著者
岩田 忠久 柘植 丈治 石井 大輔
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.123-129, 2014 (Released:2017-02-01)
参考文献数
10

現在,様々なバイオベースプラスチックが開発されているが,熱的あるいは機械的性質,加工性,生産性,原料問題など多くの課題を抱えている。本稿では,微生物産生ポリエステル合成において炭素源を糖から非可食系植物油へ転換する取り組み,木質バイオマスの1つでこれまで廃棄されてきたヘミセルロースであるキシランの有効利用に関する研究,食品廃棄物の1つであるコーヒーの搾り滓から抽出されるカフェ酸を原料としたポリエステル合成に関する筆者らの最近の研究成果について紹介する。
著者
石井 大輔 柳 哲雄 佐々倉 諭
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.217-236, 2014-11-15 (Released:2019-02-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

赤潮の発生規模や発生状況を評価できる指標として提案された赤潮指数をはじめとする赤潮基礎データセット(1979―2004年)をもとに,瀬戸内海における赤潮関連情報の経年的な変動傾向や赤潮優占群の海域特性について検討評価を行った。瀬戸内海(大阪湾以外)と大阪湾における赤潮指数の時間変動特性を解析した結果,瀬戸内海(大阪湾以外)における赤潮指数の長期変動は1990年付近を極小とした増減傾向を示す一方,大阪湾のそれは約30年間顕著な減少傾向を示すことが判明した。また,瀬戸内海(大阪湾以外)では主に全天日射量,大阪湾では陸域からの寄与が大きい栄養塩濃度が赤潮指数の長期変動を決める要因であることを示唆する結果を得た。さらに,赤潮構成種ごとに整理した分類群別(珪藻群・非珪藻群・複合群)の赤潮指数から算出した赤潮優占率をもとに,瀬戸内海(大阪湾以外)および大阪湾における赤潮の卓越群について調べた結果,瀬戸内海(大阪湾以外)では全般的に非珪藻群が優占する一方,大阪湾では非珪藻群から珪藻群へ長期的に優占群が遷移するパターンが確認された。
著者
河村 隆 梅崎 健夫 水谷 俊明 早川 典 石井 大悟 志賀 信彦
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.183-191, 2014 (Released:2015-04-27)
参考文献数
14

閉鎖性水域における富栄養化の原因物質の一つである水中のアンモニア態窒素を吸着できる天然ゼオライトをパルプに担持させたゼオライト機能紙を用いた水質浄化対策を提案した.本対策は,ゼオライト機能紙とジオシンセティックスを用いて作製した簡易浄化ユニットを,富栄養化が問題となっている湖沼の流入河川に繋がる小規模な水路などに設置するものである.本文では,簡易浄化ユニットの適用性を検討するために,ゼオライト機能紙の流水に対する耐久性試験と簡易浄化ユニットの小型模型にアンモニア態窒素を含む水溶液を通水させる吸着試験を実施した.それらの結果に基づいて,簡易浄化ユニットを用いた富栄養化対策としての適用が期待されることを明らかにした.
著者
篠原 智行 土田 奈生子 山根 達也 新藤 香那子 大谷 知浩 石井 大祐
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.645-651, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕ADL(Activities of daily living)維持向上等体制加算病棟の実情とADL低下の原因を明らかにする.〔対象と方法〕退院患者2460名を対象に,年齢,診療科,在院日数,入退院時のBarthel Index(BI)を調査し,ADL低下の原因を診療録より後方視的に分析した.〔結果〕各平均値は年齢68.4歳,在院日数10.2日,入院時BI67.0点,退院時84.8点,ADL低下率は2.0%であった.ADL低下群では有意に年齢が高く,入院期間が長かったが,ADL低下の有無と診療科には関連はなかった.ADL低下の原因は疼痛や術後の低体力,新規脳血管疾患,悪性腫瘍,呼吸機能の悪化が多かった.〔結語〕ADL低下の予防には年齢や疼痛,術後の低体力に留意する必要がある.
著者
髙山 耕二 原 裕 石井 大介 柳田 大輝 冨永 輝 飯盛 葵 松元 里志 片平 清美 大島 一郎 赤井 克己 中西 良孝
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場研究報告 = Bulletin of the Experimental Farm Faculty of Agriculture, Kagoshima University (ISSN:03860132)
巻号頁・発行日
no.39, pp.7-10, 2018-03

肥育牛舎におけるイノシシ害防除法の確立に向けた基礎的知見を得ることを目的とし, 嗅覚刺激として市販のオオカミ尿(以下, 尿) を野生イノシシに提示し, その効果を調べた. 2012年12月に野生イノシシの誘引餌として市販の濃厚飼料を置いた誘引場所(6.0m2) の入口に, 1) 容器および尿のいずれも設置しない(設置前), 2) 容器のみを吊るす(空容器) および3) 容器に尿を入れて吊るす(容器+尿) の3つの処理を行った. オオカミの1日平均侵入頭数は, 設置前で70頭/日, 空容器で50頭/日および容器+尿で67頭/日となり, 処理間差はみられなかった. 空容器では, それに野生イノシシが強い警戒心を示し, 鼻先を使って探索する状況がみられた.しかしながら, 通過時間には3処理間で有意差が認められなかった. また, 容器+尿に対して, 野生イノシシが忌避する状況はみられなかった.以上より, 市販のオオカミ尿に対して, イノシシは忌避しないことが示された.
著者
石井 大祐 渡辺 裕
雑誌
研究報告 オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2012-AVM-76, no.1, pp.1-5, 2012-02-16

近年画像特徴量を用いた画像認識技術の発展は顕著である.これまで画像認識では,主に自然画像を対象とした特徴抽出,記述および解析が行われてきた.一方,電子書籍および電子コンテンツの領域では,電子化されたマンガが一般的になりつつある.電子コンテンツの利便性を高める上で,マンガにおける内容理解技術は重要である.本稿ではマンガを対象としたキャラクターの検出手法について検討し,HOG 特徴量および SVM を利用したキャラクターが存在箇所の検出を試みた.結果としてキャラクターの瞳部分を学習に使用した際に顔全体の画像を学習に使用した場合と比較して,誤検出を抑えつつキャラクターの顔位置が検出されることを確認した.
著者
石井大祐 山崎太一 渡辺裕
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.53-54, 2013-03-06

近年,マンガは,日本国内ばかりでなく,海外からの評価も高いコンテンツである.また,電子書籍市場におけるマンガの占める割合も大変大きい.その一方で,マンガ画像の解析技術については,未だ発展途上である.マンガは,通常の写真等と異なる画像特徴を持ち,また,作家によりその描かれ方が異なるため,一般的な画像特徴量を用いた解析では有用な情報を取り出す事が困難である.マンガにおいて,キャラクターはストーリーを構成する上で非常に重要な役割を担う.今回,我々は,マンガキャラクターの顔が入力された場合に,そのキャラクターの識別を行う手法について検討を行う.
著者
辻 麻美 飯倉 麻子 小舘 亮之 石井 大祐 下村 道夫
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2013-AVM-80, no.2, pp.1-5, 2013-02-15

新たに読み始めようとする書籍を選ぶ際の手がかりとする情報は多様である.例えば,ジャンルや作家名などの情報以外に,表紙のデザイン,とりわけ絵を楽しむ漫画の場合は,登場人物の顔などの画像的特徴を手がかりとして選ぶ方法もある.本研究では,漫画ならではの特徴が表れると想定される顔要素の特徴量をベースとする漫画作品推奨システムを提案し,そのための基礎検討として,顔パーツ特徴量の算出方法について検討する.
著者
吉田 美代 高山 耕二 石井 大介 廣瀬 潤 木山 孝茂 松元 里志 片平 清美 伊村 嘉美 中西 良孝 赤井 克己
出版者
Warm Regional Society of Animal Science, Japan
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.27-31, 2012

採草地における省力かつ効果的なシカ侵入防止法を開発することを目的とし,試験1:高さの異なるポリエチレン製ネット柵(目合:6×6 cm)に対する飼育シカの行動反応から侵入防止に有効な柵の高さの検討および試験2:2008年10月から2009年1月に採草地に設置したネット柵と電気柵の野生シカ侵入防止効果を比較検討した. 1)飼育シカによる試験では,供試シカ3頭は高さ50および100 cmのネット柵を容易に飛び越えた.一方,高さ150および200 cmを提示した場合には,柵基部から高さ100 cmまでのネットに口唇や頭部で繰り返し探索する行動を示したが,ネット柵を飛び越えた個体は皆無であった. 2)1月における早朝(6:00~7:00)の採草地への野生シカ侵入調査では,電気柵(地上高30,60,100および140 cmの4段張り,瞬間電圧約4,000 Vのパルス電流)を設置した採草地(1 ha)に比べ,ネット柵を設置した採草地(1 ha)でシカ侵入頭数が少ない傾向がみられた.柵設置後3ヵ月目(試験終了時)における植物現存量は電気柵を設置した採草地に比べネット柵を設置した草地で有意に多かった(P<0.05). 以上より,高さ150 cmのネット柵を地面への固定を施して採草地周囲に設置することで高いシカ侵入防止効果が得られることが明らかとなった.
著者
石井大祐 柳澤秀彰 三原鉄也 永森光晴 渡辺裕
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.15, pp.1-4, 2014-11-27

物語性のあるマンガにおいて,シーン情報は重要なメタデータの一つである.シーンはマンガの意味的側面における一区間として定義されており,内容の要約単位として有効である.また,マンガ内に含まれる多数のメタデータをシーン単位にまとめることで,メタデータの利便性を高められるものと考えられる.これまでに,マンガ画像解析処理として,コマ,登場人物,吹き出し等,マンガの構成要素を検出するための手法が提案されている.我々の研究目的は,マンガのコマ内に含まれる構成要素に基づいて,シーンの切り替わりとなるコマを判別する手法を実現することである.本稿では,マンガの各コマに含まれる構成要素の分布について調査し,シーンの切り替わりとなるコマについて重要な構成要素を明らかにする.実際のマンガ画像から取得したメタデータを基に調査を行った.調査結果から,他のメタデータと比較して,現時点で自動取得可能とされるメタデータではナレーション,現時点で自動取得困難なメタデータでは背景の距離がシーン切り替わりにおいて重要な要素となりうる可能性が高いことが確認された.
著者
石井 大祐 山崎 太一 渡辺 裕
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2013-AVM-80, no.1, pp.1-4, 2013-02-15

近年マンガは電子書籍市場における重要なコンテンツである.一方でマンガ画像の解析は現状あまり進んでいない.我々はマンガ画像における自動メタデータ生成技術の実現を目指している.本稿では,マンガの登場人物の顔画像に対する識別処理を行う手法を提案する. HOG と SVM による判別処理に対する学習と判別の為のマンガの特徴に基づく顔のパターン分類を示した.実験により,パターン分けを利用しない場合で本人に対して 80%,他人に対して 40%程度の識別率が得られ,パターン分けを用いた場合には,正面向きの場合および後ろ向きの場合に,より良好な結果が得られる事を確認した.
著者
石井 大祐
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、マンガ画像の作画支援を主目的とし、作者の意図するマンガのシーンに応じた画像の半自動構築、あるいは補助的な画像効果等を付与可能とする技術の検討を行っている。研究の初年度となる本年度は、マンガの画像的特徴と物語上の表現のメタデータ化に関して検討を行った。マンガの画像的特徴を抽出するためには、マンガ画像の解析技術が必須となる。近年では、キャラクターをパーツ毎に別レイヤとして登録することで、当該キャラクターのアニメーション化が可能となる技術が実現されている。ただし、パーツをあらかじめ別画像として用意することが必須である点、キャラクターの生成については各種パラメータを数値として適切に設定する必要がある点に課題がある。より柔軟な作画支援を実施するためには、描かれたキャラクターから構成要素の分解を可能とする画像解析技術が重要となる。本年度は、画像解析に関するサーベイを実施した。本研究成果は、HCGシンポジウムオーガナイズドセッションI「コミック工学」にてオーガナイズドセッション賞を受賞した。マンガの表現の一つとして、シーンがある。我々は画像特徴を用いた表現情報の取得という観点から、マンガ画像上に配置されている構成要素の情報からシーンの分断点となるコマの検出を試みた。本研究を遂行するにあたり、正解情報の定義が必須となることから、マンガ作者に正解情報の供与を受けた。今回の検討では、手動で構成要素情報をメタデータ化し、これを用いてシーンの転換となるコマに存在する構成要素の重要性について解析を行った。我々はこれまでにマンガ関連研究を遂行するにあたり、メタデータ付与等の作業を実施しやすくするためのソフトウェアを開発してきた。マンガ関連研究の活発化のため、本ソフトウェアについてアップデートを実施し、本研究成果の一部並びに実験用マンガ画像提供用として構築したウェブサイト上にて公開した。
著者
河原 純子 兵藤 透 太田 昌邦 平良 隆保 日台 英雄 石井 大輔 吉田 一成 馬場 志郎
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.695-698, 2011-08-28

蛍光眼底造影剤は,眼科領域では網脈絡膜疾患の診断,治療効果の判定に不可欠な検査である.今回,糖尿病性腎症にて血液透析中の44歳女性に対し眼底出血の疑いのため蛍光造影剤(フルオレサイト<SUP>®</SUP>静注500mg,以下一般名フルオレセインと記す)を使用した.造影後に透析を行った際,透析液排液ラインに造影剤の蛍光色が視認できたため,独自に作製したカラースケールを用いて廃液ラインの排液色の変化による造影剤除去動態を1週間経過観察した.結果,カラースケール値では,1日目開始時90,1日目終了時50,3日目開始時20,3日目終了時10,5日目開始時0,5日目終了時0であったが,5日目終了時500mL程度排液を集めると,僅かに色を確認することができた.
著者
石井 大輔
出版者
東京工業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

連続変化と離散変化の振る舞いをするハイブリッドシステムに対する,安全性や安定性といった性質の検証を,区間制約プログラミングと演繹的推論を用いて実施するための技術を開発した.本研究は,制約概念を軸に,高信頼な数値計算と,数式処理や時相論理式検証などの記号計算とを統合した点を特色とする.非線形算術制約を高速に求解する並列区間制約ソルバーを構築するとともに,本ソルバーを利用したハイブリッドシステムの検証器を構築,既存ツールでは検証が難しかった複数の事例について,提案ツールにより検証可能であることを示した.
著者
石井 大輔
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.85-90, 2007-05-25

音楽著作物は歴史の中で次第に社会性を帯び大量消費されていくことにより,著作権制度自体に大きな影響を及ぼし,著作権を集中管理するためのシステムがつくられていく.本稿はフランスにおける,アンシャン・レジームから革命期を経て19 世紀にSACEM の設立に至る法制度的,社会的側面から音楽著作物の流通・利用と音楽著作権の生成,発展の過程を追う.そこでは楽譜出版の歴史,フランス著作権制度,音楽著作権の管理団体の勃興が取り扱われる.
著者
石井 大祐 河村 圭 渡辺 裕
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.7, pp.1667-1670, 2007-07-01

2分割を繰り返すことによりコミック画像を各コマに分割する手法が提案されている.本論文では,幅をもつ検査帯により分割線候補の検出を行い,分割線適合検査によりコマ分割を決定する手法を提案し,実験によりしきい値と分割精度について評価を行った.