- 著者
 
          - 
             
             萩原 剛
             
             新井 盛夫
             
             山中 晃
             
             藤田 進
             
             高橋 一郎
             
             川田 和秀
             
             大石 毅
             
             鈴木 隆史
             
             天野 景裕
             
             福武 勝幸
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本血栓止血学会誌 = The Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis (ISSN:09157441)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.14, no.4, pp.337-344, 2003-08-01 
 
          
          
          
        
        
        
        ハイレスポンダーインヒビター保有血友病Aおよび血友病B患者に起きた3回の重症出血に対し, 凝固因子製剤の大量投与でインヒビターを中和し, 引き続き持続投与によって充分な血漿凝固因子活性を維持し, 止血に成功した. 症例1は第VIII因子インヒビター保有血友病A患者. 38歳時に小脳出血で緊急入院した. 2. 1ベセスダ単位(BU)/m<I>l</I> の第VIII因子インヒビターに対し, 第VIII因子製剤5, 000Uのボーラス投与に続き, 3. 8U/kg/hrの持続投与を行った. 血漿第VIII因子活性は4日間0. 9~1.44U/m<I>l</I> を維持し血腫は縮小した. 40歳時には, 外傷性頭頂葉皮質出血をきたし, バイパス療法を行ったが, 新たに右硬膜下血腫を認めたためインヒビター中和療法を施行した. 10BU/m<I>l</I> の第VIII因子インヒビターに対し, 第VIII因子製剤12, 000Uのボーラス投与に続き, 4~6U/kg/hrの持続投与を行った. 血漿第VIII因子活性は, 5日間0.54~2.04U/m<I>l</I> を維持し血腫は縮小した. 症例2は4歳の第IX因子インヒビター保有血友病B患者. 右足背部の打撲により大きな皮下血腫を生じた. 連日のバイパス療法でも改善せず, インヒビター中和療法に変更した. 2.1BU/m<I>l</I> の第IX因子インヒビターに対し, 第IX因子製剤2, 000Uのボーラス投与に続き, 13U/kg/hrの持続投与を開始した. 血漿第IX因子活性は1. 0~1.3U/m<I>l</I> を維持し, 血腫は速やかに縮小した.