著者
串上 元彦 東 冬彦 炭谷 昌克 国正 紀彦 玉置 幸子 玉置 英人 玉置 政子 玉置 英夫 河合 純 伊藤 秀一 西岡 新吾
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.144-149, 1994-01-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
15
被引用文献数
2

従来,胃アニサキス症の治療に関しては内視鏡による虫体の摘出が確実と言われている.最近われわれは腫大した胃皺襞の間に刺入して観察も摘出も困難であった胃アニサキス症の1例に対してガストログラフィンを散布したところ,アニサキス幼虫の運動が停止し,鉗子で幼虫の体部を容易に摘み,抵抗なく摘出しえた.他の2症例に対してもガストログラフィンを散布したがほぼ同様に摘出が容易であった.胃アニサキス症において内視鏡検査後に発生するAGMLの誘因として大量の送気による胃粘膜の過伸展も推定されており,このことからも巨大皺襞間隙に刺入した胃アニサキス症や複数匹の穿入例,また部位的にアニサキス幼虫の頭部を摘まみ難い例などにはガストログラフィン散布は非常に有用であると思われる.胃アニサキス症の虫体摘出にガストログラフィンを初めて試み,良好な結果が得られたのでここに報告する.
著者
鈴木 慎太郎 中村 陽一 川野 豊 西岡 清
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.832-836, 2006-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は22歳の男性.アナフィラキシーショックで当院に搬送され,直前の食事内容と既往歴より青魚による食物アレルギーが当初最も疑われた.以後,抗原除去を指示して外来経過観察していたが,翌月,翌々月にもアナフィラキシーで来院したため,より詳細な問診を実施したところ被疑抗原として納豆が考えられた.精査入院し,抗原負荷テストを施行し,納豆50gを摂取後9時間後に膨疹など皮膚症状や胸痛を主としたアナフィラキシーが再現され,納豆による食物アレルギーと診断した.ここ数年,納豆によるアナフィラキシーの報告が散見され,摂取後半日経過してから症状を呈する「遅発性」アレルギーと称される特徴的なパターンを示すことが多いとされる.日本の伝統食品でもある納豆は近年海外でも健康食品として注目されており,納豆アレルギーの存在が周知されることが望ましい.
著者
西岡 けいこ
出版者
日本メルロ=ポンティ・サークル
雑誌
メルロ=ポンティ研究 (ISSN:18845479)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.58-69, 2015-09-27 (Released:2015-09-26)
参考文献数
14

Merleau-Ponty traite du « moi » comme un voyant-visible entre les choses dans l’espace et surtout entre les hommes dans le temps. Il considère aussi que voir chez l’homme équivaut à l’acte de peindre, qui est plus un événement tourné vers l’avenir que vers le passé. Pour saisir la structure de sa pensée, j’utilise l’expression « la médialité de la peinture » qui désigne la relation entre le moi et les choses, et celle de « l’historicité du regard » qui fait référence aux liens entre le moi et les hommes. Ces notions ne sont pas présentées dans ses oeuvres, mais on peut dire qu’elles sont utiles pour comprendre les problématiques liées à la peinture. Merleau-Ponty évoque un temps primordial qui ne passe ni linéairement ni dialectiquement, et où chaque moment offre une nouvelle possibilité de répétitions infinies.

3 0 0 0 文化地理学

著者
西岡秀雄 著
出版者
広文社
巻号頁・発行日
1961
著者
西岡 里香 祖父江 理 大西 啓右 藤田 拓朗 尾崎 太郎 守時 政宏 西島 陽子 今滝 修 串田 吉生 南野 哲男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.1191-1198, 2017-06-10 (Released:2018-06-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

14歳,男児.剣道の練習後に肉眼的血尿と尿蛋白を認め,受診した.部活動後に限定された肉眼的血尿というエピソードや溶血所見より,剣道にて誘発された行軍ヘモグロビン尿症候群の診断に至った.腎炎合併を否定するため施行された腎生検では近位尿細管への鉄沈着を認めた.若年者の運動後に検尿異常を認めた場合,運動歴の聴取が診断には必須である.予防により血管内溶血を軽減させることが可能であるため,予防策の提示も重要である.
著者
上野 恵子 西岡 大輔 近藤 尚己
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.21-070, (Released:2021-10-29)
参考文献数
29

目的 近年,生活保護制度の被保護者への健康管理支援の重要性が指摘され,施策が打たれている。本研究は,2021(令和3)年に全国の福祉事務所で必須事業となった「被保護者健康管理支援事業」に対して福祉事務所が抱える期待や懸念,および国・都道府県への要望を明らかにすることを目的とした。方法 2019年11月,機縁法により選定された23か所の福祉事務所に,質問紙調査を依頼した。質問紙では,健康管理支援事業の実施に際して期待する点ならびに懸念する点,国・都道府県から受けたい支援を自由記述で回答を求めた。次いで2019年11月から2020年2月にかけて,福祉事務所でヒアリング調査を実施した。ヒアリング調査では,質問紙項目に記載が不十分な回答,回答の補足事項や不明点を調査票の内容に沿って聞き取りを実施した。結果 16か所の福祉事務所から調査票の回答およびヒアリング調査の承諾を得た(同意割合69.6%)。福祉事務所担当者は健康管理支援事業が被保護者の健康意識・状態を改善し,被保護者のみならず他住民への取り組みとしても実施されることを期待していた。また,困難を感じている点として,実施体制の構築,事業の評価指標・対象者の設定,保健医療専門職の確保が示唆された。国・都道府県への要望としては,評価指標・基準の提示,標準様式の提供,参考となる事業事例の紹介,福祉事務所間や地域の他の関係機関との連絡調整,情報共有の場の提供,財源の確保などが挙げられた。結論 健康管理支援事業の円滑な実施を推進するためには,自治体と国ならびに都道府県が連携を深めるとともに,重層的な支援体制の構築が求められている。
著者
西岡 敏
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.55-68, 2011-10-01

竹富方言の敬語は、他の八重山語諸方言と同様、話題の人物(第三者あるいは聞き手)を立てる素材敬語が敬語動詞ないしは敬語補助動詞によって表され、聞き手に対して丁寧さを示す対者敬語が終助詞(文末詞)によって表される。本稿では、前者のうち、尊敬の補助動詞「トールン」(to:runN、くださる)、謙譲の補助動詞「オイスン」(oisuN、差し上げる)・「ッシャリルン」(Q∫eriruN、申し上げる)に焦点を当て、どのような文脈において使用可となるか、どのような意味の漂白化(すなわち、文法化)の過程にあるかについて論じた。補助動詞「トールン」は恩恵の意味が逓減、補助動詞「ッシャリルン」は発言の意味が残存している。また、後者の対者敬語的終助詞のうち、「ユー」(ju:)と「ナーラ」(na:ra)の使い分けについて示した。いずれも聞き手への丁寧さを示すが、「ユー」は話し手が聞き手との距離を置く表現であり、「ナーラ」は話し手が聞き手と共通の基盤に立っていることを積極的に示す表現である。
著者
呉 禮媛 網中 眞由美 森 那美子 西岡 みどり
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.10-27, 2021-01-25 (Released:2021-07-21)
参考文献数
54

本研究では,有料老人ホームと介護保険施設における薬剤耐性Antimicrobial resistance(AMR)対策の実態を明らかにし,AMR対策のあり方を検討することを目的とした.無作為抽出した高齢者施設(有料老人ホーム,介護老人福祉施設,介護老人保健施設,介護療養型医療施設),計2,800施設の感染管理担当者を対象に自記式質問紙調査を行った.254施設(9.1%)の回答を集計した.有料老人ホームは薬剤耐性菌が拡がりにくい条件が揃っていたが,他の施設類型と同様にMRSA,ESBL産生菌,CRE,MDRP,MDRA,VREによる集団感染が発生していた.高齢者施設のAMR対策は,マニュアル配備,研修,入所時対策などが不十分であった.入所時スクリーニングの実施率は22~33%であり,対象菌はほぼMRSAに限定されており,薬剤耐性菌を拡げやすいケア(尿道留置カテーテル管理,おむつケアなど)における対策にも課題があった.したがって,見落とされた保菌者の薬剤耐性菌を拡げやすいケアを介した拡大リスクが示された.高齢者施設のAMR対策は,入所時スクリーニングを行わず,すべての入所者の薬剤耐性菌を拡げやすいケアの際に,標準予防策に加えて接触予防策を強化することが有効と考える.また,保健所や地域中核病院からの支援を推進するために診療・介護報酬によるインセンティブも必要と考える.
著者
石川 愛子 宇田 篤史 矢野 育子 冨田 猛 阪上 倫行 野崎 晃 西岡 達也 久米 学 槇本 博雄 濱口 常男 岩川 精吾 北河 修治 平井 みどり
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.157-164, 2018-04-10 (Released:2019-04-10)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

Kobe University Hospital created a simplified 14-item protocol for resolving out-of-hospital prescription queries. The protocol was implemented in September 2016 in nine community pharmacies. If prescriptions were changed as per the new protocol or via typical query procedures, we asked community pharmacies to fax the changed prescriptions, and the hospital pharmacists, rather than medical doctors, modified the prescription history. To evaluate the effects of this simplified protocol, we examined the number of changed outpatient prescriptions and administered questionnaire surveys to community pharmacists and hospital-based medical doctors. The ratio of changed to total outpatient prescriptions decreased in January 2017 (4.1%) compared with those in September 2016 (6.4%). Ultimately, more than half of all outpatient prescriptions were changed by the protocol. Drug brand name changes accounted for 52% of the total changes during both September 2016 and January 2017, but the proportion of residual medicine adjustment increased from 12% in September 2016 to 26% in January 2017. Due to the questionnaire survey, 33% of surveyed medical doctors indicated that they knew or had heard of the protocol, and 54% responded that the protocol decreased the burden of addressing outpatient prescription queries. The community pharmacies reported that the burden of clarifying outpatient prescription queries decreased. In conclusion, implementation of the simplified protocol for outpatient prescription queries improved medical efficiency and may help promote cooperative streamlining of community patient pharmaceutical care services.
著者
宮崎 さおり 松本 友希 岡田 知佳 岸田 太郎 西岡 信治 三好 規子 友岡 清秀 谷川 武 斉藤 功 丸山 広達
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.93-101, 2021 (Released:2021-04-14)
参考文献数
38
被引用文献数
1

本研究では, トランス脂肪酸摂取量を推定するための食品成分表を作成することを目的とした。さらにこの成分表を用い, 実際の摂取食品についてトランス脂肪酸量を推定し得るか, 食事記録調査結果を対象に確認を行った。23文献に報告のある280食品のトランス脂肪酸量は平均値を求め, 食品成分表記載の各食品の脂質を乗じ可食部100 g当たりに含まれるトランス脂肪酸量を算出した。文献に報告のない食品の内, 312食品は置き換え法にて対応, 計592食品のトランス脂肪酸含有量を決定した。その食品成分表を用い, 糖尿病境界型の男女35名が実施した食事記録から1日平均のトランス脂肪酸摂取量を算出した。本対象集団が摂取していた可食部100 g当たりの脂質量が1 g以上の食品延べ4,539食品の内, 4,535食品 (99.9%) のトランス脂肪酸量が算出し得, 1日当たりの平均トランス脂肪酸摂取量は0.66 g (エネルギー比率: 0.33%) であった。本成分表は, 置き換え法による食品数の占める割合が高いこと等の限界に留意する必要があるものの, 多数の食品に対して数値を求めていることから, 異なる日本人集団や食事記録以外の食事調査法での応用も可能なものと考える。
著者
冨田 猛 野崎 晃 宇田 篤史 山本 和宏 西岡 達也 久米 学 槇本 博雄 矢野 育子 平井 みどり
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-7, 2017-05-31 (Released:2017-06-16)
参考文献数
10

Objective: When responding to questions regarding drug-drug interaction by the medical staff of our hospital, pharmacists previously collected information using some drug databases from Japan and the United States.  The aim of this study was to construct a search system for interaction information using drug databases from both Japan and the United States for streamlining questions and answers regarding drug-drug interaction.Methods: Using the drug databases from Japan and the United States, we collected information on the interaction pertaining to drugs prescribed at Kobe University Hospital.  This information was further assessed for consistency.  Furthermore, we constructed an original search system for interaction information for streamlining questions and answers regarding drug-drug interaction.Results: The difference between information obtained from the databases from Japan and the United States was apparent.  Thus, we concluded that it was necessary to obtain interaction information via a database search that included information from both the countries.  Therefore, our original interaction search system was reconstructed with interaction information collected using databases from both the countries.  We compared the response to questions regarding the previous and present methods using our original search system for interaction information; the time required to obtain the responses was 5.89 and 3.09 min, respectively, and it took lesser time for providing responses than the previous method.Conclusion: We evaluated the usefulness of the original search system for interaction information.  We found that the original system provides a more rapid response to questions compared with the previous method.  We are considering a further upgrade and update for the original system by adding information on drugs not prescribed by our hospital.
著者
岡山 直子 西岡 光昭 中原 由紀子 宮原 悠太
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.666-674, 2015-11-25 (Released:2016-01-10)
参考文献数
10

遺伝子検査が臨床検査へのサービスとして求められているものは,様々な種類のサンプルによる解析および限られたサンプル量での情報提供を短時間で行うことである。そこでこれまでに我々が行ってきた核酸抽出を中心に遺伝子検査の変遷についてまとめた。末梢血液検体からはフェノ・クロ法,NaI法,抽出装置によるDNA収量の比較を行った。FFPE検体からは脱パラフィン操作の影響,ホルマリン固定時間,パラフィン包埋の影響を検討した。HE染色標本を用いてマイクロダイセクションとレーザーマイクロダイセクションによる目的部位の収量を比較した。さらに今後遺伝子検査の主力になると予想される自動遺伝子解析装置についてまとめた。またこれまでに行われてきた日本臨床検査技師会研修会を振り返り,今後,我々検査技師の力がより発揮できる遺伝子検査に期待したい。
著者
浅井 龍太郎 鎌田 徹 新田 篤志 和田 美暁 掛橋 秀直 中野 史保子 松田 駿太朗 志摩 典明 西岡 裕 三木 昭宏 片木 宗弘
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.43-48, 2019 (Released:2019-01-31)
参考文献数
18

In order to expose substituted, cheated and faked urine specimens submitted for a drug test, a simple and highly sensitive screening method has been developed for the detection of urea in the specimens. This method uses the coloration of a piece of pH test paper which is wetted and set into the headspace of a sample vial containing “urine”, by absorbing NH3 gas generated by the urease reaction. The present method named, “Urease-Headspace method” (UHS method), was evaluated by applying it to various diluted or adulterated urine samples. The detection limit of urea in water was 2×10−4%, which was 100 times higher sensitivity compared with a conventional p-(dimethylamino)cinnamaldehyde (DAC) test. The UHS method was applicable even to deeply colored specimens such as bloody urine because the coloration occurs in the headspace of the sample vial. The UHS method quickly revealed the substituted specimens, e.g. water and green tea. Thus, the present UHS method will be effective for the validity determination of urine specimens, which is increasingly crucial in forensic drug examination.