著者
佐藤 由佳利 土谷 聡子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.321-326, 2010-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
10
被引用文献数
3

高校生894名を対象に,摂食障害症状評価尺度スクリーニング版Symptom Rating Scale for Eating Disorders Screening test(SRSEDS)を用いて,摂食障害傾向についての調査を実施した.その結果,男女で差があることがわかり,「過食経験」,「食べることの心理的負担」は女子が高く,「やせていることへの周囲からの圧力」は男子のほうが高かった.従来,摂食障害は女性特有の疾病と考えられてきたが,摂食行動やボディイメージなどについて,男子は女子とは違った圧迫やストレスを感じていることが調査からわかり,今後,男女で異なった予防教育や治療が必要になってくると思われた.
著者
今本 美幸 栗原 伸公 熊谷 聡子 土江 節子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.322-327, 2010 (Released:2010-11-29)
参考文献数
12

【目的】管理栄養士が行う栄養教育では,対象者が理解しやすく的確な内容が伝えられる「言葉」が必要である。このうち「控える」という言葉は,対象者に塩分や動物性脂肪など摂取の減量を指示する言葉であるが,その方法や量などの明確な指示はしていないと考える。そこで我々はアンケート調査を行い,日本の兵庫県で働く管理栄養士が用いる「控える」という言葉の概念を明らかにするため,栄養指導における言葉の効果を調べた。【方法】我々は控える対象としてエネルギー,甘いもの,アルコール,動物性脂肪,塩分の5項目を選び,「控える」という言葉の指導者側の意識を調査した。【結果】管理栄養士は50%以上が栄養教育において「控える」という言葉を使用していた。管理栄養士は,対象者が行うと期待する控える方法や量に個人差があった。また管理栄養士の勤務年数3年未満,3年以上20年未満,20年以上の3群による経験年数別の比較では,塩分で差があった。【結論】「控える」という言葉はとても不明瞭であり,この言葉のみで対象者が食生活改善できるとは限らない。管理栄養士は「控える」という言葉を単独ではなく,可能な限り具体的な言葉とともに用いることが必要である。(オンラインのみ掲載)
著者
細谷 聡 野上 悟 斎藤 健治 金井 博幸
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.279-283, 2009-01-20 (Released:2016-01-25)
参考文献数
10

The purpose of this study is to examine tightening pressure of the supporter and effect of the elastic property on muscle fatigue through electromyogram measurement. Wearing a magic tape style taping supporter, several healthy students carried out the flexion experiment of the elbow. At this time, the electromyogram of biceps brachii was measured, and MFCV(Muscle Fiber Conduction Velocity) by which, the muscle fatigue index was calculated. As a result, it became clear that the tightening pressure of the supporter which relieves fatigue was 21-28gf/cm2. The elastic property of the supporter which relieved muscle fatigue was almost 0.8kgf/cm as a tension stretch. Local clothes pressure seems to affect that the supporter with the moderate elastic property is fixed in the appropriate tightening pressure in muscle contraction and muscle blood flow. This was assumed to be the reason why muscle fatigue is reduced.
著者
佐古井 智紀 細谷 聡 藏澄 美仁 田北 浩之 戸上 健
出版者
人間-生活環境系シンポジウム実行委員会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集 = Proceedings of Symposium on Human-Environment System
巻号頁・発行日
vol.39, pp.187-190, 2015-11-20

衣服による面積増加を考慮して皮膚と着衣間の多重放射を考慮した伝熱モデル式を提案した.このモデル式から,着衣が吸収する日射より生地を透過後に皮膚が吸収する日射の方が,日射吸収量が同一ならば人体の熱収支に大きく影響を及ぼすことを確認した.一重の衣服が部分的に身体を覆う場合に限るが,熱収支に基づき全身の着衣の日射吸収率,皮膚の日射吸収率を得る部位の重み係数を導いた.提案した解析モデルに基づき,色のみの異なる同一の生地で縫製された夏季の体操服を着用した場合の日射の影響を含む作用温度を計算した.淡色の体操服着用時には濃色の体操服着用時と比べて反射日射が大きくなるものの皮膚で吸収する日射も大きい.結果として,夏季の体操服の生地の色は作用温度にほとんど影響しないことが確認された.
著者
菅原 徹 山田 昇 佐渡山 亜兵 上條 正義 細谷 聡 井口 竹喜
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.47-54, 2005
被引用文献数
1

The purpose of this study is to clarify the mechanism of smiles by measuring facial muscle activities and facial surface transformation. We made it possible that the strength of the smile was fixed the same by using the biofeedback technique. And facial muscle activities that caused a change on skin surface were measured by surface electromyography and the physiological mechanism of the smile was examined. It became clear that the muscle activities of the risorius and depressor labii inferioris had a significant effect on the formation of the smiling faces. We confirmed that a change of the eye that is the symbol of the smile depended on the compression of the skin by the picture analysis of the face. The internal and external relations to make the characteristics of the smile were explained.
著者
肴倉 宏史 仲川 直子 前田 直也 角田 康輔 水谷 聡 遠藤 和人 宮脇 健太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.399, 2014 (Released:2014-12-16)
被引用文献数
1

水素イオン濃度指数(pH)は,有害物質である重金属等の挙動に大きな影響を与えるだけでなく,その変化自体が生態系へ多大な影響を及ぼす。海水のpHは約8.1で安定しているが,都市ごみ焼却灰,廃コンクリート,製鋼スラグなど,廃棄物や副産物の中には水と接触すると高いアルカリ性を示すものが多い。これらは最終処分やリサイクルのために海面に投入される場合があり,その際に,海水のpHに影響を及ぼす可能性がある。ただし,海水は,外的なpH変化の要因に対して緩衝能力を有しており,pH変化の幅は蒸留水等よりも小さいことが知られている。そこで本研究では,海水のpH緩衝能力のうちの、水酸化物イオンの添加に対するモデルを構築し,緩衝のメカニズムについて考察を行った。
著者
齋藤 健治 井上 一彦 渡辺 正和 細谷 聡 井上 伸一
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集; 医学・健康科学・スポーツ科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University; Medical, Health, and Sports Sciences
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.7-18, 2014-09-30

本研究の目的は,速球とカーブ投球時の上肢と体幹の動きの違いについて明らかにすることであった。大学野球選手の手首と上腕,および背部に計測器を装着して,速球とカーブ投球時の関節運動の角速度を計測した。そして,最大角速度とその時刻,およびボールリリース時の角速度を抽出し,両投球間で比較した。その結果,ボールリリース時の前腕回内角速度と肩内旋角速度は速球の方が大きく,それに対して,最大角速度には差はなかった。前腕回内と肩内旋の最大角速度の時刻は,カーブにおいて速球より遅かった。対照的に体幹運動の角速度には,速球とカーブの間で差は見られなかった。これらの結果から,カーブ投球ではボールリリース時に前腕を相対的に回外位に保つため,両投球種間に差が生じること,そして,カーブ投球では,その前腕回外位を保ちやすくするために,肩内旋の角速度を抑える必要があると考えられた。
著者
八重樫 理称 岡田 菜月 福士 祥代 熊谷 聡子 梶原 昌五 田沼 萌 吹上 菜穂 藤崎 聡美 星 勝徳 水戸部 裕子 安川 洋生
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.23-26, 2019-11-30 (Released:2019-11-27)
参考文献数
5

今日,薬剤耐性菌が世界規模で蔓延しており,感染症に対する有効な抗菌薬が減少しつつある.私たちが生活環境で接するものには多くの細菌が付着しており,その中には薬剤耐性菌も含まれると考えられる.本調査では岩手大学教育学部に設置されているハンドドライヤーのうち10台について薬剤耐性菌の検出を行った.プラスチック手袋をした状態で送風に曝露した後,手袋の表面に付着した細菌を回収し,抗菌薬を含む培養液にて培養した.調査した10台のハンドドライヤーの内の9台について,抗菌薬を含む培養液で細菌の発育がみとめられた.この結果から私たちが日常的に使用しているハンドドライヤーの送風には薬剤耐性菌が存在することが明らかとなり,薬剤耐性菌が身近に存在していることが示された.薬剤耐性菌の出現や拡散を防ぐための教育や啓蒙に関する具体策を検討するにあたり,筆者らの調査結果を資料の一つとして有効に活用できると考える.
著者
大谷 聡一郎 青木 伸 池北 雅彦 森田 明典 モハマド ズルキフリ 伊石 安里 王 冰 田中 薫 岡崎 遥奈 吉野 美那子 細井 義夫
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.106, 2011

我々は、オルトバナジン酸ナトリウム(バナデート)が、p53転写依存性・非依存性の両経路を抑制する阻害剤として機能し、腸死を克服できる初めてのp53阻害剤であることを明らかにしている。放射線防護効果が報告されている他のp53阻害剤としては、ピフィスリンαやピフィスリンµが知られているが、これら3つの阻害剤の内、防護効果の最も高いバナデートのみがp53変性作用を有していることを見出した。我々は、このp53変性作用をバナデートの特徴と捉え、p53変性作用を有する新しい阻害剤の探索を進めた。一方、p53変性作用は、p53分子内に存在する金属イオン結合部位に配位する亜鉛イオンの解離によって生じることが報告されていた。 そこで本研究では、p53依存性の放射線誘発アポトーシスを引き起こすMOLT-4細胞を用いて、亜鉛キレート化剤のp53阻害剤としての有効性評価を行った。その結果、検討した5種のキレート化剤の内、2種がアポトーシス抑制効果を示した。アポトーシス抑制効果が最も高かったBispicenは、バナデートと同様にp53変性作用を示し、転写依存性・非依存性両経路のアポトーシス過程を抑制した。さらに、p53ノックダウン細胞株やp53変異体株、p53欠損細胞株での比較から、Bispicenのアポトーシス抑制効果がp53特異的であることも明らかとなった。現在、p53特異性の向上を目指し、Bispicenにp53特異的ペプチドを付加したハイブリッド化合物の活性評価を進めているところである。
著者
三浦 梢 大谷 聡子 鈴木 淳司 海原 康孝 光畑 智恵子 小西 有希子 河村 誠 香西 克之
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.11-19, 2011-03-25
参考文献数
17

近年,小児の歯肉のメラニン色素沈着は受動喫煙が関係しているとの報告が多くある。しかし受動喫煙環境下にない小児の歯肉にもメラニン色素がみられることがあり,これについて検討を行った報告はあまりない。そこで,小児の歯肉のメラニン色素沈着の要因となる可能性のある項目ついて研究した。3~11 歳の日本人小児50 名を対象に,歯肉のメラニン色素沈着を,沈着濃さと沈着範囲の2 項目で判定した。沈着濃さは「ない」「極めて薄い」「薄い」「濃い」の4 段階で,沈着範囲はHedin の分類を参考に「0」色素沈着を認めない,「1」1~2 箇所の独立した沈着を認める,「2」3 箇所以上の独立した沈着を認める,「3」色素沈着が帯状をなし左右で独立している,「4」色素沈着が帯状をなし左右で連続している,の5 段階で評価した。調査項目は口呼吸,上顎前歯部歯肉の腫脹,笑った時の上顎歯肉の露出,皮膚の色,日焼け,頭髪の色,唾液中のコチニン濃度,同居者の喫煙状況(同居者の現在および過去における喫煙,喫煙年数あるいは禁煙後の経過年数,喫煙場所,タバコの銘柄,日平均の喫煙本数,同居者以外からの受動喫煙の可能性),偏食,年齢である。これらの項目とメラニン色素沈着との関係を統計学的に分析した結果,「沈着濃さ」に対し日焼け,喫煙者との同居年数,頭髪の色,口呼吸,年齢が,「沈着範囲」に対し日焼け,喫煙者との同居年数,頭髪の色がそれぞれ正に相関した。
著者
高橋 靖彦 本谷 聡 堀口 文
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.224_1, 2017

<p> ラート競技は、器具の特性を活用した運動の難しさと出来映えを競う評定競技であり、直転、斜転、跳躍の3つの種目がある。主な採点項目には、演技の価値を示す「難度点」と、演技の正確性を示す「実施点」があり、国際審判団によって最終得点が決定される。近年は国際競技規則改訂が繰り返され、選手はそれに適応した演技を構成するために、最新のトップ選手の演技動向を把握する必要がある。本研究では、世界選手権2016の団体戦での上位入賞国(ドイツ、日本、スイス、オーストリア)が出場した、世界チームカップ・ラート競技選手権2017における全演技について調査を実施した。その結果、種目別の最高得点は直転が11.85点(難度点5.00点)、斜転が11.85点(難度点6.80点)、跳躍が10.30点(難度点5.80点)であった。2014年の前回大会と比較すると、斜転の最終得点が大きく上昇する傾向が認められた。その要因として、本大会から、斜転において従来の最高難度であったD難度(0.80点加点)に加え、R難度(1.00点加点)が導入され、難度点の上限がより高くなったことが考えられる。</p>
著者
高橋 靖彦 本谷 聡 堀口 文 小出 奈実 相原 奨之
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.269_2-269_2, 2016

<p> ラート競技は、3種目の演技中に実施される運動の難しさとその出来映えを競い合う採点競技である。大会では、直転、斜転、跳躍の3種目が実施され、主に演技における技の難しさを示す「難度点(difficulty score)」とその演技の出来映えを示す「実施点(execution score)」で最終得点が決定される。それらの採点の基準には国際ラート連盟競技規則(IRV code of points)が適用されるが、体操競技やフィギュアスケートなどの採点競技と同様に、国際審判員の主観的な判断により採点傾向が異なることが報告されている(本谷ら、2011)。そのため、選手は競技規則を理解するだけではなく、近年の国際審判団の採点傾向を把握することが重要と考えられる。本研究では、2016年6月にアメリカ・シンシナティで開催された第12回世界ラート競技選手権大会における、種目別決勝出場選手の演技構成ならびに各採点結果を調査及び分析することによって、今後のトレーニング計画に役立つ実践的な示唆を得ることを目的とした。なお、詳細な演技構成ならびに各採点結果については当日発表する。</p>