著者
藤澤 隆史 高見 和彰 Norman D. COOK
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-34, 2004-05-31 (Released:2010-10-28)
参考文献数
32

感情的発話のピッチ曲線に見られる“音楽性”,特に和音性の定量的評価のために,2つの新たな手法を開発した.1つ目はピッチ曲線の中で用いられた主要なピッチを抽出するための手法で,ピッチ曲線を時系列にかかわらずピッチ軸上へと射影し,1次元の散布データに変換する.その後,正規分布の合成モデル(cluster)を用いて,評価にかかわる主要なピッチ群を特定した.2つ目は得られた主要ピッチ群から,和音性を定量化するための手法で,音楽知覚の2つの定量化モデル(不協和度,緊張度とモダリティ)を用いて,発話のピッチに含まれる和音性の定量化を行った.次にこれら2つの手法の評価を行うために感情的発話に関する実験を行った.まず感情的な発話を収集し,次に得られた発話データのピッチ成分のみの情報で新たな被験者に評価させた.上記の手法で,全ての発話文について各指標を算出し,感情状態の評定値との関連性を検討した結果,ポジティブな感情状態であると評価された発話群は,ネガティブな発話群に比較して,長調的な成分が含まれること,またネガティブな発話群には,短調的な成分,不協和的な成分が相対的に多く含まれていることが明らかになった.
著者
宮本 洋二 藤澤 健司 武知 正晃 桃田 幸弘 長山 勝 山内 英嗣 坂東 永一 日野出 大輔
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.436-445, 2002-12-31 (Released:2015-08-20)
参考文献数
43

To clarify the effects of clinical factors on the failure (early failure) of osseointegration establishment of titanium implants, we statistically carried out a clinical examination on 373 fixtures of Brånemark implants. Fifteen fixtures (4.0%) failed to establish osseointegration before the fitting of superstructures. Results are summarized as follows: 1.Age and sex did not affect early failure. 2.Although there was no significant difference in the rate of early failure between the maxilla and the mandible, the prognosis of the maxilla, in women, was poorer than that of the mandible. No difference among regions in the maxilla or mandible was detected. 3.Variations of diameters and kinds of fixtures did not affect early failure. 4.In the length of fixture, the prognosis of 10 mm or less of the fixtures was poor, and the prognosis of fixtures of 13 mm or less was poorer in the maxilla. 5.The initial stability of fixtures at installation was deeply relevant to early failure. 6.The healing period between fixture installation and abutment connection did not affect early failure. 7.There was no significant difference in the rate of early failure between smokers and non smokers.
著者
藤澤 宏幸 鈴木 克憲 浦島 貴子 金子 文成 綿谷 美佐子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.425-429, 1994-11-30
被引用文献数
5

本研究の目的は, 運動肢位によってことなるとされる最大筋トルクが, 筋活動量の変化によるものか, または上腕骨長軸と筋走行の成す角度および筋長が変化するため(運動力学的要因)なのかを明らかにすることである。健常男性6名の右肩関節を対象に, 肩関節内外旋運動時の最大筋トルクと回旋筋群の筋電図を, 肩関節90度外転位および90度屈曲位の二つの肢位で測定した。外旋運動時の最大筋トルクは90度外転位で有意に大きかったが, 内旋運動時の最大筋トルクに有意な差はなかった。筋活動量は両肢位で有意な差がなかった。以上の結果より, 運動肢位による外旋運動時の最大筋トルクの変化は, 運動力学的要因が主因と思われた。
著者
三澤 寿美 小松 良子 片桐 千鶴 大江 誠子 藤澤 洋子
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
山形保健医療研究 (ISSN:1343876X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.23-31, 2004-03-01
被引用文献数
2

わが国の初産婦がRubinの示す母親役割獲得過程における5つの操作に関する母親役割行動を行っているのかどうか、および5つの操作に関する母親役割行動が妊婦週数と、子どもを持つ母親が近所にいるかどうかと模倣およびロールプレイに関する行動とに関係があるのかを明らかにすることを目的に、自己記入式質問紙を用いて255人の初産婦に調査を行った。調査対象の平均年齢は28.2歳であった。得られた結果から以下のことが明らかになった。1)わが国の初産婦は、模倣・ロールプレイ・空想や想像・取り込みー投影ー拒絶・悲嘆作業に関する母親役割行動を行っていた。2)妊娠週数と「出産の準備」、「赤ちゃん用品の準備」、「胎児の性別の想像」、「子どもの成長の想像」には関係があった。3)子どもを持つ母親が近所にいるかどうかと「小さい子どものいる友人と会いたい」、「小さい子どもを抱っこする」、「おなかの子どもに話しかける」には関係があった。
著者
藤澤 三佳
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.374-389,483, 1992-03-31 (Released:2009-11-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1

精神病は、その病歴者に、あらゆる社会的規範を逸脱するという、非常に大きく、かつ特殊なスティグマを付与し、その結果、病者はすべての点で「社会」から排除される。そこには、いわば「予言の自己成就」ともいわれる過程がみられる。本稿では、病者当事者にとってのアイデンティティの問題やそこからの解放の問題をとらえるにあたり、患者会の会報への投稿文の記述から、 (1) 精神病のもつ、社会性にまつわるスティグマの性質について、従来からの諸研究を検討しながら考察し、 (2) そのスティグマ付与の結果として、入院中や退院後をとうして社会性をもつことが困難になるという、いわゆる「予言の自己成就」過程について示し、 (3) 精神病のスティグマを付与された当事者が社会性喪失というスティグマからの解放を試み、社会を再び模索する過程、 (4) その解放への試みにも内在するスティグマの増大に関して考察する。
著者
松田 英希 榎 真奈美 伊藤 絵里子 藤澤 美由紀 山中 崇
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.B0464-B0464, 2004

【はじめに】身体機能的には可能であったにも関わらず、器質性人格障害のためにADL自立が困難であったクモ膜下出血の症例を経験したので報告する。<BR>【症例】33歳男性。身長172cm、体重65.3kg。病前の性格は温厚。平成14年8月9日、クモ膜下出血発症。同日、緊急開頭血腫除去術・脳動脈クリッピング術・外減圧術施行。平成15年3月18日、リハビリテーション目的にて当院リハビリテーション科へ転院となった。転院時所見としてCTにて前頭葉の広汎な病変を認め、右片麻痺・人格感情障害・知的低下・注意障害・記憶障害・失語症・右半側空間無視・Alien Hand(右手)が見られた。Brunnstrom Recovery Stageは右上肢V・右手指V・右下肢IV。起居動作は軽度~中等度介助、歩行は中等度介助で、周囲の状況や身体の状態に関係なく動作を行い、転倒・転落の危険を伴った。<BR>【経過】平成15年3月19日、当院PT・OT・ST開始。車椅子にてリハビリテーションセンターに来室。ROM ex.や坐位・立位でのBalance ex.などのアプローチは協力を得られず、暴力的になったり寝てしまったりした。そのため、臥位から起き上がって歩くという一連のプロセスを、誘導しながら介助して患者のペースで行う方法が中心となった。介助に対して暴力的になり歩行中でも振り払おうとしたため、衣服の皺を伸ばすように見せるなど、患者の注意を変換することで興奮の抑制を図った。排泄・入浴場面では、激しく興奮し状況判断せず行動するため2~3人の介助が必要で、OTの介入も困難であった。同年4月中旬には、右下肢の支持性や歩行バランスの向上により屋内歩行が軽度介助レベルとなり、屋外での不整地・段差・スロープ歩行が可能となった。同年6月12日には屋内歩行が遠位監視となったが、介助に対する暴力的な行動は変わらなかった。本症例は、家族の在宅困難との判断により、平成15年7月25日転院となった。<BR>【考察】本症例は運動機能としての起居移乗動作や歩行は自立したが、ADL自立には至らなかった。屋内外ともに移動手段として歩行を確立できたのは、患者が介助を意識しないようにアプローチしたり、リスクを伴うと考えられる歩行条件でも、あえて患者の選択を尊重し、PT中の情動爆発を可能な限り抑制したことが功を奏したと考えられる。しかし全般的な脱抑制により動作のほとんどが無目的で、特に排泄・入浴動作の指導・介入に対しては激しい情動爆発が見られるなど、状況に応じた適切かつ安全な行動が困難であった。本症例の経験より、精神科領域の知識や症状のとらえ方は、我々PTの臨床場面にも求められると思われた。
著者
丸 光惠 田中 千代 倉山 英昭 藤澤 洋子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.49-57, 1998-03
被引用文献数
2

慢性腎疾患をもつ青年期患児37名を対象に,喫煙飲酒の実態とそれに関連する要因を明らかにする目的で,質問紙と面接による調査を行った.質問容は1)人口統計学的データ,2)自覚的健康度,3)学校・社会生活,4)現在行っている治療・処方の内容,5)療養行動,6)病気や治療に関する気持ち,7)両親,きょうだい,友人の喫煙行動,および8)飲酒・喫煙行動,であった.過去一ヶ月間で20本以上喫煙した者は4名で,喫煙は習慣化していた.過去1ヶ月に飲酒したと答えた者は19名(男11名,女8名),過去1週間では12名(男7名,女5名)であった.週飲酒者は一週間に外食する頻度と有意に多かった.病気に関連した気持ちでは,「食事のきまりを守ることはむずかしい」.「人から外見で判断されている」と「血尿やタンパク尿がいつもより多くでるのではないかと気になる」でCramer's Vが0.3以上を示した.喫煙する友人がいる場合では,カイ二乗検定で有意に週・月飲酒経験が多かった.喫煙・飲酒ともに病識,健康観,療養行動,友人関係,親の関わり,との関連が示唆された.
著者
藤澤音吉編
出版者
独立堂書房
巻号頁・発行日
1938
著者
藤澤 正則
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.261-270, 2010-04-17

PMR in January 2005 after four qualified, home-meal replacement industry (manufacturing deli lunch) to improve the cost, P2M use case begins thinking of the owners as "model system, model service and model scheme" using the mechanism made and of practice have been seen. By materialize, improved performance and smoother communication and owners and employees. Two cases of maturity as an industry, the work of the model was to improve services. 3 In 2008 this case since September, the external environment, as speedy response to rapid changes in the internal environment, "the direction and aims to expand the system in response to changes in the environment" "in living color and should see the shape of" "the decorated structure of PJ to" and, in cases of actions I evaluated the results and the right way.
著者
石井 源 北見 明彦 神尾 義人 佐藤 庸子 高瀬 博康 澁谷 泰弘 栗生 和幸 松田 正典 鹿間 裕介 笠原 慶太 中島 宏昭 藤澤 英文 門倉 光隆
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.420-421, 2005

74歳女性. 約半年続く咳嗽, および右上肺野の異常影の精査, 加療目的に平成17年1月当院紹介. 同年2月, 発熱, 呼吸困難のため緊急入院となった. 外来で行った気管支鏡検査では右上葉枝の閉鎖が確認され, 入院後のCTでは右上葉の肺化膿症が疑われた. 抗生剤治療を行ったが, 炎症所見の改善が得られず, CTガイド下に前胸壁から膿瘍ドレナージチューブ(ピッグテールカテーテル)を挿入. その後炎症所見は改善したが, 膿性の排液は持続した. 3月15日に診査胸腔鏡を行ったところ, 右上葉の低形成に伴う肺膿瘍と診断し, 膿瘍ドレナージ(バルーンカテーテル)を継続した. 初回ドレナージ後48日目に膿瘍皮膚痩は閉鎖した. 閉鎖後, 微熱, 咳嗽, 喀痰が出現し, 胸部Xp, CTで膿瘍腔の拡大を認めたため, 再度ドレナージチューブを挿入した. 炎症所見が改善したところで, 5月9日に開窓術を施行した. 術後の経過は良好である. 肺化膿症を合併した気管支閉鎖症は稀であるため報告する.
著者
藤澤 茜
出版者
学習院大学
雑誌
研究年報 (ISSN:04331117)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.103-118, 2003
著者
陳 明裕 藤田 邦夫 石井 準之助 島田 桂吉 平田 たつみ 藤澤 肇
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.269-272, 1991

We applied low power laser irradiation on cultured dorsal root ganglion (DRG) which was excised from mouse, Continuous wave Ga-Al-As diode laser of 830nm wave length and 20mW power output was irradiated for 5-15 minutes. Neurite elongation from DRG was inhibited significantly by laser irradiation. It also inhibited neurite elongation of single neuron isolated from DRG. Especially that of small diameter neuron was significantly inhibited.<BR>By immunostaining, neurites including substance P and/or CGRP were shown to he affected severely. These results suggest that inhibitory effect of laser irradiation on neurite elongation may relate to the mechanism of pain attenuation.