著者
木下 健 田中 宏樹 キノシタ ケン タナカ ヒロキ Kinoshita Ken Tanaka Hiroki
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.15-25, 2015-03

論説(Article)本稿では、2012年8月に実施された「エネルギー・環境の選択肢に関する討論型世論調査」の効力について、計量評価を行っている。具体的には、Fishkin et. al.(2006)で提示されたDP評価の4基準に照らして、エネルギーDPがそれらの基準をどこまでクリアできていたかを検証する。実証分析の結果、討議参加者の代表性の確保に関しては、電話アンケート調査とエネルギーDP参加者の選好が異なっていたことから、記述的代表性が確保されていないことを明らかにした。有意な意見態度の変容に関しては、χ2検定の結果より、原発ゼロシナリオ及び原発20-25シナリオに関して、有意な意見態度の変容が起こったことを示した。また、討議倫理の保持に関しては、Somersのd検定の結果より、原発ゼロシナリオ及び原発20-25シナリオにおいて、集団分極化が発生していることを示した。最後に、討議合理性の発揮に関しては、順位相関分析より、コストと原発シナリオが相関関係を示すように変化したことから、討議合理性が発揮されたと判断した。集団分極化が見られたものの、有意に意見態度が変容し、討議合理性を発揮したといえることから、熟慮された公共的判断を体現する熟議的代表性が一定程度確保されていたといえよう。
著者
田中 宏太佳 緒方 甫 蜂須賀 研二 合志 勝子 丸山 泉
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.459-463, 1990-11-18
被引用文献数
5

健常中高年男性を対象に,万歩計での歩行量の測定と体部CTでの大腿中央部の筋横断面積の算出,それにCybex IIでの大腿四頭筋とハムストリンクスの筋ピーク・トルク値の計測を行った.日常生活の活動性中等度群(1日平均歩行量4.0×10^3以上8.0×10^3未満)の大腿四頭筋の筋ピーク・トルク値の平均は,軽度群(1日平均歩行量4.0×10^3未満)に比べて有意に大きかった.筋横断総面積やハムストリンクスの横断面積の値は,日常生活の活動性中等度群では軽度群に比べて有意に大きかった.したがって健常中高年者では廃用性筋萎縮を防ぐために,1日約4.0×10^3以上の日常生活の活動性を維持することが大切である.
著者
松本 知大 渡邊 明子 髙木 寛 長谷川 靖司 中田 悟 田中 宏幸
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.9-14, 2018-03-31 (Released:2018-04-18)
参考文献数
11

我が国の関節疾患患者数は増加の一途を辿っており,健康寿命を縮め,介護が必要となる疾患であることから,有効な予防,改善策が望まれている.本研究では,関節軟骨成分の代謝に着目して,関節疾患に有効な食品素材の探索を行った.その結果,ノブドウエキスが炎症性サイトカインによるNFκBシグナルの亢進を抑制することで,ヒアルロン酸の代謝異常を改善することを見出した.また具体的な効果として,コラーゲン誘発関節炎マウスに対する関節炎発症抑制効果も示した.ヒト有効性試験においては,ノブドウエキス含有飲料を3ヶ月間摂取することで,生活活動時の膝関節の違和感,痛み,屈曲角度の改善がみられた.以上の結果より,ノブドウエキスには関節軟骨成分の代謝異常を改善する効果があり,ノブドウエキス含有飲料の摂取により関節疾患を予防,改善する効果が期待できる.
著者
柏山 礼興 坂本 啓 田中 宏明 大熊 政明 石村 康生
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.863, pp.17-00566, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
15

This study aims to develop an actively deformable space antenna system for radio astronomy around 100GHz. In order to reduce the thermal deformation in active control mechanisms composed of multiple materials, a method to cancel the mismatch of the coefficients of thermal expansion (CTE) is proposed and tested. The CTE mismatch between piezoelements and Super Invar structures is cancelled by adding another metallic part. For effective CTE cancellation, this study clarifies the cause of thermal deformation induced by the preloading mechanisms for a piezoelectric stack actuator. In addition, it shows the effect of the dimension tolerance of the piezoelements is significant, but still manageable by the proposed CTE cancellation method. The effectiveness of proposed method is validated by the use of finite-element analysis, prototyping models, and thermal deformation measurement experiments.
著者
田中 宏季 サクリアニ サクティ グラム ニュービック 戸田 智基 中村 哲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.2H4NFC04b3, 2018-07-30

<p>自閉症スペクトラム障害とは、社会性とコミュニケーションに困難がある発達障害であり、言語と非言語の表出に影響を及ぼすと報告されている。特に他人とのインタラクションにおいて定型発達児と比較した際の特異性がこれまで報告されている。本研究では、自閉症児のコミュニケーション支援に向けた対話システムを開発するため、保護者とのインタラクションにおける発話応答時間と応答内容の分析を行った。</p>
著者
住田 杏 田中 宏明 池田 忠繁
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.862, pp.17-00525, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
11

A new method of driving and controlling multiple piezoelectric actuators individually with a single power supply unit using variable resistors was developed, and its effectiveness was investigated. This method provides effective high-accuracy shape control under weight limitation as each actuator can have a desired voltage applied individually from the single power supply unit using variable resistors. It was observed that the proposed method can drive piezoelectric actuators without degrading their operational performance when compared to representative actuator driving methods. Moreover, a shape control utilizing the proposed method was demonstrated to be more accurate than the conventional grouping method of multiple piezoelectric actuators, by numerical analysis and experiments on cantilever beams.
著者
関 雅樹 田中 宏昌 堤 要二 山下 和敏 中野 聡 西村 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.686, pp.79-89, 2001-09-20
参考文献数
12
被引用文献数
1

本論文では, 東海道新幹線のような基幹鉄道橋りょうの洪水時における安全性確保にあたり運転を規制する方法と規制値等を定めるための新しい手法を提案する. 一般的に, 洪水時の運転規制は, 水位と橋脚幅から推定される洗掘深さから算出される危険水位等を観測して実施されている. しかし, 橋脚の安定には基礎耐力が重要である. 洗掘により基礎耐力が低下すると橋脚の固有振動数が低下することに着目し, 橋脚の洗掘深さと固有振動数の関係を数値解析により把握し, 衝撃振動試験による実測固有振動数から橋脚の安定性を評価する手法を提案した. 評価手法も含めた洪水時の安全管理システムは, 新幹線富士川橋りょうにおいて実効性と信頼性を確認したが, 道路橋においても適用可能である.
著者
大東 延久 清地 正人 綱脇 恵章 藤田 雅之 今崎 一夫 中井 貞雄 三間 圀興 車 信一郎 後藤 道夫 小久保 正之 中尾 直也 山中 千代衛 加瀬 貞二 青山 誠 赤羽 温 中野 文彦 松岡 伸一 山川 考一 大前 吾一 八木 隆志 伊藤 紳二 文 雅司 和泉田 真司 小野 晋吾 劉 振林 大竹 秀幸 猿倉 信彦 耿 紀宏 和田 智之 浦田 佳治 田代 英夫 南畑 亮 児玉 英範 田上 潤一 河仲 準二 窪寺 昌一 佐々木 亘 黒澤 宏 寺嶋 克知 田中 宏和 久保 博一 鈴木 徹 太田 毅 榎波 龍姫 若林 理 溝口 計 大部 彩子 渡邊 隆之 中野 真生 堀 司 西坂 敏博 伊藤 貴志 小島 哲夫 今野 進 藤川 周一 安井 公治 吉澤 憲治 森 勇介 佐々木 孝友 田中 光弘 岡田 幸勝 島村 清史 Namujilatu 福田 承生 松原 健祐 田中 歌子 今城 秀司 早坂 和弘 大向 隆三 占部 伸二 渡邊 昌良 大場 正規 加藤 政明 丸山 庸一郎 小矢田 康晴 山本 修平 平野 嘉仁 Pavel Nicolaie 佐藤 聡長 伊藤 篤史 大島 広明 吉田 弘樹 阪上 幸男 挾間 寿文 西岡 一 鬼澤 敦子 上原 昇 植田 憲一 西村 昭彦 宅間 宏 常包 正樹 田口 昇 稲場 文男 関田 仁志 RUTHERFORD Todd TULLOCHI Bill 笠松 直史 BYER Robert 松井 宏記 江口 武芳 川田 安男 金辺 忠 山中 正宣 中塚 正大 井澤 靖和 神崎 武司 宮島 博文 宮本 昌浩 川嶋 利幸 岡田 康光 菅 博文 秋山 靖裕 高瀬 智裕 高田 淳 湯浅 広士 小野 明 吉田 史朗 中山 通雄 佐藤 雅夫 内藤 真哉 町田 久忠 家久 信明 軽部 規夫 西畑 実 鈴木 伸孝 太田 忠喜 藤原 弘康 市位 友一 木村 信二 木村 美紀雄 庄司 康浩 今城 正雄 柳澤 隆行 内野 修 永井 智広 長澤 親生 住吉 哲実 荒井 恒憲 佐藤 俊一 石原 美弥 菊地 眞 バサ ニレシ 岡田 龍雄 前田 三男 水波 徹 松岡 直哉 岡崎 豊 菊池 健 山口 滋 南里 憲三 藤岡 知夫 森 啓 鈴木 薫 中田 順治 嘉成 和孝 小平 裕司 内藤 靖博 永野 宏 蓮池 透 谷脇 学 清水 幸喜 熊谷 幹郎 高島 洋一 遠藤 雅守 川上 政孝 武田 修三郎
出版者
The Laser Society of Japan
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.23-24,27, 1999
著者
永塚 公彬 田中 宏宜 肖 伯律 土谷 敦岐 中田 一博
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.317-325, 2015 (Released:2015-11-19)
参考文献数
37
被引用文献数
6 23

Dissimilar materials joining of an A5052 plate and a carbon fiber reinforced thermoplastic (CFRTP), which consisted of polyamide 6 (PA6) with 20 wt% carbon fiber addition, was performed using friction lap joining (FLJ) with the Al alloy plate as a top and the CFRTP plate as a bottom. The joint characteristics were evaluated to investigate effects of the surface treatment by the silane coupling treatment for A5052 and the joining speed on the joining properties. The joint strength was increased by inducing the silane coupling treatment for the A5052 plate surface. The tensile shear fracture load of the silane coupling treated FLJ joint increased with increasing the joining speed up to 6.67mm/s, and then decreased. The maximum tensile shear fracture load of 5.0kN was obtained at the joining speed of 6.67mm/s, and the fracture occurred at the CFRTP base plate with the joint efficiency of 97%. The shear strength of the joint interface of the joint formed at the joining speed of 1.67mm/s, which fractured at the joining interface by the tensile shear test, was estimated about 19MPa. The covalent bondings between the A5052 plate and the silane coupling layer, and the silane coupling layer and the CFRTP plate were indicated by inducing the silane coupling treatment.
著者
井原 賢 張 晗 花本 征也 田中 宏明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.3, pp.281-287, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
16

Pharmaceuticals are widely found in aquatic environments worldwide. Concern about their potential risks to aquatic species has been raised because they are designed to be biologically active. To address this concern, we must know whether biological activity of pharmaceuticals can be detected in waters. Nearly half of all marketed pharmaceuticals act by binding to the G protein-coupled receptor (GPCR). In this study, we measured the physiological activity of GPCR-acting pharmaceuticals in effluent from a wastewater treatment plant (WWTP) and upstream and downstream of its outfall in Japan during 2 years. We used the in vitro transforming growth factor-α (TGFα) shedding assay, which accurately and sensitively detects GPCR activation, to investigate the antagonistic activities of water extracts against receptors for dopamine (D2) and histamine (H1). Activities detected in waters were quantified as antagonist equivalent quantities (EQs). In WWTP effluent extracts, antagonistic activity was detected at several hundred ng/L of sulpiride-EQ (D2) and several μg/L of diphenhydramine (DIP)-EQ (H1). In downstream river water extracts, antagonistic activity against H1 was around several hundred ng/L of DIP-EQ, higher than that upstream owing to the WWTP effluent. This review discusses the research needed to resolve the concern about potential risks of pharmaceuticals in waters to aquatic species.
著者
田中 宏和
出版者
福山大学大学教育センター
雑誌
大学教育論叢第3号 = Bulletin of University Education Center, Fukuyama University Studies in Higher Education (No.3) (ISSN:21893144)
巻号頁・発行日
no.3, pp.77-89, 2017-03

AR (Augmented Reality) technology is changing people's lives significantly.However, the legal response to AR is inadequate in spite of the fact that, of the various forms of ICT, AR is the technology that most deeply affects real space.The release of "Pokémon GO" in 2016 has become a good opportunity for human society to recognize the dangers of AR.Therefore, in this study, we will pursue various problems that AR has brought about.We will refer to various cases that "Pokémon GO" has brought to real society,and will examine the necessity for regulation and the implementation of limits on AR.
著者
永田 智子 赤松 純子 榊原 典子 鈴木 真由子 鈴木 洋子 田中 宏子 山本 奈美
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2013

1.問題の所在と研究の目的  家庭科教員を取り巻く現状は厳しい。小学校においては継続的に家庭科の実践研究を行う教員は少なく,家庭科授業の手本を示してくれる先輩教員や情報交換できる同僚が身近にいないことが多い。別の方法で小学校家庭科の授業者を支援する手立てが必要である。  小倉ら(2007)は,全国の小中学校における日々の理科授業の改善に役立てるため,優れた特徴をもつ理科授業をビデオ収録するとともに,その実践の何が優れているかを具体的に示すことによって,理科を指導する教師が参考にすることを目的とした研究を行った。本研究の基本的な発想は小倉らの研究に依拠する。つまり家庭科授業をビデオ収録し,その指導案を集めるだけでなく,家庭科教育の有識者が,その授業の何が優れており,何が課題なのかを具体的に示すことによって,家庭科の授業実施や改善を支援できると考えた。  ただし,小倉らの研究では,授業ビデオと報告書に掲載された評価コメントを,視聴者自身が対応付けながら視聴しなければならない点で不自由がある。そこで,共有された授業風景動画の特定場面と討論中の発言内容の対応を明示化する動画共有システムVISCO(小川ほか2009)を利用することにした。VISCOではコメントを具体的な映像場面に直接付与すると,吹き出しのように表示することなどが可能になるため,視聴しやすくなることが期待できる。  そこで,小学校家庭科授業の実施・改善を支援することを目指し,優れた点や課題点などのコメントを授業ビデオとともに閲覧することのできる動画共有システムと家庭科授業ビデオを一つのパッケージとして開発することを本研究の目的とした。 2.パッケージの開発手順と特徴  今回開発したパッケージには,VISCOおよび7本の小学校家庭科授業の動画ファイル,各授業の指導案が含まれている。   VISCOはWindows7を推奨環境とするシステムで,動画の映像場面にコメントを付与すると,インターネットを通じてコメント情報がサーバに蓄積される。視聴時には,インターネットを通じて,蓄積された複数人のコメント情報を動画上に吹き出しの様に重ねて表示させることができる。またコメントはリスト表示され,そこからコメントを挿入した場面に動画を移動させることもできる。  小学校家庭科授業およびその指導案は日本家庭科教育学会近畿地区会の有志によって収集・編集された。授業は学習内容A~Dから各1本以上とし(A=1本,B=2本,C=3本,D=1本),題材(テーマ)は重ならないように調整した。授業は学校長の許諾を得た上で撮影し,かつ子どもの名前や顔にはモザイク加工を施した。音声が聞き取りにくい場面にはテロップを付け,授業内容がわかる程度の長さにカットした(最短約16分,最長約38分,平均約24分)。  このように編集された7本の授業ビデオに,教員養成系大学・学部で家庭科教育に携わる研究者7名が分担して,VISCOを使って優れた点や課題・助言,解説等のコメントを付与した。1本当たりのコメント者数は3名,コメント数は平均48.3±11.5件であった。 3.今後の課題 小学校と同様の手続きで中学校・高等学校家庭科教育のパッケージを開発するとともに,研究者の付与したコメントの妥当性や有効性を検証することが今後の課題である。 本研究はJSPS科研費 24531124の助成を受けたものである。参考文献 小倉康ほか(2007)優れた小中学校理科授業構成要素に関する授業ビデオ分析とその教師教育への適用,平成 15 年度~18 年度科学研究費補助金 基盤研究(A)(1) 研究成果報告書 小川修史・小川弘・掛川淳一・石田翼・森広浩一郎(2009)協調的授業改善を支援するための動画共有システムVISCO 開発に向けた実践的検討,日本教育工学会論文誌,Vol.33, Suppl., 101-104
著者
池村 修寛 稲川 浩平 福田 芽森 山田 亘 宮田 宏太郎 田中 宏明 吉田 拓生 池上 幸憲 谷本 耕司郎 布施 淳 坂本 宗久 樅山 幸彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.S2_105-S2_109, 2014

症例は心室細動蘇生後の23歳男性. 生来健康. 従兄弟が32歳で突然死. 駅のホームで倒れているところを発見され, 救急隊要請された. 目撃者なし, bystander CPRなし. AED (Automated External Defibrillator) により, 除細動を2度行われた後に自己心拍再開し, 当院救命センター搬送となった. 心肺停止時間は不明だが最大で1時間程度と考えられた. 全身状態安定後に低体温療法を開始した. 来院時のQT間隔は正常 (QT/QTc : 370/440msec) であったが, 低体温時の心電図で著名なQT延長 (QT/QTc : 720/600msec) を認めた. 復温後にQT間隔は正常化した. 冠動脈造影は異常なく, アセチルコリン負荷試験は陰性, 心エコー, 心臓MRI (magnetic resonance imaging) で器質的心疾患を示唆する明らかな所見は認められなかった. 潜在性QT延長症候群を疑いエピネフリン負荷試験を施行した. 負荷前のQT間隔は正常 (QT/QTc : 440/423msec) であったが, 投与1分後 (Peak state) にQT/QTc : 480/640msecまで延長し, 投与3分後 (Steady state) にはQT/QTc : 440/454msecまで戻った. 潜在性QT延長症候群と診断し, ICD植え込みを行った. 診断にエピネフリン負荷試験が有用であった心室細動蘇生後の潜在性QT延長症候群の1例を経験したので報告する.
著者
田中 宏明 福田 芽森 山田 亘 池村 修寬 宮田 宏太郎 吉田 拓生 稲川 浩平 池上 幸憲 谷本 耕司郎 布施 淳 坂本 宗久 樅山 幸彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.S3_226-S3_231, 2014

DCMの68歳男性. ○年○月にCRT-D植え込み. VT stormに対し, ○+3年○月にアブレーション (心内膜側) を施行. 左室中隔および側壁に低電位領域 (LVA) を認め, ICEでLVA領域に一致して壁内から心外膜側にかけて高輝度領域を認めた. VTはペースマップ (PM) を用いて良好なPM部位でアブレーション施行. アブレーション後再発を認めたが, ATPで停止可能で経過観察していた. ○月○日 (1回目のアブレーションより3カ月後) にVT stormを認め, 緊急入院. ○月○日, アブレーション (心内膜側・心外膜側) を施行した. 前回アブレーションした側壁LVAの心外膜側は正常波高であったが, perfect PM (S-QRS=40ms) およびNSVT時にQRSに先行する拡張期電位 (Egm-QRS=54ms) が得られ, VTのExitと考えられた. 心外膜側および心内膜側にアブレーションを行い, clinical VTは誘発不能となった.
著者
田中 宏二 兵藤 好美 田中 共子
出版者
岡山大学
雑誌
研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.181-192, 1996-11

これまでに筆者らは、若・中年齢女性あるいは高年齢女性の取り結ぶソーシャルサポートネットワーク(SNWと略す)の特性が、精神的健康にどのような影響を及ぼしているかについて検討してきた(田中・野邊、1994;田中、1995;兵頭・田中、1995)。特に高齢者に対しては、SNWの重要性が注目されてきている。高齢者の福祉と医療の基本原則は、住み慣れた地域の住民と積極的に関わり合いながら、対象者が住宅のまま地域生活を可能な限り続けることであるという認識が確立されてきている。(那須、1980)。そういった意味から、地域での生活を継続してゆくために、高齢者と地域とを取り結ぶSNWは、不可欠な要素となってくる。そしてケアの概念は生活に根ざした概念として把えられ、対象者に対して包括的なものであり、日常的でかつ直接的な対応が重要視されるようになってきている。とりわけ栄養摂取については生活の中枢をなすものであり、日常的でかつ直接的な対応が求められる。多くの研究者により、独居群がそれ以外の居住形態に属する高齢者と比較して、食物摂取行動の面で問題を多く抱えていることが指摘されている。また、杉澤(1993a)は、独居群の場合、別居子や友人・近隣などとの社会的紐帯の多寡が、独居家族の代替として保健行動面での問題の解消に寄与するという仮説の検証を行い、支持する結果を得ている。これらのことにより、独居者に対するソーシャルサポートネットワークが今後益々重要になってくるものと思われる。ところで岡山市では平成6年10月から、65歳以上の虚弱な高齢者で、かつ自力で調理が困難な場合又は調理の援助が得られない場合を対象とし、「一人暮らし老人等給食サービス促進事業」(給食サービスと略す)が始められている。この事業の主旨として直接的には、要援護高齢者の食生活安定、栄養バランスの補足と栄養改善、調理の負担軽減、楽しめる食事の提供等による高齢者の日常生活の支援を目的としている。また間接的には地域ボランティアの養成、地域交流、安否確認、孤独感の解消、生活リズムの把握、配食者による受給者の保健福祉ニーズの発見及び住宅保健福祉サービスへの仲介を通しての地域福祉の高揚を目的とするものである。給食サービスの形態は月~金曜日迄の週5日間、日1食昼食を配達する毎日型を基本としている。なお、配食体制は、調理業者から配食拠点施設へ社会福祉協議会職員又は配達運転手が配送し、その配色拠点施設からボランティア配食協力員(以降、ボランティア協力員と略す)が受給者宅へ配食を行うという方法をとっている。本調査では、地域のボランティア協力員が利用住宅の高齢者に昼食を届け始めて、1年半を経過した平成8年3月時点で調査を行った。本報告の目的は、給食サービス及び受給者-ボランティア協力員間のサポート授受関係が高齢者のSNWや精神的健康に対して、どのような影響を及ぼしているかについて、検討を行うものである。
著者
田中宏 著
出版者
東京出版社
巻号頁・発行日
1916
著者
田中 宏二 小川 一夫
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.171-176, 1985-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
13

The purpose of the present study was to analyze the influence of father's occupation on career choices of their children in connection with children's inheritance of their father's occupation. The subjects were children whose father's occupation has long been either school teacher (n=267), or college professor (n=363), or architect (n=153). The main results were as follows. 1) Compared with the ratios of eldest children choosing any of the three occupations mentioned above other than the father's, those entering the same as their father's weresignificantly high. 2) As for the environmental models as in Holland's theory, the relationships existing between father and son together with father and daughter, was related to his hypothesis. 3) Using the quantification method II as a method of determinant analysis in the process of occupational inheritance, parental expectation and identification, the age of a child and its educational background was found to contribute largely to decide upon its occupational inheritance.