著者
藤木 大介
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、ニホンジカの高密度化に伴う森林下層植生の衰退がツキノワグマ(以下、クマ)の採餌生態や人里への出没に及ぼす影響を解明することを目的とする。調査地域は北近畿西部個体群の分布域である丹後山系とする。定期的に山系を踏査し、クマの糞塊を収集する。そのうえで内容物の組成やその季節変化について把握するとともに、下層植生が衰退してない地域との食性の相違を明らかにする。また、兵庫県域スケールで収集されている森林下層植生の衰退状況とクマの出没情報の長期モニタリング・データを関係解析することで、クマの出没情報の時空間的な変動が下層植生の衰退とどのような地理的関連性があるかを明らかにする。
著者
横山 真弓 坂田 宏志 森光 由樹 藤木 大介 室山 泰之
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.65-71, 2008 (Released:2008-07-16)
参考文献数
7
被引用文献数
5

兵庫県におけるツキノワグマの保護管理計画について,計画目標の達成状況と施策の効果を評価するモニタリングの現状と課題を報告する.実施しているモニタリングは,被害防止に直結する項目と生息状況の把握に必要となる項目を優先しており,個体数推定は行っていない.計画を施行した2003年から5年間に捕獲されたツキノワグマについては,学習放獣することを基本とし,総捕獲数(121頭)の86%(104頭)を学習放獣した.放獣後は,行動監視を徹底し,不要な捕殺を避ける一方,再被害を確認した場合には,速やかに次の対策に移行する措置をとった.これらの出没対応によって,個体数の減少に一定の歯止めをかけることができたと考えられる.学習放獣の効果を上げるためには,放獣と同時に誘引物の徹底管理や追い払いの対策を行うことが必要であるが,それぞれ対策上の課題が山積しており十分ではない.追い払いや学習放獣の手法改善,誘引物管理の普及啓発などについて,より効果的な方法を実施していく必要がある.県境を越えた広域管理については新たな枠組みづくりを近隣府県や国と検討していくことが必要である.これらの課題に取り組みながら,科学的データに基づく対応を浸透させていくことが被害防止と個体群の保全につながると考えている.
著者
藤木 明
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.317-330, 1979-10-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
39
著者
藤木 稔明 南野 朋之 鈴木 泰裕 奥村 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.23, pp.85-92, 2004-03-05
参考文献数
8
被引用文献数
19

近年、Web上には様々な意見情報が存在している。そのため、Web上でいつ、どのような情報が注目されていたかを把握することは企業活動にとって重要な情報になりつつあると考えられている。本研究では特にblogと電子掲示板を対象とし、その中で注目されている話題を示すトピックワードを発見するための手法を提案する。提案手法は、Kleinbergの提案するburst検出手法に基づいた手法であり、 blogや電子掲示板に対する書き込みを時間情報を含む文書列であるdocument streamとして扱い、その中でdocumentの出現間隔が短くなっている箇所(burst)に注目すべきイベントがあるとして検出する。その際、Kleinbergの提案する手法ではイベント発生と無関係にdocument数が変動するようなdocument streamをうまく扱うことができないため、手法の拡張を行った。また提案手法を用いてトピックワードの抽出実験を行い、手法の有効性を評価した。The reputation is now disseminated quickly on the WWW, because everyone can send a message to the world easily by using blog or BBS. Therefore, it is highly required to find out what information attracts people's attention and what opinion they have. We propose a method for extracting `burst of a word' which is related to a popular topic in a document stream. A document stream is defined as a sequence of documents which arrive in temporal order, and we regard blog and BBS as document streams to apply the method originally proposed by Kleinberg. However, since Kleinberg's algorithm cannot be applied to the document streams whose distribution of documents is not uniform, we extend the method to be able to apply to blog and BBS. We also describe experiments for blog and BBS with our proposed method and discuss the results.
著者
藤木 大介 若杉 佳彦 楞野 祥子 岩本 理沙 島田 英昭
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.390-395, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

When reading narratives, readers infer the emotions of characters and empathize with them. Emphathic responses can be parallel or reactive. This study, based on the dual-process theory, investigated which emotional responses (i.e., emotion inference, parallel response, or reactive response) in reading are caused by system 1 (unconscious, implicit, automatic, low-effort process) and which depend on system 2 (conscious, explicit, controlled, high-effort process). As cognitive load affects responses influenced by system 2, the effects of working memory load on reading were examined. Participants were divided into two groups based on working memory capacity, and instructed to read narratives under a dual-tasks situation similar to the reading span test. The results revealed no effect of cognitive load on inference of characters’ emotions. However, additional load did affect both types of empathic responses in the low-capacity group. Further, when cognitive load was low, emotion inference correlated with both empathic responses. These results indicate that emotion inference is an automatic process, whereas empathic responses are controlled processes.
著者
貴島 耕平 砂口 文兵 藤井 暢人 藤木 春佳 松下 将章 金井 壽宏
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.47-58, 2014

Organizational development (OD) recently has focused on the invention of methods based on practical perspectives rather than academic ones. This movement has resulted in increased "development of OD." While this attention is mostly positive, it has led to a loss of clear identity for OD. Thus we call this phenomenon gritting refined gold. We argue the identity of OD by considering developmental practices, both empirically and theoretically. This study shows that OD has been consistent in its principle of development and has hold its traditional logic which had humanistic values at the center of interventions.
著者
取材執筆:藤木 信穂
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.1-4, 2014-01-10 (Released:2019-09-27)

地球に降り立った瞬間,心地よい風がふわっと吹いてきて,草木のすがすがしい香りが漂ってきた—.2010年4月,15日間の宇宙滞在を終えてスペースシャトル「ディスカバリー号」で帰還した宇宙飛行士・山崎直子氏は当時の感動をこう振り返る.爽やかな香りが,地球の息吹をいっそう強く感じさせたのだろう.人間の五感の中でも,嗅覚は本能に近い直感的な感覚であるとされ,香りはときに懐かしい感情や記憶を呼び覚ます.宇宙ではどんな香りがするのだろうか.「香り」をテーマに山崎氏に話を伺った.
著者
藤木 庄五郎 龍野 瑞甫
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.85-90, 2021 (Released:2021-08-17)
参考文献数
16
被引用文献数
1

現在、生物多様性の保全が世界的な課題となっている。筆者らは、実用的な生物多様性広域モニタリング手法の開発を目指し、市民が撮影した位置情報付きの生物画像を収集する取り組みを実施してきた。生物データ投稿機能とAI画像解析を組み合わせたアプリ「Biome(バイオーム)」を2019年4月に日本国内を対象に公開し、これまで(2020年6月25日時点)に2万種を超える生物の分布データが65万件以上投稿されたことを確認した。この成果は、モバイル端末を用いた市民参加型生物調査の有用性を示し、市民科学が網羅的な生物分布の広域モニタリングに活用できる可能性を示唆する。一方で、一般市民からデータを集める市民科学の性質上、データ精度において課題が残った。精度検証の結果、種レベルの誤同定率:9.0 - 10.6%、属レベルの誤同定率:6.6 - 7.1%、科レベルの誤同定率:3.8 - 3.9%、目レベルの誤同定率:2.1 - 2.2%であることが分かった。類似する取り組みと比較して特段低い精度ではないものの、改善の余地があるものと思われる。大量のデータを扱う市民科学において、実用性と精度を両立させるためには、データの精度向上を市民や専門家の労力に依存させるのではなく、システム自体が精度を担保するべきである。深層学習などの技術を活用し、生物の同定AIの開発を強化することが、データ精度を高め、市民科学や生物多様性モニタリングの今後の発展に大きく寄与するものと考える。
著者
小清水 貴子 大石 智里 藤木 卓 寺嶋 浩介 室田 真男
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Suppl., pp.69-72, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
5
被引用文献数
7

教員のICT活用指導力の向上が求められ,将来,教員を志望する学生のICT活用指導力の育成も課題の一つである.そこで,中・高等学校を対象とした家庭科教育法の授業で,授業改善の観点からICT機器を活用した模擬授業を実践し,学生のICT活用に対する意識の変容を探った.その結果,ICT活用に関する講義や実物投影機の操作の実習により,授業におけるICT活用に対する意識が向上し,模擬授業後も維持されていた.また,ICT活用に対して,機器操作から指導に応じた活用に視点が変化した.ICT機器を活用した模擬授業を通して,機器を使えばよいのではなく,教師が教材や学習活動を工夫する必要があることに気づいた.
著者
加藤 京里 菱沼 典子 田上 恭子 加藤木 真史 細野 恵子 田中 美智子 留畑 寿美江 丸山 朱美 酒井 礼子 井垣 通人 塚本 紀子 野月 千春 加藤 祥子 山崎 好美
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.28-37, 2012-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
38
被引用文献数
2

本研究の目的は,4週間の排便記録を通して排便パターンの実態を調査し,排便状態の判断基準を検討することである.20歳以上の男女に4週間にわたり排便ごとに便形 (水様便,泥状便,普通便,硬便),排便量 (母指頭大,手拳大以上と,その中間) について排便記録をつけてもらった. 排便記録は便宜的標本抽出にて224名より回収した.データに不備があるものと疾患による影響が考えられる5名の記録はのぞき,男性50名,女性169名の計219名 (平均年齢38±14歳) を分析対象とした.排便パターンはあらかじめ基準をおかず排便状況が似ているもので分類し,排便日数,回数,便形,排便量から帰納的に各基準を抽出して「問題なし (n=147) 」「便秘 (n=51) 」「下痢 (n=13) 」「下痢と便秘 (n=8) 」と命名した.薬剤の服用者27名をのぞいた192名での分析においては,「便秘」の排便日数は平均3.5日/週であり,同時に便形や排便量も考慮して便秘かどうかが判断されていた.「下痢」は日数や量よりも泥状便,水様便があることが基準になると考えられた.性別では女性が,年齢では「20歳代」に便秘の傾向が認められた.