著者
舟木 慶一 金城 竜彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.101, pp.79-84, 2007-06-15

LPC残差を用いた自己相関関数やAMDFによりF0推定を実現すると、F0の推定精度が向上することが知られているが、基本周波数と第1フォルマントが隣接している場合、両者を分離できず推定精度は劣化する。解析信号は正領域のスペクトルしか有しないため、解析信号を入力とする複素音声分析では低周波数領域でのスペクトル推定精度が向上する。複素音声分析により推定される複素残差信号に対する、自己相関関数やAMDFを用いて、F0推定を実現すれば、推定精度の向上が期待される。島村らが提案した自己相関関数とAMDFの比による評価尺度を採用し、複素残差信号を用いたF0推定方式の提案を行い、音声信号、解析信号、LPC残差信号を用いた従来方式と比較した結果を既に報告した。今回、電話の特性を模擬したIRSフィルタを通した音声信号に対し、前向き後向き線形予測基準MMSE分析ならびにELS分析を適用した実験を行ったので、報告する。
著者
八木 康史 森島 繁生 金子 正秀 原島 博 谷内田 正彦 原 文雄 橋本 周司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.26, pp.65-72, 1998-03-19
被引用文献数
4

顔画像処理に対する様々な分野での関心の高まりや、工学分野における顔画像処理技術の研究成果の蓄積を背景にして、顔画像処理に関する共通ソフトウェアのツールの作成に向けた活動が進められている。この活動は、「感性擬人化エージェントのための顔情報処理システムの開発」(略称、アドバンストエージェントプロジェクト)と呼ばれ、情報処理振興技術協会(IPA)における独創的情報技術育成事業に関わる開発テーマの一つとして、平成7年度より3年間の計画で精力的に活動を行ってきた。擬人化エージェント技術はさまざまな技術要素から構成されているが、本プロジェクトでは、この中で特に『顔』の役割に着目し、顔画像の認識・合成に関わる顔情報処理システムの開発に主眼をおいた。これと同時に、本システムでは工学のみならず心理学や医学などの分野も含めた顔関連分野における共通の実験用ツールを広く提供することも目標としている。本稿では、平成10年3月で終了するこのプロジェクトの概要と、共通ソフトウェアの紹介を行う。The aim of Advanced Agent Project, supported by Information Technology Promotion Agency (IPA), is to develop the image processing environment for analysis and synthesis of human facial images. This report is mainly concerned with an introduction of an overview of the project and the developed environment for the facial image processing.
著者
副島 雄児 田尾 周一郎 平井 康丸 金山 素平 木村 俊道 堀 優子 井川 友利子 大村 武史 宮嶋 舞美 工藤 絵理子
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.34-43, 2013-09

九州大学の全学教育科目「コアセミナー」は,各学部が必要とする初年次教育の実施を目的として設定され,学部ごとに特徴的な内容と方法を取り入れたセミナーが実施されている.今回,特色ある試験的な取り組みとして,九州大学附属図書館との連携によって,コアセミナーへのビブリオバトルの導入を行った.受講学生へのアンケート調査の結果から,「読む」,「伝える」,「聴く」などのスキルアップについての成果,「関心の広がり」,「コミュニケーション力の増加」,「人に対する興味・関心の深まり」などの内面的な側面に対する成果などを見てとることができるなど,初年次教育の教材としての有効性を確認することができた.今回の取り組みは,学部担当教員と附属図書館職員との教職連携による教育現場での実践例として,今後の教育改善や教育開発研究に参考となることが期待される.
著者
金城 道男 池田 啓 柳生 博 敷田 麻実
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
ワイルドライフ・フォーラム (ISSN:13418785)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.8-9, 2007-05-10

大宜味村の嘉如加という集落にある山は、四十年ほど前まではてっぺんまでが段々畑で、林は伐採され、奥に入っても炭焼き小屋があるなど、人間の手がかなり加えられていました。そこにはまさしく、柳生さんがお話しになっていた「里山」がありました。このような人里でも現代まで生き抜いてきたのが、「飛べない鳥・ヤンバルクイナ」です。ところがマングースなどが入ってくると、地上の雛も簡単に見つかってしまい、餌食になってしまう。もともと、やんばるの森には肉食獣が存在しないため、人間が持ち込んだマングースや捨てネコなどに、ヤンバルクイナは対処する力がありません。この状態を放置しておけば、ヤンバルクイナは絶滅してしまいます。ヤンバルクイナを守ることができれば、やんばるの森全体の生物が守れる、ともいわれています。対策として、マングースの侵入防止柵を設置し、ヤンバルクイナの保護のための救命センターを開設して活動しています。くやしいことにマングースの進出を食い止めることはできていません。とうとう人間の力でコントロールできないところまで来てしまいました。ヤンバルクイナの棲息区域は北上の一途を辿っており、これはマングースの進出規模と比例しています。現在の大宜味村では、ヤンバルクイナをめったに見ることがなくなりました。それでも、私には夢があります。名護の豊かな森でもヤンバルクイナが見られるようになることです。

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著者
金子 敦子
出版者
お茶の水音楽研究会
雑誌
お茶の水音楽論集 (ISSN:1344672X)
巻号頁・発行日
pp.253-266, 2006-12
著者
川上 大輔 金子 仁美 嵯峨山 茂樹
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-6, 2010-02-08
参考文献数
5
被引用文献数
2

和声は西洋音楽の重要な要素であり、特に音楽音響信号からの和声推定や自動採譜などにおいては、精密な和声進行の統計的モデルが必要である。筆者らは、和声に関する研究推進のため、人手による和声ラベル作業の容易さと、コンピュータ可読性の両立を主眼にして、和声記述仕様を策定し、それに基づいて和声の18世紀から20世紀初頭までのクラシック音楽作品60曲に機能和声ラベルデータを付与した。その和声系列を統計解析し、音楽的な知見から説明を試みる。また、統計的和声モデルとしてN-gramモデルに関して、Nの値、スムージング法等を検討する。調や機能和声などを反映した詳細な和声進行のモデルは、従来の和声モデルよりperplexityを低くできることを示す。Harmony is an important element of Western music, and a statistical model of precise harmony progression is especially necessary in harmony estimation and an automatic record in a musical note, etc. from the music acoustic signal. Authors settled on the harmony description specification with a main objective of the easiness of the harmony label work by people and coexisting of the computer readability for research promotion concerning harmony, and gave the function harmony label data to 60 classical music works from the 18th century of harmony to the 20th beginning of the century based on it. Harmony sequences is taking statistics analyzed, and the explanation is tried from musical knowledge. Moreover, the value N and the smoothing method of N-gram model, as a statistical harmony model, are examined. The model of detailed harmony progression that prepares and reflects key and function harmony etc. shows that perplexity can be lowered more than a past harmony model.
著者
阪本 ゆり 浅井 睦代 杉原 和子 織田 知明 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.305-309, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

47歳男性で神経ベーチェット病と考えられた1例を報告した。既往に10年間口腔内アフタと陰部潰瘍を繰り返していた。発熱, 右眼の複視, 口腔内アフタ, 陰部潰瘍を主訴に当科に入院し, 精査を行なった。神経学的には右外転神経麻痺による複視, 髄液検査で細胞数の増加がみられた。脳MRl所見で橋部においてT1強調画像の低信号域, T2強調画像の高信号域, 造影剤の増強効果が認められ, 橋部の炎症所見が示唆された。プレドニン内服によって皮膚症状と神経症状は著明に改善し, またMRI所見も改善が認められた。重篤な後遺症も認めなかった。自験例では脳MRI所見が神経症状の早期診断と治療効果の判定に有用であった。
著者
藤井 信生 金子 峰雄 高木 茂孝 西原 明法 高窪 かをり 石川 雅之 和田 和千
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究では,アナログ・ディジタル混載システムLSIの鍵を握るアナログ回路を,回路設計からレイアウト設計までを含めた総合設計システムの構築を目的としている.レイアウトの微細化とともに,アナログ回路も高速な動作が可能となるが,一方で素子の耐圧が下がるため,高速性を享受するためには,低電源電圧動作不可欠となる.そこで,電源電圧間にトランジスタを2個しか縦積みにしない基本機能回路ブロックを提案し,その応用として,A-D変換回路を提案の回路ブロックを用いて構成し,その動作を確認している.次に,スイッチトキャパシタ回路における最大の問題点であるクロックフィードスルーを取り除く手法について,増幅回路を例として説明し,その有効性を計算機シミュレーションにより確認している.必要な機能を自動的に合成し,アナログ回路設計者不足を補う目的から,遺伝的アルゴリズムに基づいたアナログ回路の自動合成手法も提案し,2乗回路や3乗回路,絶対値回路などの非線形演算回路を容易に合成することができたことを確認している.最後に,ディジタル回路から基板を介した雑音がアナログ回路の性能を劣化させる.そこで,ディジタル回路から基板を介した雑音を低減するための手法を提案し,その有効性を計算機シミュレーションにより,確認している.以上を要するに,本研究では,計算機によるアナログ回路の統合設計環境の構築を目指し,アナログ回路の基本機能ブロックやアナログ回路の自動合成手法について検討を行った.また,アナログ・ディジタル混載LSIを実現する際に,ディジタル回路からの雑音の低減手法も併せて示した.アナログ回路設計手法からレイアウト設計への橋渡しに関しては,十分な成果が得られなかったものの,アナログ回路で必要となる基本機能を低電源電圧の下で構成することができるようになり,その他必要な機能回路もある程度自動的に合成できる見通しが得られた.今後,レイアウト設計に関しても十分な検討を行い,これらを有機的に結びつけ,アナログ集積回路の総合設計システムを実際に構築することが課題である.
著者
金川 裕紀 能勢 隆 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.364, pp.191-196, 2011-12-12
参考文献数
22

本論文では隠れマルコフモデル(HMM)に基づく音声合成において,目標話者の読上げスタイルの音声のみから異なる目標スタイルの音声を生成する手法を提案する.従来,読上げスタイルモデルから少量の目標スタイル音声を用いてスタイル適応を行うことにより目標スタイルの任意の文章を合成する手法が提案されているが,目標スタイルの音声が得られない場合にはこの手法を利用することはできない.提案法では,あらかじめ複数の話者により学習された読上げスタイルモデルに対し,同じ話者による目標スタイルへのスタイル変換を線形変換により表現する.これにより得られる変換行列は特定の話者に依存しない不特定話者のスタイル変換を表すため,これを目標話者の読上げスタイルモデルに適用することで目標話者の目標スタイル音声が利用できない場合についてもスタイル音声の合成が可能となる.評価実験では変換後の合成音声について話者性,スタイル再現性および自然性の3つの観点から提案法の有効性を検討する.
著者
金 愛花
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.115-123, 2009-03-10

East Asian Countries are known for fierce competition over acceptance in higher education institutions. That creates significant social pressures on the entrance examination systems. Issues frequently arise particularly in three aspects, i.e., academic relevance of the tested knowledge, fairness of the process, and the relative degree of control given to the government and individual institutions. This paper focuses on the last aspect, comparing China, Japan and Korea from this perspective./ First, postwar developments in the entrance examination system are briefly summarized and compared. In the following section, the relative significance of the three elements in the examination process, i.e., nationally unified examination, entrance examination administered by individual institutions, and the achievements in high schools. The third section presents an interpreted of this from the perspective of how the control over entrance examination is distributed, and how entrance examination is set within the political contexts of the three different countries.
著者
渡辺 茂樹 土谷 大輔 金城 利彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.250-254, 2012-03-20
参考文献数
18

自然縮小した髄膜腫3例を報告する.症例は72〜79歳のいずれも高齢の男性で,2例は小脳梗塞で発症,1例はめまいで施行のMRIで無症候性の髄膜腫が傍矢状洞部,中頭蓋窩,嗅窩部に認められた.経時的MRIで4年半,6年,6年半で腫瘍の縮小(それぞれ6.1cm^3から1.1cm^3,7.2cm^3から2.4cm^3,16.0cm^3から4.0cm^3:縮小率82%,53%,75%)が認められた.腫瘍体積はCavalieriの法則Volume=4/3×π×a/2×b/2×c/2(a,b,cは3方向の径)で計測した.これまでに髄膜腫の自然縮小の報告はない.腫瘍縮小の機序は不明であるが,高齢者無症候性髄膜腫では自然縮小する可能性もあり,慎重に経過観察をするべきである.
著者
金 惠鎮
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学外国語教育研究所紀要 (ISSN:13406175)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.55-70, 2006-03-31

最近韓国と日本の相互文化交流が活発に行われていて日本での韓国語学習者も増加している。日本では韓国語学習者の学習到達度に対する社会的評価を提供し、学習意欲を高める目的で1992年10月9日に「ハングル能力検定協会」が設立された。「ハングル能力検定試験」は12年が経った現在(2005年7月)まで総24回の試験が実施され、今まで総91,464名が試験を受けた。久留米大学では外国語科目として韓国語I,II,IIIの講義が行われていて、韓国語の授業を受けている学生数は急激に伸びている。さらに、韓国語授業を受けている学生たちの中では自分の韓国語の実力を確認するために「ハングル能力検定試験」を受ける学生も大勢いる。本稿では2005年6月19日(日)に実施された第24回「ハングル能力検定試験」5級を受けた久留米大学学生たちの採点結果を分析して、各問題の得点傾向と出題問題の類型による得点の高低を分析した。その結果全体的には正解率が約80%という高い数値があらわれた。さらに、出題問題を類型別に区分してみると、語彙と挨拶表現では特に高い正解率であることがわかった。しかし、日本語と韓国語の類似しながらも誤用しやすい助詞と文法の面では正解率が低下していることが調査の結果で明らかになった。また「ハングル能力検定試験」を受けた学生たちにアンケートも実施して、韓国語の検定試験勉強と韓国語の学習意欲とはどのような関わりをもっているのかについても分析した。