著者
遠藤 由紀子 松本 弘之 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.48, pp.17-24, 2001-05-11
参考文献数
17
被引用文献数
3

我々は, バイオメトリック認証技術の一つである指紋照合技術の安全性を評価する中で, ゼラチンにより作製したグミ製人工指が高い割合で指紋照合装置に受け人れられることを発見した. この事実は指紋照合装置の安全性に再考を迫るものであった. 一方, この認証方法が様々な環境で多くの人に安定して適用できることが求められているという観点で考えると, グミ製人工指は指紋照合装置に受け入れられにくい乾燥指をもつ人などへの救済手段となる可能性がある. 本稿では, グミ製人工指と乾燥した生体指について受入率の比較を行い, 両者の違いに関して人力された指紋画像のコントラストや柔らかさなどの観点からの議論を試みる.
著者
簡 梅芳 小畑 和貴 黄 毅 宮内 啓介 遠藤 銀朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.III_9-III_15, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
15

モエジマシダ(Pteris vittata)等のヒ素高蓄積植物はヒ素土壌汚染の浄化に適用可能と考えられている.本研究では, モエジマシダを用いたヒ素のファイトエクストラクション法による浄化技術に着目し, それによるヒ素吸収における微生物の関与の度合いを明らかにすることを目的として行った. 微生物植種の添加に伴うシダの栽培実験と土壌ヒ素の酸化試験を行い, ヒ素の土壌からシダへの移行特徴および形態変化を解析した. その結果, 土壌中の亜ヒ酸はヒ酸に酸化されたのち, その多くはシダにより吸収されることと, このヒ素酸化は微生物による作用であることが強く示された. さらに, シダ根圏試料に対して亜ヒ酸酸化酵素遺伝子aroAをターゲットとしたT-RFLP解析より, シダによるヒ素吸収に先立つヒ素形態の変化には, 土壌中のaroAを有する微生物が関与していると示唆された.
著者
鈴木 秀和 遠藤 健司 松岡 佑嗣 西村 浩輔 関 健 堀江 真司 前川 麻人 小西 隆允 山本 謙吾
出版者
三輪書店
雑誌
脊椎脊髄ジャーナル (ISSN:09144412)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.265-269, 2017-04-25

はじめに 成人脊柱変形患者は社会の高齢化に伴い増加し,脊椎矢状面アライメントに関する知見の重要性は増している.加齢による姿勢変化は,胸椎が後弯化し頸椎前弯が増強する傾向にあり,頸椎症の発症に大きく関与することが知られているが1,2,13),骨盤を含めた全脊椎アライメントと頸椎アライメントに関する定量的解析は多くなされていない.頸椎形態は,直線状,S字状,すべりの存在など多様性があり,頸椎前弯の計測法にもさまざまなものがある6).C2-7角は,途中の形態が不明となり前弯の形成の程度が不明となるため,C2-7角で頸椎矢状面アライメントを述べることにも問題があるといわれてきた9).また,頸椎矢状面アライメントは年齢,性差や個体差があるため,正常の定義,病的アライメントの解釈を明確に決めることは難しい11).1968年,石原8)は頸椎弯曲指数(石原指数)を用いて頸椎アライメントの性差,年代による変化があることを述べた7,8)が,徐々に,全脊椎矢状面アライメントとの関連が明らかになり,頸椎アライメントの概念は変化しつつある.近年,日本人を対象にYukawaらは626人の性別,年代別に全脊椎矢状面アライメント計測と,1,200人の頸椎矢状面アライメントと頸椎可動域(range of motion:ROM)を示した11,12).頸椎前弯の消失や後弯発生は,C2-7sagittal vertical axis(SVA)やT1椎体の傾斜と大きな関連があり,頸椎症発生は隣接脊椎のアライメントに強く影響を受ける2,4).本稿では,日本人のデータより得られた健常人の頸椎矢状面アライメントと全脊椎矢状面アライメントとの関係について述べる.
著者
遠藤 寛子 湯川 進太郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.505-513, 2012 (Released:2012-08-18)
参考文献数
40
被引用文献数
2 4

Relationships were investigated between the sense of unintegration of thoughts, recurrent thinking, and avoidance behavior, which are considered to be factors in maintaining anger. Undergraduate students (N = 990) were asked to write about anger episodes that they had experienced a week or more ago. Then, they completed a questionnaire assessing their sense of unintegration of thoughts at the present time and just after the episode, their present recurrent thinking, their avoidance behavior after the episode, and their present degree of anger. The results of covariance structure analysis indicated that the sense of unintegration of thoughts just after the episode maintained anger through recurrent thinking. Recurrent thinking also intensified their present sense of unintegration of thoughts, which directly maintained anger. Moreover, the sense of unintegration of thoughts just after the episode led to an increase in avoidance behavior, which was related to recurrent thinking.
著者
佐藤 圭汰 小俣 純一 遠藤 達矢 三浦 拓也 岩渕 真澄 白土 修 伊藤 俊一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0183, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに】肩こりは平成22年および25年の厚生労働省国民生活基礎調査において,男女ともに高い有訴率で,改善が急務とされる病態の一つである。その中でも,肩こり患者の僧帽筋の筋硬度は健常者と比較して有意に高値を示すという報告があり,理学療法介入による改善が期待できる一つの因子である。鎮痛効果を目的とした電気刺激療法は,一般的に経皮的神経電気刺激法(TENS)が用いられるが,今回はTENSと比較し皮膚抵抗が少ない高電圧電気刺激法(HVS)に着目した。HVSは鎮痛効果に加え,筋ポンプ作用による血液循環増大効果を持つことが報告されており,肩こり患者における僧帽筋の筋硬度を改善させる可能性がある。しかし,肩こり患者に対するHVSの効果は検討されていない。そこで本研究の目的は,肩こり患者に対するHVSの即時的効果と筋硬度に対する介入の意義を検証することである。【対象と方法】対象は同意を得た肩こりを有する成人女性15名(40.3±8.4歳,155.4±2.6cm,58.7±10.5kg)。HVSはPHYSIO ACTIVE HV(酒井医療社製)を用い,設定を周波数50Hz・パルス持続時間50μsecとして,対象者が不快に感じない電流強度で10分間実施した。筋硬度の測定は超音波画像診断装置Aixplorer(SuperSonic Imagine社製)を用いた。測定肢位は両上肢を体側につけた腹臥位として,僧帽筋上部線維の筋硬度を測定した。筋硬度はHVS前・直後・5分後,疼痛(VAS)はHVS前後に評価を実施した。統計的解析は治療前後の筋硬度変化に多重比較法,治療前後のVASに対応のあるt検定を用いた。有意水準は全て5%とした。【結果】僧帽筋の平均筋硬度はHVS前32.9±14.0kPa,直後30.0±11.2 kPa,5分後23.8±6.6 kPaで,HVS前・直後に比べて5分後に有意な低下を示した(p<0.05)。平均VASはHVS前52.6±22.8mm,HVS後31.8±21.3mmで,HVS前に比べHVS後に有意な低下を示した(p<0.01)。また,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与した者10名(66.7%)で,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与しない者2名(13.3%)であった。【結論】結果からHVSは筋硬度を低下させる効果を有し,肩こり患者の疼痛を改善する方法のひとつとなり得ることが示された。疼痛改善に用いる筋収縮後の弛緩期を利用した動的ストレッチは,血流改善による筋痛の緩和が報告されている。土井らは動的ストレッチ効果の持続時間を検証し,血液量が増加し筋温が上昇していくことで筋硬度の低下,筋伸張性が向上すると述べ,介入前に比べ直後,10分後と有意に効果が向上することを報告した。今回,HVSにより筋収縮が繰り返され,動的ストレッチと類似した効果が得られたため,筋硬度の改善,疼痛改善につながったと考える。しかし,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与しない者もみられた。肩こりの原因は多岐に渡るため,筋硬度に対するアプローチはあくまで肩こり患者の疼痛を改善させる方法の一つと考え,実施することが重要と考える。
著者
阿形 清和 野地 澄晴 梅園 良彦 横山 仁 遠藤 哲也 柴田 典人
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

新学術領域研究『再生原理』では、日本の看板研究の一つであった<再生研究>の成果をもとに、3次元構造をもった指や器官の再生を目指す-新しい再生医療をめざす研究領域を作るために本領域を立ち上げた。そして、再生原理を明らかにすることで、再生できない動物に3次元構造をもった指や器官の再生を引き起こすことを目指した研究を展開した。その結果、プラナリアやイモリで再生原理を明らかにしたことで、尾部からは頭部を再生できないプラナリアを遺伝子操作によって再生できるように成功し(Umesono et al., Nature, 2013)、また関節を再生できないと考えられていたカエルに関節を再生させることに成功した(Tsutsumi et al., Regeneration, 2015, 2016)。これらの画期的な研究成果をより広く世界中の研究者、一般の方々、再生医療関係者に広めていくのに、それらの成果を海外ジャーナルに出版するとともに、国内新聞やEurekAlertなどの国際科学Webサイトを使って広報した。英語での論文出版と、海外向けの広報活動などについてはElizabeth Nakajimaさんを雇用できたことでスムーズに展開することができた。この1年でカエルの関節再生を含め重要な論文を8報、英文誌に出版することができた。また、高校生向けとしては、京都市立西京高校、愛知県立一宮高校、明和高校、宝塚北高校、広島ノートルダム清心女子高校などに出張講義あるいは大学での実習を行った。一般向けとしては、東京で公開講演会を行うとともに、ABC放送、BSフジの『ガリレオX』などで本研究の成果は紹介された。このように、5年間にわたる本研究成果を、国内外に積極的に広報することに成功した。そして、最後に5年間にそれらの成果を冊子体としてまとめて報告書とした。
著者
高橋 英之 伴 碧 佐武 宏香 遠藤 信綱 守田 知代 浅田 稔 下條 信輔
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.395-399, 2015-09-18

正弦波に応じてリズムを変動させる太鼓をたたくぬいぐるみロボットを開発,正弦波のパラメータがどのようにその ロボットとの被験者のリズムインタラクション(交互太鼓たたき課題)における主観的感覚に影響を与えるのかにつ いて調べてきた.その結果,リズムを決める正弦波周期が長くなればなるほど,ロボットが被験者に追従していると いう社会的感覚が生じ,その結果,ぬいぐるみロボットに対する親しみなどの主観的印象が向上することが示された.

2 0 0 0 OA 小学博物問答

著者
遠藤省吾 編
出版者
弘書堂
巻号頁・発行日
vol.巻之1, 1877
著者
濱田 哲 松原 雄 遠藤 修一郎 山田 幸子 家原 典之 中山 晋哉 伊丹 淳 渡辺 剛 坂井 義治 深津 敦司
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.541-545, 2009-06-28 (Released:2009-09-15)
参考文献数
6
被引用文献数
1

症例は,69歳女性で,食道癌手術目的で入院,初回血液透析終了後から発熱を生じるようになった.種々の原因検索の結果,先発医薬品(以後先発品),後発医薬品(以後後発品)両者の含めたメシル酸ナファモスタットが原因であることが分かった.詳細に臨床症状を検討した結果,両者では副作用発現様式に明らかな相違が認められた.後発品の場合,使用回数とともに発熱までの時間が短縮し,血圧低下も合併するようになった.一方,先発品に変更後は後発品と同様に発熱は認められたが,透析終了後一定時間を経過して生じるようになり,アナフィラキシー症状は認められなかった.この相違に対して可能な限りの血清学的検索を行った.DLSTでは後発品使用後116日目に陽性,先発品は128日目に陰性,以後は両者とも陰性であった.先発品でメシル酸ナファモスタットに対するIgE抗体は陰性,IgG抗体は陽性であった.後発品では抗体検索システムが確立されておらず測定不可能であった.以上の結果を総じて,透析関連性の発熱の原因としてメシル酸ナファモスタットが原因であること,先発品・後発品で明らかに発症状況に差があり,発症機序が異なっていることが示唆された.先発品ではIgGによる免疫反応が発熱の原因であると推測された.しかし後発品のアレルギー症状と免疫反応との関連が発症機序の理解に重要であると考えられたが,原因検索システムが整備されておらず解明できなかった.本症例のように,先発品,後発品両者の間で,アレルギー症状発現様式に相違があることを,詳細に分析した症例報告は検索した範囲内では認められなかった.後発品においても先発品同様副作用の原因検索システム構築が重要であることを指摘する上でも貴重な症例であると考えられた.