著者
遠藤 匡俊
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.611-634, 2020-10-25 (Released:2020-11-13)
参考文献数
63
被引用文献数
2

Natural phenomena such as volcanic eruptions, earthquakes, and tsunami, have long been regarded by many people around the world as indicating the wills of deities. Such superstitions have been replaced gradually by modern scientific thinking. The Ainu people believed that evil deities caused volcanic eruptions, so they prayed to benevolent deities in order to avert them. As such, the Ainu people had superstitious beliefs on the causes of volcanic eruptions and how they could be prevented. In spite of their superstitious beliefs, the Ainu people actually had scientifically accurate ideas on the process of a volcanic eruption, the origins of material ejected from a crater, and the process of lava dome formation. This was long before scientific conception of volcanology and the geomorphology of volcanoes emerged in Japan. Modern science was introduced to Japanese volcanology and the geomorphology of volcanoes in the 1890s. Around the 1791, the Ainu people, who were neither scientists nor specialists, surmised that a volcanic eruption was actually caused by burning material under ground rising up from a crater through a fire well to the surface. The Ainu people's deductions on the process of a volcanic eruption were similar to the latest theories on magma eruptions in volcanology. The Ainu people's course of action of seeking refuge when Mt. Usu erupted was not based on superstition but on their memories of past eruptions. These memories informed them that a series of earthquakes heralded an eruption, as well as the facts that damage to areas by eruptions and their personal sufferings were actually due to pyroclastic flows and surges from past eruptions of Mt. Usu.
著者
吉田 昌弘 遠藤 章 佐藤 滋朗 大畑 勉 渡辺 正敏 大山 柳太郎 古屋 廣高
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.213-218, 2005-09-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

A number of consumer's goods which contain natural uranium and thorium are circulated in the familiar living environment. Based on various kinds of information sources, 20 kinds of these consumer's goods were collected and their radioactive concentrations were measured by using ICP-MS and Ge semiconductor detector. As this result, it was found that the concentrations of uranium and thorium in the consumer's goods used at home and industries were below 34Bq/g and below 270Bq/g, respectively. Next, the concentrations of daughter nuclides were not so different from the ones of uranium or thorium, which showed that the secular radioactive equilibrium held between both concentrations.In addition, the radiation exposures for public consumer were evaluated when four kinds of typical consumer's goods frequently used in daily life are utilized. The results computed by MCNP-4C code were below 250μSv/y.
著者
小松 あき子 原田 和樹 遠藤 伸之 永塚 規衣 長尾 慶子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.128-136, 2011-04-05
参考文献数
18
被引用文献数
8

本学調理科学研究室で調製した"塩漬""味噌漬""すんき漬"と市販漬物数種の品質ならびに機能性を検討した。漬物の品質は色差測定,pH測定,塩分濃度測定ならびに破断強度測定により評価し,機能性には抗酸化力の指標として「化学発光法」,「ORAC法」および「HORAC法」により評価した。<br>その結果,各野菜漬物の重量,色差および破断歪率は経時的に変化し, pHは塩漬ではpH4~6,味噌漬ではpH5.2付近を示した。また,塩漬野菜の漬け液,"味噌漬""すんき漬"は高い抗酸化力を示し,特に発酵漬物である"すんき漬"は高いペルオキシラジカルおよびヒドロキシルラジカル消去活性を有していることが明らかとなった。市販漬物においても発酵漬物である"すぐき漬"や"高菜漬"は高い抗酸化力を示した。
著者
八木澤 史子 安里 基子 遠藤 みなみ 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.118-123, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

クラウドでの共同編集機能を用いて,若手教師が作成した学習指導案を,ベテラン教師の助言を受けながら修正するという実践を行った.修正は2つの方法で実施した.1つめは,クラウドサービスのアプリを利用した「共同編集機能のみ」,2つめはクラウドサービスのアプリに加えて,テレビ会議システムを利用した「共同編集機能およびオンラインによる対話」であった.結果,2つの方法ではやりとりされたコメントの数に違いがあることが示唆された.
著者
遠藤 薫 吹角 隆之 足立 準 小嶋 益子 青木 敏之 吉田 政弘 森田 和矢 成 隆光 辻野 守典
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1013-1024, 1997
被引用文献数
3

1. 3〜12歳のアトピー性皮膚炎患者30名を無作為に2群に分け, 1年間にわたって患者の部屋及び寝具を掃除することによって, ダニ数が減少し, 患者の症状と検査値の改善に寄与するかを, 二重盲検試験で検討した。2. 前後のダニ数は, モニター群とコントロール群の両群とも, 患者の部屋の床で有意に低下していた。終了時, モニター群の寝具でより大きいダニ数の低下の傾向が認められ, 特に掛け布団において有意なダニ数の差異が認められた。3. 終了時, 症状スコアはモニター群で有意に改善していたが, コントロール群ではそうではなかった。両群間で症状スコアの変動率を分析すると, モニター群においてより軽快傾向が見られたものの有意差は認められなかった。4. 血清IgE値は掃除前後で両群とも有意差はなかった。Dermatophagoides farinae (Df), D. pteronyssinus (Dp) に対するRAST値は, 有意差はなかったが, モニター群でより大きい低下がみられた。5. ダニ数の低下は, 臨床症状の改善とダニRAST値の低下に寄与する可能性が示唆された。
著者
遠藤 みなみ 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45070, (Released:2021-08-06)
参考文献数
12

本研究では,小学校の初任者教師のICT 活用に関する省察について,2020年度から小学校の初任者教師として勤務した教師A(第一著者)による省察の記録を基にした自己エスノグラフィーにより把握し,坂本(2007)の枠組に基づいて整理した.その結果,11カテゴリが生成された.教師A は,「個人での省察」において【ICT 活用による授業の力量不足の補填】などを省察し,「個人での省察」や先輩教師の指導による「協同的な省察」において【ICT を活用した授業の力量不足】などを省察していた.また,「協同的な省察」や,職員室でのICT 活用の話題による「日常的に埋め込まれた学習」において【ICT 活用の授業的な職場の雰囲気】などを省察していた.

2 0 0 0 OA 七曜の訳語考

著者
遠藤 智比古
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.21, pp.169-184, 1988-10-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
26

The main theme of this paper is to make clear when and how the names of shichiyo were translated from European languages into Japanese.The writer examined representative Dutch-Japanese dictionaries compiled in the Edo era and important English-Japanese or Japanese-English dictionaries published in the late years of Edo era and in the early years of the Meiji era.In the oldest, extant English-Japanese dictionary ‘_??__??__??__??__??__??__??__??_’ (1811) by Shôei Motoki, we can find the names of shichiyo in the same forms as in the present use. But about 20 years before, Shôei's father Yoshinaga Motoki made an astroromical translation from Dutch, and in his book (1791-1792), we can find shichiyo such as_??__??__??_, _??__??__??_, _??__??__??_, _??__??__??_, _??__??__??_, _??__??__??_, _??__??__??_.It may be said that Yoshinaga Motoki and his son played an important role in the translation of shichiyo.In the process of his translation, he seemed to refer to Latin. How was he able to have a knowledge of Latin? In 1595, Christian missionaries made a Latin-Portuguese-Japanese dictionary in Amakusa. He could consult this dictionary.After presenting a report at the regular monthly meeting in May, 1988, the writer knew that shichiyo appeared as _??__??_, _??_, _??_, _??_, _??_, _??_, _??_ in ‘Midokampakuki’ by Michinaga Fujiwara (998). Why were they in the same order as in the present use?What is the relation between the theory of the five natural elements _??__??__??__??__??_ (i.e. wood, fire, earth, metal and water) and the naming of shichiyo?The writer hopes this paper will help scholars make further studies.
著者
遠藤 一彦 松田 浩一 安彦 善裕 大野 弘機 賀来 亨
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.682-690, 1997-11-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
80
被引用文献数
5 5

Metallic surgical implants have been widely used in orthopedics and dentistry. This paper reviews the biodegradation of metallic implants and its local and systemic effects on patients. The review discusses typical damage of 316L stainless steel, Co-Cr alloy, commercially pure Ti, and Ti-based alloy implants due to corrosion and wear and factors affecting the biodegradation of these implants. Macrophage mediation of cellular and humoral regulatory pathways in inflammatory and immune responses to metallic ions and wear debris released from the implant is summarized. Implant-related factors influencing the susceptibility to local infection are also discussed.
著者
本郷 一美 石黒 直隆 鵜沢 和宏 遠藤 秀紀 姉崎 智子 茂原 信生 米田 穣 覚張 隆史 高橋 遼平 朱 有田 VU The Long
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本への家畜ブタ導入を判定する基礎資料として、現生および遺跡出土のイノシシ属の計測データを蓄積し、日本列島の南北におけるイノシシのサイズ変異の程度を明らかにした。また、東南アジア、琉球列島産の在来種ブタとイノシシおよび遺跡出土のイノシシ属のmtDNA分析を行った。日本在来馬の体格の変遷を探り、大陸のウマと比較するため、現生および中部~東北地方の古代、中世および近世の遺跡から出土したウマ骨格の計測データを収集した。
著者
遠藤 尚志
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.258-260, 1991-05-10

1. 訪問活動の中から 私は日頃, 「体は病院にあっても心は地域にある」と宣言している。と言うのは, 病院に来られる方は, まがりなりにも必要なケアが受けられるからである。それならば, 在宅患者はどんどん病院に連れてくればよいかというと, そうもいかない。何故なら, 私の中心的な対象者である高齢で重症で痴呆も伴っていて, 発病から5年・10年あるいはそれ以上経過している, という人たちは, ただ病院に連れていったのでは, 「この人は言語訓練の対象にはなりませんね」と宣告されるだけに決まっているからである。病院で行われる言語訓練は, 障害の過程を分析した上で障害の構造を明らかにし, その中で外からの働きかけによって変化しうる部分に治療的介入を行なう, という原理に立脚している。この方法を, 一応「因果論的発想にもとづく治療原理」と呼ぶこととするが, これは言語療法に限らず, 理学療法においても作業療法においても, あるいは他の医学的な治療法においても共通した考え方となっている。そしてその淵源は, 近代科学の思考法にあるといってよいであろう。この因果論的な治療原理においては, 働きかけに対する患者の直接的な応答性を高めるということだけが, 専門職の関心事である。したがって, 治療の結果回復した能力をどのように使うか, ということについては専門職はタッチせず, 本人や家族たちに任されることになる。このような方法論が老人のリハビリテーションの分野でどのような結果を生んでいるか, ということを一人のケースを通じて示したい。
著者
林 真愉美 遠藤 陽子 市川 和子 河原 和枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成18年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.88, 2006 (Released:2006-09-07)

【目的】凍結全卵の調理特性については、我々のこれまでの研究で卵豆腐や茶碗蒸しなどの蒸し料理において普通卵と同様の結果が得られ、コスト面では普通卵に劣るものの、ごみや保管スペース、作業効率、衛生管理の面で利用価値が高いと考えられた。しかし、かきたま汁や中華スープなどの汁物では卵が散ってしまい外見が悪いという点から実用化には至っておらず、凍結全卵の汁物への適応が課題として残されていた。今回は液卵の粘度に着目し、汁物における凍結全卵の利用について検討を行った。【方法】凍結全卵はキューピータマゴ(株)の凍結全卵No.3およびNo.12、ツインパックを使用した。常温(15℃)に解凍した各種凍結全卵および普通卵を用いてかきたま汁を作成し官能評価を行った。さらにツインパックを47℃に加温し同様の官能評価を行った。官能評価は普通卵を基準とし、評価項目は散在状態、色、味・食感、総合の4項目とした。さらに凍結全卵No.3、ツインパック、普通卵の各温度帯における粘度についてB形粘度計(東京計器)を用いて測定した。【結果】官能評価の結果、常温で使用した凍結全卵のかきたま汁はいずれも普通卵に劣っており実用化できるものではなかった。しかし、47℃に加温したツインパックは散在状態以外の全ての項目で普通卵よりも良好な結果が得られ、従来汁物以外で使用している凍結全卵No.3でも40℃以上に加温することで普通卵に近い状態が確認され、加温することで汁物にも利用できる可能性が示唆された。液卵の粘度については、ツインパックは普通卵と同様に温度による変化が小さく安定していたが、凍結全卵No.3は温度による影響を受けやすく、不安定であることが明らかとなった。
著者
奥村 康昭 遠藤 修一
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水學雜誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.103-112, 2003-08-20
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

ブイ式の気象ステーションを設計・製作し,琵琶湖北湖南部の北小松沖に設置した。観測した項目は,風向・風速・気温と水温か湿度である。データはMCA無線で研究室まで伝送される。観測期間は1998年から2001年の4年間であるが,漁船の当て逃げや,基地局への落雷,太陽電池の能力不足によって,かなりの欠測がある。<BR>全観測期間の平均風速は3.0m s<SUP>-1</SUP>であり,同期間の彦根気象台の平均風速(2.7m s<SUP>-1</SUP>)の1.1倍である。<BR>月平均風速は1月~3月が大きく,6月が一番小さい。彦根と同じく北西と南東の風が卓越する場合が多いが,南~南南東が卓越することもある。<BR>湖上の気温の年較差は33.3℃であり,彦根の同期間の年較差41.3℃より小さい。また,日較差の年平均値は4.9℃であり,湖外の値よりかなり小さく,湖による気温変化に対する緩和作用を示している。<BR>2001年の相対湿度の年平均値は75%であり,彦根の71%より少し大きくなっている。簡単なセンサーで比較的精度良く測定できたと考えられる。
著者
河村 好章 長瀬 弘司 遠藤 正和 重松 貴 江崎 孝行 藪内 英子
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR BACTERIOLOGY
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.597-610, 1991
被引用文献数
3 3

グラム陽性,カタラーゼ陽性好気性球菌の迅速同定キット「スタフィオグラム」(テルモ)のプレート作製,追加試験選定およびコードブック編集のための基礎実験を行った。<br>この目的のため<i>Staphylococcus aureus</i>を含む<i>Micrococcaceae</i>の3属30菌種の基準株のそれぞれが固有のコード番号を示すスタフィオグラムプレートを作製した。このプレートは10種の糖分解試験と8種の酵素活性試験から成り,McFarland No.4の菌液50μlを各ウェルに分注し,37C, 4時間培養後に結果を判定する。<br>このプレートを用いて新鮮分離株の同定を試みるに先立ち,好気性グラム陽性球菌同定へのfluorometric microplate hybridizationの有用性を確認した上で,新鮮分離386株のすべてを核酸同定した。これらの菌株をスタフィオグラムプレートで培養すると,得られたコード番号236種類のうち218種(92.4%)は<i>Staphylococcus</i>属15菌種と<i>Stomatococcus mucilaginosus</i>に固有の番号であった。被検386株のうち,これらの番号のいずれかに該当した342株(88.6%)は追加試験を行うことなく同定できた。同定できた<i>Staphylococcus</i>属15菌種のうちApproved lists of bacterial namesに収録されているもの(すなわち1980年1月1日以前の正式発表名)が11菌種を占め,その後に提案された菌種と同定されたのは<i>S. caprae, S. lugdunensis, S. gallinarum</i>および<i>S. delphini</i>の4菌種に過ぎず,残りの8菌種に該当する株はなかった。しかし<i>S. caprae</i>(48株),<i>S.haemolyticus</i>(46株),<i>S. capitis</i>(35株)は<i>S. epidermidis</i>(67株)に次いで株数が多く<i>S. saprophyticus</i>(31株)より上位にあった。<br>236種類のコード番号のうち2菌種に重複したのは7種類(27菌株),4菌種に重複したのは1種類(17菌株)の計8種類(3.4%)であった。コード番号が重複した44菌株は追加試験として選択した8項目のうち1∼3項目を実施することでmicroplate hybridizationの同定結果を追認し得た。<br>以上の結果からスタフィオグラムは<i>Staphylococcus, Micrococcus, Stomatococcus</i>の各属の菌種の迅速同定キットとして有用であると確信した。今後核酸同定した菌株によるデータを集積して専用コードブックを作製し,同定精度の高いキットを完成させたい。
著者
遠藤 啓太
出版者
広島大学附属福山中・高等学校
雑誌
中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.168-173, 2017-03-31

若者の政治離れや,選挙における投票率の低さが問題視されて久しい。2016年6月からは公職選挙法の一部が改正され,公職の選挙において選挙権を有する者の年齢が満18歳以上に引き下げられた。翌7月には参議院議員通常選挙が実施され,国政選挙に多くの若者の1票が投じられたことが大きなニュースとなった。本稿では,以上のような状況の中で,政治に関心をもつことができたり,社会の間題に対して他人事としてではなく,当事者意識をもって向き合ったりすることのできる生徒の育成を目指した中学校社会科公民的分野「地方自治」の授業実践の報告を行い,成果と課題についてまとめる。