著者
鈴木 洋
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.47-51, 2011-02-20 (Released:2011-05-20)
参考文献数
11

インクなど(含色材流体)の塗布プロセスを考えるうえで,流体の流動特性について知ることは重要である。インクの多くは色素微粒子が溶媒(分散媒)に懸濁された状態(サスペンジョン)であり,一般に通常知られている水や空気のような単純な粘度特性を示さない。乾式である場合にも同様である。また媒体によっては粘弾性という特殊な性質を示す場合があり,この場合にはより複雑な流動特性が発現する。ここではこれら特殊な流体を取り扱うレオロジーに基づき,かかる複雑流体の基礎的な流動特性について解説する。
著者
鈴木 洋
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.433-441, 1974-09-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
32

甲状腺機能尤進症, 甲状腺機能低下症患者および正常対照者に0.59/kgの塩酸アルギニンを30分間にて点滴静注し, 経時的に採血し, インスリンおよび血糖値を測定した. 正常対照者はインスリン, 血糖共に30分に頂値を有し, その時のインスリン増加分 (IRI) は32.5±3.0μU/ml, 血糖増加分 (BS) は16.6±3.7mg/dlであり, 甲状腺機能尤進症患者では, インスリン, 血糖共に低ないし無反応であり, 30分IRIは2.6±1.9μU/mlであり, 30分BSは29±3.1mg/dlであった. 一方, 甲状腺機能低下症患者では, インスリン, 血糖共に高反応を示し, 30分IRIは87.6±19.9μU/ml, 30分BSは42.0±12.9mg/dlの頂値を示した. 血清サイロキシン, T3レジンスポンジ摂取率, 基礎代謝率, 甲状腺1明摂取率の各種甲状腺機能検査所見と15, 30, 45, 60分1RIとの間には有意 (p<0.01) の逆相関々係を認め, 特に15分でその関係は著しく, 以後漸減した. 各種甲状腺機能と15, 30分4BSとの間にも逆相関々係を認めたが, IRIほど著明ではなかった. 以上の成績からアルギニンによるインスリン分泌は甲状腺機能を良く反映していると思われたが, その機序に関しては今後更に詳細な検討が必要と思われる.
著者
齋藤 遥香 鈴木 洋佑 市川 由唯 宮下 絵美里
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-05-10

福島県いわき市には「風と坊主は十時から」という言い伝えがある。しかし、本校の1,2年生640名にアンケートを取ったところ10名しか知っている人がいなかった。そこで実際にこのことわざは信頼性があるのか、そして本当に風が10時から吹くのかを検証した。また風が吹くということが、風が吹き始めることと風が急に強くなることのどちらを指すのかを検討した。 まず、気象庁の過去20年分の午前6時から12時の風速と風向のデータを天候別と季節別に統計した。観測地点はいわき市を含む福島県沿岸部の2地点と内陸の計4地点に設定し、吹き始めと風速の変化の大きい時間を調べた。人が風を感じる風速3.0m/sを初めて超えた時間帯を風の吹き始めとし、また、風速3.0m/sを超えた中で1時間の風速の変化量が最も大きい時間帯を風速の変化量とした。本研究では、この2つのデータと、その時観測された風の向きを統計の対象とした。 その結果、沿岸部のいわき市小名浜と相馬市では、吹き始め・変化量のどちらにおいても10時から風が吹くことが多く、特に春と夏は風速の変化量が最大になる時間帯が10時より早かった。風向きに関しては、夏は海側からの風が、冬は北西よりの風が多くみられた。このことから、春と夏に小名浜や相馬市で10時より早い時間帯に吹く風は海風であると考察した。一方で内陸に位置する福島市と会津若松市では、吹き始め・変化量どちらにおいても一年を通しておおむね10時より遅い時間帯に多く吹くことが分かった。風向きに関して、夏は北東、それ以外の季節では北西か西北西の風が多かった。 沿岸地域で風速の変化量が大きくなる時間帯が夏に早くなる原因が海風にあることを確証づけるため海風を模擬的に起こす実験を行った。まず水槽に水と砂を配置し、その間に風を可視化するため線香を置いた。そして熱を発する500Wのハロゲンライトで砂と水を温め、海陸風を発生させた。また温める前の砂と水の温度はどちらも10℃にして、実際の海水温と気温の変化と実験の結果を比較するため、水の温度と砂の温度を測定した。この実験を6回行った。風が吹き始めたというのは、上昇気流が砂の上で生じた時とした。実験から、風が生じたのは砂と水の温度差が平均して5.216℃の時だった。その条件に当てはまる気温と海水温の時間帯を調べたところ、8時と9時の割合が高かった。このことから、夏の8時に風速の変化量が大きかった理由が海風の影響を受けたためであると推測した。 このことから、福島県いわき市小名浜ではこの言い伝えがおおむね適用できるということが分かった。
著者
小久江 伸介 大野 能之 折山 豊仁 山口 諒 徳田 篤志 長瀬 幸恵 鈴木 洋史
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.694-700, 2016-10-10 (Released:2017-10-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1 4

At the University of Tokyo hospital, we began allocation of ward pharmacists to some wards in August 2012 and to all wards in August 2014. In this study, we qualitatively and quantitatively reviewed cases reported by ward pharmacists to evaluate the effects of this allocation on intervention and consultation that required positive participation.We retrospectively reviewed the pharmaceutical interventions' record from April 2012 through March 2015. We also analyzed cases for three months after the allocation of pharmacists to every ward. We found a highly positive correlation (R2 = 0.928, P < 0.0001) between the number of wards and pharmaceutical interventions. Intervention cases per month increased by 21.5 after allocating a pharmacist to a ward. There were a total of 2,438 intervention cases over three months. Active and passive approaches were employed in 1,833 cases and 605 cases, respectively. High-risk medicines were associated with 39.3% of cases. The prescription change rate was 86.2% for active interventions and 50.9% for passive interventions.Results showed that the allocation of a ward pharmacist could assist pharmaceutical approaches through the evaluation of patient complaints and clinical conditions, participation in the treatment plan, and consultation from medical staff. There were also reports that an active approach led to critical adverse event avoidance and pharmacotherapy effect improvement. These findings suggest that the allocation of ward pharmacists results in the promotion of healthcare services and medical safety.
著者
井上 勉 渡辺 裕輔 野平 由香 新井 鐘大 佐藤 貴彦 菊田 知宏 小林 和裕 池田 直史 鈴木 洋通
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.3049-3051, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

56歳,女性,腹膜透析患者,3年前よりうつ病あり塩酸トラゾドンを使用していた.徐々に増悪した嘔気,嘔吐,水様下痢を主訴に救急外来を受診,血圧202/86mmHg,ミオクローヌスも認めたが原因は不明であった.入院後,経口薬剤を中止してから血圧は次第に下降し,消化器症状も改善した.頭部および胸腹部CT,上部消化管内視鏡で器質的疾患は否定された.これら臨床経過から塩酸トラゾドンによるセロトニン症候群の可能性が示唆された.
著者
苅谷 嘉顕 本間 雅 鈴木 洋史
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.415-419, 2018 (Released:2018-05-01)
参考文献数
11

分子標的薬は、副作用発現により治療中断となる場合があり、副作用機序解析や予測の基盤確立は大きな課題である。生体を多階層システム的に捉える手法には、チロシンキナーゼ阻害薬の副作用解析など複数の成功例があり、システムファーマコロジー手法は副作用解析に有効と考えられる。現在、in silico解析を含む様々な手法が開発されつつあり、システムファーマコロジーに基づく副作用解析や予測は更なる発展が期待される。
著者
鈴木 洋一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.203-207, 2005

2004年のスーパーカミオカンデのハイライトは, 大気ニュートリノ振動の振動パターンの確認である.また, 大気, 太陽ニュートリノともに, SK-I(96年4月から2001年7月)の最終結果のまとめを行った.以下では主にニュートリノ振動に関連する最近の結果, SK-II(2002年10月から)の現状, そしてSK-III(2005年に予定されている全面復旧後の測定器)の準備状況を報告する.
著者
鈴木 洋一 坂本 修 真下 陽一 羽田 明
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.499-507, 2012-09-25 (Released:2017-10-10)
参考文献数
31

Biotin is a water-soluble vitamin and a cofactor of several types of carboxylases. Insufficient intake of biotin and a congenital deficiency of enzymes requiring biotin as a cofactor in cells cause clinical symptoms called multiple carboxylase deficiency (MCD). In recent years, several reports have shown that infants with food allergy and/or atopic eczema have developed MCD after being fed with peptide formulas. Peptide formulas available in Japan contain very little biotin because biotin has not been permitted to be added to regular foods as an additive. This, however, may lead to nutritional biotin deficiency in some infants fed with such a peptide milk. We investigated the incidence of nutritional biotin deficiency and congenital enzyme deficiency in Japan. We sent a questionnaire to 921 hospitals with a pediatric department to cover all areas of Japan. The response rate was 64%. The rate of hospitals that use peptide milk in the therapy of allergic diseases was 49%. The estimated incidence of biotin deficiency was at least 70 cases in the last 10 years. Since the first diagnosis of holocarboxylase synthetase deficiency (HCSD) in 1982, HCSD and biotinidase deficiency have been confirmed in 28 and 2 cases, respectively. These data suggest that the incidence of congenital enzyme deficiency is about 1 case per year. Supplementation of biotin is highly recommended when infants are fed with peptide milk in Japan.
著者
峰 隆直 福武 尚重 小亀 孝夫 鈴木 洋 小正 尚裕 大柳 光正 安冨 栄生 岩崎 忠昭 西山 利正 荒木 恒治
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.293-295, 1995-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

症例. 59歳.男性.発熱にて発症.入院時白血球数23400/μl (peak 33800/μl),好酸球26% (max 78%),肝機能異常を認めた.血清学的沈降反応にてイヌ回虫抗原に沈降線を認め,イヌ回虫幼虫移行症と考えチアベンダゾール投与を行ったところ,白血球数,肝エコー所見,肝機能の改善を認めた.本症は牛レバーの生食により感染し,チアベンダゾールが有効であったイヌ回虫幼虫移行症の興味深い1例と考えられた.
著者
鈴木 洋史
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.151-158, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
42

It has been reported that some transporters are located on the blood-brain and blood-cerebrospinal fluid barriers to exclude their substrates from the central nervous system. In this article, the molecular mechanism for the vectorial transport of xenobiotics is summarized particularly focusing on our own studies. In addition to MDR1 P-glycoprotein, we could suggest the significant role of multidrug resistance associated proteins in the drug disposition in the central nervous system. Moreover, the role of organic anion transporting polypeptides and organic anion transporters is discussed in relation to the transport studies in the blood-cerebrospinal fluid barrier.
著者
渋川 祥子 鈴木 洋子
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育紀要 (ISSN:05135656)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.106-119, 1979-11-30
被引用文献数
1

家庭に於ける野菜の冷蔵保存の条件を知るために,保存温度,包装方法等を中心に条件をかえ,ビタミンC,糖の定量,外観,重量変化等から品質を評価して検討を行った結果次のことが明かとなった。1.低温障害をおこす野菜を除くと,1〜6℃でポリ袋等で包装し密封状態で保存するのがよい。2.低温障害は5以下で生じるので,低温障害を起す野菜も5〜7℃の低温で密封保存する方がよい。3.低温,密封保存した野菜は外観的に新鮮そうであっても,栄養価の低下は著しいものがある。又,冷凍可能な数種の野菜について,同様に品質を評価して冷蔵保存との比較を行った結果次のことが明かとなった。4.冷凍保存は,冷蔵保存に比べて栄養価の低下は少く,長期保存が可能である。5.冷凍によりテクスチャーは劣化する,特に繊維のかたいものはその傾向が著しく冷凍保存は適当でない。
著者
鈴木 洋子
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.203-207, 2017-03-31

教員一人ひとりに給食指導に必要な指導力の形成を図ることが、延いては食育の充実と継続に繋がるとの観点から、国立の教員養成系大学を対象に教育実習に関連する科目と実習の手引き(ハンドブック)における給食指導の扱いを調査した。その結果、回答を得られた29大学(56.9%)のうち、教育実習関連科目において学校給食ならびに給食指導を扱っていた大学は4大学(13.8%)で、実習の手引き(ハンドブック)に記載していた大学は5大学(17.2%)であった。手引きに掲載されていたのは「手洗い」や「給食当番の服装」の「安全・衛生」に関する内容や、「食事の仕方・マナー」「後片付け」であった。
著者
永田 智子 赤松 純子 榊原 典子 鈴木 真由子 鈴木 洋子 田中 宏子 山本 奈美
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2013

1.問題の所在と研究の目的  家庭科教員を取り巻く現状は厳しい。小学校においては継続的に家庭科の実践研究を行う教員は少なく,家庭科授業の手本を示してくれる先輩教員や情報交換できる同僚が身近にいないことが多い。別の方法で小学校家庭科の授業者を支援する手立てが必要である。  小倉ら(2007)は,全国の小中学校における日々の理科授業の改善に役立てるため,優れた特徴をもつ理科授業をビデオ収録するとともに,その実践の何が優れているかを具体的に示すことによって,理科を指導する教師が参考にすることを目的とした研究を行った。本研究の基本的な発想は小倉らの研究に依拠する。つまり家庭科授業をビデオ収録し,その指導案を集めるだけでなく,家庭科教育の有識者が,その授業の何が優れており,何が課題なのかを具体的に示すことによって,家庭科の授業実施や改善を支援できると考えた。  ただし,小倉らの研究では,授業ビデオと報告書に掲載された評価コメントを,視聴者自身が対応付けながら視聴しなければならない点で不自由がある。そこで,共有された授業風景動画の特定場面と討論中の発言内容の対応を明示化する動画共有システムVISCO(小川ほか2009)を利用することにした。VISCOではコメントを具体的な映像場面に直接付与すると,吹き出しのように表示することなどが可能になるため,視聴しやすくなることが期待できる。  そこで,小学校家庭科授業の実施・改善を支援することを目指し,優れた点や課題点などのコメントを授業ビデオとともに閲覧することのできる動画共有システムと家庭科授業ビデオを一つのパッケージとして開発することを本研究の目的とした。 2.パッケージの開発手順と特徴  今回開発したパッケージには,VISCOおよび7本の小学校家庭科授業の動画ファイル,各授業の指導案が含まれている。   VISCOはWindows7を推奨環境とするシステムで,動画の映像場面にコメントを付与すると,インターネットを通じてコメント情報がサーバに蓄積される。視聴時には,インターネットを通じて,蓄積された複数人のコメント情報を動画上に吹き出しの様に重ねて表示させることができる。またコメントはリスト表示され,そこからコメントを挿入した場面に動画を移動させることもできる。  小学校家庭科授業およびその指導案は日本家庭科教育学会近畿地区会の有志によって収集・編集された。授業は学習内容A~Dから各1本以上とし(A=1本,B=2本,C=3本,D=1本),題材(テーマ)は重ならないように調整した。授業は学校長の許諾を得た上で撮影し,かつ子どもの名前や顔にはモザイク加工を施した。音声が聞き取りにくい場面にはテロップを付け,授業内容がわかる程度の長さにカットした(最短約16分,最長約38分,平均約24分)。  このように編集された7本の授業ビデオに,教員養成系大学・学部で家庭科教育に携わる研究者7名が分担して,VISCOを使って優れた点や課題・助言,解説等のコメントを付与した。1本当たりのコメント者数は3名,コメント数は平均48.3±11.5件であった。 3.今後の課題 小学校と同様の手続きで中学校・高等学校家庭科教育のパッケージを開発するとともに,研究者の付与したコメントの妥当性や有効性を検証することが今後の課題である。 本研究はJSPS科研費 24531124の助成を受けたものである。参考文献 小倉康ほか(2007)優れた小中学校理科授業構成要素に関する授業ビデオ分析とその教師教育への適用,平成 15 年度~18 年度科学研究費補助金 基盤研究(A)(1) 研究成果報告書 小川修史・小川弘・掛川淳一・石田翼・森広浩一郎(2009)協調的授業改善を支援するための動画共有システムVISCO 開発に向けた実践的検討,日本教育工学会論文誌,Vol.33, Suppl., 101-104