著者
井手 博文 野中 健史 藤木 達雄 佐藤 政弥 遠藤 英仁 須藤 憲一
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.332-336, 2000-05-15
参考文献数
13

PCPS装着時に, 左室後負荷軽減の為に併用される経大動脈弁的左室ベントカテーテルの挿脱着が可能な, 新しいIABPカテーテルを開発し, 臨床応用に向けて評価を行った。対応するベントカテーテルはthin wall, 外径12F, 全長95cm, テフロン製。IABPカテーテルの構造として, 容量35ccバルーンおよびバルーンガス給排管としてのカテーテル (外径7F, 全長65cm) に加え, 左室ベントカテーテルが通過可能な, 全長約20cm, 外径5mm, ポリウレタン製の挿通管を, バルーン部のみに有し, その先端にベントカニューラ抜去後閉鎖するシリコンゴム製弁を有する。ベントカテーテルは, 同挿通管を介して, 経大動脈弁的に左室に挿入される。ベントカテーテル操作向上の為, 同挿通管内面をシリコンコーティングすることにより, 滑り抵抗は約1/2に軽減した。ベントカテーテルは, モック試験にて, 最大流量, 約600m1/minが可能であった。
著者
宮崎 雄生 新野 正明 深澤 俊行 高橋 恵理 野中 隆行 越智 龍太郎 南 尚哉 藤木 直人 土井 静樹 菊地 誠志
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.357a, 2014 (Released:2014-10-07)

【目的】Sirtuin-1(SIRT1)はヒストン脱アセチル酵素であり,神経保護や脂質代謝などへの関与が報告されている.本研究ではヒト単球のIL-10制御におけるSIRT1の役割を検討した.【方法】健常者末梢血から精製した単球を用いLPSまたはIFNβで刺激後にSIRT1遺伝子発現を定量した.健常者,無治療multiple sclerosis(MS)患者,IFNβ治療MS患者の単球におけるSIRT1発現を定量した.単球のIL-10産生に対するresveratrol(SIRT1活性化剤),EX527(同抑制剤)の作用を検討した.【結果】単球におけるSIRT1発現はLPSで低下した一方,IFNβで上昇した.単球におけるSIRT1発現に健常者と無治療MS患者間で差は確認できなかったが,IFNβ治療患者で無治療患者より高い傾向が見られた.ResveratrolはLPS刺激に対する単球のIL-10産生を増強した.IFNβは単球からのIL-10産生を増強したが,この作用はEX527によりキャンセルされた.【結論】SIRT1は単球のIL-10制御に関与しており,IFNβによるIL-10産生増強にも関与することが示唆された.SIRT1は神経変性疾患動物モデルにおいて神経保護作用が報告されており,神経と免疫双方が関与する疾患であるMSにとって有用な治療標的であると予想される.
著者
堀 利栄 藤木 徹 樋口 靖
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.43-59, 2000-01-21
参考文献数
74
被引用文献数
3

付加体中に頻繁に含有される層状チャートの化学組成や同位体比は, チャートが堆積した場の環境や続成過程, また過去の大陸表面の化学組成や付加後のテクトニックなイベントを反映している.本論では層状チャートの化学組成や同位体比の解析例を示し, その問題点や将来性について議論した.REEやいくつかの主成分元素組成は, 層状チャートの珪質部と泥質部が濃度の差こそあれ同起源物質を含有していることを示しており, 珪質部は泥質部がSiO_2で希釈された部分とみなされる.さらに珪質部は, Sr同位体比による解析の結果, より初生的な情報を保持し易いことが示唆された.特に堆積場の酸化・還元状態は, 珪質部における一部の元素組成やS同位体比を用いることで解析可能であり, その一例としてFe^<2+>, Fe^<3+>の量比, AlやTi濃度で規格したMn, U, V比やS含有量をあげた.このような付加体堆積岩の環境解析において欠けてならない点は, 地球科学的な制約条件との整合性であり, 地球化学だけでなく他分野との総合的な議論が必要である.
著者
藤木 直実
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.25-37, 2005

「テクスチュアル・ハラスメント」-女性に対するテクスト上の性的いやがらせ-のケース・スタディとして森しげの例を取り上げる。彼女の被った<暴力>は、以下の三つに分節することができる。(1)鴎外「半日」における「奥さん」の造型およびその波紋 (2)しげの創作活動をめぐる批評言語 (3)鴎外がしげのテクストに施した「校閲」。本論では主として二点目、すなわち、批評史が遂行的にひとりの女性作家を抹消するに至る過程を再審する。
著者
奥村 太朗 加藤木 丈英 小谷 俊明 川合 慶 白井 智裕 赤澤 努 佐久間 毅 南 昌平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0528, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】思春期特発性側弯症(以下:AIS)は思春期に誘因なく発症する側弯症である。運動が盛んに行われる時期に進行し,不良例は手術に至る。脊柱の側弯が運動能力に及ぼす影響はほとんど明らかにされておらず,AIS患者と健常者の運動能力差に関しても明らかになっていない。そこで本研究の目的は,新体力テスト結果を用い健常者と比較し,AIS患者の運動能力を明らかにすることである。【方法】対象者はAIS患者17例(男性2例,女性15例),手術時平均年齢14.5±1.6歳とした。全例胸椎右凸カーブで,平均Cobb角は53.3±9.6であった。検討項目は,手術前の新体力テストの種目別記録(上体起こし,長座体前屈,反復横跳び,20mシャトルラン,50m走,立ち幅跳び,ハンドボール投げ,握力)と総合得点とし,文部科学省の発表する同年代の健常者標準値と比較した。なお種目別記録は年齢別平均値より偏差値を算出し正規化した。統計処理は,AIS患者と健常者における各種目別の偏差値と総合得点を対応のないt検定で比較し,有意水準を5%以下とした。【結果】AIS患者の新体力テストの種目別記録において,上体起こし41.6±10.2(p=0.005),長座体前屈44.7±8.9(p=0.03),ハンドボール投げ42.6±7.4(p=0.001),総合評価45.1±5.4(p=0.002)で健常者と比較し有意に低下していた。【考察】本研究により筋持久力を表す上体起こし,柔軟性を表す長座体前屈,巧緻性を表すハンドボール投げが健常者と比較し有意に低下していた。上体起こしは,AIS患者はCobb角の進行を抑えるために長期間のコルセット着用が義務付けられる。コルセットは体幹を前後左右から締め付けて体幹を支持する。その影響により体幹の可動性が減少し,腹筋群や背筋群などの体幹筋力の低下を惹起すると考える。さらに,Cobb角の進行とともに体幹筋力が低下するという報告もあり,双方の関与が示唆される。長座体前屈は,長期間のコルセット着用により胸椎・腰椎の可動性が制限されたことも原因の一つであると考える。また,側弯症は脊柱が捻じれを伴いながら曲がっていく疾患であり,傍脊柱起立筋にも左右差が出現するという報告があり,筋の伸張性の左右差や椎間関節の左右の可動性の違いの関与も示唆される。ハンドボール投げは,凹側に比べて凸側の肩関節に不安定性が強く,肩甲胸郭関節の動きが制限されるとの報告があり,その関与が示唆される。また,小学校時代からコルセット療法が開始されている患者も多く,ボールを投げる等の運動経験自体が少ない可能性も示唆される。さらに,総合得点が有意に低下していることから,AIS患者は同年代の健常者よりも総合的に運動能力が劣っていることが明らかとなった。この結果は脊柱側弯が運動能力に何らかの影響を与えている可能性を示唆させるものであった。しかし,今回は運動部所属の有無や運動習慣歴などを考慮しておらず,AIS患者の日常生活と運動能力との関係性を明らかに出来ないことは,本研究の限界であると考える。【理学療法学研究としての意義】AIS患者は健常者より運動能力が劣っており,脊柱側弯が運動能力に少なからず影響していることが示唆された。この時期の運動能力低下は,今後成人を迎えていくAIS患者のライフスタイルに大きく影響する可能性がある。側弯症を有していても高いレベルの競技者も大きくいるため,AIS患者の運動に対する意識を高めて運動を推奨していく必要があると考える。
著者
藤木 俊也
出版者
山梨県総合農業技術センター
雑誌
山梨県総合農業技術センター研究報告 (ISSN:18817726)
巻号頁・発行日
no.8, pp.45-51, 2016-03

小型コチョウラン'なごり雪'(Pharaenopsis Hatuyuki'なごり雪')の涼温栽培(終日18℃加温栽培)における冬期における生育不良を改善するために、日没後の短時間昇温(EOD-heating)処理の影響を調査した。1. 最低温度が15℃となるよう加温し,日没後に3時間だけ25℃となるよう昇温することで,生育は終日21℃加温した場合と同等になり、低温による葉の変色も認められなくなった。2. 日の出前の短時間昇温(EON-heating)処理によっても生育改善効果が認められ、その効果は日没後の処理と同等であった。3. EOD-heating処理を行うと開花は20日程度早くなった。また,2年性株では花茎長も約8cm長くなり,花蕾数も3個程度多くなった。4. EOD-heating処理を行うと暖房の稼働時間は終日18℃に加温した場合とほぼ同じであった。生育が同等の終日21℃で加温した場合と比較すると暖房コストを約4割削減できることが明らかとなった。
著者
妻鹿 絢子 三橋 富子 藤木 澄子 荒川 信彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.79-82, 1983-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9

市川らの報告をもとに, ショウガ根茎からショウガプロテアーゼを抽出, 精製し, そのプロテアーゼ活性の比較を行った.その結果, ショウガ搾汁, 酵素抽出液, 粗酵素液, 精製酵素B, 精製酵素Aの順にカゼイン分解物が増加し, 酵素の精製が進んだことが確認された.これら各精製段階のショウガプロテアーゼをpH5.037℃において, 筋原繊維蛋白質に対して3%になるように添加して作用させた.ショウガ搾汁を作用させた場合には, 反応時間60分におけるミオシン分解率は35.8%であったが, 最も蛋白分解力の強い精製酵素Aを作用させた場合には, 反応時間60分で62.3%におよぶミオシン分解率を示した.
著者
藤木 哲夫 道津 喜衛
出版者
長崎大学水産学部
雑誌
長崎大学水産学部研究報告 (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
no.14, 1963-03

西日本水域における成熟ボラ群の生態を明らかにするため,沿岸各地で行われている各種のボラ漁業の調査を進めているが,ここではその第一歩として九州西岸の長崎県野母崎町樺島および同県五島列島富江町で古くから行われている秋季の成熟ボラ群を狸る敷網漁業について調査し,その結果から凹地沿岸に来游する成熟ボラ群の生態について比較検討した.今回用いたボラ漁業の資料は樺島のものは1951~1961年の11年間,富江のものは1954~1961年の8年間のものである.秋季に成熟ボラが来暫し,漁獲されるのは両地ともに10月中旬から11月下旬までの約1ケ月間であり,漁期の年平均は樺島で25.8日,富江で14.5日であり,前者の方が長い.ボラ敷網漁業では漁期になると山上高所に魚見役十余人が立って魚群の行動を監視し,ボラ群の一つ一つを群群に漁獲し,漁獲物の雌魚は「からすみ」原料となる卵巣をとるため全部開腹処理するので性比,卵巣熟度を知り得るなどという生態調査上め多くの利点を持っているが,漁業者の記録によると,1漁期中の魚群来祝日の平均は樺島で6.4日,富江で3.3日,来游推定尾数は樺島で平均約30,000尾,富江で8,000尾でありまた,漁獲尾数の平均は樺島で6,887尾富江で1,653尾であり,これらの諸点からみると樺島の方がより優れたボラ漁場であることが分る。漁期中における魚群の来游日間隔は両地ともに5日前後の例が多いが,これは成熟ボラが両地の沿岸に滞留する時間を知るための一指標となる。敷網で獲れる成熟ボラは雌が雄より少ないことが知られているが,雌雄比の平均は樺島で20:100,富江で75:1OOであり,両地で著しく違っているがその原因については分っていない.樺島における1961年11月4日の漁獲物についてみると,雌の体長は430~550mm,雄は310~410mmで,雌の方が雄yよりは大きく,この大きさの差によって雌雄がよういに判別できる.雄はすべて腹を圧すと精液を出したが雌魚で完熟卵巣を持った個体はいなかった.雌の成熟卵巣の重量は体重の20%を占めて大きいが,雄の完熟精巣の重量は10%以下であり,しかもこの値は個体差が著しかった.富江の漁獲物の魚体調査は行っていない.樺島,富江ともに北ないしわ東北の軟風(風速3.4~5.2m/sec)が吹き,海面に白波が立つ快晴の日に特にボラ群の来游が多いことが分ったが,これは両地のボラ漁業者の間で古くから言い伝えられていることと一致する.漁期中における潮汐と魚群来游との関係を調べてみたが両地共に目立った関係を見出し得なかった.なお富江におけるボラ群来游時季の水温は17.1~20.6℃であった.

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著者
藤木 秀朗
出版者
Japan Society of Image Arts and Sciences
雑誌
Iconics (ISSN:13454447)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.157-180, 2004-03-30 (Released:2019-08-05)
参考文献数
101
著者
藤木 貴史
出版者
旬報社
雑誌
労働法律旬報
巻号頁・発行日
no.1948, pp.13-20, 2019-11
著者
二宮 由樹 藤木 大介
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.308-320, 2020-09-01 (Released:2020-09-15)
参考文献数
20

Information processing involved in inference and decision-making has been explained from the viewpoint of the dual processes: intuitive system 1 and reflective system 2. The relationship between these two systems has been examined based on the difference between correct and incorrect answers in bias task. However, recently, another possible position, which questions the classification based on these answers, has been identified. For example, it is known that even if a participant provides an incorrect answer in a bias task, they may be able to detect a conflict between information about the correct and incorrect answers. In this study, participants were categorized according to their responses provided in the bias task and the presence or absence of conflict detection. The results showed that the functions of the two systems differ within the same answer. This result suggests that the classification based on the bias tasks is incomplete and that researchers need to consider a classification of participants based on the presence or absence of conflict detection.