著者
中塚 武 大西 啓子 河村 公隆 尾嵜 大真 光谷 拓実
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.32, 2009 (Released:2009-09-01)

弥生時代末期に生じた倭国大乱や邪馬台国の卑弥呼の登場など、日本の古代社会の変動と気候変化の関係を解析するため、長野県南部で発掘された2個体の埋没ヒノキから、紀元前1世紀~紀元3世紀の1年毎に年輪セルロースを抽出し、その酸素同位体比を測定して、当時の夏季の水環境の経年変動を復元した。変動の周期や振幅は時代と共に大きく変化し、特に2世紀後半の倭国大乱の時期には、長周期の大きな水環境の変動が生じ、その収束と共に、卑弥呼の時代が到来したことなどが明らかとなった。こうした結果は、初期稲作社会からなる弥生時代の日本において、気候、特に水環境の変化が、社会に大きな影響を与えていた可能性を強く示唆する。
著者
西 啓太 鶴崎 俊哉 弦本 敏行 加藤 克知
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0835, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】臨床場面において,腰痛などの骨盤帯領域の機能障害は,腰椎・骨盤・股関節などの複数領域の機能障害が複雑に組み合わさっている場合が多い。そのため,近年では腰椎・骨盤・股関節を複合体としてとらえ,総合的に評価治療を行うことが重要と考えられている。諸家の報告では,Hip-spine syndromeのように股関節と腰椎の機能障害に関連性があるという報告は多いが,仙腸関節と他関節の機能障害の関連性を報告している研究は殆どみられない。そこで今回,腸骨耳状面の年齢推定法を仙腸関節の加齢性変化を示す指標として用い,他関節の加齢性変化との関係を調べた。本研究の目的は,仙腸関節の加齢性変化が股関節などの他関節と関連性があるのかを明らかにすることである。【方法】死亡時年齢が記録されている男性晒骨100体(平均年齢56.5歳:19-83歳)の左右腸骨耳状面(200側)を肉眼で観察し,Buckberryら及びIgarashiらによる年齢推定法に準じて関節面の年齢推定を行った。2法から得られた推定年齢値の平均をその個体における仙腸関節の『関節年齢』とし,実年齢と関節年齢から年齢校正値を算出した。次に,関節年齢と年齢校正値の差を,腸骨耳状面の加齢性変化の程度を表す『Gap』と定義した。他関節の加齢性変化の指標として,同一の骨標本を使用したTsurumoto(2013)らの先行研究から股関節(200側)と膝関節(102側)の関節周囲骨棘指数のデータを引用した。さらに,耳状面形態に個体によって多様性がみられたため,耳状面の『くびれ率』を定義し測定を行った。これは,耳状面の長腕と短腕の関節面の最後方を直線で結び,この直線と耳状面の前下縁と後上縁の最長距離を測定し,後上縁までの距離から前下縁までの距離を除した値のことである。2つの年齢推定法の妥当性を検討するために,実年齢との相関性を調査した。また,くびれ率と年齢,耳状面Gap,股関節骨棘指数との関連を検討した。さらに,耳状面形態が関節の加齢性変化に及ぼす影響を考慮し,くびれ率の大きさが仙腸関節と股関節の加齢性変化の関連性を検討した。統計学的分析はMicrosoft Excel 2010の分析ツールを用いて行った。有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究で用いた骨標本は,長崎大学医学部生の解剖実習のために同意を得て献体されたご遺体から取り出した標本である。本研究では骨標本に直接手を加えず,肉眼観察を行うために使用したため,倫理的な問題はない。【結果】2つの年齢推定法ともに,実年齢との間に高い正の相関がみられた。2法の平均推定年齢も実年齢との高い正の相関を示した。耳状面Gapと股関節骨棘指数との間には中等度の正の相関を示し,膝関節との間には弱い正の相関を示した。くびれ率に関しては,耳状面Gapおよび股関節骨棘指数との間に相関はみられなかった。さらに,くびれ率の分布の90%領域中の個体群において,耳状面Gapと股関節骨棘指数の間にr=0.40の相関を示した。くびれ率の大きさで仙腸関節と股関節の加齢性変化の関連性をみたところ,くびれ率が小さいほど仙腸関節と股関節の加齢性変化の相関が強くなる傾向がみられた。【考察】Vleemingらは骨盤帯の関節安定戦略に異常をきたした場合,仙腸関節に破綻をきたし,退行変性を進行させてしまう可能性があると述べている。本研究で行った腸骨耳状面の加齢性変化の評価より,仙腸関節における安定機構の変化が他の関節に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。本研究結果より,仙腸関節と股関節の加齢性変化の間に相関がみられた。腰痛患者に見られる骨盤帯のアライメント不良や諸筋の活動変化により,関節にストレスが加わり,その加齢性変化が進行する可能性があると考えられる。本研究からは,股関節と仙腸関節のどちらが原因で加齢性変化が生じるのかは知ることが出来ないが,腰椎・骨盤・股関節のアライメント異常などによる安定戦略の変化により,股関節と仙腸関節の両方に加齢性変化が生じる可能性が示唆された。また,仙腸関節面のくびれ率が小さいほど仙腸関節と股関節の加齢性変化の相関が強くなる傾向がみられた。このことより,仙腸関節の形状がHip-spine syndromeのような腰椎・骨盤・股関節領域の複合的な病態の生じやすさに影響を及ぼしている可能性があることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究結果は,骨盤とその周囲の運動器疾患に対する考察を助けるデータとなり,さらに,腰椎・骨盤・股関節領域における運動器疾患の予防を行う上でも有用なデータになると考える。
著者
木下 利喜生 田島 文博 児嶋 大介 橋崎 孝賢 川西 誠 森木 貴司 吉田 知幸 上西 啓裕 西村 行秀 中村 健
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】近年,脳卒中患者における急性期リハビリテーション(リハ)の有効性が明らかになっている。本邦をはじめ,多くの国のガイドラインにおいても医学的に安定した脳卒中患者のリハはできるだけ早期に始めるよう勧められている。先行研究では早期にリハを開始した方がActivity of Daily Living(ADL)障害,抑うつ症状,Quality of Lifeの改善が良好で,早期リハ実施の安全性も示されている。我々の施設においても,以前より急性期からの積極的なリハに取り組んでいる。しかし急性期病院入院期間中だけを調査した短期効果は示されていない。また先行研究における早期リハ開始時間は脳卒中発症24時間以内や48時間以内,長いものでは72時間以内と定義されているものもあり,リハ開始時間は統一されていない。今回,脳卒中発症直後の患者をリハ開始時間により3群にわけ,リハ効果を検討する事で急性期病院における早期リハ介入効果,および適切なリハ開始時間の検討を試みた。【方法】本研究はprospective cohort studyであり,2014年7月から2015年4月までに入院した初発脳卒中片麻痺患者227名を対象とした。除外基準は発症前modified Rankin Scale score<4,神経症状が増悪しているもの,重篤な心不全,下肢骨折などにより運動療法が困難なものとした。発症からリハ開始までを24時間以内(Very Early Mobilization;VEM群),24~48時間まで(Early Mobilization;EM群),48時間以上(Usual care;UC群)の3群に分け,リハ開始時,転帰時のGlasgow Coma Scale(GCS),National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS),Functional Independence Measure(FIM)を測定し,急性期のリハ介入時期による効果を比較した。また死亡者数,脳卒中再発数を比較し安全性の検討も行った。GCS,NIHSS,FIMにおける3群間の比較にはKruskal-Wallis testを行いpost hocはDunn's testを使用した。それ以外の項目はANOVAを行いpost hocはTukey-Kramerを用いた。また死亡者数,再発数の比較はχ2 testを使用した。【結果】対象は24時間以内が47名(内2名[4%]死亡,1名[2%]再発),24~48時間が77名(内4名[5%]死亡,6名[8%]再発,1名[1%]心不全),48時間以上が103名(内7名[7%]死亡,4名[4%]再発,2名[2%]心不全)であり,3群間の死亡者数,再発者数に有意差はなかった。リハ開始時のGCS,NIHSS,FIMに有意差はなく,転帰時のGCSではVEM群が他の2群より有意に高く,NIHSSにおいてもVEM群がUC群よりも有意に良好であった。また転帰時のFIMはtotal score,motor subscale,cognition subscaleともに3群間に有意差はなかったが改善量で比較したところVEM群のtotal score,motor subscaleは他の2群より有意な改善量を示した。【結論】脳卒中患者に対する急性期リハは発症24時間以内に開始する事で高いADL,GCS,NIHSSの改善が得られる事が判明した。さらに発症24時間以内に介入しても危険性が増す事はなかった。すなわち脳卒中患者における急性期リハの効果は1日開始が遅れるだけで影響をうける可能性がある。
著者
浅野 歩 花田 圭司 田端 康一 小西 啓介
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.194-196, 2002 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

82歳, 女性。約1年前から気付いていた両側大陰唇の自覚症状のない径5mmまでの青褐色や黄白色の小丘疹が集簇し, 徐々に数を増すため, 当科を受診した。全ての小丘疹を切除した。病理組織学的所見はHE染色で真皮内に円形の嚢腫をみとめ, 嚢腫壁は数層の扁平上皮細胞からなり, 顆粒層を経て角化していた。嚢腫の内腔には層状の角質がみられ, 角質に混じって軟毛の断片も存在していた。嚢腫壁には脂腺の付着や肉芽腫様反応はなかった。以上の所見から, 自験例を外陰部に生じたeruptive vellus haircystsと考えた。
著者
財津 桂 片木 宗弘 中西 啓子 鎌田 徹 志摩 典明 鎌田 寛恵 石丸(飯尾) 麗子 岩室 嘉晃 地中 啓 高山 成明 三木 昭宏 土橋 均
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-37, 2010 (Released:2010-02-27)
参考文献数
17

Comprehensive analytical procedures for the unequivocal determination of a newly encountered drug “N-hydroxy-3,4-methylenedioxymethamphetamine (N-OH-MDMA)”, which is expected to be chemically unstable and thermally decomposed to MDMA during the analyses, have been investigated by using various qualitative analyses including color tests, thin layer chromatography (TLC), infrared spectroscopy (IR), gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS), liquid chromatography/mass spectrometry (LC/MS), liquid chromatography/tandem mass spectrometry (LC/MS/MS) and capillary electrophoresis/mass spectrometry (CE/MS). Stability of N-OH-MDMA in aqueous solutions with several pH values and its recovery throughout the liquid-liquid extraction with ethyl acetate (EA) were also examined. Both the color tests and TLC suggested that Simon's reagent and Rf values were helpful for discrimination of N-OH-MDMA and MDMA. The IR spectra of both N-OH-MDMA hydrochloride and MDMA hydrochloride showed a sufficient difference, and the IR spectrum of N-OH-MDMA oxalate, could be identified by some of its specific peaks. GC/MS has demonstrated that both free base and its trifluoroacetyl derivative were easily decomposed to MDMA and other related products in the GC injection port, though trimethylsilyl derivatization prevented its pyrolytic disproportionation to MDMA. On the other hand, LC/MS, LC/MS/MS and CE/MS procedures were found to be reliable techniques for determination of N-OH-MDMA without its thermal and chemical decomposition. Based on the stability studies, N-OH-MDMA proved stable in acid solution, while it was expected to be transformed to isoquinoline-type compounds in neutral solution and readily decomposed to its relevant oxime in alkaline solution. Since no difference of the extraction efficiencies with EA was observed under the neutral and alkaline conditions, the extraction should be done under neutral condition to minimize its decomposition.
著者
藤田 恭久 幸田 剣 田島 文博 木下 利喜生 箕島 佑太 橋崎 孝賢 森木 貴司 川西 誠 児島 大介 上西 啓祐 梅本 安則
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.95, 2011

【目的】 リハビリテーション(リハ)においては,たとえ重篤な症例であっても,医学的に患者の全身状態を悪化させる安静臥床を避ける必要がある.そのため出来る限り離床を進め,運動負荷を加えることがリハの基本である.今回,原因不明の多臓器不全と診断され、肺炎と無気肺を合併したために約2カ月間の人工呼吸器管理となった症例に積極的なリハを施行した。その結果、人工呼吸器離脱と同時に歩行自立を達成したので、その工夫を含めて報告する。<BR>【方法】 症例は37歳,男性,身長180cm,体重180kg,BMI 55.5kg/_m2_.今回,多臓器不全・肺炎により当院に緊急搬送,ICUで人工呼吸器管理となり,廃用予防・呼吸循環機能改善目的で入院2日目よりリハ開始となった.リハ開始時現症は,意識レベルJCS 300(鎮静下),人工呼吸器管理(経口挿管,APRV,FiO2 0.6,PEEP(high/low) 20/0),TV 500ml,SpO2 95%,血液ガス分析はPaO2 76.6mmHg,PaCO2 50.9 mmHg,P/F比128,AaDO2 287 mmHgであった.ROM制限は無く,自発運動は認めなかった.重度の肥満があり,体位ドレナージは当初より困難であった.ICU入室15日後,気管切開され,抜管のリスクが低下したため,端座位・立位訓練開始.この時,鎮静は実施されておらず,意識は清明であり,MMT両上肢3,両下肢2レベルであった.多臓器不全・肺炎の治療に長期を要し,ICU入室31日後,一般病棟へ転棟.その後もベッドサイドで人工呼吸器装着下(CPAP,FiO2 0.6,PEEP 8)で,端座位・立位訓練を継続した.<BR>転棟25日後,病棟で呼吸器離脱に向け,日中はT-tube(O2 8L,FiO2 0.8)を開始されたが,時折SpO2低下を認めたため,夜間は呼吸器管理を継続された.画像所見では,両肺に無気肺・スリガラス陰影を認めた.血液ガス分析はPaO2 77.6 mmHg,PaCO2 39.8 mmHg,P/F比172,AaDO2 193mmHgであった.肺炎が沈静化しておらず,酸素化能の低下には無気肺の影響もあると考えられた.検討の結果,人工呼吸器を持ち運び可能なHAMILTON-C2に変更し,リハ室へ出棟することとした.歩行訓練やハンドエルゴメーター(20W 20分)を中心とした運動負荷を積極的に行い,換気量を増加させることに努めた.リハ来室時の状況は,人工呼吸器(CPAP,FiO2 0.3,PEEP 6),安静時SpO2 97%,HR115回/分,TV600ml,呼吸数18回/分であった.歩行訓練後はSpO2 94%,HR132回/分,TV1200ml,呼吸回数25回/分となった.この時,HAMILTON-C2の支柱を自ら把持し軽介助レベルで歩行可能であった.<BR>訓練中に呼吸困難感が生じた際は,リハDrによりPEEPやPSなどの呼吸器設定を適宜変更しながら運動負荷量を増加させていった.<BR>【説明と同意】 本症例と家族に対して発表の趣旨について説明を行い,情報の開示に対し同意を得た.<BR>【結果】人工呼吸器を持ち運び可能なものに変更し,リハ室で1週間運動療法を施行した結果,人工呼吸器を完全に離脱でき,T-tube(O2 5L,FiO2 0.3)へ移行できた. T-tubeの状態でも運動療法を推進した結果,酸素が不要となり,退院前には気切閉鎖できた.血液ガス分析はPaO2 68.1mmHg,PaCO2 40.6mmHg,P/F比324,AaDO2 23.8mmHgとなり,画像所見で無気肺の改善を認めた.体重は135kgに減量し,MMT上下肢4レベルとなった.ADLでは歩行が歩行器からT字杖歩行,独歩可能,身の回り動作が自立できた.<BR>【考察】気管切開後も人工呼吸器管理であったため,当初はベッドサイドでの立位訓練や車いす移乗までしか行えなかった.主治医より呼吸器離脱に向けた無気肺の改善を求められたが,重度の肥満があり,病棟での体位ドレナージは施行困難でリハ以外は臥床傾向であった.そこで今回,人工呼吸器を持ち運び可能なものに変更し,リハDrの付き添いのもと行える環境を設定したことで,運動負荷時に呼吸困難感が出現した際の対応も可能となった.そのため積極的な運動療法を安全に施行できたと考える.<BR>リハ室で訓練を行う事で日中の臥床傾向を減少させ,更に運動負荷を強める事で換気亢進が惹起され,無気肺の改善に寄与したと考えられる.その結果,P/F比・AaDO2も改善し,呼吸器の離脱が可能となったと思われる.また,歩行訓練のみならず,全身調整運動を欠かさず続けた結果,BMI 41.7kg/_m2_まで減量することができ,歩行能力を含めたADL向上が得られたと考える.<BR>【理学療法学研究としての意義】人工呼吸器管理下では積極的なリハを敬遠しがちであるが,リハDrの付き添いのもと,持ち運び可能な人工呼吸器を使用することが,人工呼吸器装着患者に対して安全かつ効果的な運動負荷を実施するための選択となると考えられる.
著者
大枝 良直 角 知憲 中西 啓造 椿 辰治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.555, pp.83-90, 1997
被引用文献数
2

本研究では, 業務を目的とした航空旅客の出発時刻選択行動のモデルを提案する. 長距離業務交通では, 業務の開始時刻を規定されている. 旅客はこの時刻に合わせて旅行のスケジュールを決定することが多い. この行動が長距離交通の時間的変動を支配し, 高速交通機関の選択行動に影響を与えると考えられる. 提案するモデルは, 到着指定時刻に対し, 当日の航空便を選択するモデルとその前日の航空便を選択するモデルの2つからなる. これらのモデルは行動時刻に対して人が日常の生活パターンの中で感じる不都合の度合いを非効用の概念で与えている. モデルを千歳発東京着の航空路線に適用し再現性を確認した. このモデルにより, 交通所要時間の変化や空港の運用時間の変化に対する旅客の行動を予測することができる.
著者
塩原 彩加 尾藤 三佳 服部 佐代子 坂元 花景 小西 啓介
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.63-67, 2016 (Released:2016-06-02)
参考文献数
13

40歳代,女性。SLE のためプレドニゾロン 13mg を内服中であった。臀部の小水疱を主訴に当科を受診した。帯状疱疹の診断で入院し,アシクロビル 250mg×3回/day 点滴を開始した。自覚はないが残尿 750ml があり,尿検査では膿尿を認めた。セフジニルの内服および導尿を開始したが,入院12日目,38度台の発熱,血圧低下を生じ,尿路感染による敗血症性ショックと診断した。尿培養で緑膿菌を認めたため,セフタジジム投与を開始し,感染は落ち着いたが尿バルーンは留置したまま退院となった。腰仙髄領域の帯状疱疹では残尿の有無に注意し,経時的に残尿測定を行う必要がある。そして残尿量が多い場合には尿路感染への注意が必要である。(皮膚の科学,15: 63-67, 2016)
著者
加藤 誠巳 大西 啓介 二瓶 克己
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.345-346, 1991-02-25

近年、車載ナビゲーションシステムが普及しつつあり、自車を目的地まで誘導したり、ホテルやレストラシなどの情報を提供してくれるものもある。本稿では、横浜ベイエリアを中心としたドライブのコースおよびスケジュールを作成提示するシステムに関する基礎検討結果について御報告する。
著者
森木 貴司 小池 有美 上西 啓裕 梅本 安則 田島 文博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.EbPI2428, 2011 (Released:2011-05-26)

【はじめに】純粋無動症はパーキンソン症候群を伴う疾患で、進行性核上性麻痺の一病型と考えられ、すくみを主症状とする。すくみは、日常生活上ですくみ足として現れ、しばしば転倒の原因となっている。したがって、すくみ足を改善することが期待され、しばしば理学療法が処方される。すくみ足に対する理学療法は、眼前の障害物を意識することで改善する特質(矛盾性運動、kinesie paradoxale)を活用した方法が多く報告されている。しかし、純粋無動症に対しての報告は少なく、臨床的にあまり検討されていない。今回、純粋無動症患者に対して、自助具の導入と運動療法を実施し、ADL改善がみられたので報告する。【説明と同意】本調査実施にあたり、文書による十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得た。【症例紹介】70代男性、無職、妻と二人暮らし。社会資源に関しては、身体障害者手帳2級、介護保険要介護度5で、入院前はデイサービスと訪問リハビリを週3回ずつ利用されていた。平成15年に純粋無動症、パーキンソン症候群と診断された。平成22年に入り、すくみ足が強く出現し歩行困難となり、同年6月初旬にADL改善目的で入院され、理学・作業・言語療法が処方された。リハビリ開始時現症は、意識清明、見当識良好。仮面様顔貌、小字症がみられた。脳神経には異常所見はなく、筋緊張は亢進し固縮がみられた。協調性は上下肢でやや拙劣さあり、企図振戦もみられた。立位姿勢は、典型的な前傾姿勢を呈し、頸部や体幹、肩関節、股関節でROM制限がみられた。MMTは両上下肢5レベル。ADLについて、セルフケアは食事以外は中等度介助レベル、歩行はすくみ足が強く中等度~軽介助レベルであり、FIMは85点であった。【経過】リハビリ開始当初は集中的に運動療法を行った。具体的なプログラムとしては、ROM訓練、筋力訓練、床上動作、歩行、階段昇降などを実施した。また、運動耐容能や左右肢体の協調性改善目的に自転車エルゴメータおよびハンドエルゴメータ、トレッドミルなどを実施した。リハビリ開始から3日後には独歩が軽介助~監視レベルとなったが、依然としてすくみ足が問題であった。1週間後のカンファレンスでは、入院中の目標を実用的なすくみ足改善手段の決定、退院後の機能維持のため自主トレーニングの習得、他機関医療者への情報提供とした。すくみ足に対する環境設定については、L字型杖が著効した。10m歩行時間においても他手段と比較しL字型杖使用時で最速であった。したがって、すくみ足改善手段をL字型杖の導入に決定した。これにより症例自身もすくみ足改善を実感されていた。入院から3週後の退院時には、セルフケアは軽介助~監視レベル、歩行はL字型杖使用により監視~自立レベルとなり、FIMは107点に増加した。【退院後の状況】退院1カ月後の状況は、訪問リハビリ、通院リハビリ、デイサービスをそれぞれ週2回受けられ、自宅では、入院中の指導も守れており、転倒もなく入院中と同レベルのADLを維持できていた。また、歩行改善に伴いリースしていた車椅子や電動車椅子は返却し、移動手段は歩行のみとなっていた。しかし、退院5カ月後の状況では、歩行は行えていたものの動作指導や自主トレーニングを継続しておらず、主にセルフケアで妻の介助を要し、FIMは95点と入院中に比べ減少していた。【考察】純粋無動症患者に対し自助具の導入と運動療法の併用により、短期入院ではあったが著明にADLが改善した。L字型杖の導入によりすくみ足が改善した理由は、矛盾性運動誘発の障害物として状況に応じて自由に目印にすることができ、場所の限定がされないということが考えられる。また、すくみ足改善以外にセルフケアも全般的に改善したため運動療法も効果的であったと考えられる。本疾患は、進行性ではあるが退院後もできるだけ機能維持していくことが重要であり、退院後は他機関への情報提供と在宅での自主トレーニングを継続していく必要があると考える。退院後の調査では、退院直後は機能維持できていたが、5カ月後では入院中に比べADLが低下していた。この対策としては、定期的な状態の把握と動作指導、訪問・外来リハビリでの運動量の確保、指導の徹底をする必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】純粋無動症についての報告は少なく治療に難渋することが予測される。そこで、本発表を参考にして頂き治療の一助になればと思い報告させて頂く。
著者
濱田 真宏 森川 貴 山崎 大輔 竹内 由佳 大野 良晃 柴田 幹子 岸田 真嗣 今西 政仁 北林 千津子 小西 啓夫
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.297-303, 2016 (Released:2016-04-28)
参考文献数
21

症例は66歳男性. 32歳から2型糖尿病, 52歳時に慢性C型肝炎による膜性増殖性糸球体腎炎からの末期腎不全で血液透析導入となった. X年2月, 腰痛の出現後から左下肢の筋力低下と両下肢痛が出現し歩行困難となったため入院となった. MRIにて胸椎2-3レベルの脊髄の腫大を認め, 左側よりにT1, T2強調画像で淡いhigh intensity areaを認めた. 髄液検査にて水痘帯状疱疹ウイルスを認めたが, 皮疹を認めないことから無疹性帯状疱疹に伴う脊髄炎と診断した. 免疫能が低下していると皮疹が現れにくいといわれており, そのため診断に苦慮することが多い. 本例は糖尿病, 肝硬変, 腎不全などによる免疫不全状態がその要因と考えられた.
著者
畑下 拓樹 田上 徹 濱西 啓記
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0044, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】高齢者は加齢に伴う様々な要因により,低栄養に陥りやすく,低栄養により運動・生理機能の低下が助長される。若林秀隆らにより,リハビリテーション(以下:リハ)を行っている入院患者の多くが低栄養状態であるという報告が数多くなされている。一方,病院を退院後の地域在住高齢者の栄養状態に関する報告は少ない。しかし,リハの対象となる地域在住高齢者においても,入院患者と同様に低栄養状態であることが予想され,リハを実施する際に栄養状態を把握することが必須と考えられる。そこで,通所介護施設利用者における栄養状態と運動機能の関連について調査し,要介護認定を受けている地域在住高齢者に対するリハビリテーション栄養(以下:リハ栄養)の必要性を検討した。【方法】当社の通所介護施設利用者53名(男性:28名,女性:25名)を対象とした。栄養状態をMini Nutritional Assessment-Short Form(以下:MNA-SF)にて,運動機能をShort Physical Performance Battery(以下:SPPB)にて評価した。栄養状態はMNA-SFの点数により低栄養(0~7点),At risk(8~11点),良好(12~14点)の3群に分け,それぞれの群の,SPPBの点数を比較した。また,SPPB各項目(バランス,歩行,立ち上がり)の栄養状態別の点数も合わせて比較した。【結果】対象者53名の内MNA-SFによる分類では,低栄養10名,At risk11名,良好32名となった。SPPBの平均点数は,低栄養群5.2±3.0,At risk群5.5±3.1,良好群8.3±2.6であり,低栄養群と良好群,At risk群と良好群で有意な差がみられた(p≦0.01)。また,SPPBの各項目では,バランスの項目では低栄養群2.0±2.4と良好群3.5±0.8で,歩行の項目ではAt risk群1.5±2.7と良好群3.2±1.7で,有意な差がみられた(p≦0.01)。立ち上がりの項目では各群間に有意な差は見られなかった。【考察】通所介護施設利用者の内,低栄養状態にある者が18.9%,At riskの状態の者が20.8%と合わせて全体の39.6%もの割合を占めており,それだけ,要介護度が重度化するリスクのある者が潜在的にいることが分かった。また,SPPBの点数が,栄養状態良好群でも8.3±2.6(中間機能)であったのは,通所介護施設利用者は,脳血管疾患による運動麻痺,運動器疾患による疼痛や筋力低下など,運動機能を低下させる症状を有しているため,SPPBの点数が低かったと考えられる。SPPBの各項目の点数と栄養状態とでは差がある群にバラつきが見られたが,SPPB全体の点数と栄養状態では,栄養状態が悪化する程SPPBの点数が低下することが示唆された。これは,疾患による一次性の運動機能の低下に加え,低栄養によってサルコペニアを進行させ,運動機能の低下を助長していることが示唆される。ADLやIADLの改善を目的に通所介護施設を利用している低栄養状態やAt risk状態の高齢者に,高い活動量のサービスを提供することで,運動機能や生理機能などが低下し,かえってADLやIADLのレベルを低下させ,要介護度の重度化を招くことが懸念される。このことから,介護予防の観点からもリハ栄養の実施は必須であること考えられる。そのため,通所介護施設利用者の栄養評価を出来る限り行い,栄養状態を把握した上で,サービス利用時の活動量や内容を検討していく必要があると考えられる。また,可能であれば管理栄養士や栄養士,看護師などと協力し,栄養指導なども並行してサービス提供していくことが望まれる。【理学療法学研究としての意義】通所介護施設利用者への調査を通じて,主に要介護(要支援)認定を受けている地域在住高齢者に,リハ栄養を実施していくことの必要性,また,同時には理学療法士も栄養についての最低限度の知識を有しておく必要性を提示できたのではないかと考える。また,具体的なリハ栄養の取り組みを検討・実施していき,その有用性の検証などが今後の課題であると考える。