著者
藤木 淳 牛尼剛聡 富松 潔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.3762-3771, 2007-12-15
被引用文献数
1

人間は静止した2 次元画像の観測からだけでなく,2 次元動画像によるキャラクタの運動表現からも3 次元構造を解釈する視知覚特性を持つ.一方で,静止した2 次元画像から3 次元構造を解釈する際に,1 つの2 次元画像から推測される3 次元構造が一意に定まらない場合がある.我々はこのような2 次元動画像に対する3 次元解釈の視知覚特性を利用したインタラクティブなだまし絵表現を持つアニメーションシステムOLE Coordinate System のプロトタイプを考案した.また,プロトタイプで提案する5 種類のキャラクタのだまし絵表現の評価のために被験者実験を実施した.本論文ではシステム概要と5 種類のだまし絵表現について述べ,被験者実験から本だまし絵表現が鑑賞者の知的好奇心を刺激する効果とシステムの有効性を議論する.While the human has the characteristic of visual perception which recognize a 3D structure from the movement, the human may create the incorrect 3D structure by a variety of interpretation for the 2D image. Using the characteristics of visual perception, we present five interactive optical illusionary expressions of characters. Also, we produced an prototype system of OLE Coordinate System which has our optical illusionary expressions. In this paper, we introduce the OLE Coordinate System and the five character's optical illusionary expressions, and discuss the effectiveness of the proposed expressions based on the user experiment.
著者
藤木 竜也 河東 義之 斉藤 健二
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.621, pp.187-194, 2007
被引用文献数
1

After the Meiji Restoration, a central organ of Government building and a high government official residence were installed. The government assigned the samurai residence which requisitioned from the Shogunate to a Government building and a high government official residence at first. However, there is the later policy of europeanize, too, and European-style design will be gradually introduced. It was a Minister of Foreign Affairs official residence introduced European-style design into earliest in a high government official residence, and subsequently it was a Prime Minister official residence that construction was planned. This report paid its attention to these two high government official residence and clarified the construction process and the genealogy of European-style design introduction with proof of a document.
著者
藤木 健士 竹生政資
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.51, pp.29-35, 1993-06-18

この研究では,ポインタを用いたリスト構造とGauss消去法を組み合わせることにより,大規模な非対称疎行列を係数にもつ連立一次方程式を比較的短い簡潔なプログラムにより効率よく解くことができることを示した.Fortranで記述した非ゼロ要素の行と列のインデクスとその値を順に配列に格納する従来の方法に比べ,Cのようなポインタを持つ言語でメモリの動的確保機能を利用しながらリスト構造で行列を格納することにより,比較的簡単に効率よく処理できるプログラムを実現できることがわかった.本稿では,この具体的な実現方法や性能評価について紹介する.We report a method solving a system of linear equations having a large unsymmetric sparse matrix in C language which simplifies the implimentation of the Gauss elimination algorism by introducing the list structures with pointers, not arrays in Fortran, and the dynamic memory allocation. The result is that the programs developed are more simple and straightforward, even efficient on workstations, resulting smaller size of source codes, than the conventional ones written in Fortran.
著者
南野 朋之 鈴木 泰裕 藤木 稔明 奥村 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.23, pp.129-136, 2004-03-05
被引用文献数
4

近年注目され始めている情報源としてblog (Weblog)がある.現在,blogというと,blogツールと呼ばれる管理ツールを使用して作成されるWebページを指すことが多いが,日本ではblogツール登場以前から,Web日記という形で個人による情報発信が行われており,非常に有用な情報源となっている.そこで本研究では,このようなWeb日記も含めてblogと呼び,特定のツールやメタデータに依存しない,HTML文書の解析に基づいた手法で,これら個人の発信する時系列に沿って掲載される情報を網羅的に収集,監視するシステムを提案する.We present a system that tries to automatically collect and monitor Japanese blog collections that include not only ones made with blog softwares but also ones written as normal web pages. Our approach is based on extraction of date expressions and analysis of HTML documents. Our system also extracts and mines useful information from the collected blog pages.
著者
三角 一浩 鳥居 哲太郎 青木 修 藤木 誠 三浦 直樹 柳田 宏一 坂本 紘
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.829-836, 2001-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

肥育牛における蹄の生長, 蹄疾患の発生や生産性と削蹄との関係について検討した. 肥育期の黒毛和種16頭 (13.0±2.0カ月齢, 体重308.0±30.8kg, 去勢牛) を削蹄間隔により3, 6および12カ月削蹄群ならびに無削蹄群の4群に分け, 以後19カ月間, 蹄計測, 蹄形の変化を記録した. と殺後, 蹄病変を観察し, 枝肉成績を記録した. 削蹄間隔の延長に伴い, 蹄角度は小さく, 蹄壁・蹄踵長は長くなった. 12カ月削蹄群および無削蹄群では蹄の変形が進み, 伸びた蹄踵で負重するようになった. 白帯離解の発生頻度は無削蹄群で有意に高かった (P<0.05). 歩留基準値は, 6カ月削蹄群が12カ月および無削蹄群と比較して有意に高い値を示し (P<0.05), 産肉量が向上していた.本研究結果から, 削蹄間隔を6カ月とすることで, 標準蹄に近い蹄形が維持され, 蹄病変の発生抑制と産肉量向上に役立つことが明らかとなった.
著者
藤木 大介 田中 瑠音
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PL-007, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

近年,小中学校の教科書などにも見られる文章形式として,複数の人物の会話の様子を記したものがある。学生向けの概論書等ではそれを読み進めることで新たな知識が得られるようになっているものもある。こういった対話型のテキストに関し,これまでにも少ないながらもその有用性が検討されてきたが,必ずしもポジティブな結果は得られていない。そこで本研究では,読解を促進する方略の使用を促す発話を多く含んだ対話型テキストを作成し,その有効性を検討した。その結果,通常の形式の説明的文章を読んだ群と比較して,これまでの研究で用いられてきたのと同等の方法で作成された対話型テキストを読んだ群の読解成績が劣ったが,方略を多く含んだ対話型テキストは劣らない成績となり,かつこれらの2つの対話型テキストは通常の文章と比較して読みやすさ等の主観的評定に優れるという結果であった。従来の対話型テキストの成績が劣るのは,対話という親しみやすい表現により結束性等の過大評価が起こり,それに伴って能動的な推論の低下が起こったことが考えられるが,読解方略を多く含めることでこれも抑えられ,主観的にも受け入れやすい文章となることが示唆された。
著者
小八重 智史 吉原 和明 谷本 優太 藤木 卓 渡辺 健次
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J106-D, no.11, pp.481-491, 2023-11-01

AI技術が急速に進歩する中にあって,我が国では将来的なAI人材の不足が指摘されている.本研究ではまず,中学生段階におけるAIに関する学習内容や学習方法が確立されていなかったことから,中学生を対象にAIに関する知識のつながりや概念の構造を明らかにして学習内容を整理するために,「中学生向けAI概念図」を開発し,それを基に題材指導計画を開発した.次に,中学生を対象にディープラーニングの仕組みを学習する授業の実現を意図し,顔認証セキュリティシステム教材を開発した.教材は,生徒が一人一台学習者用端末を用いて機械学習に用いる学習用データとなる顔写真を自分で用意し,各パラメータを設定することで機械学習モデルの性能に関与できること,自分の設定したパラメータによる成果を視覚的に確認し,それを基に試行錯誤することを可能としている.開発した題材指導計画に基づいた授業実践を行い,有用性を確認した.
著者
野口 亜季 岩永 朋子 十川 英 藏元 智英 藤木 誠
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.39-44, 2023 (Released:2023-10-17)
参考文献数
17

3ヶ月齢、未避妊雌の雑種猫が離乳後の吐出を主訴に来院した。血管造影コンピューター断層撮影(CT)検査にて右鎖骨下動脈起始異常、右鎖骨下動脈と右総頸動脈の吻合による完全な血管輪が確認され、それによる食道狭窄および重度食道拡張と診断した。食餌の工夫を行い症状は管理可能であったため、8ヶ月齢まで成長したときに右側第4–5肋間アプローチにて外科手術を行った。右鎖骨下動脈の起始部で結紮離断を行い、食道狭窄は解除された。術後の合併症は認めず、術後6日目で退院した。術後2ヶ月で食道拡張部位に毛球が貯留し内視鏡下での摘出が必要であったが、術後12ヶ月が経過した現在、経過は良好である。
著者
古賀 靖啓 十川 英 齋藤 靖生 三浦 直樹 野口 亜季 藏元 智英 藤木 誠
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.53-58, 2023 (Released:2023-10-17)
参考文献数
16

体壁の悪性腫瘍は肋骨を含めた広範囲な切除が必要な場合がある。肋骨切除による主な合併症はフレイルチェストの発生であり、6本以上の肋骨切除は推奨されていない。犬の胸壁に発生した脂肪肉腫に対して6本の肋骨を含めた切除を行った後、チタンプレートで頭側2本の肋骨再建を実施した。術後フレイルチェストの発生はなく、呼吸状態も安定していた。プレートによる肋骨再建により機能的な胸壁再建を可能にすると考えられた。
著者
村田 大紀 三浦 直樹 松元 光春 三好 宣彰 藤木 誠 三角 一浩
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.703-707, 2011-09-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
7

調教中に転倒し,後肢の腰フラ様蹌踉(よろめき)を伴う混跛を呈した馬の症例に対して画像検査を実施した.脊髄造影検査では,第6頸椎と第7 頸椎の間(C6-C7)において造影剤の拡散が背側方向から障害されている所見が得られた.剖検時に行った頸椎及び胸椎(T)のコンピューター断層撮影(CT)検査では,C6-T2におけるすべての左側前後関節突起間隙に開大の所見が確認された.また,第1胸椎(T1)の左側前関節突起の変形と骨折片も確認された.さらに,C6-C7 において背側から軟部組織と思われる領域が脊髄を圧迫している所見が得られた.脊髄の病理組織学的検査では,C6-C7 における左側の側索から背索にかけて脊髄症の所見が得られた.以上より本症例は,転倒による頸胸弯曲部の外傷性椎骨骨折及び骨変化による椎骨列の異常に伴い軟部組織が脊柱管へと押し出された結果,圧迫性脊髄症を呈したと考えられた.
著者
藤木 利之 酒井 恵祐 奥野 充
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
pp.62.2202, (Released:2023-09-16)
参考文献数
43

クック諸島アチウ島Areora地区東部の湿地から得られた堆積物で花粉分析を行った結果,約1,600 cal BP (約350 cal CE) にココヤシと草本の花粉,シダ胞子,木炭片が急増し,タコノキ属花粉やヘゴ科胞子が急減するという劇的な植生変化が確認された.大規模な森林伐採などによるかく乱により,草原が拡大したと考えられた.アチウ島は約350 cal CEに人類が定住していたと考えられたが,この時代にアチウ島には人類定住の痕跡となる考古学データは全くない.また,約1100 cal CE以降にサツマイモなどの栽培植物花粉が微量ではあるが出現し,木炭片が急増した.よって,アチウ島への人類到達は2段階ある可能性が示された.年代は若干異なるが,この結果はTiroto湖の古環境データとほぼ一致している.堆積物を用いた古環境復元から人類定住年代を研究する場合は,島の様々な集水域の堆積物の分析を行って,多面的な分析結果から議論する必要があると考えられた.
著者
安岡 利恵 藤木 博 森田 修司 満尾 学 門澤 秀一 埴岡 啓介 門谷 洋一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.3011-3017, 2009 (Released:2010-03-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は79歳,女性.両側乳腺浸潤性小葉癌で手術施行.術前検査時より腹部CT検査で,胃壁の肥厚と軽度の造影効果を認めていたが,上部内視鏡検査では異常所見は指摘されなかった.乳癌術後,腫瘍マーカーは上昇し,さらに腹部CT検査で胃壁肥厚が増強した.3回目の上部内視鏡検査で,乳癌の胃十二指腸転移と診断した.その後,Paclitaxelでの化学療法を行っていたが,幽門狭窄症状が出現したために,胃空腸バイパス術を施行した.バイパス術後11カ月経過したが,腹膜播種や閉塞性黄疸が出現し,全身状態は悪化傾向である.今回,上部内視鏡検査で診断に苦慮した乳癌の胃十二指腸転移の1例を経験したので報告をする.
著者
藤木 大介
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

作文等,人が文章を綴る際,心(頭)の中でなにが起こっているかについては,これまで主として認知心理学の領域で研究されてきた。例えば,アイデアを練るとか,それを言語化するとかいったことは示されてきた。一方,これらの行為がどのように心の中でなされるかについては明確な説明がなされていない。そこで本研究では,どのようにして文章を綴っているかについて仮説を立て,その正しさを検証する実験を積み重ねていく。
著者
久保 龍哉 藤木 大地 吉岡 健太郎 高前田 伸也
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2023-ARC-254, no.18, pp.1-6, 2023-07-27

インメモリ計算は,メモリ上で直接計算を行う新しい計算方式であり,データインテンシブなアプリケーションの高速化技術として近年活発に研究されている.特に,短いアクセス時間と高い柔軟性を持つ SRAMは,インメモリ計算用のデバイスとして様々な回路技術が提案されている.しかしながら,In-SRAM 計算技術に応用できるような,柔軟な SRAM 回路設計ツールは存在せず,こうした回路の設計者は,膨大な時間を費やして回路の設計・評価を行っている.この課題を解決するために,我々はインメモリ計算のためのオープンソースなメモリコンパイラを検討する.これは,製造プロセスに応じて SRAM 回路を生成する,従来のメモリコンパイラとしての機能性を持ち合わせながら,インメモリ計算のための多様なメモリセルのタイプと,ペリフェラル部に配置される論理回路のカスタマイズ性を導入する.本稿が実現すれば,ユーザーは簡単な設計から高性能なインメモリ計算用の SRAM 回路を迅速に生成することができ,インメモリ計算技術の研究やシステム応用を効率化することができる.
著者
藤木義雄編
出版者
広報
巻号頁・発行日
1964
著者
中津 正樹 藤木 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.121-130, 2023 (Released:2023-06-30)
参考文献数
24

This research proposes a mirror work in which reflected image changes by inducing the viewer to move their body, even though the work itself and the entity that generates the image are stationary. The change in reflected image is triggered by the position of the viewer, which encourages the viewer to continuously move their body. This is intended to create an active and sustained viewing experience. The questionnaire conducted at the time of the exhibition confirmed the descriptions of the viewing of the artworks that involved physical movement during viewing. In addition, the behavioral observation of the viewers confirmed that they moved their bodies several times. This indicates that this proposal has achieved its goal of promoting an active and sustained viewing experience.
著者
宇川 義一 生駒 一憲 魚住 武則 鬼頭 伸輔 齋藤 洋一 谷 俊一 寺尾 安生 飛松 省三 中村 元昭 藤木 稔
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.513-515, 2016-12-01 (Released:2017-12-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1

最近, 国際臨床神経学会のホームページで, 経頭蓋直流電気刺激, 経頭蓋交流電気刺激の個人的な使用に関する勧告が出された。そこで, 日本臨床神経生理学会では, その日本語訳を以下に示すことにした。最終的結論に, 本学会の脳刺激委員会としても賛成である。