著者
白楽 ロックビル 福田 沙織 堀田 のぞみ
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.11-29, 2008 (Released:2008-04-01)
参考文献数
15

科学研究者の不祥事を実証的に研究する基盤として,日本の最近21年間(1987年~2007年)の「研究者事件データベース」を構築中である。そのデータベースに基づく分析を試み,改善策を提言する。まず,「研究者の不祥事」は「行為」→「漏えい」→「報道」→「確立」の4段階を経ることを明確にした。その過程で,マスメディアは重要な役割を果たしている。また,不祥事をなくすための政府,学協会の対策はおざなりに思えるが,根本的には,日本の科学者の閉鎖的価値観,形式に終始する行政,権力にすり寄る御用学者,などの旧弊な構造と文化風土を改善しなくてはならない。突破口の例として,各大学の理工系学部に科学技術文化学研究室を設置する提言にまとめた。科学研究者の現場の声を政策に生かす仕組みが必要である。

5 0 0 0 OA 現代文芸評論

著者
正宗白鳥 著
出版者
改造社
巻号頁・発行日
1929
著者
天白 陽介 守川 恵助 今岡 泰憲 武村 裕之 稲葉 匠吾 楠木 晴香 橋爪 裕 廣瀬 桃子 鈴木 優太 畑地 治
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.327-333, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
22

近年,サルコペニアと摂食嚥下機能障害の関連性について注目されており,骨格筋量の減少は摂食嚥下機能障害の要因となると報告されている.本研究は骨格筋量の指標である骨格筋量指数(以下 SMI)が高齢肺炎症例の退院時普通食経口摂取可否を予測する因子となるかを検討することとした.対象は肺炎の診断名で当院に入院した101名(84.3±9.5歳 男性/女性:63/38)とした.普通食経口摂取の基準は退院時Functional-oral-intake-scale(以下 FOIS)6以上とした.評価項目は言語聴覚士介入時に合わせて評価した.対象を退院時FOISの値で2群に分類し,検討した.群間比較の結果では体重,Body mass index,Mini-Mental State Examination,除脂肪量,SMIにおいてFOIS6以上群が有意に高い結果であった.ロジスティック回帰分析ではSMIが独立した因子として抽出された. Receiver Operatorating Characterristic curveでは男性 5.8 kg/m2,女性 4.3 kg/m2がカットオフ値として算出された.SMIは高齢肺炎症例の退院時普通食経口摂取可否を予測する因子である可能性が示唆された.
著者
鈴木 理子 白頭 宏美 杉原 由美
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-20, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
18

大学で行われている自律型日本語学習クラスを初めて担当した教師Aにインタビュー調査を行い,教師にどのような気づきがあったのか,その気づきはどのようなことを契機にして起こったのかについて分析した。自律型クラスでは,学生が自身の日本語の強み,弱みを認識した上で,将来のことも考え,自分にとって必要な日本語学習を主体的に計画,実行し,評価する。教師は,これらの過程に関わりながら学生を支援する立場にあり,教える項目が決まっている授業とは,教師がすべきことが大きく異なる。分析の結果,教師Aの気づきには,「学生に対する認識」「自律型クラスに対する認識」「学生にとっての自律型クラスの意義」「自律型クラス内で教師が学生に対してすべきこと」「教師に必要な知識」「同僚とのやりとりの重要性」の6つがあった。また,これらの気づきの契機は「学生との相互作用」「同僚とのやりとり」であった。
著者
白井 聡
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

報告者の平成18年度中の研究成果として最も特筆すべきことは、これまでのレーニンに関する研究をまとめた単著を刊行するめどをつけることができたことである。この著作は『未完のレーニン-<力>の思想を読む』と題され、5月10日に講談社選書メチエ・シリーズの一冊として刊行される予定である。本著作の内容の多くの部分は、報告者がこれまで雑誌等に発表してきた諸論考を元としているが、今回一冊の書物に編むにあたって、随所に大幅な改稿がなされた。本書は大枠として、レーニンの二つの著作、すなわち『何をなすべきか?』および『国家と革命』を精読するという体裁をとっているが、単に政治思想史的研究にとどまることなく、現代国家論・現代資本主義論・現代イデオロギー論といったアクチュアルな隣接諸領域についても踏み込んだ考察を行なっている。また、本書は読者への簡便性を考慮した選書シリーズの一環として刊行されるため、一般読者に対するわかり易さも考慮して書かれている。ゆえに、本書はマルクス主義思想への一種の入門書としても機能しうることが期待される。以上により、本書は古典的マルクス主義の思想についての内在的研究となっていると同時に、現代的諸課題について意義ある問題提起を行ないえている、と言えるだろう。また、報告者は2006年10月21日に社会思想史学会の第31回研究大会の<セッションA=マルクス主義の展開>において、「レーニンを再読する」と題した研究報告を行なった。同報告においては、今日レーニンの思想・ロシア革命を再検討する意義に関して、多くの社会思想研究者と意義深い意見交換を行なうことができた。
著者
小美濃 幸司 白戸 宏明 遠藤 広晴 清野 寛
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.164-171, 2006-06-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1 3

これからの列車ブレーキ制御技術が目指すべき最適なブレーキパターンの基礎データ獲得を目的とした実験を実施した. 営業列車のブレーキの特徴を考慮し, 実験では台形状の減速度をもつブレーキパターンを設定した. その台形の高さに当たる定常減速度と斜辺の傾きに当たるジャークの異なる組み合わせの28種類のブレーキパターンに対して, 許容できないとした人の割合求め, これを乗り心地の評価指標とした. 同時に乗り心地に関連が強いと考えられる二つの指標, ブレーキの体感強さの平均値と姿勢を保持できなかった人の割合に関しても評価を行った.許容できない割合, 体感強さおよび姿勢を保持できなかった割合いずれも, 定常減速度とジャークを説明変数とした推定式で表された. また, この実験結果をもとに理論的に最適なパターンについて考察した. その結果, 初速度と停止距離に応じた最適ブレーキパターンの定常減速度とジャークの推定式が示された.
著者
吉田 哲 安田 季道 白川 寛夫
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.9, pp.389-394, 1997-09-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
16

We experienced a case of severe systemic hyper-sensitivity reaction with sustained shock and disseminated intravascular coagulation (DIC) following intravenous injection of milk. A 41-year-old nurse injected 150ml of cow's milk into her vein in a suicide attempt. Chills, high fever, nausea and systemic erythema appeared immediately after the injection. On admission, her circulation was severely collapsed, and marked loss of peripheral vascular resistance was demonstrated by Swan-Gantz catheter monitoring. Laboratory data revealed a transient leucopenia with a decrease in the serum level of complement, which was followed by a marked leukocytosis over a week. DIC and hypercalcemia were also observed. The hyperdynamic shock was resistant to therapy during the first 24 hours, but was successfully treated by high doses of methylprednisolone, norepinephrine and fluid resuscitation. DIC could be managed by the administration of nafamostat mesilate and an AT III agent. No fat embolism or bacteremia was observed. The patient was discharged from our hospital without any complication on day 10. It was assumed that the type III allergic reaction to foreign proteins in cow's milk was responsible for the severe systemic reaction observed in our patient.
著者
織田 禎二 宮本 忠臣 白石 義定 朴 昌禧
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.861-864, 1991-04-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
6

小児の開心術では通常,輸血が不可欠であるが,ときに親の宗教上の事情により輸血が拒否されることがある,われわれは“エホバの証人”のシンパを親にもつ1.4歳の小児の開心術で同様の経験をした.無輸血での心臓手術を希望する親を説得して,母親の血液に限り輸血の許可を得たため,Lilleheiらの“controlled cross circulation”(交差循環)をこの母子間で行い,心室中隔欠損孔パッチ閉鎖,僧帽弁再建術に成功した.この交差循環は母親の総大腿動脈よりroller pumpで脱血して患児の上行大動脈へ送血し,患児の上下大静脈より落差脱血にてreservoirに導いた血液を別のroller pumpで母親の大腿静脈へ送血して行った.交差循環時間は212分であった.術後は母子とも発熱を認めたほかはきわめて順調に経過し,術後2.2年経過した現在もきわめて経過順調である.