著者
許 鳳浩 鈴木 信孝 榎本 俊樹 浦田 哲郎 須藤 慶太 宇住 晃治 上馬塲 和夫
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.103-108, 2018-09-30 (Released:2018-10-12)
参考文献数
26

新規精米技術を用いた特殊無洗米であるプレナス金芽米(以下PL米)摂取の生活習慣病関連因子に及ぼす影響について検討した.対象は施設の入所者で,重篤な疾患を有しない者25名(男6,女19)とした.方法は,コントロール無洗米を2ヶ月間毎食摂取(対照群)させた後,PL米を4ヶ月間毎食摂取させ(試験群),合計6ヶ月間観察した.評価項目は,血圧,体脂肪率,HbA1cなどの生活習慣病関連因子とした.結果は,PL米の摂取により,収縮期血圧は有意に低下し (p=0.008),拡張期血圧は低下傾向を示した(p=0.079).体脂肪率は,PL米摂取により低下傾向を示した(p=0.064).HbA1c値は,PL米摂取により低下したが,有意な変化ではなかった(p=0.050).しかし,HbA1c値が摂取前で正常値以上の高値を示した者(n=5)を除外し,正常値範囲だった者(n=19)を層別解析したところ,PL米摂取により有意にHbA1c値は低下した(p=0.003).また,中医体質調査票(CCMQ-J ver.2.0)を用いた試験結果を層別解析したところ,健康度の高い者では,平和質が有意に向上し,気虚質,痰湿質,湿熱質や気鬱質が有意に改善した.以上より,PL米は生活習慣病の予防に役立つ可能性が示唆された.
著者
長島 朗子 高橋 裕公 浅沼 宏幸 鈴木 孝之 大橋 一樹 森 史江
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.60-65, 2018 (Released:2018-01-25)
参考文献数
6

歩行者保護において,これまで歩行者の体格差が傷害値に与える影響については研究がおこなわれてきたが,体型差についての研究はおこなわれていない.そこで,肥満体型モデルを作成し,同一身長の標準体型モデルとの比較により傷害値への影響を調べた.また,車体形状や歩行者の体重の影響についても検討した.
著者
吉澤 ひかり 蝦名 康彦 今福 仁美 鈴木 嘉穂 若橋 宣 宮原 義也 出口 雅士 山田 秀人
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.9-16, 2019

<p>正常胎児と全奇胎の双胎(complete hydatidiform mole coexistent with a fetus;CHMCF)はまれな疾患であり,2~10万妊娠あたり1例とされる.CHMCFは母体合併症が高率であり,また存続絨毛症などの続発性疾患(gestational trophoblastic neoplasia:GTN)のリスクが全奇胎単体より高いとされる.今回われわれは,2006~2015年の10年間にCHMCFの3症例を経験したので報告する.CHMCFの診断週数は12~14週であり,3例中2例は排卵誘発による妊娠であった.母体合併症は,妊娠悪阻(1例),性器出血(3例)であった.CHMCFについて,生児獲得率が低く,母体合併症やGTNのリスクが高いことを説明したところ2例は妊娠中絶を希望した.残りの1例は妊娠継続を希望した.しかし肺転移が判明し21週で妊娠中絶となった.3例中2例にGTN(奇胎後hCG存続症1例,臨床的侵入奇胎1例)を認め,化学療法にて寛解した.CHMCF症例においては,早い週数で妊娠を中断した場合でも,GTNの発症に十分注意して管理する必要があると考えられた.〔産婦の進歩71(1):9-16,2019(平成31年2月)〕</p>
著者
鈴木 和枝 藤田 弘美 橋場 直彦 本吉 光隆 池田 義雄
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.706-712, 2016-10-30 (Released:2016-10-30)
参考文献数
8

過去30年間における糖尿病栄養指導の推移を把握するために,1982年から10年間隔で合計4回実施したアンケート調査結果を比較した.調査は,過去3回に準じて全国1,961の医療機関のうち回答を得た915施設を対象に実施した.管理栄養士・栄養士の雇用率と,個人指導の実施率は,過去30年間高い割合で推移した.日本糖尿病療養指導士(Certified Diabetes Educator of Japan:CDEJ)の雇用率は,発足当初の10年前52.1 %,今回62.9 %であった.時間がかかる指導内容として,「糖尿病食事療法のための食品交換表の説明」と答えた施設の割合は30年前75.0 %,20年前58.8 %を占めたが,10年前37.6 %,今回は28.0 %になった.このことは,CDEJ資格取得のための教育効果によって管理栄養士・栄養士の知識・意欲が向上し,糖尿病栄養指導の在り方が変貌した結果として捉えられた.
著者
浅香 幸雄 鈴木 隆介
出版者
古今書院
雑誌
地理 (ISSN:05779308)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.p82-88, 1986-06
著者
樋渡 涓二 入部 紳一郎 鈴木 寿
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.942-947, 1983-11-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

テレビジョンアイカメラを用いて日本語文章のディスプレイに対する人間の目の注視点の挙動について測定した.すなわち, 第一に日本語文章の形態などの違いに対する注視点の停留時間と移動距離の分布を求めた.文字の大きさ, 縦書き横書き, 読む速度, 漢字混じり文とひらがな文などに対する注視点の動きを測定し, その結果, 停留時間はすべて一定であり, 一方, 移動距離は文字単位で一定であるなどの結果を得た.第二はアイカメラにさらに視野制限装置を結合し, 実効的に視野を狭くしたときの注視点の挙動ならびに文章に対する認知率を求めた.視野を制限すると移動距離はおおよそ1文字毎となり, 認知率も低下する.以上から文章認知においても周辺視は重要であり, かつ眼球運動は文章の文脈や意味に強く支配されることがわかった.
著者
鈴木 康之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.626, 2020-05-15

私が初めて本格的な英語論文を書いたのは1986年でした。当時,論文執筆に関するテキストはほとんど無く,他の論文の表現や構成を参考にしながら,四苦八苦して継ぎはぎの英作文をしていた記憶しかありません。本書で植村研一先生が強調しておられる“comfortable English”にはほど遠いものでした。当時,本書があったら私の苦労の何割かは軽減し,ワンランク上の雑誌に掲載できていたことでしょう。近年,論文執筆に関するテキストは随分多くなりましたが,本書は次の3点でとても魅力的です。 (1)医学研究者・医学英語教育者・雑誌編集者・同時通訳者としての長年の経験に基づいて,“どのような論文が一流誌に採択されるか?”を熟知した植村先生が,まるで直接語りかけてくださるように,歯切れ良くポイントを示しています。植村先生のお話を一度でも聞いたことのある方は,特に実感されるでしょう。植村先生の頭に蓄積されてきた智慧とノウハウを学びとってほしいと思います。 (2)全編を通じて“comfortable English”と“短縮率”がキーワードとなっています。日本人特有の婉曲・冗長な表現を戒め,言葉をいかにそぎ落とすかを多くの実例で示し,演習によって実践力が高まる工夫がされています。英語論文の読者・査読者の多くはnative speakerであり,comfortableな英語を心がけることが重要です。“うまい英語”とは決して美文ではなく,読者の頭に素直に入っていく“simple and clear statement”なのだと理解しました。“うまい英語”のコツがわずか50ページの中に凝縮されているとは驚きです。 (3)コンパクトな構成で,忙しい医師・研究者でも手軽に読むことができます。読みやすく(comfortable Japanese!),明快(simple and clear!)に書かれていますので,一度全編を通読することがお薦めです。これから英語論文にチャレンジしようとしている若手はもちろんのこと,論文の質をワンランク高めたい中堅,論文執筆を指導する立場のベテランにとっても格好の参考書です。一度でも英語論文を書いた方なら,読んでいてうなずかされることばかりです。査読者の視点を知ることで,どんな論文を書けば良いかを知ることができます。
著者
Mahmood Hassan 藤目 幸擴 松井 年行 奥田 幸延 鈴木 春雄
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.39-43, 2000-12-25

ワサビ'だるま-3号'について形態的観察を行った。ワサビは日本など温帯アジア原産植物で, アブラナ科に属し, 宿根性である。通常葉と茎の基部が可食部として収穫される。可食部は通常根茎と呼ばれることが多いが, 肥厚して短縮化した茎である。肥厚した茎は地中で成育することが多い。葉柄の基部も肥厚している。いくつかの子株が茎の基部から伸張して, 繁殖に用いられる。花には4枚の白色の花弁, 6本の雄ずいと1本の雌ずいがある。
著者
鈴木 克治 川本 思心
出版者
科学技術コミュニケーション教育研究部門 : CoSTEP
雑誌
CoSTEP研修科 年次報告書
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.1-9, 2017-03

「出生前診断を受けますか?」「原子力発電所は必要だと思いますか?」「遺伝子組み換えを導入した食品を購入しますか?」義務教育を終え、自立した個人として社会へ歩み出す15 歳の生徒たちは、これらの問題にどう答えるだろう。筆者は中学校の理科教師として、発展し続ける科学技術とそれに付随する社会問題について系統的に授業で扱い、トランスサイエンスに関する知識・思考力・判断力を育成する必要があると考えた。そこで本活動では、中学校の理科でトランスサイエンスをテーマにした授業を実際に行い、どのような内容や時数・時期・配慮事項などが必要かを検討した。結果として、取り上げたいテーマに関わりの深い教科書の内容を学習した直後に、ト ランスサイエンスの授業(トランスサイエンス授業)を行うことが生徒にとって課題の理解が容易であることが分かった。一方で、授業テーマによっては、生徒のプライバシーに関わる可能性があり、内容や使用する言葉について十分な検討が必要となった。そのため、授業準備に多くの時間が割かれ、頻繁にトランスサイエンス授業を行うことはできなかった。今後はより簡便にトランスサイエンス授業を行う方法を検討する必要がある。
著者
鈴木 哲 小田 佳奈枝 高木 由季 大槻 桂右 渡邉 進
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-30, 2011-04-30 (Released:2020-06-25)
参考文献数
14

【目的】嚥下時に前腕を置く机の高さが舌骨上筋群の筋活動に与える影響を検討し,嚥下時の姿勢調節に関する基礎的な情報を得ることを目的とした.【方法】健常者10 名を対象に,机無し条件(両上肢下垂位)と,前腕を机上に置いた机有り条件A(差尺が座高の3 分の1 の高さ),机有り条件B(座高の3 分の1 に15 cm 加えた高さ)の3 条件で,全粥(5 g)を嚥下させ,その際の舌骨上筋群の表面筋電図,主観的飲みにくさ,肩甲帯挙上角度を測定した.舌骨上筋群の表面筋電図から,嚥下時の筋活動時間,筋活動積分値,嚥下開始から最大筋活動までの時間を算出した.各机有り条件の各評価・測定項目は,机無し条件を基準に正規化し,机無し条件からの変化率(% 筋活動時間,% 筋活動積分値,% 最大筋活動までの時間,% 主観的飲みにくさ)を算出した.机無し条件と2 種類の高さの机有り条件間における各評価・測定項目の比較,2 種類の高さの机有り条件間における肩甲帯挙上角度の比較,および各評価・測定項目の机無し条件からの変化率の比較には,Wilcoxon の符号付き順位和検定を使用し検討した.【結果】机無し条件と比べ,机有り条件A では,舌骨上筋群の筋活動時間,最大筋活動までの時間は有意に短く,筋活動積分値,主観的飲みにくさは有意に低かったが,机有り条件B では有意な差はみられなかった.机有り条件A における肩甲帯挙上角度は,机有り条件B と比べ,有意に高かった.机有り条件Aにおける%筋活動時間,%最大筋活動までの時間,%筋活動積分値,%主観的飲みにくさは,机有り条件B に比べ,有意に低かった.【結論】本研究結果から,嚥下時に前腕を置く机の高さは,舌骨上筋群の筋活動に影響を与えることが示唆された.頸部や体幹の姿勢調節に加えて,前腕を置く机の高さを適切に調節することは,嚥下時の姿勢調節のひとつとして有用となる可能性があると考えられた.
著者
鈴木 そよ子
雑誌
国際経営フォーラム (ISSN:09158235)
巻号頁・発行日
no.29, pp.121-140, 2018-12-25

自由ヴァルドルフ学校は、1919年にドイツのシュトゥットガルトにおいて設立された。2017年現在では、1092校を数える。本稿では、ヴァルドルフ学校の指導者ルドルフ・シュタイナーの子ども観のうち、発達の段階と課題、そして、気質の観点からそれぞれの特徴と働きかけ方について考察する。 シュタイナーは、子どもの発達段階を3期に分けて捉えている。 第一期:誕生から歯の生え替わる時期まで(およそ0 ~ 7歳) 第二期:歯の生え替わる時期から性的成熟期まで(およそ7 ~ 14歳) 第三期:性的成熟期以降(およそ14~ 21歳) シュタイナーの発達観によれば、第一期には想像力を豊かにすること、第二期には訓練された想像力の基盤に立って、感情・意志などの心的諸力を豊かにすることが十分なされて初めて、第三期に入ったのち、悟性概念を用いた的確な思考・判断が可能になるのである。 また、シュタイナーは、気質学の観点から子どもを把握するが、多血質、憂鬱質、粘液質、胆汁質の四気質が個々の性格を構成していると捉える。教師に求められた、子ども理解及び子どもへの働きかけ方は3点にまとめられる。 第一点は、四気質の特徴を把握すること。 第二点は、教師自身が子どもの中で、優位を占めている気質を受け入れることによって、気質の短所を長所に変えていくこと。第三点は、教師自身の働きかけと並行して、子どもたち同士の影響力・同化力を十分に活かすためのグループ作りを工夫すること。
著者
佐藤 努 佐藤 絢 木幡 修 鈴木 宏幸 坂田 真也 大波 清貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>目的</p><p></p><p>脳卒中片麻痺患者における就労支援や社会参加を促していく上で,移動手段の選択は重要であり,その後の活動範囲に大きく影響を及ぼしている。自動車運転は,移動手段のひとつを担っているが,心身機能等の状態や制度上の問題により,積極的な運転再開と至っていないのが現状である。今回,アンケート調査を実施し自動車運転再開における現状を把握することを目的とした。</p><p></p><p>方法</p><p></p><p>2014年4月から2016年3月までに脳卒中片麻痺を呈して,当院回復期病棟へ入院した148名中,当院が独自におこなっている自動車運転評価を実施し,自宅退院となった37名を対象とした。方法としては,郵送にて対象者に対し調査目的,調査対象などを書面により十分に説明し,同意が得られた場合に限り返送してもらうこととした。アンケート内容に関しては,退院後における自動車運転の実施の可否など,12項目について質問形式にて実施し,2016年5月から7月末までの2ヶ月間を回収期間とした。</p><p></p><p>結果</p><p></p><p>回答数は,81.0%(30名/37名中)であった。アンケート結果は,自動車運転免許の保有者は24名,退院後に更新手続きを行った12名,入院中および退院後に臨時適正検査を受けた15名であった。自動車運転に関しては,現在も自動車運転を行っている者は21名であり,毎日運転をしている16名,週の半分程度1名,週に1回程度2名,月に1回程度2名であった。さらに,自動車運転の目的においては,仕事12名,買い物16名,移動手段14名,用事12名,趣味活動9名,特に目的は無い2名であった。運転を行っていない者は9名であり,入院前から1名,退院後から6名,半年前から2名であった。運転を行わなくなった理由に関しては,運転操作が困難のため1名,運転免許を有していないため1名,自動車が無いため1名,退院時に運転許可が出なかったため1名,特に理由は無い1名,家族の同意が得られないため3名であった。また,自動車運転における必要性に関しては,生活で必要であると答えた者25名であり,必要理由として,仕事の継続のため13名,楽しい生活のため12名,1人で自由に移動するため17名,便利だから14名であった。必要性が無いと答えた者3名の理由としては,自動車運転を諦めた1名,送迎サービスを利用1名,生活の中で必要性が無い2名,家族の協力があるため3名であった。</p><p></p><p>結論</p><p></p><p>日常生活における必要性だけではなく,社会参加や就労促進において自動車運転の可否は,移動手段として大きな影響を与えていることが推測された。自動車運転を取り巻く社会情勢の変化や道路交通法の改正により,障がい者における自動車運転の再開には,多くの課題がある。今後,自動車運転再開を円滑に遂行するにあたり,運転技能等の心身機能面や事故回避能力等の高次脳機能面などの関連性も含め検討し,障がい者の自動車運転支援プログラム確立へ向け,関係機関や家族との連携を図り,安全な移動の保障を進めていく必要性が示唆された。</p>