著者
中畑 雅行 鈴木 洋一郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.337-342, 2003-05-05
被引用文献数
4

The deficit of the solar neutrino event rate (so called "solar neutrino problem") was initially presented by Davis since 1960s. It was established as a deficit of the solar neutrino flux by Kamiokande led by Koshiba. In the recent two years, it was found that the solar neutrino problem is due to neutrino oscillations by the results from Super-Kamiokande and SNO experiments. Combining with other solar neutrino experiments, most probable solution of the neutrino oscillation parameters was the Large Mixing Angle (LMA) solution. In December 2002, the reactor long baseline experiment. KamLAND, confirmed that the LMA is the correct solution.
著者
松原 宏 加藤 和暢 鈴木 洋太郎 富樫 幸一
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.443-450, 2000-12-31
被引用文献数
1

経済地理学会大会シンポジウムの前日(2000年6月3日)午後, 駒澤大学にて「グローバリゼーションと産業集積の理論」と題したラウンドテーブルを企画した.以下には, ラウンドテーブルの主旨, 加藤・鈴木・富樫の3氏の報告要旨, 討論の概要を掲げる.なお, オーガナイザーは, 松原が務めた.
著者
山本 武人 樋坂 章博 鈴木 洋史
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.3-19, 2014 (Released:2018-04-02)
参考文献数
24
被引用文献数
3

持続的腎代替療法(CRRT)は、主に急性期病棟において循環動態が不安定な患者に導入されるが、CRRTにより治療上必要な薬物も除去され、血中濃度コントロールに難渋することも多い。そのため、CRRT導入患者に対しては慎重な投与設計が必要であるが、ガイドラインで推奨されている投与量は、限られたCRRT実施条件における検討に基づくものがほとんどである。そのため、施設毎・患者毎に実施条件が異なるCRRT導入患者に対して適切な投与設計を行うためには、CRRTによる薬物のクリアランス(CLCRRT)とCRRT実施条件の関連性を理解し、CRRT導入による全身クリアランス(CLtot)の変化を定量的に評価する必要がある。まず、CRRTによる小分子薬物の除去メカニズムは基本的には濾過と拡散であるが、アルブミンと結合した薬物は透析膜を透過できないことから、血漿中の非結合型薬物のみが除去の対象となる。従って、CLCRRTは薬物のタンパク非結合型分率とCRRT実施条件により理論的に推定可能であり、通常の実施条件(透析液流量と濾過量の合計が10~35 mL/min程度)であればクレアチニンクリアランス(CLcr)として10~35 mL/minに相当する。一方で、CRRT導入時の投与設計を行う上では薬物の未変化体尿中排泄率(Ae)も重要なパラメーターであると考えられる。すなわち、CRRT導入時の投与量としては、各種文献に示されているCLcrが10~50 mL/min相当の投与量を目安とするが、Aeの大きい腎排泄型薬物では、患者の腎機能が廃絶している場合にはCRRT実施条件の個人差がCRRT導入時のCLtotに与える影響が大きく、CRRT実施条件を考慮した投与設計が必要となる可能性がある。さらに、CRRT導入患者であっても初回投与量は腎機能正常者と同量とすること、CRRTは尿細管分泌や再吸収を代替できないため、それらの寄与の大きい薬物では予想外の薬物動態変化を示す可能性があることなどにも注意が必要である。本稿ではCRRT施行時のクリアランスの考え方について理論的背景を紹介した後、抗菌薬を例に臨床における投与設計への応用について解説する。
著者
村田 大樹 花北 順哉 高橋 敏行 北浜 義博 倉石 慶太 渡邊 水樹 上坂 十四夫 福井 伸行 鈴木 洋司
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.731-735, 2012 (Released:2012-10-29)
参考文献数
15

Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) の初期症状は多彩であり, その初期診断は困難であることが指摘されている.  今回われわれは, 腰部脊柱管狭窄症と診断し手術加療を行ったが, 病状が進行し最終的にALSと診断された症例を経験した.  症例は68歳男性. 腰痛を伴う歩行障害を主訴に来院. 画像上L4/5の椎間板ヘルニア, および脊柱管狭窄症を認めたため椎弓切除術を施行したが, 症状の改善を認めず, 術後から下肢の筋力低下, 筋萎縮, および呼吸障害が出現し急速に進行した. 最終診断はALSであり, 術後4カ月の経過で死亡された.  今回, 本症例の経過を報告するとともに, 腰痛, 下肢症状を初発症状とするALSについての文献的考察, および手術, 麻酔操作がALSの自然経過に及ぼす影響につき考察を加えた.
著者
高田 龍平 鈴木 洋史
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.375-380, 2005 (Released:2019-04-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1
著者
豊田 優 高田 龍平 松尾 洋孝 市田 公美 Blanka Stiburkova 鈴木 洋史
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-5, 2021 (Released:2021-06-04)
参考文献数
25

ATP-binding cassette transporter G2(ABCG2)は,尿酸排泄臓器において体外へ尿酸を排泄する生理的に重要な尿酸輸送体であり,痛風・高尿酸血症の主要病因遺伝子である.最近我々は,日本人のみならず,世界的に見ても高尿酸血症・痛風の発症率が高いチェコ人症例にも着目し,ABCG2変異と尿酸関連疾患との関連を検討することで,その病態生理学的重要性を明らかにしてきた.また,in vitro機能解析を通じて,ABCG2の機能低下/欠損をもたらす変異を新たに20種類以上同定することにも成功している.ABCG2が重要な薬物動態規定因子のひとつでもあることを踏まえると,本研究を通じて得られた成果は,ファーマコゲノミクスの観点からも有益であるといえる.本稿では,個別化医療や予防医学への応用が期待されているこれら一連の研究成果について,最新の知見を交えて紹介したい.
著者
生田 陽二 伊藤 麻美 森 貴幸 鈴木 洋実 小出 彩香 冨田 直 清水 直樹 三山 佐保子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.283-284, 2017 (Released:2017-07-12)
参考文献数
9

6歳女児. 発熱・頭痛で発症 (第1病日), 第7病日に傾眠傾向とけいれんが出現し入院. 頭部MRI拡散強調画像では大脳皮質に広範囲の拡散制限を, 脳波では高振幅徐波と全般性あるいは多焦点性の棘徐波複合を認めた. 入院時より下肢間代発作や全身強直発作が群発し, 人工呼吸管理とした. 発作は治療抵抗性で, 第9病日にthiopental (TP) 持続投与を開始したところ, 臨床発作は消失した. TP開始後, 心機能悪化が懸念されたため他の抗てんかん薬を併用してTPの減量を試みた. しかし部分発作が再発し, 脳波も数十秒間連続する多棘波が5~10分間隔で出現する非臨床発作と考えられる所見となり, TP離脱は困難であった. 第24病日に24時間の絶食期間を経てケトン指数3 : 1でケトン食療法を開始したところ, 絶食開始24時間後には背景脳波活動の改善がみられ, ケトン食開始後は速やかに発作と脳波上の棘波が減少した. 第35病日以降, 発作は消失し第42病日にTPを終了した. 以上の経過より, 本症例はTPからの離脱にケトン食療法が有効であった難治頻回部分発作重積型急性脳炎 (AERRPS) と診断した. AERRPSでは抗てんかん薬の大量かつ長期間の経静脈投与を必要とし, 心機能を含めた臓器障害が問題となる. 抗てんかん薬経静脈投与からの離脱困難例においてケトン食療法は選択肢の一つであり, 輸液中の糖質制限が発作抑制に有効である可能性が示唆された.
著者
中畑 雅行 鈴木 洋一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.171-179, 2002-03-05 (Released:2011-02-09)
参考文献数
19
被引用文献数
1

「観測された太陽ニュートリノ強度が標準太陽モデルからの予想値に比べて有意に小さい」という「太陽ニュートリノ問題」は, 30年以上もの間, 議論されてきた. 最近, スーパーカミオカンデとカナダのSNO (サドバリーニュートリノ観測) 実験との観測により, この太陽ニュートリノ問題の解は, 「ニュートリノ振動」という現象が原因であることがはっきりした. また, 電子ニュートリノを質量の固有状態に分解すると質量の異なる状態が大きく混合しているらしいことも分かってきた, この解説では, 最新の太陽ニュートリノ実験の結果を踏まえて, ニュートリノの素粒子的性質, 今後の太陽ニュートリノ研究の進展にっいて述べる.
著者
鈴木 洋子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.733-741, 2004-09-15
参考文献数
14
被引用文献数
3

学校教育の限られた時間内に効率よく安全に包丁技能を習得させることを目的に,「きざみ:被切断物を包丁を手にしていない手指で押さえ,包丁の刃を押し出す様に切る切り方」練習に用いる披切断物の高さと幅を,寒天ゲルを用いたモデル実験により検討するとともに,参考として「包丁指導の際に用いる教材の配列」を家庭科担当者への調査を通して検討した結果,以下のことが明らかになった.1)「きざみ」時の包丁操作には,被切断物の高さよりも幅の影響がみられ,切断後の被切断物の状態については若干ではあるが幅より高さに影響がみられた.2)非熟練者の場合は,幅の広い被切断物を切断した際に,包丁を振り上げてから切断を開始するまでの時間が熟練者に比べると長いことがわかった.3)包丁操作の「きざみ」練習を行う際の披切断物の高さは包丁の刃幅の半分程度で,幅は2.5cm程度がよく,小学校家庭科における「きざみ」練習の教材に長年に渡り採用されてきたきゅうりのうす切り(輪切り)とキャベツのせん切りを比較すると,幅が狭いきゅうりの方が適している.4)現行の小学校家庭科第5学年の教材として広く取り人れられているきゅうりのうす切り(輪切り)やキャベツのせん切りは難易度が高いことから,低・中学年期に包丁練習の初期段階として厚めの「小口切り」や「イチョウ切り」の練習を積極的に取り人れるとよい.
著者
鈴木 洋昭
出版者
岐阜女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

戦後四十数年間の岐阜県議会議員の社会的属性の分析を中心とした地方議員の利益代表性についての研究を更に発展させて、地方政治を支えあるいは動かしてきた「地方名望家層」-具体的には酒造業を営む地方の名士-の変容に焦点をあてて、岐阜県の政治文化を分析し、社会学的な考察をくわえてきた。平成元年度の研究は、当初の研究目的に従い、研究計画どおりの方法で実施してきた。前年度の研究において、当初から予想されたとおり、本研究にとって重要な基礎的資料の収集、とくに政治的パトロン関係の資料収集が困難であった為に、本年度の研究は、(1)酒造業者の家系の歴史的調査,(2)酒造業者の家系をたどり、メンバ-の経歴分析のなかでの政治的役職者の調査、(3)政治的パトロン関係の調査の(1)〜(3)の調査の資料整理をおこない、研究結果のまとめをおこなった。以下、平成元年度の研究結果のまとめを記しておく。大衆政党の出現が地方名望家の政治参加に大きな変化をもたらしたことは周知の事実であるが、岐阜県内においても、政治家の輩出基盤としての酒造業者に変化がみられる。昭和63年度の研究結果のまとめとして、酒造業者の政治参加には三様の関わり方があることを指摘したが、最近の傾向として、自ら政治に参加するのではなく、政治家とパトロン関係をもつことによって政治に参加する方向へと変化がみられる。そして、その変化は政治家の職務の専門化等に対応した政治家自身の特性の変化によるばかりではなく、経営規模の変化や経済成長との関わりのなかでの変化によるものであることを指摘したい。
著者
木本 龍 遠藤 洋毅 大隅 雄一郎 柴田 大輔 鈴木 洋平 菅谷 睦 宮原 小百合 河野 めぐみ 篠原 竜也 渡邉 昌 宗村 浩美 常泉 美佐子 菅原 成元 輪座 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101538, 2013

【はじめに、目的】 反重力トレッドミル『Alter G』とは ,NASAで宇宙飛行士の訓練用として開発されたトレッドミルであり,空気圧により利用者を持ち上げて免荷量を調整でき,部分体重免荷トレッドミルトレーニングが可能となるリハビリテーション機器である.現在,プロサッカーチームの『マンチェスターユナイテッド』や『ACミラン』,NBAの『レイカーズ』などに導入され,主に整形外科やスポーツリハビリテーションの分野で使用されている. 当院では2011年10月より導入し,多くの患者のリハビリテーションに使用してきた.しかし,『Alter G』は新しいリハビリ機器のため,その適応や設定方法,効果については十分確立されていない.今回,ACL再建術後の患者において,『Alter G』の使用の有無による在院日数や退院時の移動能力,筋力推移を比較・検討し,『Alter G』の効果や今後の使用方法について検討したので報告する.【対象、方法】 使用群は『Alter G』が導入された2011年10月以降にACL再建術を受けられた12名(平均年齢:30.3歳,男性6名,女性6名). 未使用群は『Alter G』が導入される以前に手術を受けられた12名(平均年齢:29.5歳,男性7名,女性:5名). 両群ともに手術は内視鏡下にて内側ハムストリングス自家腱を使用した4重束のシングルルートであり,後療法は術後2週間までは1/2PWB,2週後よりFWBとし,FWB開始後に問題がなければ退院という当院のクリニカルパスに沿ってリハビリを実施した.『Alter G』を使用しての歩行練習を追加した以外には両群に差はなかった. 診療録より基礎情報(年齢・性別),在院日数,退院時の移動能力(手放し歩行or松葉杖歩行),筋力推移について調査し,2群で比較検討を行った.筋力測定はミナト医科学株式会社製の『COMBIT CB-2』を使用し,術前・術後1ヶ月・3か月・6か月の時点で膝伸展および屈曲筋力を測定した.なお,各速度は60deg/secと180deg/secの2条件とし,最大筋力の患健比で評価をした.統計処理は,在院日数の比較はマンホイットニーU検定を,退院時移動能力の比較はχ二乗検定を,筋力推移の比較は分散分析(Post-hoc test: Bonferroni)を用い,有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき,当センター内で倫理検討を行い,本研究の内容を患者に十分説明した後,同意を得た.【結果】 在院日数の比較では,使用群は17.0日,未使用群は19.4日と有意に使用群の方が短かった. 退院時の移動能力の比較では,使用群は手放し歩行9人,松葉杖歩行が3人に対し,未使用群は手放し歩行5人,松葉杖歩行が7人であり,使用群の方が手放し歩行で退院できた人数が多く,統計上有意差を認めた. 筋力推移に関しては,術後1ヶ月時点のみ,使用群の方が膝屈曲筋力は有意に高かったが,膝伸展筋力や術後3か月・6か月時点の膝屈曲筋力では2群間で差は認められなかった.【考察】 使用群は在院日数が短いにもかかわらず,退院時には手放し歩行獲得者が多かった.これは『Alter G』を使用することによって,空気圧で下肢にかかる体重を調整でき,術後早期から手放し歩行での練習が可能なことが影響していると思われる.両群共に術後2週までは1/2PWBであり,松葉杖歩行での生活となるが,使用群は術後早期から手放しでの部分体重免荷歩行練習が可能となり,FWB開始となった術後2週直後に手放し歩行が獲得できる症例が多かった. また,筋力推移に関しては,術後1ヶ月時点の膝屈曲筋力のみ有意に高かった.これは,当院では内側ハムストリングス自家腱を使用する手術であるため,術後早期の膝屈曲筋力の低下が著明であるが,『Alter G』を使用し部分免荷することによって,体重支持や下肢の振り出しに関わるハムストリングの筋活動量が減少し,術後早期からハムストリングスに対して愛護的な歩行練習ができるためと考えられる.しかし,術後3か月・6か月時の筋力は2群で有意差が認められなかった.これは,部分体重免荷の先行研究によると,部分免荷歩行は通常歩行時よりもハムストリングスや大腿直筋の筋活動量が低下することが報告されており,FWBが痛みなく可能になった後は『Alter G』を使用せず,積極的に荷重させた方が筋力の回復は良好なのではないかと考えられる.【理学療法学研究としての意義】 ACL再建術後の患者において,『Alter G』での部分免荷歩行練習は,術後の早期退院・早期手放し歩行の獲得が可能となり,急性期の筋力回復にも適していると考えられる.しかし,免荷することで下肢の筋活動量が減少することを考慮すると,FWBが可能になってからは積極的に荷重させた方が良い可能性が示唆される.
著者
薄井 洋基 岸本 啓介 鈴木 洋
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.423-430, 2000-05-10 (Released:2010-03-15)
参考文献数
16
被引用文献数
5 6

シリカサスペンションの粘度を予測するためのチキソトロピーモデルが提案された. 本モデルは粒径分布を有する凝集性スラリーの非ニュートン粘度を予測することが出来る. 本モデルでは球形粒子を仮定しているので, モデルの検証のために単分散の球形シリカ粒子を用いて粒子分布を有する濃厚サスペンションを調製した. 実験結果との比較より最小粒子間結合エネルギーF0に関しては更なる考察が必要ではあるが, 粒径分布を持つ凝集性スラリーの粘度予測を本モデルを用いて行えることが示された. 今後, 一般的な粒径分布を有する非球形粒子のスラリー系に対する本モデルの適用性を検証する必要がある.
著者
阿藤 みや子 小林 賢 鈴木 洋司 鈴木 由美 金子 朋江 松崎 雄三 石上 園子 福田 安子 玉井 誠一
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.67-77, 2003 (Released:2017-03-30)
参考文献数
29
被引用文献数
1

血液型検査においてキメラが疑われた症例が見出されたので, HLA-A, B, CとHLA-DRB1のDNAタイピング, マイクロサテライト解析およびフローサイトメトリー解析を用いた確認試験により双生児キメラであることが示唆された. 本症例は, 37歳の男性で, 二卵性双生児の弟がいる. 平成14年9月左橈骨遠位端骨折のため越谷市立病院に入院したが, 輸血歴はない. この症例の末梢血を用いてABO血液型のフローサイトメトリー解析ならびにヨウ化カリウム法で末梢血からDNAを抽出し, マイクロサテライト解析, ABO血液型遺伝子タイピングおよびHLA遺伝子タイピングを実施した. フローサイトメトリー解析の結果, B型血球とAB型血球が90.04%と9.96%の比率で混在していた. すべての遺伝子検査で3種類ないし4種類のアリルが検出された. これらのことから, この症例が双生児キメラであることが示唆された.