著者
守屋 康充 安福 和弘 石橋 史博 伊豫田 明 鈴木 実 関根 康雄 渋谷 潔 飯笹 俊彦 藤澤 武彦
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, 2005
被引用文献数
1

症例は, 反復性多発性軟骨炎と診断された62歳, 女性. 1998年より加療開始, 2000年に症状の増悪, CTにて左右気管支の狭窄を認めたため, 気管切開を行い, ダイナミックステントを挿入した. その後, 2002年にダイナミックステント入れ換え, さらに2003年に左右の主気管支へのメタリックステント挿入を行った. 今回, 乾燥喀痰の付着によるステント狭窄にて, 窒息状態で救急外来に搬送された. 救命処置中にダイナミックステントが逸脱したが, 気管切開孔より気管チューブを挿管し, 人工呼吸管理にて救命できた. 全身状態が安定した後, 全身麻酔下に硬性鏡を使用してファイコンステント再挿入術を施行し, 経過良好にて退院した.
著者
佐藤 元 藤澤 延行 中島 耕司 相浦 智史 大久保 雅一
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.27, no.Supplement1, pp.239-240, 2007-07-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
3

The three-dimensional temperature measurement was carried out using the background schlieren method in combination with the tomographic image reconstruction technique. This technique allows a non-invasive optical measurement is applied to the temperature measurement around of a heating thin wire. The maximum temperature in the measurement agrees closely with that of the theoretical estimate and the thermocouple measurement.
著者
石盛 真徳 藤澤 隆史 小杉 考司 清水 裕士 渡邊 太 藤澤 等
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.159-168, 2008-10-05
被引用文献数
1

本研究では、ソシオン理論の家族システム論に基づいて、家族成員間関係から家族システムの機能を把握するアプローチと家族システムの全体的機能に関して直接的に取り扱う研究アプローチとが融合し得るか、について検討を行った。具体的には、家族成員間の感情コミュニケーションにおける思いやりと家族全体システムの機能との関連性が調査された。その結果は、家族システムへのアプローチとして、家族成員間関係に基づくアプローチと全体的機能へのアプローチを重ね合わせて検討することの有効性を示していた。また家族構成や家族成員のジェンダーといった家族システムの内的構造変数に、社会階層意識といった外的構造変数も加えて、家族成員間関係と全体的機能との関連性を分析することによって、家族援助の実践的取り組みに対するより役立つ基礎データが提供可能となることも示された。本研究のデータは、ソシオン理論の家族システム理論に基づいて要請される完全な二相三元非対称データではなく、4人家族の子供のみを調査協力者として収集された部分的なデータであったので、今後は完全な二相三元非対称データに基づいた検討が必要とされる。
著者
藤澤衞彦編著
出版者
日本傳説叢書刊行會
巻号頁・発行日
1917
著者
宮本 洋二 藤澤 健司 福田 雅幸 湯浅 哲也 長山 勝 山内 英嗣 河野 文昭 日野出 大輔
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.292-301, 2005-06-30 (Released:2014-11-15)
参考文献数
30

The purpose of this study was to determine whether clinical success can be achieved with immediate loading in the edentulous maxilla and mandible with Brånemark implants (Nobel Biocare, Goteborg, Sweden) at one year after placement of the implants. The study sample consisted of 18 patients who were edentulous or about to lose all remaining teeth. A total of 118 fixtures were placed in 7 maxillae and 12 mandibles, including one bimaxillary patient. Ninety seven of the 118 fixtures were immediately loaded and 21 fixtures were submerged. Five to 7 fixtures (mean of 5.9 fixtures) supported the prostheses in the maxilla and 4 or 5 fixtures (mean of 4.7 fixtures) in the mandible. All fixtures immediately loaded were placed in the incisor and premolar regions of both maxilla and mandible. The mean lengths of the fixtures in the maxillae and mandibles were 14.8±1.8 mm and,15.6±2.6 mm, respectively.All of 41 immediate loading fixtures in the maxillae showed a placement torque of more than 35 Ncm. Although 5 of 56 fixtures in the mandibles showed a placement torque of 30 Ncm, remaining fixtures showed more than 35 Ncm. Provisional implant-supported fixed prostheses were fabricated in a laboratory from an impression and were placed on the next day after surgery. After a 4-to 7-month healing period, a definitive prosthesis was fabricated and placed. One implant, although still osseointegrated, was removed owing to bone resorption. In the patient, the provisional prosthesis was supported by 4 remaining fixtures;thus the cumulative survival rates for fixtures and prostheses were 99.0%and 100%, respectively, after one year. This clinical report suggests that immediate loading of implant-supported fixed prostheses in the edentulous maxilla and mandible can be a safe and successful treatment as long as patients are carefully and strictly selected.
著者
大塚 耕太郎 鈴木 友理子 藤澤 大介 米本 直裕 加藤 隆弘 橋本 直樹 岩戸 清香 青山 久美 佐藤 玲子 鈴木 志麻子 黒澤 美枝 神先 真
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

医療、精神保健、および家族、社会的支援制度に該当する領域(法律、生活相談)、教育など幅広い領域におけるゲートキーパー養成プログラムを内閣府と協力して作成した。また、内閣府との共同で全国へ研修会やITを通じた普及を図り、ファシリテーター養成のためのプログラムを提供した。うつ病、統合失調症、不安障害、物質依存という4つの精神疾患の危機対応法プログラムとファシリテーター養成プログラムの開発を地域の精神保健に関する関係機関と共同で行い、有効性や妥当性を検証した。
著者
藤澤 順也 唐山 英明 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.2616-2623, 2008-11-01
被引用文献数
3 1

計測手法としてEEG (electroencephalogram:脳波)を採用した,運動想起を用いたBCI (Brain-Computer Interface)システムを開発した.従来のBCIシステムはその低信頼性とビットレートの低さから主にコンピュータスクリーン上での制御が行われてきたという問題点を挙げ,実世界でのアプリケーション構築の架け橋として,より実世界に近い環境のVR空間でBCIシステムが構築できるかを検証した.右手・左手の運動想起時の脳波は単試行で判別され,3人の被験者で平均80%程度の正答率が得られ,実物体制御への動機付けとでき得る結果が得られた.また,被験者の訓練の負担軽減の考察を行った.訓練されていない被験者に対し,正答率の向上・訓練負担軽減が可能であることをCommon Spatial Patternで抽出された空間パターンとSN比の推定であるr^2の分布を比較することにより示すことができた.
著者
近藤 健一郎 梶村 光郎 藤澤 健一 梶村 光郎 藤澤 健一 三島 わかな
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は以下の諸点において従来の近代沖縄教育史研究を発展させた。第一に標準語教育実践に関して、方言札の出現時期とその歴史的意義、また発音矯正が全県的な教育課題となる契機と過程を明らかにした。第二に宮良長包に関して、沖縄の音楽教師の系譜の中に位置づけ、また彼の作詞作曲した「発音唱歌」(1919年)の教育実践上の特質を明らかにした。第三に沖縄県初等教育研究会の討議内容を通史的に明らかにした。さらに、沖縄県教育会機関誌『沖縄教育』(1906~1944年)の悉皆的な収集においても成果を収めた。
著者
君塚 仁彦 王 智新 石 純姫 藤澤 健一 橋本 栄一 大森 直樹
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本共同研究では、2003(平成15)年度から2005(平成17)年度までの3ヵ年の研究期間において、東アジアにおける戦争記憶の保存と表象のあり方に関して、歴史学を中心軸にしながら博物館学・植民地教育史学・言語学・哲学などの学術的視点をも援用し学際的かつ総合的な解明を行なった。特に調査研究の遂行にあたっては、日本のみならず中国・韓国・沖縄の研究者とともに行う国際的な研究体制を堅持した。研究期間内に、中国・韓国・沖縄・日本における戦争博物館・戦争遺跡の調査・研究を各年度の計画に基づいて実施したが、全体として、海外実地調査を5回、国内実地調査を6回、国内研究会を4回、海外での研究報告を3回、海外(中国・重慶)での特別講演会を1回実施することができた。その結果、これまで日本国内では、その存在さえも十分に認知されていなかった戦争遺跡等のいくつかを調査することができ、現地研究者との研究・情報交流を踏まえて、各地域における戦争記憶が、遺跡や博物館という形を取りながらどのように保存され、表象されているのか、またどのような歴史的背景存在するのかなどを具体的に解明することができた。また本研究成果の特色として、中国・韓国など海外、また沖縄などにおいて、日本が起こした近代以降の侵略戦争による加害・被害の史実認識、歴史認識共有化を目的とした現地研究者との学術研究交流を活発に実施したことをあげることができる。戦争記憶に関する歴史認識共有は今後の東アジアにとって極めて重要な課題であり、平和実現への欠かすことのできないステップでもある。研究代表者および分担者・協力者は、その目的達成のため、研究期間内での諸議論を踏まえて、本共同研究の研究成果発表の一環として、君塚仁彦編著『平和概念の再検討と戦争遺跡』(明石書店、2006年)を上梓し、その成果をより広く共有されるようにした。
著者
山口 喜雄 藤澤 英昭 柴田 和豊 天形 健 春日 明夫 福本 謹一 永守 基樹 新関 伸也
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

(1)本邦初の美術教育文献WEB サイト(http://www.ae-archiving.jp/)を構築し、英日対訳を含む日本美術教育主要文献解題442 件を同Web サイト上に公開した。(2)11年間の論文12件(うち査読付論文9)を本科研報告書I『20世紀後半の日本美術科教科書研究 山口喜雄著 (1998‐2008)【日英対訳】』(全333 頁)にまとめ、〈第32 回InSEA 国際美術教育学会世界大会2008 in 大阪〉にて400 部、国内外関係機関や諸学会等にて600 部を頒布した。(3)欧米における著名美術館の教育担当者に対する面談調査を行った。合衆国のシカゴ美術館とメトロポリタン美術館、イタリアのピッティ宮殿美術館とバチカン美術館、フランスのルーブル美術館、スペインのピカソ美術館、 イギリスのコートールド協会美術館、オランダの国立ゴッホ美術館等々を対象とし、英日対訳の報告文を本科研報告書IIに記載した。(4)前記の欧米 美術館の面談調査報告を含む「美術教育文献アーカイビングの十年の進展」、「美術教育文献実践報告・研究論文ライティングリサーチ」15 件等々をまとめた 本科研報告書II『美術教育のアーカイビング&ライティングリサーチ2011【英日対訳】』(全198頁)を刊行、配布した。
著者
藤澤 誠 三浦憲二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.2746-2753, 2006-08-15
被引用文献数
4 1

この論文では,熱力学に基づいた氷解現象のアニメーションを高速に生成する方法を提案する.提案手法は,熱放射の計算にフォトンマッピング法を導入,従来,照明計算に用いられているフォトンマッピング法において,各フォトンに熱エネルギーを格納することによって,シーン中の熱放射現象を高速に解く.また,ボクセル表現を用いて,物体内部の熱伝導,空気との熱伝達についても考慮することで,現実的な氷解現象のアニメーションを生成する.This paper proposes a fast and efficient method for producing animations of ice melting phenomena. The method presented here introduces the photon mapping method for calculating the thermal radiation. By the photon mapping method usually used for lighting calculation, the thermal radiation phenomenon in a scene is solved efficiently by storing thermal energy in each photon. We show the animation of a realistic ice melting phenomenon can be generated using voxel representation by taking into account the heat conduction inside an object and the heat transfer with air as well.
著者
藤澤 和子
出版者
三重県亀山市立亀山西小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

1.研究目的知的障害のある人たちが、遠隔コミュニケーションを拡げるために携帯電話などの携帯端末で利用できるシンボルを使ったWeb版のメールシステムを開発し、特別支援学校での事例実践によりシステムの教育的な有用性と実用性を検証する。2.研究方法携帯端末に対応できるインターフェースの開発を行い、Ipad、Iphone、パソコンを使って、メールの送受信を行った。A養護学校の知的障害児童5名を対象に、クラス担任3名と、A養護学校で児童がよく知っている教師や保護者、他の養護学校教師7名が参加して、メール交換を行った。顔のイラストで送受信者を選択できるようにしたので、参加者は、事前に登録する手続きを取った。3.研究成果携帯端末用のインターフェースは、表示されるシンボルのサイズが小さくなり、一画面にたくさん並べることは難しくなるため、選択したシンボルの大きさを画面にタッチすることで自由に拡大縮小できる機能を付け、シンボルのカテゴリーに階層性を持たせることで、できるだけ多くのシンボルから選んでメールを作成できるようにした。23年1月~3月にメール使用を実施した。対象児童は、Ipadを使い、遊び時間などに自発的に、保護者や別クラスや他の学校の教師といった目の前にいない人に向けてもメールを送り、返信メールの受信を楽しみにした。児童以外の参加者も、家や学校などからIphoneやパソコンを使って、児童へのメールの返信や自発的な送信を行った。児童からのメッセージは、学校でがんばっていることや遊んでいることの報告や、遊ぼうという呼びかけ、何を勉強しているのかという問いかけなど、伝達意図は明確だった。参加者全員の総メール回数は199回に達し、本システムが時間と場所を選ばず、パソコン環境の有無などの影響を受けずにメール交換ができた利便性と遠隔コミュニケーションツールとして活用できる有効性を明らかにしたと考える。
著者
高田 豊 安細 敏弘 邵 仁浩 粟野 秀慈 中道 郁夫 吉田 明弘 後藤 健一 園木 一男 藤澤 律子
出版者
九州歯科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

心機能と口腔機能の関連について高齢の患者で検討した。心機能は携帯型24時間心電図と心エコー検査と血清NT-pro-BNP濃度で、口腔機能は歯数、アタッチメントロス、ポケット深さ、アイヒナー指数で評価した。重回帰分析を使用して性別と年齢の影響因子を補正しても、アイヒナー指数と上室性期外収縮、心室性期外収縮、心室性頻拍に有意な関係を認めた。現在歯数と心室性期外収縮連発、上室性頻拍との間にも関連があった。本研究結果から、咀嚼機能や残存歯数と不整脈の間には関連があることが示唆された。
著者
合田 憲人 大澤 清 大角 知孝 笠井 武史 小野 功 實本 英之 松岡 聡 斎藤 秀雄 遠藤 敏夫 横山 大作 田浦 健次朗 近山 隆 田中 良夫 下坂 久司 梶原広輝 廣安 知之 藤澤克樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.49-54, 2006-07-31
被引用文献数
3

本稿では,2005年12月から2006年5月にかけて実施されたGrid Challenge in SACSIS2006において使用されたグリッド実験環境の構築・運用事例を報告する.Grid Challengeは,大学,研究所が提供する複数の計算資源からなるグリッド実験環境上で,参加者がプログラミング技術を競う大会であり,今大会では1200CPU超の計算資源からなるグリッド実験環境が運用された.本稿では,実験環境ハードウェアおよびソフトウェアの仕様を紹介するとともに,ユーザ管理,ジョブ管理,障害対応といった運用事例についても報告する.This paper presents a case study to operate the Grid testbed for the Grid Challenge in SACSIS2006. The Grid Challenge is a programming competition on a Grid testbed, which is organized by multiple computing resources installed in universities and laboratories. In the last competition, the Grid testbed with more than 1200 CPUs was operated. The paper shows hardware/software specifications of the Grid testbed, and reports experience of the operation, which includes accounting, job management, and troubleshooting.
著者
村上 章 中畑 和之 西村 伸一 藤澤 和謙 小林 晃 鈴木 誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地震災害リスクと豪雨災害リスクを統合したアセットマネジメントシステムの構築につき、任意年の地震リスク=損失額×地震損失確率を算定し、最終的にLCC=供用年内のリスク+改修費用+維持管理費用を得る。LCCを最小化することで最適な改修および維持管理方法を決定する。この解析を複数の対象地域(ため池群の流域とその下流地域)で実施し、一連の分析を統合化した意思決定システムを完成させた。上記の研究成果は、論文や口頭発表を通じて公表した。さらに、一般市民向け研究成果公開事業「京都大学アカデミックデイ」にて発表・説明した。
著者
中野 正大 宝月 誠 油井 清光 加藤 一巳 近藤 敏夫 藤澤 三佳 鎌田 大資 高山 龍太郎 大山 小夜
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、前回の科学研究費補助金による研究「シカゴ学派の総合的研究」(課題番号10410045)に引き続き、米国シカゴ学派社会学の諸成果に対する多角的な検討を通して、現代社会の諸問題を分析するためのより有効な社会学的土台の構築を目的とした。この目的を達成するために、初期シカゴ学派から戦後の第2次シカゴ学派まで幅広くシカゴ学派社会学の研究業績を検討した。研究成果は、およそ5つに分類できる。一つは、「シカゴ学派社会学総論」である。シカゴ学派社会学には、多様な理論的志向と方法論が混在する。その一枚岩ではないシカゴ学派社会学を統一的に理解しようと試みた。二つは、「シカゴ学派の方法論の応用可能性」である。芸術、専門職、非行など個別の研究領域におけるシカゴ学派社会学の応用可能性を明らかにした。また、近年注目されているナラティブや主観的データの研究上の取り扱いについて、その基本的発想をシカゴ学派社会学に見いだした。三つは、「シカゴ学派の理論的インプリケーション」である。シカゴ学派社会学の基底を構成している科学論や相互作用論などの抽象度の高い理論について整理をおこなった。四つは、「シカゴ学派のモノグラフ研究再考」である。コミュニティ、エスニシティ、逸脱というシカゴ学派社会学を代表する3つの研究領域のモノグラフについて詳細に検討を加え、その内実を明らかにした。五つは、「現代社会のエスノグラフィー」である、シカゴ学派社会学再考でもっとも言及されることの多いエスノグラフィーの方法を現代日本社会に応用した。以上の検討から、シカゴ学派社会学が、異質性と流動性が高まりつつある現代日本社会の研究に、十分に応用可能であることが確認された。
著者
濱野 強 藤澤 由和
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.33-37, 2007

健康分野の研究を概観した場合には,従来,着目されてきた個人レベルの特性に加えて,近年,地域レベルの社会的要因がわれわれの健康に及ぼす影響に対してその認識,再認識がなされつつある。そうしたなかで,地域レベルの社会的要因の一つとしてSocial Capital (ソーシャル・キャピタル)に対してその関心が高まっており,地域レベルと個人レベルの要因を加味した分析手法の必要性が指摘されてきた。そこで,本研究においては,主として教育学,人口統計学,社会学などの分野において検討がなされてきた統計手法であるマルチレベル分析に関して,ソーシャル・キャピタル研究における意義とその適用に関して明らかにした。
著者
藤澤 和子
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
コミュニケーション障害学 (ISSN:13478451)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.23-29, 2004-04-25 (Released:2009-11-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1

話しことばのない青年期の自閉症者1名に対し,シンボルと文字を使ったコミュニケーションの個別指導を3年間行った.その結果,話題を共有した相互的なやりとりが増えた.生活場面でも,自発的なコミュニケーション行動が増加し,両場面で他者の視点を理解したコミュニケーション行動が認められた.本事例では,AAC手段による指導や情緒的に安定できる日常的な人間関係が,自閉症の対人機能に改善をもたらしたと考えられた.
著者
冨樫 健二 藤澤 隆夫 長尾 みづほ 貝沼 圭吾 荒木 里香
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

小児期の肥満と若年成人期の心血管リスクとの関連を検討するため、肥満で通院した小児を対象とした予後調査を行った。小児期の平均年齢は9.8歳、成人期の平均年齢は22.4歳であり、平均経過年数は12.6年であった。小児期の肥満が高度化するほど成人期の肥満継続率は高かった(軽度肥満35.9%、中等度肥満49.1%、高度肥満77.8%)。小児期の皮下脂肪面積、内臓脂肪面積と成人期のそれとは相関を認めなかったが、小児期の血清脂質、高分子量アディポネクチンは成人期のそれと有意な相関関係を示し、肥満に伴う脂質代謝異常やアディポネクチン低値といった心血管系リスクは成人期においても残存した。