著者
中島 直久 野田 康太朗 守山 拓弥 森 晃 渡部 恵司 田村 孝浩
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.I_225-I_234, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
35

春季におけるトウキョウダルマガエルの生息場保全策の検討に向けて, 本種が冬眠から目覚めて地上へ這い出す際に残す這い出し穴の形状を特定し, ニラ畑と裸地の2圃場において這い出しの時期と, その時の地温および降水量との関連を調べた.対象地の這い出しは4月中旬~5月下旬に行われ, 2山のピークが確認された.調査日間の日平均這い出し穴数, 日最高・最低地温, 期間最大連続雨量を指標とすると, 這い出しは日最高地温が12~15℃の範囲で開始した.両圃場において日平均這い出し穴数と期間最大連続雨量との間に正の相関関係が認められた.これらの結果から, 本種は日最低地温が特定の温度以上において降雨がある場合に, 越冬を終了して地上へ這い出すと推測された.
著者
村山 恭朗 伊藤 大幸 浜田 恵 中島 俊思 野田 航 片桐 正敏 髙柳 伸哉 田中 善大 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.13-22, 2015 (Released:2017-03-20)
参考文献数
32
被引用文献数
6

これまでの研究において,我が国におけるいじめ加害・被害の経験率は報告されているものの,いじめに関わる生徒が示す内在化/外在化問題の重篤さはほとんど明らかにされていない。本研究は,内在化問題として抑うつ,自傷行為,欠席傾向を,外在化問題として攻撃性と非行性を取り上げ,いじめ加害および被害と内在化/外在化問題との関連性を調査することを目的とした。小学4年生から中学3年生の4,936名を対象とし,児童・生徒本人がいじめ加害・被害の経験,抑うつ,自傷行為,攻撃性,非行性を,担任教師が児童・生徒の多欠席を評定した。分析の結果,10%前後の生徒が週1回以上の頻度でいじめ加害もしくは被害を経験し,関係的いじめと言語的いじめが多い傾向にあった。さらに,いじめ加害・被害を経験していない生徒に比べて,いじめ被害を受けている児童・生徒では抑うつが強く,自傷を行うリスクが高かった。いじめ加害を行う児童・生徒では攻撃性が強く,いじめ加害および被害の両方を経験している児童・生徒は強い非行性を示した。
著者
野田 俊彦
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.346, pp.714-727, 1915-10
被引用文献数
1
著者
野田 宇太郎
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
no.4, pp.19-28, 1955-06
著者
野田 菜央
出版者
神奈川県警察科学捜査研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2018

資料の劣化は法科学的資料によく見られる特徴であり、体液種の同定における劣化資料への対策は重要な課題である。法科学的資料としてしばしば扱う体液種の1つである唾液の同定法として汎用されているアミラーゼ活性検査も、劣化した資料では活性低下により唾液同定が困難になることがある。また、劣化の程度は資料ごとに異なり、採取状況や資料の外観から劣化度を知ることは困難である。劣化度を正確に把握できれば、劣化度に応じてより効果的な検査法を選択し、資料の消費を抑えることができると期待される。そこで本研究では、唾液同定法の一種であるELISA法に着目し、資料中のタンパク質の劣化度をタンパク質分解度(PDR ; Protein Degradation Ratio)という指標で定義して資料の劣化度を評価した上で、PDRの異なる資料に対してELISA法を実施し、劣化資料に対する有効性を明らかにすることを目的とした。まず、タンパク質分解酵素で段階的に断片化したBSAについて、280nmにおける吸光度により総タンパク質量、Bradford法により比較的断片化していないタンパク質量を定量し、それぞれの定量値の比をPDRとして定義した。その結果、分解酵素の処理時間に応じてPDRの増大が認められた。また、土壌環境下で処理した健常人の唾液斑についても同様にPDRを推定したところ、劣化資料は未処理の唾液斑に比べて高いPDRを示した。さらに同資料に対してアミラーゼ活性を測定したところ、劣化資料においてアミラーゼ活性の低下が認められた。また、アミラーゼ、スタセリンを指標としたELISA法を実施したところ、劣化資料においてアミラーゼは検出されたが、スタセリンはほとんど検出されず、ELISAマーカーによって結果に差異が生じた。本研究より、資料の劣化度をPDRという指標で推定できることが明らかとなった。また、PDRから資料の劣化度に応じたELISAマーカーの選択ができる可能性が示唆された。今後は新たなELISAマーカーについて唾液同定の有効性を検討していきたい。
著者
野田 伸司 渡辺 実 山田 不二造 藤本 進
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.891-897, 1981-12-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
11

生体試料中のNDVおよびワクチニァウイルスに対するイソプロパノール (IP) の不活化作用を検討した.IPは各種の生体試料により, 強い不活化阻害作用を受けるが, 試料の状態により不活化阻害の傾向には, 大きな違いが認められた.血清, 尿および脱線維血液等の液相において, エタノールの場合と同様に, IPの濃度の低下と共セこ, 試料による不活化の阻害が強く示された.しかし, 脱線維血液と同じ水分を含む凝固血液中のウイルスに対しては, 50~80%に不活化の至適濃度が示され, いずれの試料中のウイルスに対しても, 高濃度ほど強い不活化効力を示したエタノールとは, 不活化阻害の機序を異にすることが推測される.乾燥血清中のウイルスは, エタノールの場合と同様に, 40%前後の比較的低濃度のIPにより, 最も効果的に不活化された.エンベロープウイルスに対しては, 生体試料中においても, IPは効果的な殺ウイルス剤と考えられるが, 含水, 乾燥いずれの状態にも対応できる実用的な濃度としては, 50%が適当と思われる.
著者
小野田 波里
出版者
京都大学文学部科学哲学科学史研究室
雑誌
科学哲学科学史研究 (ISSN:18839177)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-49, 2011-02-28

In the process of forming the general theory of relativity, demands of the theoretical principle play an important part, and these are regarded as the basis that the general theory of relativity is a relativistic theory of space and time, combined with Einstein's philosophical reference. However, historically speaking, the general theory of relativity was not constructed on some theoretical stipulations in a consistent way, but rather it went through some shifts of them. So by scrutinizing these shifts, we may clarify the actual process of the theory's construction. In this paper, we pay attention to two ideas, "the relativity of inertia" and "Mach's principle," which are not regarded as a theoretical principle of the general theory of relativity nowadays. And we will try to give an answer to the following questions: (1) why Einstein thought that "Mach's principle" was important as a theoretical principle when the general theory of relativity completed, (2) why he thought "Mach's principle" was related to what Ernst Mach claimed, and (3) what is the idea which was called "the relativity of inertia." Making these ideas clear contributes to solve some confusions on the foundation of the general theory of relativity.
著者
鎌倉 令 山田 優子 岡村 英夫 野田 崇 相庭 武司 里見 和浩 須山 和弘 清水 渉 相原 直彦 上野 和行 鎌倉 史郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.150-157, 2011 (Released:2011-08-02)
参考文献数
11
被引用文献数
4 2

ベプリジルの至適投与量,ならびに安全かつ有効な血中濃度域を見いだすために,不整脈に対してベプリジルを投与した112例(男性80例,女性32例,年齢64.3±12.5歳)の血中濃度を測定した.測定には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用い,臨床的特徴,心電図指標などを対比し,不整脈抑制効果と副作用の発生状況を評価した.平均投与量は128±34 mg/日,平均血中濃度は751±462ng/mlであり,200mg投与群では有意に高い血中濃度(1,093±721ng/ml)を示した.平均観察期間899日で,心房頻脈性不整脈109例中14例が洞調律を維持し,57例で自覚症状が改善した.改善例の血中濃度は非改善例に比べ有意に高かった(866±541ng/ml vs. 622±329ng/ml, p=0.006).副作用としてQTc延長>0.48秒を10例に,徐脈を6例に認めたが,それらの濃度は副作用のない群に比して有意に高かった(QTc延長vs.副作用なし : 1,086±471ng/ml, p=0.005,徐脈vs.副作用なし : 1,056±522ng/ml, p=0.03).Torsade de pointesを呈した例はなかった.【結論】日本人のベプリジル至適投与量は150mg/日以下,症状を改善し,かつ副作用が出現しにくい血中濃度域は600~1,000 ng/mlと考えられた.
著者
内田 真紀子 蜂須賀 研二 小林 昌之 堂園 浩一朗 田中 正一 緒方 甫 野田 昌作
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.326-329, 1996-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
15

We report a 19-year-old man suffering from acute poliomyelitis induced by the attenuated strain of type 3 polio virus. As he had severe muscular weakness in the right lower limb and slight weakness in the left lower limb, we prescribed the following rehabilitation program: active assistive or manual resistive exercises for his right lower limb, resistive exercises for his left lower limb, and gait training with a knee-ankle-foot orthosis. As only two or less than two cases of acute poliomyelitis a year have been reported in Japan, we are following up this patient from the standpoint of preventing post-polio syndrome.
著者
宇都 良大 小野田 哲也 愛下 由香里 田中 梨美子 大重 匡
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.59, 2016 (Released:2016-11-22)

【はじめに】糖尿病において,末梢神経障害は最も早期に発症する合併症であるが,特に痛みを伴う有痛性糖尿病神経障害は大きな問題となる.その中でも,軽い触覚刺激などで疼痛を生じるアロディニアは,不眠症や抑うつ症状を伴いQOLを低下させ,治療行動へのアドヒアランスも低下する.今回,アロディニアを発症した症例に対して,痛みに考慮しながら療養指導や運動療法を行うことで,QOLの改善と運動療法のアドヒアランスが改善した1例を経験したので報告する.【症例】糖尿病教育入院を経験している2型糖尿病の49歳男性.夜間帯の仕事によって食事と睡眠が極めて不規則となり,体重増加と血糖コントロールが不良となった.また,アロディニアによって,四肢末梢・右顔面や全身にnumerical rating scale(以下NRS):4~8の持続疼痛が生じ,抑うつ状態の進行と睡眠障害が悪化し,就業不能となり再教育入院となった.インスリン強化療法と内服による疼痛コントロールが開始された.発汗で掻痒感が出現すること,低血糖への恐怖から運動に対しての意欲は低く,行動変化ステージは熟考期であった.生活習慣改善と体重コントロール目的でリハビリテーション(以下リハ)依頼となり,抑うつ状態や希死念慮に対しては,臨床心理士のカウンセリングが開始された.【検査所見】身長181.7cm,体重101.5kg,BMI30.7kg/m2,体成分分析(BIOSPACE社,In Body720)において骨格筋量37.7kg,体脂肪量33.7kg.血糖状態は,空腹時血糖200~210mg/dl台,HbA1c(NGSP)8.2%,尿ケトン体陰性.アキレス腱反射-/-,足部振動覚 減弱/減弱,末梢神経障害+,網膜症-,腎症+,自律神経障害+.【経過】介入時,覚醒状態不安定で,動作による眩暈・ふらつきを伴うため臥床時間が延長し,食事摂取量は不安定であった.生活習慣の構築を目的に,食前の覚醒促しと食後1~2時間の運動療法介入を設定した.自己管理ノートに日々の体重と,運動療法前後の血糖値を記録し,低血糖対策の個別指導をした.非運動性熱産生(以下NEAT)の指導を行い,日中の活動量向上を促した.運動療法プログラムは,NRSから有痛症状を訴にくい部位を判断し,股関節周囲のストレッチと体幹のバランス訓練を開始した.介入4日目から下肢筋力訓練を追加実施可能となり,介入12日目に掻痒軽減が図れたタイミングで有酸素運動を開始した.【結果と考察】内服による疼痛コントロールと,インスリン強化療法による糖毒性解除により,空腹時血糖値が90~100mg/dl台と改善したことに伴い,NRS:1~2と疼痛が軽減した.また,眩暈やふらつきが軽減したことで日常生活に支障がなくなり,カウンセリングにより情緒面の安定が図れたことで3週間後退院となった.仕事の関係上,夜型のライフスタイル変更は図れなかったが,食事時間を規則的にすることや昼間の活動量を高めることを約束された.体重97.4kg,骨格筋量37.0kg,体脂肪量30.7kgとなった.筋力訓練やウォーキングを自主訓練として立案・実行するようになり,行動変化ステージは準備期となった.【まとめ】アロディニアは,通常痛みを起こさない非侵害刺激を痛みとして誤認する病態であり,QOLの低下,糖尿病療養に必要なセルフケア行動やアドヒアランスが低下し,運動療法の阻害因子となる.しかし,疼痛コントロールやインスリン治療について十分に把握する事に加えて,病態を理解して疼痛部位の詳細な評価を行い,適切な運動療法の介入を行うことで,アドヒアランスの改善が生じたと考えられる.【倫理的配慮,説明と同意】本研究は当院倫理委員会の承認を得た.対象者には研究内容についての説明と同意を得た上で実施した.
著者
野田 文雄 逆井 利夫 横塚 保
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.67-73, 1976
被引用文献数
2

(1) <I>S. rouxii</I>の好気培養時におけるオルソバニリン,バニリン,グアヤコールの影響を検討した結果,オルソバニリンの20ppm含有下まで,バニリン,グアヤコールの200ppm含有下まで,完全生育することが示された。<BR>(2) オルソバニリン,バニリン,グアヤコール含有下で培養された<I>S. rouxii</I>の醗酵能の高まること,またQ<SUB>CO<SUB>2</SUB></SUB>が増大し,同時にQ<SUB>O<SUB>2</SUB></SUB>が減少し代謝系が醗酵型に変化することが認められた。<BR>(3)オルソバニリン無添加培養酵母(無添加酵母),添加培養酵母(<I>o</I>-V.酵母)の菌体内成分含量について検討した結果,ビタミン類にては,<I>o</I>-V.酵母のパントテン酸,イノシトール,ビタミンB<SUB>6</SUB>含量が無添加酵母の約2-3倍量,ビオチンは1/5倍量となった。Lipids含量は差異がなかったが,全窒素含量は<I>o</I>-V.酵母が無添加酵母の約2倍量となった。アミノ酸組成にては,<I>o</I>-V.酵母のヒスチジン,アルギニン,スレオニン,バリン含量が無添加酵母の約1/2となり,逆にグリシン,アラニン含量は1.5~3.5倍量となった。また<I>o</I>-V.酵母のシステイン,メチオニン含量がゼロとなり,逆に無添加酵母に含有されていないイソロイシンが含有されていた。糖質にては,無添加酵母のGlucan, Glycogen含量が多く,逆にTrehalose, Mannan含量は少なく, Glucan/Mannan比は<I>o</I>-V.酵母の方が小さくなった。また菌体内では,<I>o</I>-V.酵母は無添加酵母に比べ, Sucrose, Cellobiose, Ramnose含量が少なく, Ribose, Arabinose含量は多くなった。核酸およびその関連物質にては,DNA含量は差異がなかったが, RNA, PCA含量は<I>o</I>-V.酵母の方が無添加酵母に比べて若干多くなった。
著者
野田 彦四郎
出版者
Japan Society for Southeast Asian Studies
雑誌
東南アジア -歴史と文化- (ISSN:03869040)
巻号頁・発行日
vol.1971, no.1, pp.101-121, 1971-10-28 (Released:2010-03-16)

Very few articles on the study of international relations between the Chakri Dynasty in Thailand and the Ch'ing Dynasty in China during the first half of the nineteenth century have been published, although the relationship between them has had a great effect on the modern history of Thailand. This is one reason why the author wants to fill this gap in our historical studies on the subject.Three major periods in the relations between these two countries are: a) the period of increased trade and developed political relations from 1821 to 1843, b) the period of decreased trade and declined political relations from 1843 to 1861, c) the period of broken and alienated relations from 1868 to the e of the Ch'ing Dynasty.Since the first period of the Ch'ing Dynasty was a golden age, the Chine emperors regarded Chakri kings in Thailand as a and asked them to show their submission through tribute trade to the Peking Court, while their treatment of envoys from Thailand was tempered with mercy. Chinese historical documents of the period also show us trade commodities from and to Thailand, a well as Chinese relief activities for wrecked Thai ships on the coast of southern China and the role of overseas Chinese in trade between Bangkok and Canton. Since 1843 of the reign of Rama III in Thailand, the tribute trade from Thailand began to declined.