡大に関与する。股関節内転筋群は、骨盤の安定化やブリッジ機能といった作用が報告されており、体幹の安定性獲得に重要であり、立ち上がりにおいても重要な役割を果たすと考えられる。しかし、立ち上がりにおける股関節内転筋群の関与についての報告は少ない。そこで今回健常者を対象に、股関節内転筋群を作用させた立ち上がり時の骨盤や股関節への影響を明確にすることを目的とした。<BR>【方法】<BR> 現在整形外科的疾患・神経学的疾患を有さない、健常成人15名(年齢27.3±4.7歳、身長169.1±3.5cm、体重60.5±7.7kg)を対象とした。立ち上がりは、安楽坐位姿勢(以下normal)、股関節内旋位(internal rotation:以下internal)、Ballを挟んでの立ち上がり(adduction:以下add)の3種類で検討した。スタート肢位は、両上肢を体幹前面で組み、座面は大腿部が床面と水平な位置とし、膝関節90°、足底が全面接地可能な範囲とした。被験者の肩峰、上後腸骨棘、大転子、膝関節外側関節裂隙にマーカーを貼付し、各立ち上がりをビデオカメラにて撮影した。撮影した動画から1秒間に30フレームの連続した静止画を作成し、Image Jを使用して、肩峰-上後腸骨棘-大転子のなす角(以下 骨盤前傾角)と、上後腸骨棘-大転子-膝関節外側裂隙のなす角(以下 股関節屈曲角)を測定した。3種類の立ち上がりの骨盤前傾角・股関節屈曲角を反復測定一元配置分散分析で検討し、有意差を認めた場合には多重比較検定(Bonferroni)を用いて検定を行った。なお有意水準は5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR> すべての対象者には、本研究の主旨を口頭にて説明し参加同意の得られた者を対象とした。<BR>【結果】<BR> スタート肢位での骨盤前傾角は、normal 93.1±12.6°と比較し、internal 85.7±11.2°,add 87.3±10.4°では有意に低値を示した(P<0.01)。しかしinternal、add間においては骨盤前傾角に有意差を認めなかった。股関節屈曲角度においては3群間normal 162.3±12.6°,internal 177.6±51.4°,add 178.0±51.5°で有意差は認めなかった。<BR> 立ち上がり時の最大骨盤前傾角は、normal 73.7±12.0°と比較しinternal 67.5±11.5°,add 69.4± 12.3°では有意に低値を示した(P<0.01)が、internalとadd間では、有意差は認めなかった。最大股関節屈曲角においてはinternal 142.7±13.1°と比較しnormal 136.7±14.4°で有意に低値を示し(P<0.01)、またinternalとadd 139.5±12.5°間においても、addの方が有意に低値を示した(P<0.05)。しかしnormalとadd間においては股関節屈曲角に差を認めなかった。<BR>【考察】<BR> 今回測定を行った骨盤前傾角・股関節屈曲角は、角度が低値を示すほど、骨盤前傾及び股関節屈曲は大きくなる。今回の結果から、立ち上がり時のスタート肢位の骨盤前傾及び、最大骨盤前傾はともにinternal,addで骨盤前傾が大きかった。最大股関節屈曲では、normalとaddで大きくなった。<BR> 股関節内旋は、運動連鎖的に骨盤を前傾させる作用が報告されており、internalでのスタート肢位では、normalよりも骨盤前傾が大きくなったと思われる。また最大骨盤前傾角においても、股関節内旋による運動連鎖で骨盤前傾が大きくなったと考えられる。一方、最大股関節屈曲に関しては、股関節内旋位が股関節のclosed-packed-positionの1つに相当するため、股関節がしまりの肢位となり、股関節屈曲が制限され、normalよりも最大股関節屈曲が小さくなったと考えられる。<BR> 股関節内転筋群の開放運動連鎖は股関節内旋にも作用すると述べられている。したがって、スタート肢位でBallを挟んだ際は股関節内転筋群が活動することで、股関節が内旋し、運動連鎖的に骨盤を前傾させたものと考えられる。また最大骨盤前傾角においてもBallを挟み続けることで、運動連鎖が維持され、骨盤前傾がnormalよりも大きくなったと考えられる。最大股関節屈曲角においてはinternalよりaddの方が大きくなったが、立ち上がりでの股関節内転筋群の関与として、動作開始から離殿前までは股関節屈曲を補助すると述べられている。このことから、股関節内転筋群を収縮させることで股関節の補助的な屈曲に作用し、最大股関節屈曲に差が認められたと考えられる。<BR> 以上のことからinternalでの立ち上がりでは、骨盤前傾は増加するが股関節屈曲は制限されることが示された。またaddでの立ち上がりは、normalと同程度の股関節屈曲を維持し、骨盤を前傾させて立ち上がりを行うことが可能であることが示された。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 今回のaddでの立ち上がりは、変形性膝関節症患者で見られる骨盤後傾で立ち上がりを行う症例に対して臨床的に応用できると考える。
著者
小西 智也 小野寺 康 田中 宏昌 杉村 丈一
出版者
一般社団法人 日本トライボロジー学会
雑誌
トライボロジスト (ISSN:09151168)
巻号頁・発行日
pp.21-00010, (Released:2021-09-17)
参考文献数
20

Smoothing surface roughness by the use of additives is one of the promising approaches to reduce friction loss and wear under boundary lubrication. Effect of phosphorus anti-wear agents on controlling surface roughness is focused in this study. Zinc dithiophosphate (ZnDTP), generally used as an anti-wear agent for engine oil, formed rough surface by forming inhomogeneous phosphorus and sulfur films. In contrast, a particular neutral phosphorus agent that reduced surface roughness and prevented wear was found, which forms homogeneous phosphoric acid film. An acidic phosphorus agent also reduced surface roughness and reduced friction and promote low shear stress molybdenum disulfide film formation with Molybdenum dithiocarbamate (MoDTC), but it was accompanied with a large amount of wear. Use of the neutral and the acid phosphorus agents together realized low friction, reduced wear, and very smooth surface by forming reaction films composed of sulfur and phosphorus type films. The study indicates that forming a homogeneous phosphoric film of low shear strength by the use of specific phosphorous agents is one of a promising approach to establish and sustainable boundary film of low friction and low wear.
著者
田中 宏一 西口 浩之
出版者
海水誌
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.85-90, 2000-04-01
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
井上 隆広 井上 三四郎 菊池 直士 増田 圭吾 岩崎 元気 田中 宏毅 中村 良 川本 浩大 泊 健太 阿久根 広宣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.164-165, 2021-03-25 (Released:2021-04-30)
参考文献数
6

【緒言】鎖骨骨折術後経過フォロー中にVariax Clavicle Plate(Stryker社)が折損し再手術を余儀なくされた1例を経験したので報告する.【症例】症例:55歳男性,既往歴特記事項なし.ロードバイク走行中に転倒し受傷した.当科受診しX線検査で右鎖骨骨幹部骨折(Robinson分類Type2B1)を認めVariax Clavicle Plateを用いて内固定術を行った.術後経過良好であったが,受傷約2ヶ月後ロードバイク走行中に再度転倒し,プレート折損及び鎖骨骨幹部粉砕骨折を認め当科再診となり再手術施行した.【考察】鎖骨骨折に対してプレートによる内固定を行う場合は,プレート折損の可能性について患者に十分説明し,スポーツ再開についても骨癒合を確認した上で許可すべきであることを再確認させられた.
著者
山西 浩規 武部 恭一 田中 宏一 野村 一太 福原 良太 斉藤 洋輔 武政 誠一
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.57, 2007

【はじめに】骨化性筋炎とは筋挫傷に伴い、時に不適切な治療が原因で筋肉内に骨形成が起こり、局所の腫脹、自発痛、運動制限がみられる疾患である。今回、サッカー練習中に受傷した症例に対し競技復帰のために、疼痛の緩解と可動性の拡大を目的とした理学療法(以下PT)を行ったので報告する。【症例紹介】14歳男性。サッカー練習中に右大腿部を強打し受傷、その後接骨院で治療を受けていたが、1ヶ月経過しても疼痛が軽減せず、当院を受診した。X-P像の結果、右大腿部前面に異所性骨化が認められ、骨化性筋炎と診断した。本人及び家族の競技復帰への希望が強く、当日より当院にてPT(5回/週)を開始した。初診時、関節可動域(以下ROM)膝屈曲は自動で110°、他動で115°で大腿部前面に疼痛が認められた。膝伸展は他動0°であったが、extention lagが40°認められた。その他の関節には制限はなかった。徒手筋力検査(以下MMT)は右股関節屈曲、外転、膝関節屈曲が4レベル、伸展は2+レベルで疼痛があり、SLRも不可であった。また、歩行時に疼痛性跛行が認められたが、独歩可能であった。しかし、階段降段時に右大腿部の疼痛が強く一足一段では不可であった。大腿周径は特に左右差は認められなかった。PTプログラムは、疼痛の緩和を目的に温熱療法と超音波などの物理療法、関節ファシリテーション(以下SJF)、ROM運動や筋力増強運動を行った。骨化性筋炎では、過度な抵抗運動や他動運動では、筋に対してストレスがかかり、再出血が生じ、骨形成につながる可能性があるため、ROM運動や筋力増強運動時は疼痛自制内で自動運動のみ実施した。また、全身バランスの調整を目的にバランスボードを行った。また、完治するまで、サッカーの練習は中止とした。PT実施1週目で、ROMが自動で膝屈曲115°、膝伸展‐20°、SLR30°まで改善し、5週目で、ROMは膝屈曲150°、膝伸展0°、SLR90°、MMTも5レベルとなり、疼痛も軽減され階段降段も一足一段で可能となった。約8週目でジョギング許可、9週目よりボールを用いた練習を取り入れ、11週目で競技復帰も許可し、試合に出場可能となった。X-P像では骨化像の消失、増大傾向は見られなかった。【考察】今回の症例は物理療法やSJFを用いて疼痛を抑制し、疼痛自制内でPTを行うことで、疼痛の緩解、筋の伸張性が向上した。その結果、ROM改善につながったと考えられる。しかし、本症例は異所性骨化が残存していることから、サッカー復帰後も、クラブの指導者などと連携して経過の観察が必要だと考える。
著者
田中 宏毅 井上 三四郎 有田 卓史 古川 寛 大角 崇史 内田 泰輔 岩崎 元気 菊池 直士 阿久根 広宣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.861-863, 2020-09-25 (Released:2020-11-12)
参考文献数
8

51歳女性.左腰痛,両下腿痛,血尿のため体動困難となり,救急搬送された.両下腿と腰部に高度な浮腫と腫脹,激しい疼痛,水泡形成,著明な筋逸脱酵素の上昇,高カリウム血症を認め,左腰部,両下腿の急性コンパートメント症候群と診断した.緊急で腰部と両下腿に減張切開術を施行し,ICUで全身管理を行った.全身状態安定とともに四肢の浮腫は改善した.初診時に血圧低下,血液濃縮,低タンパク血症,心拍出量低下を認め,その他の多発コンパートメント症候群をきたし得る全身疾患が除外されたことより,原疾患として全身性毛細血管漏出症候群(SCLS)と診断した.SCLSは非常にまれな疾患であり,多発急性コンパートメント症候群を認めた場合,鑑別疾患の一つとして念頭に置く必要がある.
著者
井原 賢 長江 真樹 田中 宏明 征矢野 清
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

今年度は、培養細胞試験で発現させるトランスポーターを従来のヒト遺伝子ではなく魚遺伝子を用いた培養細胞試験を開発した。具体的には、データベース上でメダカおよびゼブラフィッシュのセロトニントランスポーター(SERT)遺伝子の塩基配列情報を入手し、その遺伝子を発現するプラスミドを市販のサービスによって合成した。そして、抗うつ薬の標準物質を用いて試験することで、魚SERT遺伝子の抗うつ薬に対する反応性を体系的に明らかにすることに世界で初めて成功した。興味深いことに、魚SERT遺伝子はヒトSERT遺伝子よりも抗うつ薬で強く阻害されることが明らかとなった。具体的には、50%阻害濃度(IC50)で比較した場合、魚SERTのIC50値はヒトSERTのIC50値に比べて、数倍~数十倍低い結果が得られた。つまり魚SERTはより低濃度の抗うつ薬で阻害を受けることを意味する。この情報は、抗うつ薬やGPCR標的薬が魚等の水生生物に与える影響を評価する上で極めて重要な情報を提供してくれる。メダカSERTとゼブラフィッシュSERTの間でも、IC50値に違いが検出された。同じ魚であっても種によって抗うつ薬に対する反応が異なることが予測される。下水処理水に対しても抗うつ薬アッセイを行った。魚SERT遺伝子を用いた場合でも、ヒトSERT遺伝子を用いた場合と同様に、抗うつ薬活性が検出されることを確認した。セルトラリンを用いてミナミメダカに曝露し、通常時の行動をビデオ観察することで行動異常の検証を開始した。
著者
辻 義之 田中 宏彦 大野 哲靖
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 = Journal of plasma and fusion research (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.620-630, 2009-09-25
参考文献数
17

本章では,計測された時系列データの変動特性を解析するための基本的なツールであるフーリエ変換によるスペクトル解析の基礎について説明する.実験データにスペクトル解析を適用する際に留意すべき点を明らかにする.また相関関数とスペクトルの関係について解説し,スペクトルの理解に資する.クロススペクトルやバイスペクトルなど,さらに進んだ解析手法についても概説する.説明した手法を実際のプラズマ揺動データに適用し,得られた解析結果に対して解釈を与える.
著者
菅沼 崇 古城 和敬 松崎 学 上野 徳美 山本 義史 田中 宏二
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.32-41, 1996
被引用文献数
1

本研究は友人によるサポート供与と評価懸念が生理的, 認知的, および行動的なストレス反応に及ぼす効果を実験的に検討することを目的とした。2 (友人サポートの有無) ×2 (評価懸念の有無) の要因計画で, 被験者は大学生79名。彼らはそれぞれ親しい友人と実験に参加した。サポート供与条件では, 友人は被験者がアナグラム課題を遂行している間, 自発的にそして被験者の要請に応じてサポートを供与した。他方, サポートなしの条件では, 友人はサポートを一切供与しなかった。評価懸念ありの条件では, 友人は被験者が課題を遂行する状況を観察することができた。従属変数としてのストレス反応は, 平均血圧 (MBP), 認知的干渉, および課題正答数で測定された。<BR>その結果, 評価懸念あり条件ではサポート供与の有無の条件間に差はなかったが, 評価懸念なし条件ではサポート供与あり条件の方がなし条件よりMBPが有意に低いことが認められた。したがって, 評価懸念をもたらさない友人のサポート供与はストレスを緩和する効果をもつことが指摘された。
著者
堤 敦子 田中 宏樹 小野 雄治 梅田(戸上) 久美 梅田 幸嗣 磯田 憲一 波部 幸司 西川 政勝 水谷 仁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.486-492, 2016

乾燥肌成人女性ボランティアを対象に,新規低刺激性全身洗浄料(nachu 高保湿ボディソープ:ダスキン)と従来品(うるおいボディソープ:ダスキン)を用い,各群15名の二重盲検による4週間の二群並行試験を行った。前腕皮膚の角層水分量,経表皮水分蒸散量に加え,使用感のアンケートと皮膚科専門医による問診・視診で評価した。結果:角層水分量にて両手共に改善傾向が認められ,統計学的には全被験者では左前腕,支給タオル使用者のみでは右前腕で有意な改善が確認され,角層水分量変化量の群間比較も改善をみた。なお,試験期間中に両洗浄剤に起因する有害事象は確認されなかった。以上より,新規洗浄剤が従来品に比し高い保湿性を持つことが考えられた。(皮膚の科学,15: 486-492, 2016)
著者
設樂 一碩 田中 宏季 足立 浩祥 金山 大祐 阪上 由香子 工藤 喬 中村 哲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4F3OS25b05, 2020 (Released:2020-06-19)

認知行動療法(CBT)は,非適応的な思考や行動を修正し,抱えている問題の解決に取り組むトレーニングである.我々は音声対話エージェント(ECA)との音声対話による低コストかつ高い効力を有したCBTの自動化を目指しており,これにはセッションごとの詳細な影響分析が重要であると考える.本研究では初期段階として,CBTの技法の一つである認知再構成法に基づく7つの質問による基本対話システムを作成した.テキスト対話で提示した場合と,ECAを用いて提示した場合の2種類の対話形式を用意し,初期の抑うつ尺度,セッション前後の否定的感情の変化(トレーニングの効果),CBTの達成度,ラポール尺度を28名の大学生と大学院生から測定した.結果として,研究協力者の否定的感情において,事前事後での有意な変化を確認した(25名で改善).また,対話中の表情の特徴量抽出も行った.分析の結果,否定的感情の強度,抑うつ尺度の評点に対し,特定の表情の特徴との有意な相関関係が見られた.
著者
川上 雄士 円城寺 隆志 毛利 茂樹 田中 宏季 高島 和希
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.195-198, 2007
被引用文献数
2

&nbsp;&nbsp;In this paper, we describe an experimental study of pulsed current sintered binderless tungsten carbide hard metal. The binderless tungsten carbide is expected to be a highly precious mold material used under high temperature and harsh conditions.<br> &nbsp;&nbsp; Low temperature and rapid sintering are achieved by the pulsed current sintering method. The developed material has more than 99% of relative density and Rockwell hardness of 96.5[HR30N] without applying hot isostatic press. Due to its rapid sintering, the material has fine microstructure and fine surface roughness. The polished surface roughness (Ra) is less than 3 nm.<br>
著者
田中 宏和
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.276-285, 2021-04-15 (Released:2021-04-23)
参考文献数
20

はじめに 2019年末に中華人民共和国湖北省武漢市で初報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はわずか数か月で世界的に拡大し,欧州でも多くの感染者を出した。本稿はオランダにおける2020年7月末までの感染拡大とその対応についてまとめ,新興感染症による公衆衛生の海外での体験を一例として共有することを目的とした。疫学 2020年2月27日に初めての新型コロナウイルス感染症患者が確認されてから感染が急拡大し,第一波は新規感染者・死亡者ともに4月10日ごろにピーク(日別新規感染者1,395人,日本の人口換算で約10,000人)を迎えた。その後,感染拡大は収束したが5月31日時点で感染者46,422人,入院患者11,735人,死亡者5,956人が累計で報告された。死亡のほとんどが60歳以上で発生し,男性は80-84歳で,女性は85-89歳でそれぞれピークとなっていた。地理的な広がりとしてはアムステルダム・ロッテルダムといった都市圏での感染者は相対的に少なく,南部の北ブラバント州・リンブルフ州で多かった。オランダ政府の対応 オランダ政府の対策の特徴は,最初の感染者の確認からわずか2週間で全国的な都市封鎖に追い込まれたこと,比較的緩やかな都市封鎖措置と行動制限を実施したこと,社会・経済活動の再開までに約3か月を要したことが挙げられる。2020年3月12日から段階的に全国的な対策を施行し,3月下旬にルッテ首相がインテリジェント・ロックダウン(Intelligent Lockdown)と呼ぶオランダ式の新型コロナウイルス感染防止対策が形成された。5月中旬以降,子どもに対する規制が緩和されたが対策措置の多くは6月中旬まで続き,段階的な緩和をもって社会・経済活動が再開,7月1日にほぼすべての規制が解除された。それ以降,在宅勤務の推奨,1.5メートルの社会的距離を取ることや公共交通機関でのマスク着用義務化など新しい日常への模索が続いている。おわりに オランダにおける感染拡大防止策は多様性と寛容に裏打ちされたオランダの国民性を体現したものだったが,感染者数および死亡者数は日本より深刻な状況であった。健康危機管理に関する他国の政策の評価には公衆衛生や医療資源の評価とともに,その背景にある社会の特徴を考慮することが重要である。