著者
新川 弘樹 井上 孝志 藤田 尚久 野尻 亨 古谷 嘉隆 黒田 敏彦 仲 秀司 安原 洋 和田 信昭
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.59-63, 2001
被引用文献数
3

V-P (脳室・腹腔) しゃんとの腹腔側ちゅーぶが直腸に穿通し, 肛門より脱出した稀有な1例を経験したので報告する. 症例は74歳の男性. 他院で脳内出血後の正常圧水頭症に対し, V-Pしゃんとを施行された. 10か月後, 髄膜炎で当院脳外科に入院, 抗生物質投与により軽快していた. 入院3か月後, 肛門よりしゃんとちゅーぶが脱出しているのを発見され, 当科紹介となった. 腹部には圧痛, 腹膜刺激症状を認めず, 白血球数6,400/mm<SUP>3</SUP>, CRP1.9mg/dlと炎症反応は軽度で, がすとろぐらふぃん <SUP>&reg;</SUP>による注腸造影X線検査で造影剤の漏出は認めなかった. 大腸内視鏡検査ではちゅーぶは肛門縁から10cmの直腸右側壁を穿通していた. 腹膜炎所見がないことから, 経肛門的にちゅーぶを抜去した. 1週間後の注腸検査で造影剤の漏出がないことを確認し, 経口摂取を再開した. V-Pしゃんとちゅーぶの消化管穿通はまれであるが, 注意すべき合併症の1つと考えられた.
著者
星野 光男 藤田 尚昌 阿部 弘樹 古賀 寛尚
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

代数幾何学におけるセール双対の理論をネター多元環の場合に拡張し、この概念を用いて、ネター多元環のゴレンシュタイン性の特徴付けを与え、かつ、ゴレンシュタイン多元環上の与えられた傾斜鎖複体に対して、その準同型多元環がまたゴレンシュタイン多元環になるための必要十分条件を与えた。ここで、ネター多元環とは可換ネター環上の多元環で加群として有限生成のものを指し、ゴレンシュタイン多元環とは可換ゴレンシュタイン環上のネター多元環で導来圏における基礎環上の双対が射影的生成素を移動したものと同型になるものを指す。
著者
久米 裕 藤田 尚子 阿部 勇太 石井 奈智子 石井 良和
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻紀要 (ISSN:18840167)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.47-56, 2011-03

最近の作業療法では,クライアントの主観性を評価するアプローチが行われるようになってきた.本研究の目的は,作業活動における目標設定の違いがどのように自己効力に影響を及ぼすのかを検討することである.成人の健常群(n=42) と精神科に入院している患者群(n=28) を対象とし, それぞれの群を2つの条件で分けた.条件Aは手順冊子を見ながら最後まで行い,革細工のコインケースを完成させることである.条件Bは全工程を8分冊したものを順番に完成させながら最終的に一つの作品を完成させることである.一般性自己効力感尺度,課題特異的セルフエフィカシー尺度,難易度,技能,興味のデータを解析した.結果は,精神科の入院患者群では条件にかかわらず,General Self-Efficacy Scale (以下GSES) における失敗に対する不安因子が変わりにくい特性があり,この群の条件Bでは実際に最後まで行って完成に至っても,GSES における行動の積極性因子は改善されにくかった.しかしながら,課題の難易度の感覚は減少し,技能と興味の感覚に向上が見られた.本研究は,精神科入院患者グループの自己効力感を変化させることは健常群よりも難しいという結果を示したが,同時にクライアントの課題に対する難易度感,技能,興味に焦点を当てたアプローチが必要ということも示唆している.
著者
野本 明男 西山 幸廣 柳 雄介 小柳 義夫 審良 静男 川端 重忠 西山 幸廣 柳 雄介 小柳 義夫 藤田 尚志 川端 重忠 笹川 千尋 光山 正雄 堀口 安彦 小安 重夫 堀井 俊宏 野崎 智義 北 潔 中西 憲司 豊島 久真男 笹月 健彦 永井 義之 永田 恭介 岩本 愛吉 河岡 義裕 審良 静男
出版者
公益財団法人微生物化学研究会
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

平成23年4月開催の日本医学会総会で展示を行う予定であったが、震災の影響で中止となった。しかし、平成23年6月~9月まで下記のサイトにてウェブ展示を行った。「わかろう医学つくろう!健康EXPO2011 ウェブ&体験 博覧会」公式サイトhttp://ex2011.net「わかる」の「8感染症」コーナーにて、感染マトリックスの成果の一つ(川口寧の成果)を紹介した。平成23年12月3日(土)には「感染症研究の未来」とのタイトルで感染マトリックスの成果全体を紹介し、また今後の感染症研究の方向を考えることを目的としたシンポジウムを東京大学鉄門記念講堂にて開催した。シンポジウムは2部から構成され、前半は「感染マトリックス成果報告」として、ウイルス、細菌、寄生虫の各分野から世界に発信された貴重な成果が紹介された。続いて第2部では「感染症の未来」と題して、今後の感染症研究に必要な概念と方向性について、「ワクチン、薬剤耐性、グローバルな視点からの感染症研究」の講演が行われた。参加者は100名を越え、特に感染マトリックス関係者以外の参加者が7割以上であったことは感染症研究に対する他領域の研究者や一般の関心の高さを表わしていると考えられる。アンケートからは「病原体に対する宿主の応答の多様性」、「宿主の防御反応からの病原体の回避機構」、「最先端の生命科学によるワクチンや薬剤開発の現状」に多くの興味が集まったことが判った。国際交流がますます緊密になり、しかもスピードアップする現在、インフルエンザなどをはじめとする「グローバル感染症」に関する研究の重要性に理解と興味を示す聴衆が多かった点は、科学技術立国をめざすわが国の感染症研究に対する期待を表わしているものと考えられる。
著者
清水 達哉 佐藤 真理 藤田 尚正 辻 潔美 北川 善政 田村 正人
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual57, no.Abstract, pp.S175_1, 2019 (Released:2019-12-27)

目的:骨組織はメカニカルストレスに応答する事が知られ、臨床では超音波刺激による骨折の治療法が確立されているが、詳細なメカニズムは不明である。本研究では、骨組織の超音波刺激応答細胞を同定するため、骨細胞をもつゼブラフィッシュともたないメダカを用いて骨折実験を行った。また、超音波刺激への細胞内応答機構を調べるために骨細胞株に超音波刺激を行ない遺伝子発現を調べた。材料と方法:ゼブラフィッシュとメダカの尾骨を骨折させ、超音波刺激による骨折治癒過程を骨組織染色にて評価した。骨細胞株に超音波刺激を加え、刺激群および対象群からRNAを抽出しqPCRによる遺伝子発現解析を行なった。結果と考察:骨細胞をもつゼブラフィッシュは骨細胞をもたないメダカに比べ超音波刺激により骨折治癒が有意に促進された。この事から、主に骨細胞が骨組織への超音波刺激に応答していると考えられた。また、骨細胞株に超音波刺激を加えると種々のGrowth factorの遺伝子が3-50倍上昇した。つまり、骨細胞は超音波刺激を感知してこれらGrowth factorを分泌する事で、骨折の治癒に重要な血管誘導、繊維芽細胞増殖を増強して治癒を促進すると考えられた。
著者
藤田 尚
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
学長特別研究費研究報告書
巻号頁・発行日
vol.17, pp.40-44, 2006-06

東京大学総合研究博物館所蔵の縄文時代人について,その骨折の病態を調べた.今回はそのなかでも福島県三貫地貝塚出土の古人骨について,骨折の鑑別診断が容易であった3例について論じた.3例は,橈骨遠位端骨折(Colles骨折),距骨変形治癒骨折,鎖骨骨折であるが,いずれも転倒や高所からの転落など,当時の人々の生業に起因したものと推定された.即ち獣を求め狩猟をすることや,果実などの採集のために,彼らは現代人のわれわれより,身体を酷使し危険な状態に身を挺したと考えられた.今回の症例は,全て現代的な治療を受けることが出来なかった時代の骨折であり,骨折は変形治癒している.骨折は,身体の自由度がかなり制限される疾患であることから,骨折の治療中は,家族や集落の仲間などからのさまざまな援助があったと思われる.このようなところに,科学的ではないにせよ,看護や介護の起源が求められると思われる.今後症例を集め,より多角的な見地からの検討することにより,看護や介護の起源を探ることが可能であると推測された.
著者
藤田 尚
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.97-122, 2018-03-30

本稿は,従来から福祉の分野で用いられている「社会的養護」の定義に疑問を呈し,諸外国の定義と比較して,「社会的養護」には,児童だけでなく,高齢者,障害者,ホームレス等まで含まれるとの新たな解釈を示したものである。そして,その解釈に基づき,近年,様々な政策が打ち出されている司法と福祉の連携を再犯防止の観点のみではなく,「犯罪予防」の観点から,まずは,児童虐待と少年非行の関係及びこれから問題になるであろう介護犯罪に焦点を当て,アメリカの現状を参考に,司法と福祉の立役者であるソーシャルワーカーのアウトリーチを活用した早期介入やソーシャルワーカー同士の情報ネットワークの構築を提言している論文である。
著者
藤田 尚子
出版者
日本弁護士連合会
雑誌
法曹養成対策室報
巻号頁・発行日
no.5, pp.8-20, 2012-03
著者
中井 康光 難波 久佳 藤田 尚男
出版者
国際組織細胞学会
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.421-432, 1970
被引用文献数
4

甲状腺の系統発生的研究の一環として, 両生類 (トノサマガエル, 6月&sim;7月に採取) の甲状腺を電子顕微鏡を用い, その微細構造, <sup>125</sup>Iのオートラジオグラフィー, 酸性フォスファターゼ反応を調べた.<br>濾胞上皮細胞の微細構造は哺乳類と魚類のそれに似て粗面小胞体の発達がよく, 細胞表層部には, 哺乳類においてサイログロブリンを含み濾胞腔へ放出される分泌顆粒と考えられている subapical vesicles が存在する. カエルの甲状腺の特徴的構造は tonofilaments が非常に多く, また再吸収されたと考えられる大きなコロイド滴が豊富で, しばしばその中に線維状の構造がみられる. これはある種の魚類 (カサゴ, コブダイ, ギンザメ) でも報告されている.<br>マウスやラットと同じように, ゴルジ層板の一部, 小さな暗調顆粒, 大きなコロイド滴の大部分に酸性フォスファターゼの反応が認められた. ゴルジ装置で作られた小さな暗調顆粒 (一次リゾゾーム) が再吸収された大きなコロイド滴に融合して, コロイドを加水分解すると考えられる (コロイドは加水分解されてホルモンとなる).<br>高等動物やある種の硬骨魚と同じように, 血管内皮には多くの小孔が見られる.<br>高等動物と同じように, サイログロブリンのヨード化はおもに濾胞腔内または細胞表面で行なわれる.
著者
藤田 尚志
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

経済的利用価値の高いと考えられる米糠からの二重鎖RNA(dsRNA)抽出方法を確立した。まず、米糠に含まれるdsRNAの安定性について粗抽出液に関して検討を行い、以下の結果を得た。dsRNAは温度依存性の安定性を示し、冷蔵以下の温度で安定であることを見出した。また、dsRNAの安定性は塩濃度依存的であることを見出した。以上より、抽出の塩濃度、温度の管理が非常に重要であるが明らかとなった。次に粗抽出液を濃縮する方法を確立した。さらに経済性を高めるため、濃縮方法の改良の検討を継続している。ピーマン由来dsRNAを用いてマウス個体での免疫賦活活性を検討した。ピーマン由来dsRNAを経鼻投与することによって季節性のH1N1インフルエンザウイルスのみならず高病原性H5N1インフルエンザウイルスに対しても強い防御効果があることを見出した。次に不活化H5N1ウイルスとともにピーマンdsRNAの皮下投与を行ないそのアジュバント効果を検討した。不活化ウイルスのみでは強い免疫応答は見られなかったが、dsRNAとともに投与することによって劇的な免疫効果が観察され、ピーマンdsRNAに強力なアジュバント活性がある事が判明した。最後にB16-F10メラノーマ移植マウスの系を用い、dsRNAの抗癌試験を行った。その結果、ピーマンdsRNAはNK細胞の活性化を通してB16-F10細胞の増殖を抑制する活性を有する事が明らかとなった。マウス個体を用いた結果は論文投稿中である。
著者
伊藤 徹 青山 太郎 平芳 幸浩 呂 佳蓉 藤田 尚志 廖 勇超 若林 雅哉 張 文薫

テクノロジーの高度な発展は、その母体となった近代の枠組みを掘り崩し、従来の文化や社会のカテゴリーを無効にしつつある。膨大な情報をしかも瞬時に複製する情報技術が、近代文化の属性である「オリジナリティー」や「個性」を揺るがせていることは、その一例だ。近代化とアジアをテーマに持続的に研究会をもってきた日本と台湾の学際的研究グループによる本シンポジウムは、ACG(アニメ・漫画・ゲーム)、あるいは映画などを手がかりに、「発信地としての日本」という「神話」を始め、創作の原点としての「主体性」や「土着性」、作品の「真正性」について考え直すことに目的を置き、以下の報告を行ない、参加者による総合討論をもった。1.青山太郎(名古屋文理大学)「ドキュメンタリー映画における主体性の成立について:小森はるか+瀬尾夏美作品からの考察」 2.平芳幸浩(京都工芸繊維大学)「東山彰良における台湾と日本―文化の内在化と異化」 3.呂佳蓉(台湾大学)「ACG文化の力:若者言葉とその意味変化」 4. 藤田尚志(九州産業大学)「家族の時間―是枝裕和の最近作における分人主義的モチーフ」 5.廖勇超(台湾大学)「日本SFアニメ・漫画のなかの怪物性と暴力」6.若林雅哉「《自主規制》という商業戦略―アニメーションにおける《黒い》血液」 7.張文薫(台湾大学)「日本大衆文化における漢字の記号性」。国際シンポジウム「ネット文化のなかの台湾と日本――オリジナリティー再考」、会場:京都工芸繊維大学60周年記念会館、開催日:2017年7月23日
著者
藤田 尚毅 永倉 喜一郎 角掛 繁
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.53, no.486, pp.654-658, 1987-02-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
8

In this paper, we give an account of the studies of gas oil-water-methanol stable emulsified fuel, and the influence of this fuel on pre-combustion type 4-cycle diesel engine performance. By selecting a suitable surfactant and exposing the emulsion to surpersonic waves, the authors succeeded in preparing a stabilized gas oil-water-methanol emulsion. By making use of this emulsified fuel, NOx concentration and smoke in the exhaust gas from the diesel engine were decreased. In the test range, the influence of the water in the emulsion on the engine performance was greater than that of methanol. Moreover, we investigated the influence of a change in the fuel injection timing.
著者
塚本 昇 藤田 尚 瀬尾 憲正
出版者
The Japanese Society of Reanimatology
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.118-122, 2007-07-20
被引用文献数
1

膝蓋骨骨折に対し深部静脈血栓症の予防を図ったが, 手術の執刀直前.下肢の駆血によって肺血栓塞栓症を発症した症例を報告する。72歳, 女性。左膝蓋骨骨折にて, 膝関節は固定されるが足関節を自由に動かすことができる装具を装着されて自宅待機し, 受傷後第10病日に手術が予定された。全身麻酔下, 下肢を駆血した直後に肺血栓塞栓症を発症した。ヘパリンの静注で状態は安定し, 循環器科専門医のいる病院に転送後, 下大静脈フィルターの留置と抗凝固療法を受けて安全に手術が施行された。静脈血栓塞栓症を完全に予防することは困難であるため, 発症後はヘパリンを投与し, 循環器専門医のいる施設に転送することが救命のために重要である。
著者
浜根 大輔 藤田 尚行 八木 健彦
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.109-114, 2011 (Released:2011-08-04)
参考文献数
31
被引用文献数
1

The so-called “Missing Xe” problem is a long standing unsolved problem and is related to many fields in Earth science: formation process and evolution of the Earth, origin and evolution of the atmosphere, and geochemistry. Although the long-held expectation was the retention of xenon in the iron-rich core, present experimental result clarified that it is unlikely to occur. This implies that we have to reconsider the missing xenon problem and encourage many scientists to pursuit other possibilities.
著者
藤田尚徳著
出版者
中央公論社
巻号頁・発行日
1987