著者
田島 美幸 佐渡 充洋 藤澤 大介 堀越 勝 大野 裕 横井 優磨 吉原 美沙紀 原 祐子 藤里 紘子 岩元 健一郎 石川 博康 岡田 佳詠
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、認知行動療法を活用した認知症の家族介護者向けの2つのプログラム(①集団CBT、②訪問看護師による個人CBT)を開発し有効性を検討した。【集団CBT】集団CBTプログラム(月1回90分、計5回)を実施したところ、75歳以下の介護者では、介護負担感、介護に対する否定的な感情において主効果が認められた(p<0.05)。【訪問看護師によるCBT】 訪問看護時に訪問看護師が実施できる個人CBTプログラム(1回30分、計11回)を開発した。また、介入の質を担保するために訪問看護師に対するCBTの教育体制(集団研修およびスーパービジョン)を整備した。現在、症例登録を継続中である。
著者
藤澤 敦

平成15年度-平成17年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書,課題番号:15520473
著者
田中 秀和 三上 明子 藤澤 哲也 若林 進
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.111-120, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
10

Objective: There are prescription medicines with design-like (misunderstanding) bisection lines although these are not admitted as bisection lines according to dosage instructions.  We often find differences in identifying bisection lines among medical facilities in case of same tablets.  We conducted a survey about identifying bisection line-like design on tablets by pharmacists and investigated the reason for the discrepancy in identification among information service facilities.Methods: We conducted an online survey for pharmacists at hospitals, clinics, and pharmacies.  We selected the discrepancies in identification among the facilities involved in drug information services.Results: In this survey, 65.2% of pharmacists were aware of design-like bisection lines that are not permitted as bisection lines.  Further, 30.3% could not confirm if these were real bisection lines or design-like bisection lines by judging only from their surfaces.  The examination of two online media and a book offering drug information service showed different definitions depending on medicines.  These entities say they have obtained information by their own ways of source from pharmaceutical manufactures and sellers.Conclusion: Even for pharmacists, it is difficult to distinguish actual bisection lines from design-like bisection lines.  The differences in identification among facilities dealing with medical information services are undesirable issues.  Regulations by GMP or other legal methods are required for appropriate information control by pharmaceutical manufacturers and sellers.
著者
藤澤 令夫 小澤 和道 美濃 正 山本 耕平 木曽 好能 酒井 修
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

昨年度に続いて本年度も各研究分担領域で「壊疑」のもつそれぞれの意味と役割を究明し, 西洋哲学における壊疑論の歴史的変遷を跡づけることに努めた. 古代ギリシアでは後期に懐疑派が現れるが, この派の哲学の全体的特徴はセクストス・エンペイリコス著『ピュロン哲学の概要』に述べられている. それによれば懐疑哲学では判断保留とそれに伴う平静な悟脱の心境が問題とされ, 特にその判断保留の十箇の方式をめぐってはその著の第14章で詳述されている. 教父哲学ではアウグスティヌスによる新アカデミア派の懐疑論克服が問題とされるが, 彼の『自由意志論』第2巻では「神の存在論証」と相俟って真理の超越的独存性が立証され, 真の認識の成立根拠が確証される. 彼の影響下にある中世哲学では基本的には懐疑の問題は主要な関心事とはならなかった. このような哲学としてはトマスの哲学が取り上げられ, 彼のessentia概念の二義性が抽象説との関係において論じられる. 近世ではデカルトが一切のものに対して徹底して懐疑を行なった末にcogito ergo sumという不可疑的な真理の発見に到るが, これに対するストローソンの批判が考察される. 彼のデカルト批判によれば, cogito ergo sumを成立させる「私」という個体の存在は「私」以外の他の個体の存在を既に前提とする. つまり, 個体指示表現が有意味であるためには, 個体とそれ以外の個体との識別可能性の原理の働くことを認めねばならないと言えよう. 現代の英米哲学においても懐疑論に関係する多くの問題がみられる. その一つに, 経験的認識の証拠による不十分決定underdeterminationの問題が挙げられる. 今日の反実在論の多くはこの「証拠による不十分決定」に依拠している点である意味での懐疑論の変種とみなすことも不適切とは言えない. 又, 懐疑論・弁証法・解釈学・ニヒリズム相互の関係も本研究において深く問題としてきた哲学的・倫理的課題である.
著者
藤澤 隆夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.787-794, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
26
被引用文献数
1

小児は成人よりも免疫学的可塑性が高いと想定されるため,アレルゲン免疫療法が成人よりも高い有効性を示すだけでなく,かつ真に疾患を治癒に導くポテンシャルも高いと期待される.しかし,現在までの報告では,システマティックレビューにおいてもその臨床効果は成人と同等で,報告数が少ないためにかえって低めの効果とされることもある.しかし,アレルギー性鼻炎患者における喘息発症の予防,新規アレルゲン感作の予防についての有効性は報告が増えている.これらは小児期におけるアレルギーマーチの進展阻止の可能性を示すものであるが,研究対象は主に学童期以上であり,真にアレルギーマーチの予防またはより高い効果をもたらすためには,さらに早期,すなわち乳幼児期で介入する必要があるが,現行の方法では安全性と侵襲性の点から困難と言わざるを得ない.新しい「アレルギーワクチン」の開発が望まれる.
著者
藤澤 広美 原口 恭彦
出版者
日本キャリア教育学会
雑誌
キャリア教育研究 (ISSN:18813755)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.23-34, 2019-03-31 (Released:2019-04-16)
参考文献数
35

We examined the relationships between Motivation for Learning (ML), Proactive Learning (PL), and Career Decision-Making Self-Efficacy (CDMSE) among undergraduates, focusing on the mediating effect of their Social Skills (SS).We conducted a questionnaire survey of students in the humanities faculty of four private universities in western Japan. A total of 494 students participated. Three findings became clear about the relationships between ML, PL, SS, and CDMSE as a result of our study.1) There is a positive relationship between ML, PL, and CDMSE.2) There is a positive relationship between ML, PL, and SS.3) SS has a mediating effect on ML, PL, and CDMSE.These findings support the explanation of the effects of ML and PL on CDMSE, including the mediating effect of SS. In particular, the results of our experiment clearly show that the roles of ML, PL, and SS in Career Development research for undergraduates should be examined.
著者
藤澤 正視 垣見 俊弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.67, no.560, pp.109-114, 2002

Machu Picchu is undoubtedly the most famous ruins of the Inoa Empire. It is located northwest of Cuzco, the former capital of the Inca Empire, and east-southeast of Lima, the current capital of the Republic of Peru. The ruins are located at a narrow ridge (N15 W) between Mt. Machu Picchu (elev. 3060m) on the south and Mt. Huayna Picchu (elev. 2660m) on the north. The site has been investigated by a Japanese mission comprised of experts on archeology, city planning, structural engineering and seismic engineering, seismology, geology and soil engineering. The results of topographical and geological investigations of the site indicate: 1. Construction of the ruins took advantage of topographical conditions but large-scale reconstruction is not feasible. 2. The base rock of the site consists of granite. Insitu construction used materials from the local base rock. 3. Colluyial soils exist on gentle slopes. Current condition suggests that they were recently formed. ' 4. As long as there is not a great earthquake or especially heavy rainfall, there is little probability that serious damage will occur from the foundation.
著者
橋坂 昌幸 藤澤 利正
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.805-809, 2017-11-05 (Released:2018-08-06)
参考文献数
16

物性物理において,多体効果は数々の興味深い物理現象の源である.1次元電子系は,多体効果による顕著な物性が現れる典型例である.1次元電子系ではフェルミ液体論の準粒子描像が破綻し,励起は電荷またはスピンの集団運動(密度波)として記述される.この1次元電子系の興味深い性質は,朝永・ラッティンジャー(TL)液体と呼ばれる標準モデルによって説明される.このモデルは1950年に朝永振一郎博士によって最初に提案され,1963年にホアキン・マズダク・ラッティンジャー博士によって再構築された.当初は1次元電子系が実際に存在するとは想定されておらず,理論的なモデルとして提案されたようである.しかし現在では,半導体メゾスコピック系における量子細線,カーボンナノチューブ,量子ホール系試料端のカイラルエッジチャネルなど,実験技術の進歩によって実際に1次元電子系とみなすことができる物質・材料の作製が可能になっている.現実の1次元電子系のTL液体的性質を確かめるスタンダードな実験手法は,冪乗則を観測することである.例えば1次元電子系へのトンネル電流の温度やバイアス電圧に対する冪的な依存性( I∝T α,I∝V α′)から,素励起が準粒子ではなく電荷やスピン密度波であることを確認できる.このような実験から,多くの1次元電子系について,TL液体的性質がすでに良く確かめられている.では1次元電子系上の電荷,およびスピン密度波のダイナミクスを選択的に観測し,それぞれの伝搬特性を詳細に評価するような実験は可能だろうか.我々は,1次元電子系に電子波束を注入しその時間発展を検出するポンプ・プローブ法によって,TL液体における素励起の観察に成功した.実験では,試料として整数量子ホールエッジチャネルを用いた.エッジチャネルはその1次元1方向性の伝搬特性ゆえに,カイラルTL液体として振る舞う.チャネルの本数や形状は電場や磁場によって制御可能であり,TL液体における素励起を観測するための最適な試料となる.我々は,エッジチャネルにおけるスピン電荷分離現象,および電荷波束の分断化現象を観測した.これらの現象はどちらもTL液体を象徴する重要な現象である.得られた時間波形データから,電荷およびスピン密度波の速度などの伝搬特性を読み取ることができ,エッジチャネルのTL液体としての性質を表す全パラメータを決定できる.電荷,およびスピン密度波はTL液体の固有伝搬モードであるため,長距離を減衰することなく伝搬する.今回の実験では,これらの密度波束を励起し,伝送し,最終的に信号として独立に検出できることを示した.この結果は,代表的な量子多体系である1次元電子系において素励起のダイナミクスを直接観察したものであり,多体効果にもとづく物性の研究にとって大きな一歩だと考えている.
著者
藤澤 忠盛 神田 麻衣
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第64回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.146, 2017 (Released:2017-06-29)

地図を音符に見立て作曲に利用したり、街を音で表現したり、最近ではアプリで世界の観光音を聞いたりと音と地図の関係はアートやデザイン、建築また音楽の世界において時折みられる表現方法である。まずインターネットを使い地図と音の関係性を強く持つものを調査・現状把握を行い、制作のプロセスとその利用目的を分析した。本制作の目的は上記の「地図と音の関係を模索」することと、地域・風土性を生かした北千住の音を集め、北千住の新たなる「現代音楽」をどのように作曲するかである。行政作成の千住マップでは観光拠点がピックアップされており、観光拠点を音符として読み取ることにした。次に線路側を第1線とし日光街道を第5線として第1線―第5線まで線を引くとなんとなく楽譜に見えてきた。先ほど完成した楽譜を音にしてみた。音符化された観光名所は神社やお寺、銭湯、昔ながらの飲食、音符の部分に千住で収集した観光名所の音を加えてみた。たとえばお寺なら鈴の音、神社なら参拝の音、銭湯の湯の音などである。それらを複合させ「千住音散歩」の完成。
著者
友田 明美 藤澤 隆史 島田 浩二 小坂 浩隆
出版者
福井大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

自閉スペクトラム症(ASD)の発症リスク因子である環境ストレスとしてのミクログリア活性化分子ネットワークに着目し、ASDのバイオマーカー候補としてmiRNA(micro-RNA)解析を行った。福井県A町で出生した子の発達に関する前向きコホート調査参加者の母子に対し、視線計測検出装置による社会性の評価を行った。その結果、母のメンタルヘルスは乳児期における子の社会性発達へ影響することが示唆された。また、月齢により異なる側面の社会性が発達するが、その発達の程度はOXTR遺伝子多型によって異なる可能性が示唆された。本成果は、ASDの病態解明を目指した臨床応用への足掛かりになりうる。
著者
兒玉 直紀 築山 能大 有馬 太郎 市川 哲雄 窪木 拓男 佐久間 重光 新谷 明喜 高津 匡樹 津賀 一弘 坪井 明人 中野 雅徳 成田 紀之 波多野 泰夫 藤澤 政紀 船登 雅彦 鱒見 進一 松香 芳三 皆木 省吾
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.222-227, 2009 (Released:2012-03-29)
参考文献数
8

目的:顎関節症患者に対する受診ごとの診療時間に関する報告はない。今回,大学病院顎関節症外来ならびに一般開業歯科医院を対象に顎関節症のスプリント治療に要する時間について調査を行い,その特性を明らかにすることを目的とした。 方法:大学病院顎関節症外来14施設および一般開業歯科医院33施設にて2か月間の調査を行った。スプリント治療を選択された顎関節症患者を対象に,スプリントの種類,各診療内容および要した時間を調査項目として施設間で比較検討した。 結果:1回当たりの診療時間に関して,大学病院顎関節症外来受診患者(以下,大学群と略す)のほうが一般開業歯科医院受診患者(以下,開業医群と略す)に比べて有意に長かった。また,初診時の診療時間についても大学群のほうが開業医群に比べて長い時間を要した。しかし,スプリント装着および調整に要する時間について有意差は認められなかった。 結論:顎関節症患者の1回当たりの診療に要する時間は両施設ともに比較的長時間であることがわかった。スプリント装着に30分以上要する割合は大学群においては44%であり,開業医群においては22%であった。スプリント調整に20分以上要する割合は,大学群においては48%であり,開業医群においては33%であった。
著者
藤澤 あゆみ Ayumi Fujisawa
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.81-91, 2009-03-31

子どもたちの健康に冠する諸問題の中で,運動不足や食の偏りが原因となっている問題には,近年注目が集まっている。例えば,中央教育審議会の答申や,小学校と中学校の学習指導要領では,主に体力低下や肥満傾向について記載されている。また,食育も重視されている。しかし一方で,運動過多による健康被害が起こっている事実も存在する。それは,子どもの成長発達段階を考慮しない運動のやり過ぎや,体調管理意識不足が原因となっている。そもそも,健康の概念とは,時代や個人によって異なるものである。健康観の変遷は人間の欲求回想の移行が影響しているとされており,最終的に人間は「自己実現」の手段としての健康を手に入れようとする。よって,競技スポーツに取り組む子どもたちにとって,「理想的価値」や「自己肯定感」を感じる「自己実現」の手段であるスポーツが逆に,人間の下位の欲求をなおざりにしてしまうという現実が存在するのである。本研究の調査では,実際,競技スポーツに取り組む子どもたちの中に,体調の優れない子どもや競技中に病院へ搬送された子どもが存在した。今後は,公共性のある教育分野において,自己実現の手段としての運動を極端にやり過ぎたという,運動過多による健康問題を含め,本当の意味での自己実現や,子どもたち自身の体調管理意識についての問題に着目し,研究するといった対応が課題となる。子どもたちが,自己実現の本来の意味を問い直すことで,目標などの将来に向かった到達地点や理念を目指すような理想的価値と,自分の存在価値を見出せるような自己肯定感を生み出し,健康のあり方を見つめ直すことができるような教育を目指す必要があるのではないだろうか。