著者
芳野 恭士 岸 由紀乃 金高 隆 古賀 邦正
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.221-227, 2012 (Released:2012-10-26)
参考文献数
28
被引用文献数
1

サラシア属植物の一種であるSalacia reticulataの葉と幹の水抽出物について,そのマウスI型アレルギー抑制作用を検討した。S. reticulataの葉および幹の水抽出物を,200もしくは400 mg/kg体重の投与量でマウスに経口投与した場合,マウスI型アレルギーを有意に抑制した。I型アレルギーマウスにおける腹壁中のインターリューキン-4やインターリューキン-10,さらには免疫グロブリンEの濃度の上昇もまた,これらの抽出物の投与により抑制された。S. reticulataの葉水抽出物中の有効成分の一部として(-)-エピカテキン,また,その幹水抽出物中の有効成分として,マンギフェリンが考えられる。したがって,S. reticulataの葉と幹は,I型アレルギーを予防するのに適した食品素材であると考えられる。
著者
小久保 博崇 金岡 晃 満保 雅浩 岡本 栄司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.2086-2093, 2012-09-15

マルウェアの脅威は日々拡大しており,いまや社会に実害を及ぼす脅威となっている.また未知のマルウェアの侵入や活動を検出し,被害を防ぐことの重要性が高まっている.本論文ではCCC DATAset2011の攻撃通信データを利用し,通信プロトコルヘッダの特性を,性質の異なる複数の機械学習手法を組み合わせて学習することで未知攻撃を含む攻撃通信の持続的な検知を試みた.決定木の定期的な再学習に加え二次元自己組織化マップ(SOM)による逐次学習を取り入れることで安定して高い精度を保てるように工夫することにより,99%前後の確率で攻撃通信の検知を行うことが可能となった.
著者
伊藤 伝 兼松 誠司 小金沢 碩城 土崎 常男 吉田 幸二
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.520-527, 1993-10-25
被引用文献数
3

リンゴゆず果病罹病樹(品種:紅玉)の樹皮より核酸をフェノール抽出し, 2-メトキシエタノール及び臭化セチルトリメチルアンモニウム処理後, CF-11セルロースカラムにかけ, 5%ポリアクリルアミドゲルによる二次元電気泳動(一次元目 : 未変性条件, ニ次元目 : 8M尿素による変性条件)を行ったところ, 罹病樹からは健全樹には認められないウイロイド様RNAが検出された。同様なウイロイド様RNAはゆず果病罹病と考えられたその他のリンゴ14樹中12樹からも検出され, 本ウイロイド様RNAとゆず果病との関連性が示唆された。本ウイロイド様RNAは8M尿素による変性条件下で, リンゴ樹で既報のリンゴさび果ウイロイド(ASSVd)より遅く泳動され, ノーザンブロット法によリASSVd-cDNAと反応しなかった。また本ウイロイド様RNAを電気泳動により純化し, リンゴ実生21樹に切りつけ接種したところ, 5樹から同様のウイロイド様RNAが検出され, 本ウイロイド様RNAが実生に感染し増殖したと推察された。以上の結果より, 本ウイロイド様RNAはASSVdと分子種が全く異なる, より分子量の大きなウイロイドと考えられた。本ウイロイドをapple fruit crinkle associated viroidと仮称した。
著者
山中 由里子 池上 俊一 大沼 由布 杉田 英明 見市 雅俊 守川 知子 橋本 隆夫 金沢 百枝 亀谷 学 黒川 正剛 小宮 正安 菅瀬 晶子 鈴木 英明 武田 雅哉 二宮 文子 林 則仁 松田 隆美 宮下 遼 小倉 智史 小林 一枝 辻 明日香 家島 彦一
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

中世ヨーロッパでは、辺境・異界・太古の怪異な事物、生き物、あるいは現象はラテン語でミラビリアと呼ばれた。一方、中世イスラーム世界においては、未知の世界の摩訶不思議は、アラビア語・ペルシア語でアジャーイブと呼ばれ、旅行記や博物誌などに記録された。いずれも「驚異、驚異的なもの」を意味するミラビリアとアジャーイブは、似た語源を持つだけでなく、内容にも類似する点が多い。本研究では、古代世界から継承された自然科学・地理学・博物学の知識、ユーラシアに広く流布した物語群、一神教的世界観といった、双方が共有する基盤を明らかにし、複雑に絡み合うヨーロッパと中東の精神史を相対的かつ大局的に捉えた。
著者
金山 喜則 山木 昭平
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.578-586, 1993-09-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
34
被引用文献数
1
著者
金子 慶太 伊藤 孝紀 堀越 哲美
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.11-20, 2011-11-30
参考文献数
11

本研究では、市民主体イベントの特徴と、市民主体イベント後の継続活動の継続要因とまちづくりとの関わりを把握することを目的とする。市民団体である大ナゴヤ大学が企画、実施した38の市民主体イベントとしての授業を調査対象とし、授業の企画者、参加者双方の視点からの調査と、授業後の継続活動に対して追跡調査をおこなった。38サンプルの授業に対して、多変量解析手法の数量化III類を用い、企画による3分類軸を抽出した。さらにこれらの3分類軸に基づくクラスター分析による類型化では3タイプの類型が得られ、各類型の特徴を把握した。そのなかのひとつでは授業後の継続活動を確認することができた。授業後の継続活動としての長者町ゼミを対象として追跡調査をおこなった結果、継続活動を4段階に分類して考察することができた。各段階の継続要因とまちづくりとの関わりを把握した結果、市民主体イベントを起点とした継続活動がまちづくり活動へと展開することを確認できた。
著者
金 元淑 後藤 基寛 入江 満美 山口 武則 牛久保 明邦
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.175-182, 2008-07-10
参考文献数
16
被引用文献数
1

近年、中国経済の発展による都市規模の拡大や農村地域の都市化への加速に伴う人口密度の集中および生活水準の向上につれて、都市ごみ中の食品廃棄物の含有量が増加しつつある。このことは、都市ごみの無害化処理率が低く、野積みのごみに包まれ、環境汚染問題が顕在化している中国の都市ごみ処理に一層困難をもたらしている。食品廃棄物のコンポスト(堆肥)化は中国現状に適した有効な処理方法の一つである。しかし、食品廃棄物には油分や塩分が含まれており、これらの濃度も異なることから、食品廃棄物のコンポスト化過程にも影響を与えることやコンポストを土壌施用した際に植物障害を生じる可能性が考えられる。本研究では、食品廃棄物中の油分および塩分がコンポスト化過程に及ぼす影響ならびにコンポスト中の油分および塩分がコマツナの生育に及ぼす影響について、原材料にそれぞれ油分・塩分を添加してコンポスト化させ、その製造コンポストを用いて、化学分析・発芽試験並びに簡易幼植物栽培試験を用いて検討した。本研究により、食品廃棄物コンポストの原料に油分を36%まで含有してもコンポスト化が可能であり、作成したコンポストもコマツナへの生育抑制は見られず、コンポストとして使用可能であることが判明した。また、食品廃棄物コンポストの原料に塩分を8%まで含有してもコンポスト化は可能であり、作成したコンポストを用い、施用量を10a あたりに1tと仮定すると、コンポスト中の塩分含有量は乾物あたり8%以下であればコマツナの生育に影響はないことが判明された。
著者
折坂 金弘
出版者
日本ウマ科学会
雑誌
ヒポファイル
巻号頁・発行日
no.32, pp.5-9, 2008-04
著者
金子 清俊
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.57-58, 1972

中田五一氏がイランに滞在中採集したネズミジラミを預かり, 同定したところ, Polyplax asiaticaとPolyplax paradoxaの2種であった。いずれもイランからは初記録であり, 後種の雄は生殖器の特徴が今日まで知られていなかったので, 記載をし図を付した。
著者
金井 求 松永 茂樹 生長 幸之助 清水 洋平
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.433-442, 2013-05-01 (Released:2013-06-12)
参考文献数
63
被引用文献数
2

In general, biologically active drug lead molecules are structurally complex, bearing multiple functional groups and chiral sp3 carbons. Our aim in developing new catalysis is to promote a concise, robust, and clean drug lead synthesis. To do so requires catalysis allowing for the design of concepually new retrosynthesis independent of functional groups. Here we summarize our first step toward such a goal. First, we describe a Cu(I)-catalyzed enantioselective condensation of ketones and hemiaminals that can produce versatile chiral building blocks for alkaloid synthesis. The hard anion-conjugated soft metal (HASM) catalysis concept is the basis for the reactivity. Second, two Cu-catalyzed cross-dehydrogenative coupling (CDC) reactions are discussed. The radical-conjugated redox catalysis (RCRC) concept leads to the development of a very early example of catalytic asymmetric aerobic CDC. Third, the Rh-catalyzed aldehyde cross aldol reaction and the Co-catalyzed C-4 selective alkylation of pyridines, both of which are mediated by means of hydride transfer, are described. Unique reactivity in the latter two topics is partly due to the redox activity of the transition metal catalysts.
著者
金子 えつこ
出版者
四国学院大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

シニャフスキーも指摘しているプーシキンの言語の「軽さ」の第一要因としては、一文の短縮傾向があげられる。軽快性を保つため、カラムジンら先行の作家と比較しても一文に含む語数が少なく、しかもその傾向は後期により顕著となる。例えば『スペードの女王』では六語以下から成る短文が全体の実に34.7%を占める。また第二要因として、プーシキン散文における動詞の割合が高く総語数の40%であること、さらに完了体の含有率が異常と言ってもよいほど高く、例えば『スペードの女王』では52%にもなることにも注目すべきである。このような動詞中心の短文中に二語ばかりか三語も新情報(レーマ)が含まれる、といった手法により、場面転換、視点転移が迅速になり、叙述に自由闊達な軽快性が加味されると考えられる。さらに韻律性の要因が第三にあげられる。散文でありながら随所に韻律パターンが見られることをボンディが指摘しているが、独特のリズムと押韻を伴うS音等の「軽い」子音の配置、また、ある音韻が至近距離で呼応することで特定の雰囲気をテクストにかもし出す技法が見られる。例えば『スペードの女王』で主人公と賭博勝負をするチェカリンスキーは、物語の終結部分のみに繰り返し名前が登場するが、チェカリンスキーという語感は、発音の類似する単語чек,чеканкаなどにより金属的、金融的と言え、冷たく不安をあおる響きを持つため、主人公の暗い決死の賭博事情を語る時の伴奏のような効果がある。また、彼の登場するテクスト部分にчеловекなどчеで始まる語がちりばめられ、彼の台詞の中にもче,кという音が響く(я не могу метать иначе, какна чистые деньги.)など、音の呼応が場面全体の緊張感や主人公の発狂前の高揚を表現する一助となっている、と言える。
著者
福本 陽平 岸本 幸広 前田 直人 西向 栄治 金藤 英二 岡田 克夫 内田 靖 河野 通盛 是永 匡紹 池田 弘 藤岡 真一 西野 謙 河野 友彦 辻 恵二 平松 憲 柴田 憲邦 児玉 隆浩 周防 武昭
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.484-489, 2007-10-25
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

2006年開催の第85回日本消化器病学会中国支部例会では,シンポジウム「急性肝炎の疫学的変遷」が行われ,最近の中国地方における急性肝炎の発生動向が報告された.その結果,最近5∼25年間の総計1,815症例の報告では,ウイルス性急性肝炎が約52%で,薬物性肝炎14%,自己免疫性1%,原因不明33%であった.また,山陰地域ではA型急性肝炎が,山陽地域ではC型急性肝炎や薬物性肝炎がより多く発生した.一方,最近の10年間では,急性肝炎は発生総数として約15%減少し,その要因はA型急性肝炎の減少であった.また,原因不明の急性肝炎が増え,薬物性肝炎も増加する傾向にあった.この間のウイルス性肝炎は,成因別にA型急性肝炎に代わりB型急性肝炎の割合が一位となり,C型急性肝炎の割合は変化なかった.すなわち,最近5年間に発生したウイルス性急性肝炎の割合は,HBVが約45%,HAV 25%,HCV 15%,HEV 1%,EBVとCMVとは併せて15%であった.<br>
著者
鈴木 一有 金山 尚裕 伊東 宏晃
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究代表者の鈴木一有らは、近赤外線分光法によるこれまで臨床症例において胎盤酸素濃度の測定を行い、胎盤酸素濃度が高かった症例の胎盤病理を詳細に検討した。その結果、chorangiosis(胎盤血管腫症)という胎盤の病態が、胎盤酸素濃度(TOI)の上昇と深く関連していることが判明した。つまり、chorangiosisのある胎盤TOIは75.3%であり、それがない胎盤TOIの68.6%よりも有意に高値であった。(Suzuki K et al, Chorangiosis and placental oxygenation, Congenit Anom. 49;71, 2009)またこれに引き続き、chorangiosis(胎盤血管腫症)という胎盤病理組織所見が臨床的にはFGRならびに臍帯卵膜付着などの臍帯異常と関連があることが判明したため、平成24年度の動物実験による研究をすすめた。 その結果、胎盤TOI上昇が、臍帯の血流不全と大きな関連があることが明らかになった。具体的には、妊娠中に臍帯血流を全圧迫遮断することにより胎盤TOIが上昇する病態を作成することに成功した。また、同時に測定した胎仔のTOIは低下することも確認された。(Suzuki K et al, Transient ligation of umbilical vessels elevates placental tissue oxygen index(TOI) values measure by near-infrared spectroscopy(NIRS) inclawn miniature pig animal model, Clin.Exp.Obstet.& Gyn.39;293,2012) この結果は、胎児の臍帯血流が、胎盤酸素濃度を規定する大きな因子である可能性があるという新しい発見である。
著者
森 智昭 金井 英倫 寺崎 雅子 門田 哲弥 嶋根 俊和 三邉 武幸
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.547-552, 2012 (Released:2013-06-07)
参考文献数
17

背景:IgA腎症は慢性糸球体腎炎のうち,糸球体メサンギウム細胞・基質の増殖性変化と,メサンギウム領域へのIgAを主体とする沈着物を認める疾患である.近年IgA腎症患者に口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス療法を行う扁摘パルス療法の有効性が注目されている.またIgA腎症患者の口蓋扁桃では,慢性扁桃炎患者の口蓋扁桃と比較して病理組織学的に異なった特徴を示すとされている.対象,方法:昭和大学藤が丘病院腎臓内科で2007年から2008年にIgA腎症と診断され,口蓋扁桃摘出術を施行した49例の口蓋扁桃の病理組織学的特徴について検討した.結果:IgA腎症患者の口蓋扁桃では,リンパ濾胞の大きさが大小様々で境界が不明瞭となる,濾胞間領域も不規則に拡大,上皮では上皮間に形質細胞系細胞が増加・充満するといった特徴を各項目で半数以上の症例で認められた.結論:IgA腎症患者の口蓋扁桃には特徴的所見を高率に認めた.これらの特徴とIgA腎症の病態との関連は明らかではなく,今後の検討課題と考えられる.