著者
小檜山 文子 佐藤 雅子 金子 毅
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.661-665, 2009-08-05
被引用文献数
4

マイクロ抽出法の一つである分散液液マイクロ抽出(dispersive liquid liquid microextraction,DLLME)法により,ベンゾジアゼピン系薬剤であるフルニトラゼパム及びニメタゼパムの低濃度水溶液試料から抽出を行い,ガスクロマトグラフィー質量分析による測定を行った.ベンゾジアゼピン系薬剤に対する抽出溶媒,分散溶媒の種類等の最適条件を検討し,同条件で三環系抗うつ薬剤であるアミトリプチリン及びノルトリプチリン並びにフェノチアジン系薬剤であるクロルプロマジン及びプロメタジンの低濃度水溶液試料についても抽出・測定を行った.更に本手法を用い,アルコール飲料中のフルニトラゼパムの抽出を試みたところ,振とう操作を必要とせず,迅速・高効率な抽出が可能であった.このことから,DLLME法は法化学分野における有用な抽出法の一つであることが認められた.
著者
金内 美妃 郡 修徳 千本木 要 坂井 英夫 井関 健
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.125, no.2, pp.187-196, 2005-02-01
被引用文献数
3 6

ケタミンは, 解離性麻酔作用を有する全身性麻酔薬であり, 呼吸抑制などの副作用が少ないことから手術時に繁用されている. 一方, このケタミンは麻酔量より低用量を投与すると, 神経因性疼痛に関与しているといわれるNMDA受容体の非競合的拮抗薬として作用することから, 鎮痛効果も併せ持つ薬剤である.そのため, 非ステロイド性抗炎症薬などに抵抗する難治性疼痛を持つ患者に対し, ケタミンは保険適応外使用ではあるが, 鎮痛薬として静注や筋注以外に経口投与でも用いられている.しかし日本においてケタミンの市販薬は注射液のみであるため, 患者がケタミンによる在宅治療を行う場合, 注射液を経口投与しなければならないが, この注射液は特有の苦味や刺激感を有するため, 患者が服用を拒否する場合もある. そこで臨床現場では, 注射液に単シロップや矯味剤などを添加した液剤やケタミン試薬から調製した錠剤を院内製剤として患者に投与している.
著者
坪内 孝司 金山 裕 油田 信一
出版者
日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.220-230, 1986-06-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

建物内部のような人工的環境では, ロボットの視覚の対象となるシーンはほとんど直線からなると考えられる.本論文では, ロボットの視覚のための, 濃淡画像から線分を抽出する新しいアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムでは, 原画像における対象物の直線状の境界線上でその濃度勾配がほぼ等しいことに着目し, まず, 原画像中の画素のうち, 以下の性質をもつ画素を連結し, 小領域を生成する.(1) その画素の濃度勾配の大きさが与えられたしきい値より大きい.(2) その画素の濃度勾配の方向が与えられた範囲内におさまる.(3) 画素同志が互いに隣接しあう.この小領域は原画像上の対象物の境界線上に細長く生成される.このような小領域に最小二乗法を適用して線分をあてはめることにより線分を抽出することができる.本手法の特徴は以下のとおりである.(1) 原画像に対するただ1回の走査ですべての小領域を生成することができるため, 短時間で画像処理をするのに適当である.(2) 得られた小領域に対して線分をあてはめる際に統計的な計算を用いるため局所的な雑音に強い.(3) 生成された小領域の慣性等価だ円のだ円率によって, その小領域の細長さ, すなわち線分らしさが評価できる.本論文では, 提案した手法により画像を処理した実験例も示し, 本手法が有効であることを実証する.
著者
堀越 雄太 金 路 鈴木 和幸
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.91-94, 2007-11-30

モニタリングシステムから警報が発せられた際に保全行動を行う安全監視保全では、誤報と欠報によるリスクを押さえた上での瞬時の意思決定が要求される。リスクを抑える手段の一つとして複数のモニターを組み合わせるという方法があるが、これには各モニターから得られた情報を如何にして保全行動と結びつけるかを考える難しさもある。瞬時の意思決定を困難とするこの問題を解決する方法の一つとして、k-out-of-n型監視方策(k-Out-of-n構造)がある。本研究では、期待リスクを最小にする視点から、k-out-of-n構造の最適性を示す。これにより、瞬時の意思決定の効率化を図ることが可能となる。
著者
矢野 敬生 堀口 健治 吉沢 四郎 柿崎 京一 小玉 敏彦 林 在圭 金 一鐡 陸 学芸 間 宏 松田 苑子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本プロジェクトは、共通の漢字・儒教文化圏の中核をなす日本・中国・韓国を対象にして、社会学・文化人類学的実証研究法を駆使して、三国の民族社会の基層的な構造・文化的特質を明らかにすることを目的とした。そこで上記の目的を遂行するために、文化的伝統を比較的濃密に保持している村落社会(具体的には(日)長野県富士見町瀬沢新田、(中)中国山東省菜蕪市房幹村、(韓)韓国忠清南道唐津郡桃李里)を対象として、参与観察にもとづくフィールド調査を実施した。研究の枠組としては、第一に「家・家族・同族・宗族」、「土地・労働関係」、「信仰・地域統合」の3つのカテゴリーを設定した。第二に暫定的な結果として、以下述べるような諸点が明確となった。(1)中核的な文化概念が、例えば家族・同族・村落といった同一漢字で表現されていても、意味内容は相違しており、概念を再規定する必要がある。(2)社会結合の類型として定住型社会(日本)と移動型社会(中国・韓国)を設定することが可能であり、「村落」およびそれに基づく人間関係のあり方、村落祭祠、同族関係の様相が大いに異なっている。「信仰・地域統合」の面からみると、(3)日本の基礎構造が「ムラ」的地縁関係に規定される固定的な「入れ子型」体系をなすのに対して、韓国においては「ウリ」概念にみられるように伸縮自在の可変性を特徴としている。こうした特徴は「土地・労働慣行」においても同様であり、(4)日本の場合はムラを基盤として共同的志向が強いのに対して、中国・韓国では個人的祈願の志向が強くみられる。そして、(5)こうした全般的構造の特徴は、「親族・家族の構成や人間関係」においても顕著な差異をみせている。ただし、今回の研究では個別のフィールド調査に力点がおかれたために、三国の基層的文化構造の比較という側面はむしろ今後の課題として残されている。
著者
中逵 弘能 金山 博臣 高橋 正幸 福森 知治
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

浸潤性膀胱がん細胞株、組織において、mRNAレベル、タンパクレベルでactinin-4の高発現が認められた。siRNA actinin-4を用いたノックダウンにより、浸潤能が抑制されたが、増殖能は抑制されなかったことより、actinin-4は浸潤能への関与が示唆された。Actinin-4が細胞膜ヘリクルートされず、細胞質に集積することが、腫瘍の浸潤、転移に関与していることが示唆される。
著者
金子 大介 三井 実
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.54, pp.53-56, 2012-12-04
参考文献数
18

近年,音楽データの管理・再生をPCで行う人が増え,PCを再生機器として使用するPCオーディオが隆盛である.D/A変換をPC内部で行うとアナログ音声信号に影響を及ぼし音質劣化に繋がるため,外部DACが登場した.ディジタル信号しか扱わないPCでは理論上信号は変化しないはずだが,その再生音質はPCの構成によって変化すると言われている.その原因は,D/A変換を行う際のサンプリングClock jitterであると考えられる.jitterとは信号波形の時間軸方向の揺らぎであり,jitterが乗ると理論的には変化しないはずのアナログ出力信号が変化してしまう.本研究では,PCの動作環境とjitter量,更に音質との関係性を明らかにする.
著者
座間 紘一 任 雲 小松 出 金山 権
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

得られた知見を以下の11項目にまとめる。1.国有企業改革の性格は現物資産所有に基づく計画の執行体としての国有企業を近代的財産権に基づく法人化=株式会社への転換によって所有と経営を分離し、現代企業への転換を図ろうとするものである。今日の到達段階は国有企業の改革の構図が明らかになり、外的市場的条件(金融証券)、内的条件(国有資産管理とコーポレートガバナンス機構)の同時的整備が開始された段階である。2.国有企業の制度問題は外部制約の弱化によるインサイダーコントロール、特に経営者のレントシーキングである。その原因は委託-代理関係の不明確さにある。3.今日における国有企業改革の重要な側面は国有資産管理である。3階層の国有資産管理の「上海モデル」は政府職能の分離、所有と経営の分離、コーポレート・ガバナンスの模範的形態である。4.3階層の国有資産監督管理機構の問題点はこの巨大な機構を誰が管理するかということである。5.グローバル競争に勝ち抜くための巨大な企業集団形成の現段階はこれら企業集団が未だ政府の保護と管理の下での育成段階にあるということである。6.金融改革は立ち後れており、従来の国有企業を中心とした改革から、金融システムと国有企業両方の改革を並行する総合的改革へと移行しなければならない。7.電力産業と電力企業の改革は様々な問題を抱えるものの、最近確実に市場化への方向で進んでいる。8.鉄鋼産業の改革は新しい戦略再構築が必要な段階にある。9.国有紡織企業の退出では、民営化コストは多大であり、中西部地域では更なる財政的支援が不可欠である。10.今日の国有企業経営者の利益請求権は「欠如」しているが、それは改革の段階性に規定された合理性を持つ。漸次的整備の必要とその形態を提起した。11.国有企業改革で蔑ろにされがちな労働者への矛盾のしわ寄せ問題について、その解決のために6項目の提案をした。
著者
金子 和正 関 健二 井原 俊夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.8, pp.871-875, 2013-08-01

本研究では,60 GHz帯において,複数の発泡度を存する4種類の発泡スチロール板(厚さ5 cm)の透過係数位相の入射角特性を測定し,その測定データに適合する発泡スチロール板の屈折率実部を非線形最小二乗法により推定した.得られた実験結果を用い,発泡スチロールの屈折率実部と発泡スチロール体積に占めるポリスチレン成分の体積分率の関係を表す線形近似の実験式を求めた.また,発泡スチロール透過係数絶対値の層の厚さ依存性の測定より,屈折率虚部についても推定を行った.
著者
福田 金光
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.231-241, 1979-03-15
著者
金子孝一郎 著
出版者
宮路堂
巻号頁・発行日
1885
著者
金田 直子 春木 敏 子安 愛 大畑 千弦 鍛冶 晃子 太田 愛美 髙塚 安紀穂 西岡 愛梨 永樂 芳 平田 庸子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

早期食健康教育に向け,4・5歳児と保護者を対象とする食育プログラムを幼稚園教諭らと協同開発し,2度のプログラム実践を踏まえ有用性・汎用性を確認し,食育支援キット(食育案・教材・参考資料)を作成した.食育支援キット普及に向け,幼稚園教諭・保育士らを対象に食育研修を実施しO市内幼稚園・保育所園420施設(70%)に配布した.園・家庭・地域を結ぶ幼児食育に向け,養育者を対象とするメタボリックシンドローム予防を視野に入れた家族ぐるみの食育講座を併せて実施・評価をしたところ,日々の食生活改善につながることが確認された.家族ぐるみの幼児食育推進は,少子高齢化の進むわが国における食・健康づくりの一法となる.