著者
松本 謙吾 掛橋 秀直 鎌田 寛恵 志摩 典明 鎌田 徹 片木 宗弘 西岡 裕
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.103-112, 2023 (Released:2023-07-31)
参考文献数
16

Cannabidiol (CBD), an uncontrolled cannabinoid in marijuana, is readily converted to the controlled Δ9- and Δ8-THCs under acidic conditions. In this study, we monitored the time-course conversion of CBD into the two THCs using easily available acids and solvents by gas chromatography-mass spectrometry. Placing CBD (3.3 mg/mL) in 4.2 mM sulfuric acid-glacial acetic acid solution at room temperature resulted in the production of Δ9-Tetrahydrocannabinol (Δ9-THC) after 3 hours, followed by Δ8-THC after 96 hours. The conversion continued, and their relative abundance was Δ9-THC>CBD>Δ8-THC after 192 hours. Elevating the sulfuric acid concentration to 42 mM promoted the conversion to where CBD depleted in 3 hours, Δ9-THC production peaked (and started to decline) at 12 hours, and Δ8-THC became the major constituent at 100 hours. Replacing sulfuric acid with muriatic acid showed the similar time-course conversion. The THCs/CBD ratio varies under acidic conditions; this ratio can be used as an indicator for identifying the product lots of liquid drugs containing THCs converted from CBD. Ethanol, alternative solvent to glacial acetic acid, kept CBD unchanged with 42 mM sulfuric acid for 192 hours at room temperature, but conversion into Δ9-THC was observed after 6 hours when heated at 70℃. Without an acid catalyst, CBD was stable under heating cycles from 60℃ to 130℃ in an electric vaporizer. Thus, the unintentional production of THCs seems unlikely only by heating a commercial CBD product. The CBD-to-THCs conversion also yielded several by-products. Among them, possible Δ8-iso-THC was detected under all 12 combination conditions (two catalytic acids and six solvents) investigated in this study. Additionally, the use of alcohol solvents produced alcohol adducts of the THCs. Detection of by-products therefore can provide more solid information for identifying the product lots and estimating the condition of CBD conversion.
著者
西岡 笑子
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.178-184, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1 7

In this paper, we describe the historical transition of sexuality education in Japan and the direction of sexuality education taken by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT). Reproductive health/rights, a key concept in sex education, is also discussed. In Japanese society, discussion on sexuality has long been considered taboo. After the Second World War, sexuality education in Japan began as “purity education.” From 1960 until the early 1970s, physical aspects such as genital organs, function, secondary sexual characteristics, and gender differences were emphasized. Comprehensive education as a human being, including physiological, psychological, and social aspects, began to be adopted in the late 1970s. In 2002, it was criticized that teaching genital terms at primary schools and teaching about sexual intercourse and contraceptive methods at junior high schools were “overdue guidance” and “extreme contents.” Sexuality education in schools has become a problem and has stagnated for about 10 years. Currently, schools teach sexuality education that does not deviate from the MEXT course guidelines. The direction of MEXT regarding sexuality education should be examined from the basic position that sexual activity by children is inappropriate. Reproductive health/rights apply the concept of human rights to sexuality and reproduction. Reproductive health/rights are key concepts that support sex education and women’s health.
著者
西岡 大輔 近藤 尚己
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.2020.002, (Released:2020-02-18)
参考文献数
84
被引用文献数
6

【背景】貧困や孤立等,患者の社会リスクへの対応は医療現場において不可欠とされながら,標準的な手続きや制度はない。対応策としてsocial prescribing(社会的処方)という概念が注目されているが,明確な定義やその効果についてはまとめられていない。そこで第一に,文献レビューにより社会的処方の包括的な定義づけを試みた。第二に,その定義に合う日本の活動をレビューし,日本の医療現場での患者の社会的課題に対応する活動の現状と普及に向けた課題を整理することを目的とした。【方法】(1)Social prescribing等をキーワードに検索し抽出した文献について国や地域・定義・対象・方法・効果等を評価し,社会的処方を包括的に定義づけた。(2)日本の事例を抽出し,活動の現状と普及に向けた課題を整理した。【結果】34文献をレビューした。社会的処方に関する報告は,英国からのものが多数であり,社会的な課題を抱えた患者を医療機関が“link worker”に紹介することや,地域での多様な交流活動等,患者にとって有益な非医療的な社会資源を患者とともにつくっていく活動の紹介やその効果評価の論文であった。医療費削減や救急受診減少の効果を示唆する研究があった。そこで,社会的処方を「医療機関等を起点として,健康問題を引き起こしたり治療の妨げとなる可能性のある社会的課題を抱える患者に対して,その社会的課題を解決し得る非医療的な社会資源につなげること,またケアの機会となる社会資源を患者とともにつくる活動」と定義した。この定義に合致する活動の報告は日本国内でも観察された。【考察】日本での活動の普及に向けては,活動の効果評価,方法論の標準化,必要なツールの開発,地域資源の開発,保健・医療・介護・福祉・その他の地域の社会資源のネットワークづくりが求められる。また,本研究では英国の“social prescribing”を直訳し社会的処方と表現したが,国内での活動の呼称の検討も必要である。
著者
西岡 心大 髙山 仁子 渡邉 美鈴 漆原 真姫 桐谷 裕美子 肱岡 澄
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.1145-1151, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
26
被引用文献数
3

【目的】回復期リハビリテーション病棟における栄養障害の実態、および脳卒中患者における栄養障害の程度が Activity of Daily Living(ADL)帰結や転帰先に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は2012年2月に調査協力施設の回復期リハビリテーション病棟を退棟した患者230名(脳卒中134名、運動器疾患47名、廃用症候群14名、その他35名)で、身体計測値、血液検査値、転帰先、Functional Independence Measure(FIM)を後ろ向きに調査した。【結果】Geriatric Nutritional Risk Indexにより43.5%が栄養障害と判断された。脳卒中患者における入退棟時 FIMは栄養障害群の方が有意に低く、退棟時 FIMを目的変数とした重回帰分析では栄養障害の程度が入棟時 FIMとは独立した説明変数となった(R2=0.734)。また栄養障害が重度であるほど自宅復帰率は低い結果となった(オッズ比 =0.580)。【考察】回復期リハビリテーション病棟では高率に栄養障害を認め、ADL帰結や在宅復帰に影響する可能性が示唆された。回復期リハビリテーション病棟において ADL向上や在宅復帰を果たすためには栄養状態の迅速な評価が重要である。
著者
三浦 誠司 西岡 道人 野澤 慶次郎 藤田 正信 青木 久恭 和田 浩明 捨田利 外茂夫 三重野 寛治 小平 進
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.18-23, 1998-01
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

22歳,男性.主訴は入工膣からのガス・便の排出.1年10か月前に海外で膣造設術を含む性転換手術を受けている.造影および内視鏡検査では瘻孔は高位にあり,直腸膣中隔の膣側上皮は広汎に欠損していた.手術は経仙骨的アプローチで施行し,直視下に瘻孔を切除して層々に縫合閉鎖した.術後3年以上経過した現在,再発はない,本症例は腹部や大腿部に創痕が残るような術式を拒んだため,瘻孔を閉鎖できたが,膣を安全に使用できるような術式ではなかった.男性性転換手術者に発生する直腸膣瘻の治療は困難で,その理由として発生原因が人工膣の萎縮防止用ステントを長期間使用したための圧迫壊死であること,および造膣手術時に広範囲に剥離が行われていて周囲組織を瘻孔閉鎖手術時の修復に利用できないことなどがあげられている.欧米の報告では本症の発生率は低いが,観察期間が短いものが多いことから過小評価されている可能性が考えられる.
著者
横田 俊平 黒岩 義之 西岡 久寿樹
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.288a-288a, 2015

ヒト・パピローマウイルス(HPV)は一般的な感染因子であり,子宮頸部基底細胞への感染は部分的には癌発症の契機になる.子宮頸癌を予防する目的でHPVワクチンが開発され(CervarixとGardasil),約340万人の若年女性に接種が行われた.しかし,HPVワクチン接種後より全身痛,頭痛,生理異常,病的だるさ・脱力・不随意運動,立ちくらみ・繰り返す便秘・下痢,光過敏・音過敏,集中力低下・計算力と書字力の低下・記憶障害などを呈する思春期女性が増加している.「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)」と仮称し,当科外来を受診した51例の臨床症状の把握とその体系化を行った.すべての症例は,HPVワクチン接種前は良好な健康状態・知的状態にあり,接種後,全例が一様に一連の症候の重層化,すなわち,疼痛性障害,不随意運動を含む運動器機能障害,感覚障害,生理異常,自律神経障害,高次脳機能障害と進展することを確認した.このように幅広いスペクトラムの疾患の記載はこれまでになく,これらの症候を同時に呈する中枢神経障害部位についての検討をすすめ,「視床下部 下垂体病変」と捉えられることが判明した.病態形成にはミクログリアが関わる自然免疫,HPVワクチン抗原のペプチドと特異なHLAが関わる適応免疫の両者が,強力なアジバントの刺激を受けて視床下部の炎症を繰り返し誘導していると考えている.治療にはramelteon(circadian rhythmの回復),memantine(シナプス伝達の改善),theophylin(phosphodiesterase inhibitorの抑制)を用い対症的には対応が可能となったが,病態に根本的に介入できる薬剤はいまだ手にしていない.
著者
大野 夏樹 中田 裕之 大矢 浩代 鷹野 敏明 冨澤 一郎 細川 敬祐 津川 卓也 西岡 未知
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

大規模な地震の発生後に地面変動や津波により生じた音波や大気重力波が電離圏高度まで伝搬し電離圏擾乱が発生することが知られているが,地震発生後の電離圏中での鉛直方向の伝搬を捉えた例は多くない.本研究で用いる HFドップラー(HFD)では, 異なる送信周波数(5.006,6.055,8.006,9.595 MHz)の電波を用いることで複数の高度での変動を観測することが可能である.国土地理院のGNSS連続観測システム(GNSS Earth Observation Network : GEONET)により導出されるGPS-TECのデータと合わせて,地震に伴う電離圏擾乱の変動について高度方向の変化に注目し,解析を行った.2011年3月11日 14:46(JST)に発生したM9.0の東北地方太平洋沖地震において,観測点( HFDの電波反射点)直下付近の地震計に変動が確認された.HFDでは地震計に表面波が到達した約9分後に菅平,木曽受信点の両データに変動を確認しGPS-TECでは約10分後に変動を確認した.津波から直接音波が到達するには約20分かかるため,変動初期の10分は地面の変動により励起された音波が上空に伝搬して発生したと考えられる。さらにHFD, GPS-TEC, 地震計のデータにより観測された擾乱の周波数解析を行った.地震計および比較的低高度電離圏で反射したHFDデータ(5.006,6.055 MHz)の変動は,3~20 mHzまで周波数成分を含んでいたが高高度で反射したHFDデータ( 8.006,9.595 MHz)は3~5 mHzの周波数成分が卓越していることが分かった.3~5 mHzは多くの地震に伴うTEC変動で卓越する周波数帯であり本イベントでも同様の変動が確認され,高高度で反射したHFDデータにおいて近い周波数成分をもつ変動が確認された.7~20 mHzの周波数成分は,地震波が励起した音波は高い周波数ほど高高度で減衰するため,8.006,9.595 MHzのデータでは変動が減衰したと考えられる.この変動について,他の受信点のHFDデータとGPS-TECデータ, 地震計データを用いて比較・解析を行っており,発表ではその結果について報告する予定である.
著者
西岡 紘治 田中 敏郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.2440-2448, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)は原因不明の慢性炎症性疾患であり,50歳以上の中高年に発症する.肩や殿部に両側性の疼痛,朝のこわばりが出現し,赤沈,CRPなどの炎症マーカーが上昇するが,リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF),抗核抗体などは上昇しない.多くの場合,PMRは少量ステロイド薬で劇的に改善するが,約20%で巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)を合併する.また関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA),脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA),感染症,悪性腫瘍などの鑑別を要する.PMRは「疑わなければ診断できない」疾患であり,高齢社会において一般臨床医が知っておかなければならない疾患でもある.本項では,2012年に改定されたPMRの分類基準,鑑別疾患,合併症,治療法について概説する.
著者
西岡 大輔 近藤 尚己
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.527-544, 2020-02-28 (Released:2020-03-05)
参考文献数
84
被引用文献数
13 6

【背景】貧困や孤立等,患者の社会リスクへの対応は医療現場において不可欠とされながら,標準的な手続きや制度はない。対応策としてsocial prescribing(社会的処方)という概念が注目されているが,明確な定義やその効果についてはまとめられていない。そこで第一に,文献レビューにより社会的処方の包括的な定義づけを試みた。第二に,その定義に合う日本の活動をレビューし,日本の医療現場での患者の社会的課題に対応する活動の現状と普及に向けた課題を整理することを目的とした。【方法】(1)Social prescribing等をキーワードに検索し抽出した文献について国や地域・定義・対象・方法・効果等を評価し,社会的処方を包括的に定義づけた。(2)日本の事例を抽出し,活動の現状と普及に向けた課題を整理した。【結果】34文献をレビューした。社会的処方に関する報告は,英国からのものが多数であり,社会的な課題を抱えた患者を医療機関が“link worker”に紹介することや,地域での多様な交流活動等,患者にとって有益な非医療的な社会資源を患者とともにつくっていく活動の紹介やその効果評価の論文であった。医療費削減や救急受診減少の効果を示唆する研究があった。そこで,社会的処方を「医療機関等を起点として,健康問題を引き起こしたり治療の妨げとなる可能性のある社会的課題を抱える患者に対して,その社会的課題を解決し得る非医療的な社会資源につなげること,またケアの機会となる社会資源を患者とともにつくる活動」と定義した。この定義に合致する活動の報告は日本国内でも観察された。【考察】日本での活動の普及に向けては,活動の効果評価,方法論の標準化,必要なツールの開発,地域資源の開発,保健・医療・介護・福祉・その他の地域の社会資源のネットワークづくりが求められる。また,本研究では英国の“social prescribing”を直訳し社会的処方と表現したが,国内での活動の呼称の検討も必要である。
著者
鈴木 慎太郎 中村 陽一 西岡 清 足立 満
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.593-597, 2007-06-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
12

症例は30歳の男性.アワビの貝殻に盛られた魚の刺身を食べた直後にアナフィラキシーショックを認めた.以前にもアナフィラキシーショックの既往があり,いずれも海産物を摂取した後に発症していた. CAP-FEIAでホタテと牡蟻で陽性を示し,貝類をアレルゲンとして疑った.そこで市販のアレルゲンエキスによる皮膚試験に加え,種々の貝類を用いたprick by prick testを施行した.その結果アワビのみで陽性を示し,貝殻に残っていたアワビの成分が付着した刺身の摂取が今回のアナフィラキシーショックの原因であると考えた.臨床検査に項目がない,あるいは皮膚試験用エキスが国内で販売されていない食材がアレルゲンとして疑わしい場合や,事情により負荷試験ができない場合にprick by prick testは外来診療で実施可能かつ有用な検査方法と考える.
著者
上田 晃子 塚本 和也 山入 高志 柏井 健作 坂口 健太郎 木下 智弘 西岡 正好 中田 秀則
出版者
日本禁煙科学会
雑誌
禁煙科学
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.1-8, 2020

<b>要 旨</b><br><b>目的:</b>児童・生徒の家庭内受動喫煙の現状と健康状態を調査し受動喫煙防止のための課題を明らかにすることを目的に検討した。<br><b>方法: </b>v2018 年度喫煙防止授業を実施した小・中学校、高校で授業前に家庭内受動喫煙について質問調査を行った。また同年同地域の 3 校の公立高校 3 年生を対象に受動喫煙の有無、既往症、最近の自覚症状について調査した。<br><b>結果:</b>授業前調査では小学生(4-6年生)750人、中学生(1-3年生)679人、高校生(1年生)311人が回答し(回答率94.6%、89.7%、99.4%)同居家族の喫煙率は、51.2%、49.6%、40.2%であり、そのうち65.4%、73.6%、57.6%が屋内で喫煙し、残りは屋外で喫煙していた。高校3年生の調査では696人が回答し(回答率94.3%)、同居家族の喫煙率は51.1%、喫煙する同居家族の78.4%が屋内で喫煙していた。同居喫煙者のいる生徒はいない生徒に比べ、女子では気管支喘息・咳喘息の既往がある者が有意に多く、湿疹・皮膚炎、副鼻腔炎の既往、最近咳が長引く、のどが痛い、目が痛い、皮膚がかゆい者が多い傾向を認めた。同居喫煙者のいる生徒はいない生徒に比べ、男子ではかぜを年2回以上ひいた生徒が有意に多かった。同居喫煙者がいる生徒を屋外喫煙群と屋内喫煙群に分けて比較すると、屋外喫煙群の方が屋内喫煙群より生徒の健康状態が良いという結果は得られなかった。母親の喫煙が女子生徒の蕁麻疹、気管支喘息の既往と関連を認めた。<br><b>考察:</b>受動喫煙による健康影響を防止するためには同居喫煙者に屋外喫煙を促すのみでは不十分である。学校医は家屋内とその周辺での禁煙、喫煙者の禁煙支援について啓発する必要がある。<br><b>結論:</b>同居家族の喫煙は気管支喘息、感冒罹患など児童・生徒の健康に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
永井 晋 永村 眞 山家 浩樹 岡本 綾乃 西田 友弘 高橋 悠介 西岡 芳文 山地 純 井上 和人 永山 由梨絵
出版者
神奈川県立歴史博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「重要文化財 金沢文庫文書」4149通について、その本文の校訂、年代推定、紙背文書を利用した関連文書群の復元を行い、「重要文化財 称名寺聖教」との接続の関係をあわせて考察し、称名寺収蔵資料群の一群としての金沢文庫古文書の資料的価値を定める努力を行った。その成果は、「金沢文庫文書検索システム」としてデータベースを構築し、インターネットでの公開をめざしたが、接続のための環境整備が調わず、金沢文庫図書室でのスタンドアローンとしての公開となった。データベースでは、古文書本文・書誌情報・画像(古文書表裏)を金沢文庫図書室で公開した。
著者
平尾 和子 西岡 育 高橋 節子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.363-371, 1989

タピオカパールは, 調理に際して煮くずれしやすく, 芯が残りやすいなどの問題点があり, その加熱方法はむずかしい.透明感や歯ごたえがあり, 煮くずれが少なく, 芯のないタピオカパールを得るためのより簡便な加熱方法を知る目的で本実験を行った.<BR>加熱方法は, 湯煎による加熱の湯煎法と魔法瓶を用いるポット法について比較し, 顕微鏡観察, 物性測定および官能評価の結果から浸水効果や加熱方法を検討した.結果は次のとおりである.<BR>1) タピオカパールは, 加熱に際しての浸水効果は認められず, 浸水することなく, 直接ふりこんで加熱するほうが煮くずれしにくい結果となった.<BR>2) 加熱方法では, ポット法が湯煎法に比べて煮くずれせず, 弾力があり, 芯のない煮上がりとなるなど, 物性値においても, 官能評価においても最も好まれた. 魔法瓶を用いるポット法は, 加熱途中の攪拌や湯を補うなどの手間もかからず, しかも形状やテクスチャーのよいタピオカパールを得ることができるなど, 簡便かつ効果的な加熱方法と考えられる.<BR>3) 湯煎法のうち, 水にふり込んで加熱する水湯煎法は, 熱湯にふり込む熱湯湯煎法に比べて加熱時間が短縮され, とくに2時間加熱することにより, 透明で歯ごたえのある試料が得られた.