著者
鈴木 伸明
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.273-280, 2018 (Released:2018-06-15)
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

要約:von Willebrand Factor (VWF)インヒビターによるAcquired von Willebrand Syndrome(AvWS)は1968 年にSLE に合併した患者が初めて報告された.その後,ちょうど50年が経過するが,基礎疾患が非常に幅広く存在する一方で,臨床的にVWF インヒビターの存在が疑われるものの,リストセチンコファクター活性(RCo)ベースのベセスダ法やELISA などの手法でインヒビターが検出されない症例が多く存在し,診断基準も十分に整備されておらず,病態理解も十分に進んでいない.そのため,診断においては鼻出血や紫斑などの後天的な出血症状を呈する症例に対して,VWF 関連検査を行いながら,基礎疾患や家族歴を考慮し,総合的に臨床診断されているというのが実情である.治療法に関しては必ずしも基礎疾患の治療が,AvWS の改善につながるとは限らず,軽症例に対してはトラネキサム酸(トランサミン®)を使用しつつ,一定以上の出血イベントにはVWF 含有血液凝固第VIII 因子製剤(コンファクト®)やデスモプレシン酢酸塩水和物(デスモプレシン注®)を短縮した半減期に注意しながら使用する必要があり,デリケートかつ継続的な止血管理が必要となる.
著者
本間 亘 鈴木 拓海 若月 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.46, pp.11-14, 2007-05-11

電磁リレーでは、電気接点が閉成するときに、接点の衝突現象によるバウンスが生じる。過渡電流スイッチ回路によるアーク放電抑制を前提にすれば、接点電極の消耗や転移が激減するので、バウンスの抑制方法も従来とは別なアプローチがありそうである。そこで、従来のバウンス現象を可動電極の運動に着目して、現象の解明を試みた。このバウンス原因を明らかにするため、電極接点の形状を変え、接点開閉時の電流・電圧測定に同期させて可動接点の弾性振動を光変位計で測定した。閉成時の電気的特性と光変位計による測定を対比させたところ、可動電極は、片持ちはり構造の基本共振モードのほかに、2次モードの振動が確認され、それがバウンスと関係することがわかった。
著者
大場 伸哉 鈴木 祐介 藤本 文弘
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.7-13, 1997-12-26

ソバ属(Fagopyrum spp.)栽培種は収穫時に脱粒しやすい。そこで本研究では,小枝強度を指標にしてソバ属2種の脱粒性を調査した。供試した材料は,日本産,ソ連産およびネパール産の普通ソバ(F. esculentum Moench.)3品種2系統とソ連ならびにネパール産のダッタンソバ(F. tataricum Gaerutner)2系統である。開花・結実後3日毎に小枝の抗張強度と抗曲強度を測定し,登熟に伴う小枝強度の変化を調べた。また,登熟程度の目安とするために,痩果の生鮮重を測定した。結実直後の抗張強度ならびに抗曲強度は,全品種・系統とも10g程度と小さく,登熟するに従い次第に増加した。しかし,登熟が終わると,日本産やソ道産の普通ソバでは抗曲強度が顕著に低下した。登熟後の普通ソバとダッタンソバの小枝強度を比較すると,ダッタンソバの強度は普通ソバの半分程度に過ぎなかった。一方,抗曲強度の最高強度を普通ソバの品種・系続開で比較すると,最も強いネパール産ソバと最も弱いソ連産ソバとの差は11gで,その差は比較的小さかった。また,ダッタンソバの場合は,系統間に有意な差はなかった。抗張強度の測定時に痩果が離脱した部位を調べたところ,痩果の基部付近から小枝の中央部にかけて離脱しやすいことがわかった。これは,イネ科植物で見られるような特定部位での脱粒とは異なっている。
著者
磯島 愿三 鈴木 隆男 石神 寛通
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.805-813, 1991-12-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

実験Iは信号音が帯域雑音で, 遮蔽音が純音の場合である。 そのconventional PTCは信号音のレベルの上昇に従い, 高域勾配は急峻となり, 低域勾配は浅くなる。 この勾配の変化は信号音の持続時間には依存しない。 PTCの勾配は一次ニューロンのFTCの勾配より急峻である。 これは結合音, ことにoff-frequency listening効果の大きさに依存する。 PTCの帯域幅は信号音のレベルにも持続時間にも依存しないが, 聴覚系のフィルタの等価方形帯域幅より狭い。 PTCの先端部での遮蔽閾値は信号音レベルが10dB, 20dBSLでは, 信号音の時間積分が見られるが, 30dBSLでは時間積分はみられない。 これはPTCが臨界帯域と強い関連を持つことを示す。 実験IIは信号音が純音で, 遮蔽音が帯域雑音の場合である。 低域, 高域勾配は実験Iの場合よりも急峻となる。 PTCの帯域幅は実験Iの場合と同じか広くなる。 これは信号音レベルが10dB, 20dBSLでは, 先端部の遮蔽閾値の平坦化が持続時間が長くなるほど広くなるためと, 遮蔽音の帯域幅が持続時間20msの信号音帯域幅の約2倍であるためである。 信号音レベルが30dBSLでは, 持続時間に関係なく平坦化は見られない。 実験IIの結果は, 線形興奮パターンモデルからの予測と一致する。 PTCの先端部遮藪閾値は実験Iの場合と同様である。 conventional PTCは心理的周波数選択性を表わし, その3dB帯域幅は臨界帯域に対応するが, これらは信号音あるいは遮蔽音に用いた帯域雑音の帯域幅に強く依存する。
著者
松林 正 市川 広美 稲垣 晴代 今枝 正行 水谷 文彦 安藤 光広 鈴木 賀巳 西村 豊
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.172-175, 1991

急性リンパ性白血病を合併した結節性硬化症の1例を報告した.症例は結節性硬化症の9歳の女児で, 発熱と全身倦怠のため近医受診, 血液検査・骨髄検査にて急性リンパ性白血病と診断され当科紹介入院となった.骨髄塗抹標本では芽球が96%を占めていた.芽球は細胞生化学的には, ペルオキシダーゼ染色陰性, PAS染色陽性で, 表面マーカー検索では, CD9, CD10, CDI9, CD20, HLA-DR陽性であった.化学療法を行い, 完全寛解を得た.神経線維腫症では白血病合併例は散見されているが, 同じ神経皮膚症候群である結節性硬化症での白血病合併は非常に稀である.
著者
鈴木 正裕
出版者
Kyoto University
巻号頁・発行日
2017-09-25

近代民事訴訟法史・オーストリア. 鈴木正裕著. -- 信山社, 2016. -- (学術選書 ; 134 . 民事訴訟法).
著者
池田 めぐみ 池尻 良平 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44067, (Released:2020-08-28)
参考文献数
28

本研究の目的は,上司による業務プロセスへのフィードバックとジョブ・クラフティング,若年労働者の職場における能力向上の関連を明らかにすることである.そのために,インターネット調査を行い取得したデータをもとに,構造方程式モデリングを用い,仮説の検証を行った.分析の結果,第1に,上司による業務プロセスへのフィードバックがジョブ・クラフティングの全ての因子及び職場における能力向上の全ての因子に正の影響を与えること,第2に,ジョブ・クラフティングの次元によって,影響を与える能力に違いがあることが確認された.以上より,若年労働者の職場における能力向上および,ジョブ・クラフティングを促す上で,上司による業務プロセスへのフィードバックが有効である可能性が示唆された.
著者
鈴木 裕之 Presicce Giorgio A. Yang Xiangzhong
出版者
日本哺乳動物卵子学会
雑誌
Journal of mammalian ova research = 日本哺乳動物卵子学会誌 (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.49-62, 1998-04-01
参考文献数
62
被引用文献数
4 4

体内ならびに体外成熟中のウシ卵丘細胞-卵母細胞複合体の表面微細構造を走査型電子顕微鏡により比較した.また,卵母細胞の直径の変化についても検討した.体内成熟卵は過剰排卵処理した雌ウシからhCG投与後0,12,24時間後に,超音波ガイド法により2 mm以上のすべての卵胞から回収した(それぞれ85,38,39個).体外成熟卵は屠場卵巣から回収された卵母細胞を0,12,24時間体外培養して得た(それぞれ188,138,228個).未成熟卵は緊密に配列した顆粒層細胞に囲まれていた.体外培養24時間後に,体内成熟卵に比べ(44%),より多くの体外成熟卵(100%)が顆粒層細胞の膨化を示した.しかし,体内成熟卵の顆粒層細胞の膨化の程度は体外成熟卵のそれに比べ顕著であった.透明帯は成熟のステージや成熟方法に関わらず繊維性のメッシュ構造を示した.未成熟卵の細胞膜には,大型の舌状突起の分布が見られ,これらは成熟に伴い徐々に微絨毛の分布パターンに変化した.成熟12時間後では,体内成熟卵に比べ(11%),より多くの体外成熟卵(100%)の細胞表面が舌状突起の分布パターンから微絨毛の分布パターンへ変化していた(p<0.05).卵母細胞の直径は成熟培養中に徐々に減少した.すなわち,0,12ならびに24時間後で,それぞれ127±1,122±1,116±1 <i>&mu;</i>mであった.一方,体内成熟卵ではそれぞれ121±2,129±2,101±1 <i>&mu;</i>mであった.以上の結果から,hCG投与後の体内卵子成熟は体外培養による体外成熟に比べ緩やかに進行する傾向がうかがわれた.しかし,成熟開始24時間後では,体外成熟卵に比べ体内成熟卵において,より顕著で完全な顆粒層細胞の膨化と卵母細胞の直径の劇的な変化が観察された.<br>
著者
古木 省吾 佐野 肇 栗岡 隆臣 井上 理絵 梅原 幸恵 原 由紀 鈴木 恵子 山下 拓
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.256-262, 2020-08-30 (Released:2020-09-09)
参考文献数
15

要旨: 補聴器増幅特性の決定は補聴器フィッティングの中で最も重要なプロセスである。 NAL-NL 法や DSL 法などの処方式を選択しソフトウェア上で算出した設定値は平均的な外耳道, 鼓膜の特性を基に計算されたものであり各耳の個体差は考慮されていない。そこで我々は, 純音聴力検査の結果をフィッティングソフトに入力し選択した処方式から算出された設定値と, 実耳測定を用いてターゲット値に近似するように調整した後の設定値との差を比較し, フィッティングソフトにより算出される設定値の妥当性を評価した。結果, 全周波数の修正が±4dB以内に止まった割合は NAL-NL2では10% (2/20耳), DSLv5では5% (1/20耳) とかなり低値であった。適切なフィッティングには実耳測定が重要であることが再認識された。しかしながら, 実耳測定を行っている施設はおそらく限定的である。どのような方法で実耳測定の代用方法を構築できるかは今後の課題である。
著者
伊藤 絢子 谷 晃 鈴木 款
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.113-113, 2004

静岡県静岡市井川のウラジロモミ林において、大気中の揮発性有機化合物を採取し、GC-MSにより測定し5種類のモノテルペンとp-シメンおよびイソプレンを定量した。5種類のモノテルペンの日変動のパターンは、2種類に分かれた。
著者
鈴木 啓仁
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.379-385, 2004-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
28
被引用文献数
1

牛骨, 牛皮, 豚皮, 魚皮, 魚鱗など各種ゼラチン原料の違いを中心にコラーゲンの構造やアミノ酸組成, 各ゼラチン原料の特徴, 基本的なゼラチン製造方法についてレビューし, それら原料種の違うゼラチンの特性についてまとめた.