著者
藤本 隆宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.25-35, 2012-06-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
12

東日本大震災によるサプライチェーン寸断に対し,在庫増加,標準部品採用,供給のデュアル化,海外移転などが提案されているが,災害のショックからの心理的過剰反応も目立つ.本稿は,グローバル競争時代の広域大災害に対するサプライチェーン強化策は,競争力(competitiveness)と頑健性(robustness)の両立を目指すべきだと主張する.相対的に小さなコスト負担で,災害からの復旧速度(たとえば2-3週間での全面復旧という目標)を確保する代替的方策として,設計情報の可搬性(design portability)を基礎とした「サプライチェ ーンのバーチャル・デュアル化」を提案する.
著者
藤本 潔
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.139-149, 1988-05-16 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2

福島県南東部に位置する夏井川下流沖積平野, 藤原川下流沖積平野, 鮫川下流沖積平野にみられる浜堤列について, 空中写真判読, 現地調査, 1/2,500国土基本図による地形断面図の作成および14C年代測定により, 各平野間での浜堤の対比および形成時期の推定を行った。その結果, 本地域にみられる浜堤列は3列に大別され, それぞれの形成開始時期は, 内陸側のものから順に約4,000年前以前, 約3,000年前, 1,700~1,600年前頃であることが判明した。さらに, 本地域の各平野間でみられる浜堤列の形態上の相違 (浜堤の有無, 浜堤頂部の堤間湿地からの比高, および, 浜堤列間の距離) は, 海岸線の湾口部に対する相対的な位置関係による波の影響の度合や, 堆積の場としての沖積層下の基盤地形の相違に大きく関わっていることが明らかとなった。
著者
西尾 久美子 藤本 隆宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.62-76, 2009-06-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
27

サービスは人工物制御の出力であるとの観点から,接客サービス現場に製造業で発達してきた広義の「ものづくり」分析のフレームワークを応用する.具体的には,競争力を持つ接客サービス業である京都花街の顧客経験(プロセス)分析,お座敷のチーム作業(オペレーション)分析,人材育成分析を試み,京都花街のサービス現場とトヨタ自動車の組立現場に「多能従業員のチームで良い流れを作る」という意外な共通点があることを示す.
著者
藤本 哲史 新城 優子
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.19-28, 2007-12-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
23

本稿の目的は,ファミリー・フレンドリー制度に対して従業者がもつ不公平感について探ることにある.データ分析の結果,以下の点が明らかになった.⑴制度に対する不公平感の平均値に男女差はないが,子どもの年齢が高い者ほど不公平感が高い.⑵上司が部下の仕事と家庭生活の両立に関して支援的な場合,制度に対する不公平感が低下する.⑶不公平感は性別役割分業に対する価値意識の反映である可能性が高い.
著者
藤本 一雄 戸塚 唯氏
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-11, 2015-11-13 (Released:2017-08-02)
参考文献数
54
被引用文献数
1

This study examined the prolonged regrets of suffers due to the 2011 Great East Japan Earthquake based on their 2,284 narratives in written form in order to find out the purpose of disaster prevention activity. Among them, 66 narratives are referred to regret. These narratives were classified in terms of individual attribute, actual action at the time of the disaster, and counterfactual thinking (thoughts of what might have been). The document analysis for the counterfactual statements suggests that the suffers who lost irreplaceable person or property tend to feel prolonged regret and they tend to blame themselves (e.g., counterfactual statement is such as “I would not have lost my family member if only I would return home faster”).
著者
藤本 隆宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.11-22, 2003-06-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
28

もの造りの経営学(技術・生産管理論)の立場から,「設計情報」概念を用いたオペレーション・ベースの戦略論の可能性を考察する.まず,もの造り現場の競争力は,もの造りの組織能力とアーキテクチャ(製品・工程の設計思想)の間の相性によって影響されると見る.そして,得意・不得意アーキテクチャの見極めに基づく「両面戦略」を説明する.次に,もの造り現場の競争力を最終利益に結び付ける戦略の枠組を考える.その基本は,「アーキテクチャの位置取り戦略」である.
著者
藤本 昌代
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.96-107, 2001-09-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
28

本研究は,学会など外部の職業集団に準拠し,所属集団へのコミットメントが低く,コスモポリタン的とされるプロフェッショナルを,多元的な組織・集団の中の個人という視点から分析するものである.本研究のアプローチは,産業組織の構造,専門分野,所属組織での自己の位置づけなど,それぞれの組織・集団での自己評価が,移動可能性の逓減,認知的不協和を引き起こし,組織準拠性に影響を与えるというものである.これらの現象を多峰性関数のローカル・マキシマムという概念を用いて説明を行う.
著者
藤本 繁夫 田中 繁宏
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.453-459, 1998-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
27
被引用文献数
2 1
著者
藤本 圭作
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-6, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
17

健康状態をモニタリングするための非侵襲的ウェアラブルの開発を産官学連携で行ってきた.脈波には多くの生体情報が含まれており,不整脈,呼吸数,自律神経活動の評価,循環不全の予兆,活動量の評価,ストレス管理,睡眠呼吸障害のスクリーニングなどの応用が報告されている.我々は,①脈波に重畳している呼吸成分から胸腔内圧変化を測定し,スパイロメータと組み合わせ,動肺コンプライアンスの測定,②脈波のゆらぎから自律神経活動を評価し,睡眠時無呼吸低呼吸の判定,睡眠の質の評価および睡眠構築の判定,③Fiber Bragg Grating(FBG)センサを用いた血圧,血糖値測定の試みについて解説する.また,膜型感圧センサを敷き詰めたシート型の機器を用いて,④無拘束タイプの睡眠時無呼吸症候群スクリーニング機器の開発および同機器を改良した在宅見守りシステムの開発を行ってきたので解説する.最後に医療者間のコミュニケーションツールについて紹介する.
著者
佐々木 俊一郎 山根 承子 マルデワ グレグ 布施 匡章 藤本 和則
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.57-71, 2022 (Released:2022-06-30)
参考文献数
19

本稿では、大学生を対象としたアンケート調査によるデータと大学から提供を受けた学生の学業データを紐づけることによってパネルデータを構築し、大学生の学業成績の規定因について分析した。固定効果モデルによる分析結果では、取得単位数は交友関係に正の影響を受けるが、学習姿勢から受ける影響は限定的であることが確認された。一方、履修科目の平均点は交友関係には負の影響を受けるが、意欲的な学習姿勢には正の影響を受けることが確認された。こうした結果は、履修科目の平均点は意欲的な学習姿勢に裏付けられているものの、取得単位数は必ずしもそうではないことを示唆しており、大学生の知識・技能の総量を正確に評価する場合には、取得単位数よりも平均点を使用する方がより適切であると考えられる。
著者
田中 優子 犬塚 美輪 藤本 和則
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
pp.2022.003, (Released:2022-06-15)
参考文献数
123

Pervasive misinformation is a primary social issue in the digital age. A common method for resolving this issue is making corrections to mitigate false beliefs due to misinformation. However, the influence of misinformation is often predominant, thereby resulting in correction having a limited effect on alleviating people's false memory and reasoning. This psychological phenomenon is known as the continued influence effect of misinformation. Rapidly evolving research has accumulated into a sizable literature explaining the psychological processes that cause this effect. This article seeks to clarify the psychological processes for exploring ways to harness the negative impact of misinformation on our minds. Specifically, we review cognitive models and factors related to the continued influence effect, as well as a potential side effect of correction. Moreover, we summarize practical recommendations for interventions based on psychological characteristics. Finally, we discuss future directions in psychology and how emerging interdisciplinary research contributes to controlling the harmful impact of misinformation on our society.
著者
西田 睦 澤志 泰正 西島 信昇 東 幹夫 藤本 治彦
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.199-206, 1992
被引用文献数
17 24

The distribution and abundance of an endangered subspecies of the ayu <i>Plecoglossus altivelis ryukyuensis</i> was determined on the three major islands, Amami-oshima, Tokunoshima, and Okinawa Islands, in 1986. The fish was observed only in five streams in the southern part of Amami-oshima Island. Among these five streams, the majority of fish were found in the Yakugachi River. While the number of fish in this particular stream was approximately 3.5&times;10<sup>4</sup>, in all other streams the densities were much lower, and we therefore conclude that this subspecies is threatened and some attempts should be made for conservation of this fish.