著者
渡部 恂子 池田 なぎさ 水谷 潤 佐藤 直子 金 世琳 平井 智子 有賀 秀子
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-8, 1998 (Released:2015-10-31)
参考文献数
26
被引用文献数
1

中国内蒙古草原地帯における伝統的発酵乳エードスンスー, アイラグおよびチェゲーのの3種類から計10試料を採取し, 理化学性状の分析と微生物の分離同定を行った。また, 製法が類似しているカルピス酸乳との関連性を検討した。内蒙古発酵乳10試料ならびにカルピス酸乳のすべてから乳酸菌と酵母が分離された。理化学性状の分析結果から, エードスンスーは発酵が緩慢であるため, 乳酸やアルコールの生成量が少なく, アイラグは製法や原料の違いで成分組成や微生物叢に差異が見られた。チェゲーは原料乳が馬乳であるため成分組成は他の発酵乳と異なったが, カルピス酸乳の主要菌種であるLactobacillus helveticusが優勢に分離された。アイラグの数試料からはL. helveticusのほかヘテロ発酵乳酸桿菌が分離され, カルピス酸乳との類似性が示唆された。また, アイラグ, チェゲーからケフィール粒の構成菌であるLactobacillus kefirgranumが多数検出された。
著者
河田 志帆 畑下 博世 金城 八津子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.186-196, 2014 (Released:2014-05-29)
参考文献数
33
被引用文献数
1

目的 ヘルスリテラシーの概念分析の結果を基に独自の尺度を作成し,性成熟期女性のヘルスリテラシー尺度の開発を試みた。20~39歳の女性労働者を対象に項目の選定,信頼性と妥当性を検討した。方法 先行研究の概念分析より抽出された要素を基に,内容妥当性および表面妥当性の検討を経て30項目の尺度を作成した。近畿圏および東海圏在住の20~30歳代の女性労働者を対象に,本調査として1,030人,追加調査として424人に自記式質問紙調査を行った。なお,追加調査で実施した再テストは,同意書に署名を得た協力者により実施した。尺度の信頼性の検討は,クロンバック α 係数,再テストにおける相関係数の有意性の検定により行った。一方,妥当性の検討は日本語版健康増進ライフスタイルプロフィール(JLV–HPLPII),成人用ソーシャルスキル評定尺度の下位尺度との相関,子宮頸がん検診受診行動別の尺度得点の比較により行った。結果 本調査の対象者は1,030人で,回収数632人(回収率61.4%),有効回答数622人(有効回答率98.4%)であった。追加調査の対象者は424人で,回収数は86人(回収率20.3%)で,有効回答数86人(有効回答数100%)であった。項目分析および主因子法プロマックス回転による因子分析を行った結果,4 因子,21項目が抽出され,累積寄与率は53.7%であった。4 因子は【女性の健康情報の選択と実践】,【月経セルフケア】,【女性の体に関する知識】,【パートナーとの性相談】と命名した。各因子におけるクロンバック α 係数は α=0.72~0.83,全体は α=0.88であり,再テストでの相関係数は尺度全体で r=0.85(P<0.01)であった。また,開発した尺度と JLV–HPLPII,成人用ソーシャルスキル評定尺度は,有意な正の相関(P<0.01)を示し,子宮頸がん検診受診行動別の尺度得点の比較では,子宮頸がん検診受診群の得点が有意に高かった(P<0.001)。結論 今回開発したヘルスリテラシー尺度の信頼性および妥当性は概ね確保されていた。子宮頸がん検診受診行動と尺度得点との間に有意な関連がみられたことから,女性特有の疾患の予防および早期発見・治療に向けたヘルスリテラシー教育への実用可能性が示唆された。
著者
金子 敦子
出版者
日本シルク学会
雑誌
日本シルク学会誌 (ISSN:18808204)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.155-161, 2019 (Released:2019-03-12)
参考文献数
12
著者
榊 佳之 金久 實 小原 雄治 大木 操 中村 桂子 高久 史麿
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究は平成2-12年度に行われた特定領域研究「ゲノムサイエンス」の研究成果をまとめ、公表し、我が国のゲノム解析計画を新段階へと発展させることを目指すものである。そこでは「ヒトゲノムの構造解析」、「ゲノムの機能解析」、「ゲノムの生物知識情報」の3項目を中心に各々に成果を取りまとめ、公開シンポジウムなどを通して社会にゲノム研究の現状、意義と今後の展望を示すことを目標とした。研究成果の報告書は、既に平成12年度の研究成果報告と共に5年間のまとめを合わせて研究成果報告書として世に出したので、今年度は公開シンポジウムに焦点をあてて研究成果を社会に公開することとした。公開シンポジウムは日本科学未来館の協力のもと、関東一円の中高生を中心に若者世代を対象として行われ、約300名が参加した。「ゲノムから見たヒト」、「ゲノム科学の医学への応用」、「ゲノムから見た発生分化」などをテマとした。講演と共にパネル討論会も開催した。また未来館長の毛利衛氏の挨拶も頂いた。この公開シンポジウムの企画は文科省ヒトゲノム計画の中核となる本研究班の班会議で決定されたが、その内容は、我が国のバイオサイエンス全般、特に多くの国民の健康に直接かかわる疾患の医学研究の発展にとっても重要なものであり、その社会的意義、必要性、緊急性はきわめて大きいと言える。
著者
金子 大介 三井 実
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 36.54 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.53-56, 2012-12-04 (Released:2017-09-21)
参考文献数
18

近年,音楽データの管理・再生をPCで行う人が増え,PCを再生機器として使用するPCオーディオが隆盛である.D/A変換をPC内部で行うとアナログ音声信号に影響を及ぼし音質劣化に繋がるため,外部DACが登場した.ディジタル信号しか扱わないPCでは理論上信号は変化しないはずだが,その再生音質はPCの構成によって変化すると言われている.その原因は,D/A変換を行う際のサンプリングClock jitterであると考えられる.jitterとは信号波形の時間軸方向の揺らぎであり,jitterが乗ると理論的には変化しないはずのアナログ出力信号が変化してしまう.本研究では,PCの動作環境とjitter量,更に音質との関係性を明らかにする.
著者
山家 優理子 篠宮 聖彦 古田 俊之 金崎 克己
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.65-66, 2019-02-28

古くから日本には早口言葉や俳句や川柳のような、口遊み(発音)を通じて言葉を嗜む文化が存在する。また言葉により購買行動を促進する活動にコピーライティングがある。現代人の購買行動には製品それ自体よりもそれにより得られる体験価値を重視する傾向があり、コピーライティングにおいては端的な製品説明に加え、体験価値を消費者の印象に残す手腕も求められている。そのような経緯から高まってきたフレーズの多様な表現の可能性を生かし、製品の印象をさらに強める手段として、我々は古くから親しまれてきた文化に倣い、口遊みに着目した。そこで本稿では口遊みやすさを考慮したフレーズ生成手法の検討内容について報告する。
著者
小宮山 謙一郎 増本 愛 西原 冬実 小林 威仁 杣 知行 萩原 弘一 金澤 實 永田 真
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1631-1641, 2013-12-30 (Released:2017-02-10)

【背景・目的】迅速IgE測定システムとして開発されたImmunoCAP^[○!R] Rapidを用いてアレルギー疾患患者の特異的IgE抗体を測定し,プリックテスト(SPT)と比較することでその有用性を検討した.【方法】2010年9月から2012年2月までにアレルギー疾患が疑われた患者83名を対象とした.患者背景は年齢中央値43歳で,喘息53例,アレルギー性鼻炎が42例であった.【結果】全アレルゲンの陽性率はImmunoCAP^[○!R] Rapidに比べSPTが高い陽性率(22.5% vs 26.5%, p<0.05)となったが,スギ抗原ではImmunoCAP^[○!R] Rapidが陽性率は同等であり(68.7% vs 55.4%, p=0.07), 鼻炎患者においては有意に高い陽性率(90.4% vs 71.4%, p<0.05)を示した. SPT陽性をベースにしたImmunoCAP^[○!R] Rapidの感度66.9%, 特異度93.4%, 陽性・陰性一致率86.4%であった.アレルゲン別に検討すると,スギとダニの各々の感度は93.5%, 73.8%, 特異度は62.2%, 92.7%と高値を示し,診断効率は86.4%, 83.1%と良好であった.また,IgEの判定結果と皮膚反応(紅斑,膨疹)の相関性もみられた(r=0.645, 0.657).【結語】SPTに比べImmunoCAP^[○!R] Rapidのアレルゲン同定率はやや劣るが,主要アレルゲンであるスギやダニ患者のアレルゲン同定には有用と考えられた.
著者
金子 周司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.24-35, 2006 (Released:2006-04-01)
参考文献数
5
被引用文献数
5 4

ライフサイエンス辞書(LSD)とは,筆者が主宰するLSDプロジェクトが1993年以来作り上げてきた生命科学領域の電子辞書である。この辞書の最大の特徴は,英語および日本語のいずれも大量の学術テキストを計量的に解析した独自のデータに基づいていることである。本稿では現在,公開している辞書サービスの概要とLSDデータベースの構築法を紹介し,併せて現在取り組んでいる対訳オントロジーの構築作業から見えてきた英語と日本語の学術用語の相違点について述べたい。
著者
佐久間 幹雄 金澤 綾子 丹羽 麻由美 富山 明俊 柏木 秀樹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.79-84, 2019 (Released:2019-06-14)

これまでの特許情報解析では、出願件数や登録件数を指標として解析が行われてきた。例えば、競合企業の注力技術を解析したい場合、軸となる技術分野を細分化する工夫は様々な視点で行われてきたが、プロットされるのはあくまで「件数」であった。そこで、この研究では、発明者のグループを詳細に解析することにより、特定の技術開発に携わる「人数」を割り出し、特許件数だけでなく、開発者数も含めた総合的な視点で注力技術が探れないか、試行してみた。特に今回は、過去の前例が少ない中国企業における中国特実出願を母集団とした発明者グループ解析を試みたので、その結果とともに、解析における注意点や新たな発見も併せて報告する。