著者
藤木 大介
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3-4, pp.165-177, 2020-02-20 (Released:2020-03-26)
参考文献数
32

Previous studies of phrase production process in English have indicated that conceptual level accessibility of a word affects a functional process when grammatical roles such as subject, object, and so on, are attached to each word. Consequently, the resulting the functional process concerns decisions regarding word order in a positional process. Studies have also indicated that lexical level accessibility directly affects the positional process, which is related to decisions regarding coordination word order. Studies of Japanese, however, have indicated that conceptual level accessibility affects both functional and positional processing,but it remains to be considered whether lexical level accessibility affects positional processing. In this study, the first three experiments investigated whether an adjective with higher lexical level accessibility in a noun phrase with two attributive adjectives tends to be preposed. Drawing on previous studies, experiment 1 asked participants to memorize noun phrases and to recall two adjectives with the head noun as a cue; experiment 2 asked participants to sort two adjectives to fit a head noun and to wrap up a noun phrase. The results show no difference in the order of adjectives related to accessibility because the production process for noun phrases in these tasks is affected by direct priming. Experiment 3 presented head nouns to participants and asked them to fill in two blanks with suitable adjectives. The results show that attributive adjectives with higher familiarity tend to be preposed. To investigate replication in other expressions, experiment 4 presented coordinate conjunctions to participants and asked them to fill in two blanks with suitable nouns. The results show that nouns with fewer characters tend to be preposed. These results indicate that, although weaker in effect, lexical level accessibility affects the positional process in Japanese phrase production.
著者
藤木 卓 市村 幸子 寺嶋 浩介 小清水 貴子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Suppl., pp.73-76, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
9

本研究では,両眼立体視により空間歩行可能なVRコンテンツの制作に必要な精度の変化が,現実感とVR酔いに及ぼす影響に関する知見を得ることを目的とした.そのために,大学生を対象とした主観評価実験を行った結果,次のことが明らかとなった.コンテンツの精度の変化に対して現実感とVR酔いは直線的な関係を示し,現実感が高くなるほどVR酔いの評価は低下する.また,コンテンツの精度に関しては,オブジェクトの形状の複雑さよりも貼付ける表面画像の質感の効果が高い.
著者
藤木 謙壮 小林 祐紀 中川 一史
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集 日本デジタル教科書学会第7回年次大会 (ISSN:24326127)
巻号頁・発行日
pp.47-48, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
3

本研究の目的は,対話スキルの習得を目指し,学校放送番組を活用して継続的に行う教育実践を考案し,評価することである。公立小学校6年生1学級(14名)を対象に,朝学習(20分)において,NHK for Schoolの学校放送番組「Q~子どものための哲学~」を用いた授業を全7回実施した。授業初回・最終回終了後に質問紙調査を行い,Wilcoxonの符号付順位検定を実施した。結果,複数の質問項目において有意差が認められ,意識の変化が確認できた。要因として,全回同様の学習展開によって児童が見通しを持てたこと,自己対話シートの活用によって対話の心理的負担が軽減したこと,番組の内容や構成によって児童の興味・関心が高められたこと等が考えられた。
著者
藤木 大介 岸本 康誉 坂田 宏志
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.55-67, 2011-05-30 (Released:2018-01-01)
参考文献数
43
被引用文献数
5

近年、氷ノ山ではニホンジカCervus nippon(以下、シカと呼ぶ)が頻繁に目撃されるようになってきている。一部の広葉樹林ではシカの採食により下層植生の急激な衰退も観察されている。シカの採食の影響は周辺山系(北山系、東山系、南山系)の広範囲にわたって深刻化している恐れがあるが、現状では断片的な情報しかなく、山系スケールでの状況把握はなされていない。氷ノ山の貴重な植物相と植物群落を保全するためには、氷ノ山とその周辺域におけるシカの動向と植生変化の状況について早急な現状把握を行い、地域植生に対してシカが及ぼす生態リスクについて評価する必要がある。そこで本報告では氷ノ山とその周辺山系を対象に、シカによる落葉広葉樹林の下層植生の衰退状況、周辺山系におけるシカの分布動向、地域植物相への食害状況の把握に関する調査を行った。その結果、調査を行った2007年時点において、氷ノ山では山頂から東と南に伸びる山系において下層植生が著しく衰退した落葉広葉樹林が面的に広がっていることが明らかとなった。下層植生が衰退した理由としては、1999年以降、これらの山系においてシカの高密度化が進んだためと思われた。また、両山系でシカの高密度化が進んだ理由としては、隣接地域のシカ高密度個体群が両山系へ進出したことが考えられた。さらに、その背景には、1990年代以降の寡雪化が影響していることが示唆された。一方、最深積雪が3m以上に達する氷ノ山の高標高域では2007年時点でも目立った植生の衰退は認められなかった。しかし、春季から秋季にかけて高標高域へシカが季節移動してくる結果、高標高域でも夏季を中心にシカの強い採食圧にさらされている。山系では13種のレッドデータブック種(RDB種)を含む230種もの植物種にシカの食痕が認められ、一部のRDB種では採食による群落の衰退も認められた。山頂の東部から南部にかけては、すぐ山麓までシカの高密度地域がせまっていることから、高標高域の積雪が多くても、継続的にシカの採食圧にさらされる状況となっている。このため近い将来、高標高域においても植生が大きく衰退するとともに、多くの貴重な植物種や植物群落が消失する可能性がある。
著者
服部 保 栃本 大介 南山 典子 橋本 佳延 藤木 大介 石田 弘明
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.35-42, 2010-06-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
15
被引用文献数
12

1. 宮崎県東諸県郡綾町川中の照葉原生林において,シカの採食による顕著な被害が発生する以前の1988年当時の植生調査資料と激しい被害を受けている2009年現在の植生調査資料とを比較し,照葉原生林の階層構造,種多様性,種組成へのシカの採食の影響を調査した.  2. 階層構造についてはシカの採食によって,第2低木層と草本層の平均植被率がそれぞれ約1/2,1/5に大きく減少した.  3. 階層別の種多様性については全階層と第2低木層において平均照葉樹林構成種数がそれぞれ約3/4,1/2に大きく減少した.  4. 生活形別の種多様性については照葉高木,照葉低木,照葉つる植物,多年生草本において平均種数がそれぞれ2.4種,3.8種,1.2種,2.4種減少した.  5. 減少種数は25種,消失種数は35種,増加種数は6種,新入種数は33種となり種組成は変化した.  6. 他地域から報告されている不嗜好性植物と比較した結果,増加種のうちバリバリノキ,マンリョウ,マムシグサなどの12種が本調査地の不嗜好性植物と認められた.  7. 本調査地の照葉原生林の階層構造,種多様性,種組成はともにシカの採食によって大きな被害を受けており,照葉原生林の保全対策が望まれる.
著者
藤岡 英嗣 糸山 景大 藤木 卓 上薗 恒太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.506, pp.7-12, 2001-12-08

本研究では言葉による笑いの一つとして、「謎かけ」を題材として取り上げ、「謎かけ」の構造と連続連想の構造とを比較し、「謎かけ」の構造を明らかにした。また、「謎かけ」の構造をテキストベースの構造とも比較し、文脈上の「価値」を共通項として見出すことが「謎かけ」につながることを見出した。
著者
藤木 淳 赤穂 昭太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.476, pp.85-92, 2011-03-21
被引用文献数
7

本稿では,N次元空間のデータにN-1次元超平面をあてはめる問題について考察する.まず数多く提案されている回帰や主成分分析を系統的に分類し,データ点と超平面のL_pノルムの和を最小化する手法のいくつかにおいて,アフィン超平面をあてはめる場合はN個のデータ点を通る大域的最適解が,線型超平面をあてはめる場合はN-1個のデータ点を通る大域的最適解が存在することを証明する.また,データ点と超平面のL_2ノルムの関数の和を最小とするM推定などは,最適解の附近で重み附き最小2乗法で近似できることを利用して,L_2ノルムに基づく回帰超平面に対するあてはめ度を定義する.
著者
藤木 篤 杉原 桂太
出版者
名古屋工業大学技術倫理研究会
雑誌
技術倫理研究 (ISSN:13494805)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.23-71, 2010

本稿では、日米両国における工学倫理の教科書の変遷過程を概観し、その後のわが国に適した教科書を作成する上での課題について述べる。アメリカにおける近年の出版動向を確認すると、従来アメリカ式の工学倫理の特徴とされたプロフェッショナリズムはさらに強調され、同じく特徴として挙げられてきた個人主義的傾向は勢いを弱めつつあることが明らかになる。一方わが国の教科書は、アメリカに強く影響を受けているにもかかわらず、上記の点、すなわちプロフェッショナリズムを前提とする社会契約モデルを採用するか否か、また個人主義的傾向をとるか否かについて、執筆者ごとのスタンスの違いが表れるため、未だ標準化という方向へ向かっていない。こうした状況は、工学倫理導入当初からわが国において議論され続けてきた問題、すなわち「専門職概念をどのように受容するべきか」という問題へと帰着する。つまり、わが国で技術者が置かれている実際の立場と、社会契約モデルが前提とする技術者像の間に乖離があるために、両者の間に齟齬が生じ、結果的にこのような複雑な状況を生み出しているのである。したがって、われわれは今後、技術者の社会的地位とその責任について議論を行う必要がある。日本に適した工学倫理の教科書を作成するためには、我々はあらためてこの問題に向き合わねばならない。
著者
妻鹿 絢子 藤木 澄子 細見 博子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.197-202, 1980-10-30
被引用文献数
2

1.市販牛角切り肉を1.5%酢酸溶液に5℃で40時間浸漬するマリネ処理により,官能的にも物理的測定からも肉がやわらかくなることが認められた。同時にマリネ処理肉のpHは4.5付近を示し,肉重量が増加した。2.同様のマリネ処理により,筋原繊維蛋白質中の分子量220,000daltonのミオシンが,150,000daltonfragmentすなわちHMMへと分解した。この時のミオシン分解率は肉中心部で22.3%,肉表層部で44.5%を示し,牛肉ホモジネートをp4.0に調整し,5℃で40時間インキュベートしたモデル実験におけるミオシン分解率46.9%にほぼ一致した。3。肉ホモジネートをpH4.0でインキュベートした場合,水溶性蛋白質が分解し,低分子窒素化合物が増加することが認められた。角切り肉をマリネ処理した場合には,蛋白質の分解により生成した比較的高分子の窒素化合物は肉中に保存され,低分子の窒素化合物は浸漬液中に溶出した。おわりに本研究を行うにあたり終始ご懇篤なる御指導御校閲を賜わりましたお茶の水女子大学荒川信彦教授に厚く御礼を申し上げます。
著者
藤木 淳 赤穂 昭太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.119, pp.41-46, 2005-06-10
被引用文献数
3

複数の2次元画像からカメラ運動と対象物体の立体形状を同時に復元する問題はコンピュータビジョンにおいて基本的かつ重要な問題であり, その復元において複数の画像間に成立する幾何学, 特に2枚の画像の間に成立するエピポーラ幾何学を知ることは, コンピュータビジョンの理論を理解するために不可欠である.一方, 近年, 監視システムやロボットナビゲーション等への応用が期待される全方位カメラを用いたコンピュータビジョンが脚光を浴びており, 複数の全方位画像間に成立する幾何学の重要性が増している.本稿では, 全方位カメラの一つである球面カメラに着目し, 2枚の球面カメラ画像の間に成立するエピポーラ幾何の新しい計算法を提案する.そして提案手法の有効性をシミュレーションにより確認する.
著者
藤木 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.531, pp.55-60, 2002-12-12
被引用文献数
1

点対応を用いた複数のアフィン射影画像からの運動と形状の復元は基本的かつ重要な問題である.本稿では,この問題が球面3角形の復元問題であることをエピポーラ幾何学を通して示し,かつ新しい復元手法を提案する.
著者
妻鹿 絢子 藤木 澄子 荒川 信彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.618-621, 1979-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

市販牛肉を実際の調理のさいのマリネ条件にもとづき, 角切り肉でマリネ処理した場合にも, 前報のホモジネートを用いた実験でみられたと同様のプロテオリシスが進行し, 筋原繊維蛋白質の部分分解および低分子化が起こることが認められた.また, マリネ処理において針入度の増加と切断応力の減少から肉の軟化が認められ, 肉重量の増加から保水性の増大が認められた.さらに, マリネ処理による低pHにおいて, 肉中のプロテアーゼにより筋原繊維蛋白質が分解し, 比較的高分子の蛋白質は保水性の増大にともなって肉漿中に保持されアミノ酸等の低分子物質は浸漬外液中に溶出した.
著者
柴田 博仁 大村 賢悟 土岐 一貴 藤木 武史
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.14-26, 2022 (Released:2022-03-15)
参考文献数
33
被引用文献数
1

This study aims to develop a valid and reliable questionnaire to evaluate the personal ability to use handwriting skills in everyday life and the workplace. The sample comprised 1,065 office workers who responded to a questionnaire, which was designed to understand how they use handwriting, how they understand the effect of handwriting, and how they select stationery to write. Factor analysis revealed the following seven factors: (1) communication through handwritten messages, (2) utilization of diagrams and illustrations, (3) affinity for pen and paper, (4) usage of various writing tools, (5) affinity for their own handwriting characters, (6) note-taking skills, and (7) understanding the value of handwriting skills. Based on the analysis, we developed a “handwriting ability scale,” which consists of the seven subscales. We also analyzed how the handwriting ability score differs according to gender, age, academic qualifications, and occupation. We believe this scale can be used to promote the use of handwriting and as a marketing tool for selling stationery products.
著者
藤木 省三 千草 隆治
出版者
一般社団法人 日本ヘルスケア歯科学会
雑誌
日本ヘルスケア歯科学会誌 (ISSN:21871760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.52-57, 2021 (Released:2022-03-23)
参考文献数
8

歯の喪失の主原因はう蝕およびう蝕関連疾患が高い割合を占めることが報告されており,子どものう蝕予防が重要であることは明らかである.本研究では,12歳まで継続来院をして定期的管理を受けた子どもを対象として,12歳で初めて来院した者と比較分析することで,多施設の歯科医院における子どもの定期的管理におけるう蝕予防効果を検討した.その結果,定期管理群と12歳時初診グループを比較すると,6歳からの継続受診は12歳時のう蝕を増加させない可能性が示唆され,6歳時から定期管理をすることで,かなりう蝕の発生が抑制でき,早い年齢からのう蝕管理が重要であることが明らかとなった.また,定期管理の受診間隔についても分析したところ,定期管理は少なくとも1年ごとに実施する必要があることが示唆された.さらに,6歳時点でのう蝕が多いと将来来院が途絶える可能性が高いことが推測され,6歳でのう蝕が多い場合は定期管理を行うためにより積極的な関わりが必要であることがわかった.
著者
藤木 文彦 深井 信吾
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
no.2013, pp.8-1-1-"8-1-2", 2013-08-28

2013年2月15日にロシアに落下した隕石の映像に、UFOが映りこんでいるというものが、ロシア国営テレビのニュースに流され、日本でも話題となったが、分析の結果この映像はガラス面での光の屈折に過ぎないことが明らかとなった。部分的映像拡大に伴うノイズが出ているなどさまざまな映像的特徴が分かるにもかかわらず国営機関すらだまされてしまったことは、映像に関する教育の不足が原因と考えられる。映像情報を判断するための教育が急務であると考える。
著者
藤木 泉
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.37, pp.54-55, 2021

<p>マガーク効果によって音声言語の音韻知覚が視覚情報によって変化する現象が見られる。例えば、baの音声にgaの口の動きを合成するとda (融合反応)やga (<tt>視覚反応</tt>)<tt>などのように知覚される現象である。本研究では、この現象を私が制作した動画においても再現できるのかを検証した。高校生</tt>5<tt>人の</tt>ba<tt>、</tt>pa<tt>、</tt>ma<tt>、の音声に、それぞれ一致した口の動きと、矛盾した口の動きの映像</tt>(ga<tt>、</tt>ka<tt>、</tt>na)<tt>を合わせた。撮影は</tt>iPhone8<tt>の内蔵カメラ、編集はスマートフォンの動画編集アプリ</tt>InShot<tt>と</tt>VivaVideo<tt>のいずれも無料版を使用した。高校生</tt>25<tt>人</tt>(<tt>健常者 </tt>24<tt>名、聴覚障碍者 </tt>1<tt>名</tt>)<tt>に</tt>6<tt>つの動画の聞こえ方とその明瞭度</tt>(<tt>どの程度はっきりと聞こえたか</tt>)<tt>を評価してもらった。一致刺激に対して矛盾刺激の方がいずれも正答率</tt>(<tt>正答とは聴覚情報を回答すること</tt>)<tt>が低かったため、マガーク効果は再現されたと思われる。また、矛盾刺激に対して一致刺激の方がいずれも明瞭度が高いと回答した人が多かった。誤答については視覚情報に寄るか聴覚情報に寄るかで個人差があり、後者の方が多く見られた。これは視覚情報よりも聴覚情報に日本人は依存しやすいという先行研究に一致する。動画を制作する際にそれぞれ重視する感覚の情報を弱めれば、融合反応が多く見られると考える。加えて、同様の手法を用いて、</tt>ba<tt>、</tt>pa<tt>、</tt>ma<tt>の音声に</tt>ra<tt>、</tt>sa<tt>、</tt>ya<tt>の映像を合わせた動画を制作した。高校生</tt>17<tt>人</tt>(<tt>健常者 </tt>16<tt>名、聴覚障碍者 </tt>1<tt>名</tt>)<tt>に聞こえ方と明瞭度を</tt>4<tt>段階で評価してもらった。</tt>2<tt>つの実験を通して健常者と聴覚障碍者の回答を比較した。聴覚障碍者の方が視覚情報に依存しやすく、これは読唇と日常的に口元に注視する習慣が影響していると考えられる。</tt></p>
著者
入江 充洋 鵤 満 伊藤 良一 三好 拓馬 栗谷川 優子 藤木 範之 チェンバーズ ジェームズ 内田 和幸
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.503-507, 2021-08-20 (Released:2021-09-20)
参考文献数
10

トラネキサム酸(以下,「TXA」)は,本邦では安全性の高い催吐薬と認識されており,犬の催吐薬として多く用いられている.しかし,TXAを用いた催吐処置後に重篤な有害事象を呈した2例を経験した.1例は投与数日後にショック状態となり死亡し,病理組織学的検査により肺動脈血栓,肝臓のび漫性うっ血及び腎臓にアミロイド沈着が認められた.他の1例は,TXA投与後にてんかん重積状態を発症したが,数日間の抗てんかん薬の投与にて改善した.そこで,TXAによる催吐処置後の有害事象発生状況を把握する目的で,臨床獣医師にアンケート調査を実施した.その結果,15%の獣医師が有害事象を経験していた.最も多い有害事象は痙攣であった.
著者
藤木久志著
出版者
東京大学出版会
巻号頁・発行日
1985