著者
三宅 康幸 齋藤 美由紀 竹下 欣宏 及川 輝樹 齋藤 武士
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.163-173, 2009-08-31 (Released:2017-03-20)
参考文献数
29
被引用文献数
1

Nantai Volcano is a symmetrical stratovolcano, situated in the southern part of the Northeast Japan arc. Many geologic studies hitherto have suggested that the stratovolcano was formed during the Main stage, and the overlying pyroclastic materials and a lava flow were formed in the Later stage. Because no sedimentary gap is found between any deposits of the Later stage, it is inferred that all of the activity in the Later stage took place successively around 12ky BP (15-14 cal ka BP) and went dormant until now. However, we found a pyroclastic flow deposit named Bentengawara Pyroclastic Flow Deposit (BPFD) at the northeastern flank of the Nantai volcano about 2km from the summit crater. This deposit overlies an 80cm thick deposit of weathered ashy sediments that in turn overlies the Arasawa Pumice Flow Deposit, a member of the Later stage. The lower half of the BPFD consists of volcanic lapilli and ash that is remarkably fine-depleted while the upper half contains abundant scoria of mainly lapilli-block sized clasts. The deposit also includes a small number of breadcrust blocks and occasional accessory lava blocks and fragments of charred wood. The breadcrust blocks consist of a dense outer crust that is significantly fractured and a vesiculated interior. It is noteworthy that the edges of the cracks are sharp and never rounded, suggesting that the vaporization of the inner magma that produced these cracks took place just before or immediately following the settlement of the blocks. Paleomagnetic data from three breadcrust block samples indicate that the magnetic vectors of high temperature components are aligned with our present-day poles. Two pieces of charred wood were measured for their 14C ages with results of 12-11 cal ka BP. The whole rock chemistry of scoria and breadcrust blocks are determined to be significantly different from any of the rocks of the Later stage, but the accessory block in the BPFD has the similar chemistry to the Osawa Lava, the last product of the Later stage. We therefore suggest that the BPFD was deposited after the Later stage with a short (~3ka) dormant period between them. Since the age is possibly around 10ka, the Nantai volcano should be counted as active volcano based on the definition provided by the Meteorological Agency of Japan.
著者
福山 正文 今川 八束 原 元宣 田淵 清 伊藤 武 尾畑 浩魅 甲斐 明美
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.508-512, 1994-04-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
22

ヒトのVero毒素産生性大腸菌 (VTEC) 感染症に対する感染源や感染経路を究明する一環として, 1991年10月から1992年3月までの期間に相模原市, 横浜市および平塚市で飼育されていた健康な家畜 (ウシ, ブタおよびヤギ) の新鮮糞便を採取し, VTECの分離を試みたところ, ブタ105例中1例 (1.0%), ウシ55例中2例 (3.6%) およびヤギ13例中12例 (15.4%) からそれぞれVTECが認められた.特にヤギについてはわが国では初めての分離例であった.分離菌株の血清型と毒素 (VT) 型の組合わせはウシ由来株ではO116: H21 (VT2) とO163: H19 (VT2), ブタ由来株ではOUT: H19 (VT2vp), ヤギ由来株ではすべてOUT: H21 (VT1) であった.以上の成績からウシおよびヤギから分離されたVTECは, ヒト由来のVTECが産生するVTと同じ毒素型のVTを産生していることが明らかとなり, これらの家畜がヒトの感染源に関与していることが考えられた.
著者
佐藤 武 柴崎 達雄 伊津 信之介 根元 謙次 柴崎 逹雄 星野 通平
出版者
東海大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1984

第一鹿島海山の地形を検討すると、いくつかの地形面に区分することができる。そのうちで特徴的なものは、山頂部(水深3,700〜4,000m)の平担面と山体西半分を構成する鞍部(水深5,100〜5,500m)の平担面である。また、山体斜面部には、水深4,700m付近をとりまくように発逹する平担面と水深6,000m付近に同一深度をもつ平担面が識別できる。これらの面のうち、山頂部平担面と鞍部平担面とに礁性石灰岩の分布が確認されていること、さらに各面がほぼ同一深度に水平に発逹することから、これらの面の形成が過去の海水面の位置を示すものと考えることができる。さらに、それぞれの面には、その面を切り下位に開口する谷地形の存在が知られている。これらのことは海水面の変化が複雑な過程を経ていることを示している。これらの地形面(平担面)と谷地形を解析して白亜紀初期からの海水準変化を明らかにした。つぎに、山頂部平担面から採取した礁性石灰岩はチョーク,ウーライトを含み、石灰岩岩石学、古生物学的検討の結果、この石灰岩は一つの独立したbarrier reefの原形を残したまま沈水したものと考えられる。山頂部石灰岩の地質時代は前期白亜紀のlower Albianに対比される。また、鞍部石灰岩からも多数の二枚貝類,腹足類,石灰藻などが発見されているが、保存がわるく、同定が困難である。しかし、前期白亜紀のBarremianに特有な底生有孔虫が発見されていることから、山頂部石灰岩よりも古い時代に形成されたものと考えられる。鞍部の礁性石灰岩は未発達な礁を形成していたものと考えられる。音波探査,堆積物分析,岩石学的検討の結果も上記の古生物学検討の結果を支持している。
著者
武藤 武志
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第57回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P29, 2010 (Released:2010-06-15)

クロスメディアやメディアミックスの中心にはWEBサイトが置かれることが多いが、その中でもWEBサイトや動画共有サイト等の普及により、動画がプロモーションやリッチコンテンツとして使用されるケースが増加している。そこでの動画の尺は、テレビCMより長く、映画より短い時間で構成されている。この尺での映像表現を魅力的にするためにはその尺に合った「盛り上がり」を考えなくてはならない。映画ほど時間をさいての盛り上がりの設定は困難であり、テレビCMのような短時間でのインパクトを追求した表現では、WEBに誘導する効果は薄いと言える。 この盛り上がりを考える上で、情報量との関係に注目した。映像表現には多くの種類の情報が混在している。文字情報、写真やイラスト等のグラフィック、オブジェクトの動きから、音楽・効果音などである。情報量を調節することが、映像のリズムを演出し、視聴者の集中力を維持し、しいては魅力的なものとなると推測される。 本研究では映像表現における盛り上がりについての要因の抽出分析を行い、仮想映像モデル作成、印象評価等を行い、各要因の関係性について考察する。
著者
福山 正文 上村 知雄 伊藤 武 村田 元秀 光崎 研一 原 元宣 田淵 清
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.565-574, 1989
被引用文献数
2

河川水やその泥土および淡水魚などの自然環境における運動性<I>Aerornonas</I>の分布を明らかにするため, 相模川7ヵ所, 多摩川8ヵ所, 津久井湖5ヵ所を対象に本菌の検索を定量的に実施した.また両河川で捕獲した淡水魚の腸管内容物, 鯉, 体表からの菌検索を行った結果以下の成績を得た.<BR>1.相模川の泥土208件中134件 (64.4%) から運動性<I>Aerornonas</I>が検出された.多摩川の泥土では186件中101件 (54.3%), 津久井湖の泥土120件中68件 (56.7%) が本菌陽性であった.これらの泥土から分離された運動性<I>Aerornonas</I>176株について同定したところ, 21.6%が<I>A. hydrophila</I>, 13.1%が<I>A. sobria</I>, 24.4%が<I>A.caviae</I>であった.なおPopoffの分類で同定出来ない菌株が74株 (42.0%) 認められた.<BR>2.泥土を採取した同一地点について水からの運動性<I>Aerornonas</I>の検索を行ったところ, 相模川河川水48件, 多摩川河川水44件および津久井湖の湖水40件全例から本菌が検出された.分離菌株120株の内14.2%がA. hydrophila, 27.5%がA. sobria, 29.2%がA. oaviaeであり, 末同定株が29.2%みられた.<BR>3.河川泥土や湖泥土中の運動性Aerormnas菌数は前者平均が2.5×105個/g, 後者が平均8.8×105個/gであった.河川泥土の一部の定点において菌数が大きくばらついたが全体的には4月に減少し, 7月と10月に増加する傾向がみられた.津久井湖の泥土では採取地点により菌数の変動が著しかったが, 河川泥土と同様に7月と10月に高くなる傾向がみられた.<BR>河川水と湖水については前者が平均1L当たり1.4×10<SUP>3</SUP>個, 後者が約3.3×10<SUP>2</SUP>個であった.各定点での菌数に一部の例外以外それほどの大きな変動はみられず, 季節により菌数に与える影響もみられなかった.<BR>4.相模川と多摩川で捕獲した淡水魚511件中462件 (90.4%) から運動性Aeronzonasが検出された.分離菌株1,056株の内17.2%がA. hydrophila, 31.4%がA. sobriaおよび19.5%がA. caviaeであった.
著者
佐藤 武義
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

すでに収集した、崎門派の新発田藩儒臣渡辺予斎の資料を分析するとともに、本年度も予斎関係の資料の収集に努めた。新発田市立図書館には、新発田藩校の資料が纒めて収められているため、館長に依頼して予斎関係資料の他の情報を得られるようにした。その結果、予斎についての情報を持っている当地の郷土史家を知ることができ、『国書総目録』掲載以外の資料が他にあることを確かめることができた。氏所蔵のコピー(以下、コピー本と略称)とこれまで収集した同じ資料を比較すると、筆跡が同一であることが判明した。東北大学本には「速水義行録」と記されているため、いずれも速水義行の書写と考えられる。重複本として『予斎先生鞭策録会読箚記』の例を見ると、コピー本は、丁寧な書体で書写されている点から、清書本と考えられ、東北大学本は、草稿本に当たる。一方、『予斎先生訓門人会読箚記』もコピー本は、丁寧な書体で書写されて、清書体の体裁をとっているが、それは、途中までで、後は下書きの形態になって完成を見ていない。この点でコピー本だけでは不安が残るので、原本によって調査しなければならないが、原本所蔵者との連絡が取れていないので、この比較は今後に回すしかない。同一本が二本ある場合、正本と副本との関係で後に遺されたのではなかろうかと考えられる。『予斎先生鞭策録会読箚記』をコピー本と東北大学本とで比較すると、いずれにも脱文、脱字、清濁の有無等があって方言資料としての優劣は、いまだ決めかねている。資料調査の過程で、講義録は講義者の出身地の言葉で纒められているため、当時の講義録の調査が大々的に行なわれるべきことを痛感した。
著者
樋口 静一 斎藤 武男 斎藤 義夫 花岡 忠昭
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.1281-1287, 1993
被引用文献数
1 1

The slack-of-belt grinding method is used in the finishing process of high-grade furnishings and parts used for special functions. However, the abrasive belt flexibility causes difficulty in recognizing its characteristics and in automating this finishing process. In this study, for automation of the slack-of-belt type grinding process using fuzzy theory, fundamental research was carried out. A fuzzy rule was derived by investigating the characteristics of the slack-ofbelt and by arranging the experimental results. This control system keeps the amount of stock removal at the required values. This system infers the necessary grinding time from the abrasive belt conditions by employing the fuzzy rule. The belt conditions are judged from the tangential grinding force which is detected when the workpiece is pressed against the abrasive belt. As a result of the experiments, it was found that there was a great possibility of applying the fuzzy theory to the automation of the grinding process using an abrasive belt.
著者
齋藤 武雄 山田 昇
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.63, no.609, pp.1783-1790, 1997-05-25
被引用文献数
5

In most cities, it is becoming evident that the increase in energy consumption is causing environmental problems, including a temperature rise in the urban atmosphere (an urban heat island) and air pollution. The present paper reports on the results of a three-dimensional computer simulation of the urban heat island in the Tokyo metropolitan area, as well as moisture migration. The three-dimensional governing equations for the urban atmospheric boundary layer were formulated by virtue of the vorticity-velocity vector potential method. Particular attention was focused on the representation of a buoyancy term in the equation of motion in the vertical direction, thereby describing the cross-over effect and stratified inversion layer near the ground surface. According to a recent computer simulation for urban warming in the Tokyo metro area in 2031,the maximum ambient temperature in the evening (18 : 00) at Otemachi will exceed 42℃. In contrast to the interior thermal comfort in residential and office buildings, the urban outdoor comfort is strongly affected by intense thermal radiation coming from the surface of the structures, as well as solar radiation. Motivated by the above facts, we propose a new standard effective temperature index (USET^*), which is applicable to urban comfort. By using this comfort index, assessment of the urban environment is made for both presentday Tokyo and Tokyo around 2030. Furthermore, it is suggested that a comprehensive urban environmental index (UEI). which includes pollutants and ultraviolet rays, is adopted for the future urban environment.
著者
八百 隆文 後藤 武生 藤井 克司 李 賢宰 小池 佳代
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

高い発光強度が必要な照明等のLED構造は縦型LED構造が望ましいが、絶縁体であるサファイアを基板として用いるため縦型構造作製が難しい。この問題解決として、我々は金属バッファー層とケミカル・リフト・オフ(CLO)技術によりサファイア基板を剥離して縦型高輝度紫外LEDを開発した。即ち、サファイア基板上に金属バッファーを用いて高品質GaNのMOVPE成長が実現し、GaN上に近紫外(385nm帯)発光InGaN/GaN/AlGaNLED構造を試作した。発光層InyGa1-yN/GaN量子井戸(QW)層中のIn組成の精密制御ならびにLEDの構造の最適化によりLED特性の大幅な向上も実現した。要するに、CLO法による縦型高輝度深紫外発光LED開発のフィージビリティーを示した。
著者
松本 勉 四方 順司 清藤 武暢 古江 岳大 上山 真貴子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.194, pp.73-80, 2005-07-15
参考文献数
3
被引用文献数
3 1

本稿では, 個人認証を行う主体である認証者の手元に個人認証を受けるもの(ユーザ)の個人情報をすべて集めずに, プライバシ保護を志向した分散認証技術について, 課題の抽出, 及び基本方式の検討を行う.すなわち, ユーザの属性情報を秘密分散方式により分散して管理する複数の分散属性認証機関と, ユーザの属性情報を認証者にどの程度示すかをユーザ自らが制御できるモジュールであるユーザアシスタントを導入したモデルを考案し, さらに, この分散認証技術の基本方式を提案する.
著者
武田 友孝 石上 惠一 青野 晃 高橋 伸尚 星野 浩之 高山 和比古 宮田 正則 月村 直樹 佐藤 武司 島田 淳 早川 譲吉 大木 一三
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.254-267, 1991-11-25 (Released:2010-08-06)
参考文献数
35

顎関節は, 蝸牛, 耳小骨などの聴生感覚器および聴覚伝導路と発生学的, 解剖学的および神経生理学的に関連が深く, 顎関節症など咀嚼系の異常が聴覚系に多大な影響を及ぼしていることが推察される。そこで, 当教室で行っている顎口腔系状態と全身状態との関連に関する研究の一つとして, 外耳への音刺激により, 早期に上行性聴覚路より誘発される活動電位で, その起源が明瞭なところから, 異常の局在診断に有用とされ, 神経学的検査などに用いられている聴性脳幹反応に注目し, 本研究に応用している。今回, 著者らが, 顎関節症患者と健常者の聴性脳幹反応について, 比較検討を行ったところ, 聴関節症患者では, 健常者に比ベピーク潜時の延長およびピーク潜時の左右差が認められた。従って, 顎関節症患者は, 顎口腔系のみならず, 聴覚系および脳幹などにも影響を及ぼしている可能性が大であり, 今後さらに, これらについて詳細に究明していくとともに, 顎関節症の診査, 診断および治療にあたって, これらの領域との関連にも十分な注意を払うことが必要と考えられる。また, 顎口腔系機能の障害と全身機能との関係について, 多方面から検討を加えていくことも必要であると思われる。
著者
伊藤 武 西川 賢 久保 慶一 浅羽 祐樹 成廣 孝 川村 晃一
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、現代の民主主義国における選挙政治で拡がりつつあるプライマリー(予備選挙)について、基本的なデータを収集することを目的とする海外調査研究である。アメリカ、ヨーロッパ(英・伊・クロアチアなど)、アジア(韓国・インドネシア)を対象地域として、通常の選挙と比較してデータが少ないプライマリーについて、選挙制度、投票データの収集を行い、後続する共同研究の基盤とした。収集されたデータは一部先行して公開している。