著者
鈴木 則宏
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-31, 2010 (Released:2010-06-07)
参考文献数
34

「頭痛」 は最も一般的な自覚症状で 「頭痛」 を経験したことのない人はいないと言っていいほどかもしれません。 頭痛は大きく3つに分類されます。 二日酔いの時や、 かき氷を食べた直後に起こる頭痛などの日常的に起こる頭痛。 次に、 くも膜下出血、 脳出血、 髄膜炎、 脳腫瘍などの脳とその周囲、 たとえば眼や副鼻腔や顎関節などに原因がある頭痛。 これらはまとめて 「器質性疾患にともなう症候性頭痛 (二次性頭痛)」 と呼ばれます。 最後が一次性頭痛と呼ばれる 「慢性頭痛」 です。 すなわち頭痛が一度では治まらず月に1~2回、 重症の場合にはなんと毎日頭痛で悩まされる状態です。 慢性頭痛は、 生命を危ぶむことはないものの、 頭痛によって生活に支障をきたしてしまうものです。 ようやく最近になって確実な治療法が現れたということ、 そして思った以上に悩んでいる患者さんが多く、 患者さん自身の仕事の能率 (勤務や家事)、 人間関係、 雇用状況、 仕事の将来性など、 社会生活や家庭生活に大きく影響を及ぼしていることが分かってきた、 ということで話題になっている頭痛です。 慢性頭痛には片頭痛、 緊張型頭痛、 群発頭痛の3つがあります。 特に片頭痛はこれまで長い間、 頭蓋内外の血管自体の疾患、 であると考えられてきました。 しかし、 片頭痛前兆の研究やトリプタンの薬理作用機序などから、 現在では血管疾患ではなく、 大脳を中心とした中枢神経の疾患としてとらえるべきであるという概念が有力になってきています。 すなわち、 片頭痛のメカニズムは中枢神経系において生じた変化が二次的に脳血管を支配するように分布する三叉神経を活性化させ血管を拡張させ、 さらに炎症を起こさせて疼痛を発生させるという考え方が主流になっています。
著者
鈴木 大介 赤池 優斗
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

1.背景本研究の目的はつむじ風が発達・消滅する条件をアナログ実験により明らかにすることである。そのため、人工的につむじ風様の鉛直渦を発生させる装置の製作を行った。つむじ風は晴れた日の日中に突発的に発生する強い鉛直渦であり、テントが飛ばされるなどの被害が時々報告される。私たちは、なぜそのような強い渦が突発的に発生し、そして消滅するのか疑問に思った。現在、つむじ風の発生メカニズムについての研究は数値シミュレーションにより行われている。しかし、数値シミュレーションは想定した条件下でのパラメータ探索が容易な一方で,地表面摩擦の影響や乱流といった微細な構造を取り入れることは難しい。そこで、私たちは、より細かな構造や擾乱を容易に入れられる、アナログ実験を行うことにした。環境条件をコントロールしながら人工的につむじ風を作り出し、つむじ風の構成パラメータを定量的に評価することで、数値シミュレーションでは知りえなかった性質を発見できることを期待して本研究を開始した。2.研究の手法 つむじ風の発生メカニズムに関する先行研究を参考に、つむじ風が発生しやすいとされる環境を再現する、すなわち上昇気流に角運動量を与え、つむじ風のような鉛直渦を発生させる装置を製作する。ホットプレートで地表面(水)を加熱し上昇気流を発生させ、円筒状の網を回転させることで流入する気流に角運動量を与える装置を考案した。水を加熱するのは湯気を発生させてつむじ風を可視化するためである。さらにこの湯気にシート状のレーザー光を当てることで、任意の渦の断面を定量的に計測できるように工夫した。またビデオカメラを用いて、撮影した渦の画像から渦の大きさを求める方法を確立した。この装置を用いて与える角運動量を変化させたときの渦の直径の変化及び渦の内部の温度分布を計測した。3.結果と考察地表面温度を一定にしたまま、与える角運動量を大きくすると渦の直径は増加した。渦の内部は周辺部よりも高温となっており、渦直径が小さいときのほうが温度差は顕著であった。また中心部の鉛直方向の温度傾度は渦直径が大きい、つまり与える角運動量が大きいときのほうが顕著であった。このように、つむじ風は地表面の熱の効率的な輸送を担っているようである。中心部が周囲より高温になるのは、つむじ風の中心向きの気圧傾度力により地表面付近の高温の空気が集められるためであり、中心向きの大きな気圧傾度力は、中心付近が高温である結果であると考える。しかしながら、つむじ風の形成初期に、なぜ中心向きの大きな気圧傾度力が生まれるのかについて、明快な答えを得ることはできなかった。今後、地表面の温度分布や与える角運動量、微細な地表面構造などのコントロールを行いながらつむじ風を構成するパラメータを定量し、渦動粘性係数を用いた実際のつむじ風と実験装置のスケーリングを経ることで、つむじ風の発生消滅の条件を明らかにできるのではないかと考えている。4.謝辞 本研究をするにあたってご指導いただいた静岡大学理学部地球科学科の生田領野准教授、様々な支援をしていただいた静岡大学FSS事務局の皆様に感謝申し上げます。5.参考文献 ・伊藤純至、(平成29年)、塵旋風の発生・発達機構と強風、日本風工学会誌第42巻第1号 ・新野宏、(2009)、竜巻と塵旋風-大気の激しい渦の理解の現状と課題、第58回理論応用力学講演会 https://doi.org/10.11345/japannctam.58.0.2.0
著者
鈴木 弘
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.430-431, 1996-09
著者
奈良 貴史 鈴木 敏彦
出版者
東北大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

アバクチ洞穴遺跡出土人骨は東北地方において初めての保存状態良好な弥生時代幼児人骨である。我々は、日本列島の人類史を解明する重要な手がかりになると思われるこの人骨の人類学的位置付けを早急に行わなければならないと判断し研究を着手した。弥生時代の日本列島には縄文人的な特徴を持つ人骨とアジア大陸からの渡来系の要素が強いとされる人骨の2系統が少なくとも存在していたことがこれまでの研究で判明している。研究分担者の鈴木の歯冠計測値による予備的な分析では、この人骨が渡来系弥生人に近いことが示された。これを踏まえて、その他の特徴においてもこの人骨に渡来系弥生人的な形質が認められるかどうかに主眼を置き、詳細な計測値および非計測的形質の記録を頭蓋骨、乳歯について行なった。また札幌医科大学、東北歴史資料館、東京大学、国立科学博物館、国立歴史民俗博物館、及び京都大学で比較対象となる縄文・弥生時代幼児人骨の計測、X線規格写真撮影等を行い、比較資料を収集した。その結果、眼窩ならびに鼻根部の形態および乳歯の非計測的な形質の一部に弥生人的な要素がみられることを確認し、弥生時代中期に、既に東北地方に縄文人以外の形質を持つ人々が流入していた可能性が示唆された。昨年11月に筑波大学で開催された第51回日本人類学会大会で、これまでの研究結果を「岩手県アバクチ洞穴遺跡出土弥生時代幼児人骨の形態学的検討」として発表した。来年度は縄文人と弥生人とでは四肢骨のプロポーションが違うとされていることから、アバクチ幼児人骨の四肢骨の計測を行ない、どの様な四肢のプロポーションを示したのかを明らかにする。また、顎骨内から摘出された形成途上の永久歯に関して、既知の縄文・弥生人の同様の幼若永久歯を用い、咬耗が進行した成人人骨の永久歯とは異なる視点からの比較を試みる。最終的に2年間で得られたデータの更なる統計学的検討を行う。
著者
髙橋 聡 和田 耕一郎 公文 裕巳 増田 均 鈴木 康之 横山 修 本間 之夫 武田 正之
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.105, no.2, pp.62-65, 2014-04-20 (Released:2015-06-13)
参考文献数
10

NIH慢性前立腺炎問診票は,慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状の程度や治療の評価に用いられる症状スコアである.我が国では,日本泌尿器科学会が公認したNIH慢性前立腺炎問診票日本語版が確立されていないことから,日本泌尿器科学会では(排尿機能・神経泌尿器科)専門部会長の武田正之を委員長としてNIH慢性前立腺炎問診票日本語版作成委員会を立ち上げ検討を行った.検討の結果,過去に発表されたNIH慢性前立腺炎問診票日本語版の案と日本語版International Prostatic Symptom Score(IPSS)から,NIH慢性前立腺炎問診票日本語版を作成した.今後の臨床研究において,このNIH慢性前立腺炎問診票日本語版が活用されることを強く希望する.
著者
鈴木 匡子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.331-338, 2018-09-30 (Released:2019-10-02)
参考文献数
5

視空間認知障害はよくみられる症候であるが, 失語のように体系化されたリハビリテーションがなく, 長期経過についての報告も稀である。そこで右優位の両側頭頂葉損傷により多彩な視空間認知機能障害を呈した 1 例の 10 年間の経過を観察した。視覚性即時記憶の低下, 視覚性注意の障害は 10 年間大きな改善はみられなかった。一方, 線分の傾き判断や模写などの構成機能の成績は徐々に良くなったが, 体性感覚や言語化など他の機能により補完している様子が観察された。日常生活では, 広い空間での視空間認知障害, 自分が動く際の視覚と他感覚の統合などについての障害が軽度残存していた。このように症状により回復しやすさに差はあるものの, 両側頭頂葉損傷では視空間認知障害が長期に残存する。患者が症状を理解し, それに対応して工夫していけるよう支援し続けることが大切である。
著者
森重 健一郎 竹中 基記 上田 陽子 鈴木 紀子 森 美奈子
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

卵巣がん細胞株TOV21, KOC-7CでRAS変異が確認され、OVISEでは確認されなかった。RAS変異のある細胞では、フェロトーシス誘導剤エラスチンを添加したところ、WST-1アッセイにより細胞死が誘導されていることがわかった。鉄のキレート剤であるDFO添加により、その細胞死が解除されたたため、エラスチン添加による細胞死は鉄依存性細胞死=フェロトーシスであることが考えられる。一方、RAS変異のない細胞株ではフェロトーシスは誘導されなかった。RAS変異のある卵巣がん細胞株でさらに検討したところ、エラスチン添加時に細胞内ROS量は上昇、GSH量は低下しており、その結果として細胞死が引き起こされていることが予想された。一方、RAS変異のない細胞ではエラスチン添加時にはROS量の若干の上昇が見られたが、元々の細胞内ROS量が高いためフェロトーシスに抵抗性があると考えられる。フェロトーシス誘導剤はいくつか報告されているが、その中でもアルテスネートは抗マラリア薬であるため、臨床応用が速やかに行える利点がある。現在、我々はアルテスネートを用いて上記同様の実験を行っている最中であるが、エラスチンとは効果が異なる点も見られ、同じフェロトーシスでも異なるメカニズムで作用していることが考えられる。引き続き検討していきたい。またフェロトーシス誘導時には膜の脂質酸化が引き起こされることが知られているため、脂質酸化マーカーであるBODIPYを用いたイメージング実験を試みているところである。
著者
関根 康正 鈴木 晋介 根本 達 志賀 浄邦
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

関根は、2018年8月~9月に英国現地調査を実施した。移民3世が登場する1990年代以降、インド系移民社会内部に新たに現象してきた「不可触民」差別に対する解放運動の実態について関係組織を訪問しインタビューを行った。また、ロンドン大学SOAS図書館で関係資料収集を行った。2019年1月の研究会でその成果を「英国・ロンドンでのインド系移民のアンベードカラトの反差別運動について」と題して報告をした。根本は2018年8月~9月および2019年2月~3月、インドのナーグプルで計4週間のフィールドワークを行なった。特に仏教僧佐々井秀嶺が現地に保管する不可触民解放運動史料の確認・整理に取り組みつつ、佐々井と仏教徒による創発的な宗教実践と当事者性の拡張について調査を実施した。これに加え、ナーグプルおよび近隣農村におけるダリト(元不可触民)活動家男性と上位カースト女性の異カースト間結婚の調査にも取り組んだ。鈴木は2019年2月にスリランカでのフィールドワークを行った。シンハラ仏教僧や在スリランカ・インド僧(Mahamevnawa僧院)への追加インタビューを通じて、南アジア上座部仏教圏におけるアンベードカライト的言説の評価の輻輳性の考察に資する言説データを蓄積するとともに、巡礼を中心としたインド、スリランカ両国仏教徒のトランスナショナル・ネットワークの実態に関する一次資料の収集に取り組んだ。志賀は文献研究として、アンベードカルによる『ブッダとそのダンマ』の第3部と『改宗(ヒンドゥー教からの離脱)』のテキスト分析と内容の比較を行った。定例の研究会においては、仏教徒のアイデンティティの二重性、改宗が持つ意味、仏教徒の行為主体性等について考察し報告した。また2019年3月にインド・ナーグプルを訪問し、トランスナショナルな仏教者ネットワークや仏教徒の行為主体性などについて現地調査を行った。
著者
足立 明彦 小林 英一 渡邉 義之 米山サーネキー 智子 早坂 典弘 鈴木 誉 岡本 美孝 佐伯 直勝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.8, pp.597-603, 2011-08-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3 8

CBS(carotid blowout syndrome)は,頭頚部腫瘍に対する放射線治療後に,遅発性に動脈破裂をきたす致死的疾患として知られている.今回,放射線治療後36年および2年を経て大量出血で発症し,血管内治療で良好な結果が得られた2例を報告する.1例目は,瘤内塞栓をしたものの,2週間後に再出血し,母動脈を閉塞した.2例目は,虚血耐性を確認できたため,同様にtrappingにて止血を得た.大量出血で発症するCBSは緊急の止血処置を要する.将来的には膜付きステントに期待が寄せられるが,現時点では閉塞試験が不可能な際にも,救命目的に母動脈閉塞を要する場面は少なくない.その際,照射野を外してのendovascular trappingは永続的止血を得る確実な方法であり,有効と考えられた.
著者
横山 勝英 大村 拓 鈴木 伴征 高島 創太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_1453-I_1458, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

The spatiotemporal distribution of seawater intrusion in the Chikugogawa estuary was analyzed, and its relationship with the temporal variation of phytoplankton and engraulid fish, Coilia nasus, was discussed. The Chikugogawa estuary is vertically well mixed for most of the year, and a salt wedge is observed only when the tidal range decreases to 2 m or less. We found that the ratio of chlorophyll-a to pheophytin-a during the semilunar cycle varied according to the change in the mixing conditions in the estuary. Further, the number of sampled estuarine fish was related to the salinity and tidal range within the estuary; the fish was caught when the salinity was low and the tidal range was large. It is necessary to regulate the fresh water discharge in the estuary in order to maintain a low-salinity region that is suitable for the migration of fish and their spawning areas to the downstream of the river mouth barrage.
著者
清杉 孝司 巽 好幸 鈴木 桂子 金子 克哉 中岡 礼奈 山本 由弦 羽生 毅 清水 賢 島 伸和 松野 哲男 菊池 瞭平 山口 寛登
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Catastrophic caldera-forming eruptions that discharge more than 40 km3 of Si–rich magma as pyroclastics are rare but extremely hazardous events (eruption magnitude >7). Estimating the eruption volume of pyroclastics and the magma discharge rate in caldera–cycle is essential in evaluating the risk and cause of catastrophic caldera–forming eruptions. For this reason, we took sediment cores with Hydraulic Piston Coring System (HPCS) and Short HPCS (S-HPCS) of D/V Chikyu at Kikai volcano in January 11–14, 2020. Kikai volcano (Kikai caldera) is located about 45 km off southern Kyushu Island, Japan. Except two islands (Satsuma Iwo-Jima Island and Take-Shima Island) on the northern part of the caldera rim, most of the caldera structure is under the sea. At Kikai volcano, three ignimbrites are known; the 140 ka Koabi ignimbrite, the 95 ka Nagase ignimbrite, and the latest 7.3 ka Koya ignimbrite.Sediments were recovered from 5 sites about 4.3 km off the northeastern side of Take-Shima Island. Each drilling site was separated by 10–20 m from any other site. The sediment was not consolidated. Bioturbation was not observed. The sediment sequence, from the top of the cores, consists of gravel unit, ill-sorted lapilli unit, reddish tephra unit, sandy silt unit, and white tephra unit. The sedimentary facies of these sediments is as follows.Gravel unit: The presence of this unit in the upper part of the sequence is suggested by gravels which fell in the drilling holes and recovered with the sediments of the lower sequence. The gravels are consist of white tuffaceous rock, obsidian, gray volcanic rock, reddish altered volcanic rock, gray pumice and altered pumice. They are angular to sub-angular in shape and varying in size up to 5 cm in diameter.Ill-sorted lapilli unit: This deposit consists of ill-sorted lapilli size light yellow colored pumices and lithics of dark volcanic rock, gray volcanic rock, and obsidian. The maximum grain size of the pumice is more than 5 cm, whereas the maximum grain size of the lithic is about 4 cm. The abundance of the pumice component varies with depth. The thickness of the unit is more than 7 m at the drilling sites. The color of the pumice suggests that this unit may be a secondary deposit of underlying Koya ignimbrite deposit.Reddish tephra unit: It consists of layers (maximum thickness at least 40 cm) of slightly reddish to orange ill-sorted pumice lapilli and thin layers (~1 cm thick) of relatively well-sorted ash. The thickness of the deposit is more than 5 m at the drilling sites. The characteristic color of pumice suggests that this unit is the deposit of Koya ignimbrite. Formation of relatively thin layers of lapilli and ash may be due to the deposition under the sea.Sandy silt unit: It consists of very fine fragments of black volcanic rock. The sediment contains small fragments (~5 mm) of sea shells and other organic materials. Foraminifars were also contained in this deposit. The thickness of this unit is at least 20.36 m.White tephra unit: This deposit mainly consists of ill-sorted white pumice lapilli and relatively well-sorted ash. The maximum pumice size is at least 11 cm. The thickness of the deposit is at least 30 m. The deposit is characterized by the presence of crystals of quartz, which is known as a remarkable feature of the Nagase ignimbrite deposit to distinguish it from the other tephra at Kikai volcano. Especially, the middle part of the recovered Nagase ignimbrite deposit (63–64 m below the seafloor) shows unique sedimentary face: it consists of only crystals of quartz (<2 mm in size), orthopyroxene and clinopyroxene (<1 mm in size), and magnetite (<2 mm in size). Formation of the sedimentary face may be due to the deposition of hot ignimbrite under the sea.Description of these sedimentary units is essential to distinguish the ignimbrite deposits and understand their flow behavior in the sea. We will show the detail of these sedimentary facies in the presentation.
著者
鈴木 秀和
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.244, 2018-03-01

Spinopelvic harmonyとは,脊椎と骨盤において良好な矢状面アライメントの調和が得られている状態をいう.脊椎矢状面アライメント異常は腰痛や生活の質(QOL)の低下をきたす1).腰椎矢状面形態は骨盤形態によって規定されており,pelvic incidence(PI)は個人固有の骨盤形態を表す指標として重要である2).また代償の働いていない理想的アライメントは脊椎のみならず関節や軟部組織に対する最小負荷で立位姿勢を保持できると考えられ(cone of economy)3),脊柱変形に対する矯正手術においては理想的アライメントの獲得が目標とされる.Schwabら4)は無症候成人75例の検討で,PIによるlumbar lordosis(LL)の予測式としてPI=LL+9°を提唱,さらに成人脊柱変形術後患者125例の臨床成績を検討し5),sagittal vertical axis(SVA)>50mm,骨盤傾斜(pelvic tilt:PT)>20°とともにPI-LL>9°がoswestry disability index(ODI)約40以上となる指標となることを示し,“Harmony among spinopelvic parameters is of primary importance” と述べている.そして2012年,脊椎骨盤アライメントとhealth related quality of life(HRQOL)に基づく成人脊柱変形の指標として,Scoliosis Research Society(SRS)-Schwab分類が提唱された6).SRS-Schwab分類はSVA,PT,PI-LLをsagittal modefierとし,SVA>40mm,PT>20°,PI-LL>10°がsagittal deformityと定義され,これが現在の成人脊柱変形評価のスタンダードとなっている.しかし,腰椎前弯減少に対する体幹バランス不全の代償は骨盤後傾によってのみならず胸椎後弯減少や下肢関節屈曲によっても行われる.変形矯正手術により腰椎前弯を獲得してもreciprocal changeにより胸椎後弯が増強し矢状面体幹バランス不全が残存することもしばしば認められる.Roseら7)は矯正手術の指標として,胸椎カーブを含めたフォーミュラを提唱しており,Le Huecら8)はC7から膝屈曲による代償まで考慮したフォーミュラ[full balance integrated(FBI)technique]を提唱した.また,わが国においても,各年代のPTの予測式から理想的なPTを得るために必要なLLを算出する浜松フォーミュラ9)や,PI-LLの値がPIにより変化するという解析結果をもとに算出された獨協フォーミュラ10)など,さまざまな算出式が提唱され,いまだ議論されている.また,PTは頚椎矢状面アライメントにも相関があり,頚椎矢状面形態と姿勢異常の関連もあることから11),脊椎手術においては局所や隣接アライメントだけでなく,全脊椎アライメントあるいはバランスを考慮することの重要性が指摘されている.さらに近年は,立位のみならず,若年者や高齢者の坐位における脊椎アライメントの検討も行われ12,13),さまざまな生活動作や姿勢における脊椎アライメント変化も明らかになってきている.しかし,個々の脊椎アライメントは健常者においてもばらつきがあり,また高齢者のspinopelvic harmonyは若年者と同じなのかなど,明らかにすべき課題も多く,さらなる検討が必要である.